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 アリストV300VEに乗っていたNO.1981のTOMさんが、意外と知られていないインチアップ後の適正な空気圧の設定について詳しくレポートしてくださいました。これはアリストだけでなくどの車種にも当てはまりますがほとんどの場合、純正指定のままの空気圧では適正値を下回ってしまうようですね。


メンテVOL.341 インチアップしたタイヤの適正空気圧
<作成:'03年4月3日>
きょうは「意外と知られていないインチアップ後の空気圧&LIの謎」に迫ってみたいと思います。皆さん、インチアップしたあと、どのくらいの空気圧にすればよいかご存じですしょうか? 純正と同じ空気圧で本当に良いのだろうかと迷われている方多いのではないかと思います。タイヤ専門店でもはっきりとした回答を出せるところはなかなか少ないように思います。そのようなタイヤ販売環境のなかで、ズバリ!CAの皆さんには回答をだしましょう。

実はC.A.を通じて知り合いサーキット走行などを一緒に楽しんでいる皆さんとこの疑問点に深く突っ込み回答を得ることができました。カントンさんはミシュランオカモトへ、横浜35しろありさんはピレリイイタリアへ英語で、ラスカルさん動物的本能(^^)で実際のROADインプレッションで、TOMはブリジストン、ダンロップ、日本自動車タイヤ協会へ質問をしてこの謎に迫ってみましたのでした。アリストについて話しをしていきますが、他の車種にももちろん適用できるものです。

【タイヤの規格について】

タイヤの規格には「JATMA規格」、「ETRTO STANDARD規格」、「ETRTO REINFORCED規格」等の規格があって、規定空気圧で何キロの荷重に耐えられるか目安に、LI(ロードインデックス)というのがあります。タイヤカタログの後ろの方に書いてありますよね。このLIはタイヤ規格によって、規定の条件が違います。例えばLI93のタイヤは650kgの負荷能力ですが、JATMA規格では240kpa、ETRTO STANDARD規格では250kpa、ETRTO REINFORCED規格では290kpaの時に650kpaの負荷能力となります。

また、タイヤに「MAX. LOAD○○○kg @350kpa MAX.PRESS」という記載があることがありますが、「規定の条件で、○○○kgの最大荷重まで保証します。また、冷間350kpaの空気圧まで耐えられます」という意味で、この「規定の条件」が上記の規定に該当します。「最大空気圧350kpaの時、最大負荷能力○○○kgまで保証します」という意味ではありません。

【純正のタイヤがどういうタイヤか、調べてみましょう】

純正タイヤはどういうタイヤかと言いますと、、、
車種 タイヤサイズ 純正指定空気圧 指定空気圧時の負荷能力
アリストS300 215/60R16 95H 210kpa 635kg
アリストS300VE
アリストV300
225/55R16 94V 220kpa 635kg
アリストV300VE 235/45ZR17
(LI93同等)
230kpa 635kg

これらはJATMA規格というタイヤの規格に基づいていますが、これらはタイヤメーカーと自動車メーカーの開発により規格されています。ここまで読んでピント来た方は鋭いです。いったいインチアップ後、いくらの空気圧にしたらよいか?答えは純正タイヤ同等の負荷能力となるように空気圧を調整すればよいのです。そうしなければ、タイヤは加重に対して保たないということになります。

ちなみに、アリストV-VEは車重1690kg(フロント軸重930kg、リア軸重760kg)、定員乗車時総重量1965kg(フロント軸重1030kg、リア軸重935kg)です。

停車時に1つのタイヤにかかる最大荷重は、総重量フロント軸重の1030kg÷2=515kgとなります。走行すれば、加速時リア加重、減速時フロント加重、旋回時横加重と荷重は変化しますので、当然、上限515kgまで耐えられるタイヤでは不足となります。純正では一輪当たり、純正負荷能力635kg−軸重515kgで、110kgのマージンを見ているのですね(Sについてはマージンも大きい)。

【インチアップ後のタイヤが635kgを下回らない空気圧を探し出します】

下の表は「空気圧・負荷能力対応表」といって、これを見てご自身のタイヤが635kgを下回らない空気圧を探します。(アリストでインチアップ後のタイヤはJATMA規格にはないのでETRTO規格に基づいています。)そうすれば純正タイヤ同等の負荷能力の空気圧となります。

適正な空気圧を探すにはご自分の装着しているタイヤサイズを探して、その横の欄を見て635kgを下回らない数値を見つけたら、その上段にある空気圧を導き出します。それが答えになります。

