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日本初記録の「コウテンシ」に関する論文が、鳥学会誌平成18(‘06)年12月号に掲載されました。発見から1年半になりましたが、その間の経過を取りまとめ関係各位へのお礼に代えさせていただきます。 平成17(‘05)年5月4日、天売島厳島神社裏の畑で見たことのない謎の鳥を発見しました。同行の後輩鈴木さんによると、コウテンシの仲間であろうとのこと(「天売島第4弾」参照)。同じ場所で観察していた北海道大学野鳥研究会の皆さんも、以前『バーダー』誌で見たコウテンシと思うとのこと。地元の写真家寺沢孝毅さんに報告したところ、即刻種の同定を山階鳥類研究所に依頼していただくと同時に、ホームページ上でも井上氏の写真とともに発表してもらいました。題して「コウテンシ Mongolian Lark Melanocorypha Mongolica 天売島で日本初記録!?」。 一方私の方は上野先輩に連絡し、コウテンシの日本における観察記録の有無を調べてもらいました。数日の後、日本での観察記録はない旨返事をいただきました。ただし、天売島で見られたのであれば、その何日か前に飛島や舳倉島で観察されているかもしれない。また、篭脱けの可能性も排除できないとのことでした。 6月になると山階鳥類研究所から同定結果の連絡がありました。コウテンシに間違いなしとのことでした。寺沢さんのホームページでは「日本初記録確定」と発表されました。同じころ、北大野鳥研究会の平田氏から、共同で論文を作成しましょうとの誘いを受けました。 7月19日付北海道新聞に「大陸から珍客 コウテンシ=天売で国内初確認」の記事が掲載されました。 9月に北大の平田氏が上京し、論文の打ち合わせを行いました。と言ってもほとんどお任せですが…。彼はその後も天売島に渡り、コウテンシのいた畑に何が蒔かれていたかなどを調査したようです。 上野先輩が編集長を務める「Bird Life ASIA Newsletter」10月号に「モンゴルのミニ図鑑出版」の記事が掲載されました。図鑑の紹介の一部に後輩のイラストレーター谷口高司さん描くところのコウテンシの絵がありました。解説には「コウテンシ:モンゴルや中国中央部の岩山や丈の低い草原に生息するヒバリ科の鳥。日本では2005年5月4日に北海道・天売島で観察された個体が初記録の可能性がある」とあります。編集長の心遣いに感謝です。 12月、「コウテンシ」論文が完成し、鳥学会誌に投稿しました。 同じく12月、鳥仲間の忘年会を兼ねて国立科学博物館を見学しました。なんとそこに「砂漠の鳥」と題してコウテンシが展示されているではありませんか。これにはさすがの私も驚きました。(下写真) |
![]() | 待ちくたびれた1年でしたが、おそらく他の報告例の有無や、篭脱けの有無などの確認作業が行われていたものと思われます。そして今般鳥学会誌第55巻2号に掲載の運びとなりました。まずはめでたしめでたしと言えましょう。関係各位に御礼申し上げます。 |
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