なお、19インチの19インチREINFORCED or EXTRA LOADとは、空気圧を上げることで、負荷能力を上げることができる、強化タイヤのことです。タイヤに刻印されいるか、カタログに掲載されています。カタログには注記またはサイズ横に、ブリジストンはREINFORCED、ミシュランはEXTRA LOAD、ピレリはref. と書いてあります。

【19インチスタンダード】
タイヤサイズ LI 150 160 170 180 190 200 210 220 230 240 250(kpa)
235/35/19 87 360 380 400 420 440 455 475 490 510 525 545(kg)
245/35/19 89 385 405 425 445 465 485 505 525 545 560 580
265/30/19 89 385 405 425 445 465 485 505 525 545 560 580
275/30/19 92 420 440 465 485 505 525 550 570 590 610 630
285/30/19 94 445 470 490 515 540 560 585 605 625 650 670

【19インチREINFORCED or EXTRA LOAD】
タイヤサイズ LI 150 160 170 180 190 200 210 220 230 240 250 260 270 280 290(kpa)
235/35/19 91 385 395 400 420 440 455 475 495 510 530 545 565 580 600 615(kg)
245/35/19 93 385 405 425 445 465 485 500 520 540 560 575 595 615 630 650
265/30/19 93 385 405 425 445 465 485 500 520 540 560 575 595 615 630 650
275/30/19 96 420 440 485 485 505 525 550 570 590 610 630 650 670 690 710

【18インチスタンダードサイズ 】
タイヤサイズ LI 150 160 170 180 190 200 210 220 230 240 250(kpa)
235/40/18 91 410 430 450 475 495 515 535 555 575 595 615(kg)
245/40/18 93 430 455 475 500 520 545 565 585 610 630 650
265/35/18 93 430 455 475 500 520 545 565 585 610 630 650
275/35/18 95 460 485 505 530 555 575 600 625 645 670 690

ここで例題的にひとつ一般的なタイヤサイズの フロントは245/35ZR19 93Y REINFORCED、リア275/30ZR19 96Y REINFORCEDの場合を導いてみましょう。

フロントでは、純正指定の負荷能力635kgを下回らない空気圧に該当するのは280kpa:630kg〜290kpa:650kgとなります。

リアでも同様に、250kpa:630kg〜260kpa:650kgとなります。

ちなみに、これらの概念は、負荷能力という観点からの基準であって、サーキ ットなどでのスポーツ走行でのグリップを重視したものではありません。です ので、求めた空気圧が必ずしも最大限のグリップを発揮できるわけではありま せん。

【空気圧の単位】

98 kpa = 1 kgf/cm2ですので一般的に使うkgf/cm2で考えるにはkPaでの数字を割る100すればよろしい訳です。。厳密にはそこから2%割引く感じですね。 ご参考になりましたでしょうか(*^_^*)?最後に簡易的な主要なサイズの早見表を以下にまとめておきますね。

【19インチスタンダード早見表】
タイヤサイズ LI 適正空気圧
235/35/19 87 300〜310kpa(規格外)
245/35/19 89 280〜290kpa(規格外)
265/30/19 89 280〜290kpa(規格外)
275/30/19 92 250〜260kpa(規格内)
285/30/19 94 230〜240kpa(規格内)

【19インチREINFORCED or EXTRA LOAD早見表】
タイヤサイズ LI 適正空気圧
235/35/19 91 300〜310kpa(規格外)
245/35/19 93 280〜290kpa(規格内)
265/30/19 93 280〜290kpa(規格内)
275/30/19 96 250〜260kpa(規格内)

【18インチスタンダード早見表】
タイヤサイズ LI 適正空気圧
235/40/18 91 260〜270kpa(規格外)
245/40/18 93 240〜250kpa(規格内)
265/35/18 93 240〜250kpa(規格内)
275/35/18 95 220〜230kpa(規格内)

(参考)

この表に635kg以上の欄がないサイズは、「規格外」空気圧の使用となり、負荷能力が保証されていません。基本的には、どのカタログにも純正のLIを下回らないようにしてくださいと記載されています。

しかしインチアップすれば、たいてい下回ってしまいます。ミシュランではLI低下は2が限界といっています。便宜的には、空気圧を10kpa上げれば、LIを1上げるのと同等の効果があるそうです。しかしこれはメーカーとして基準外をお勧めするというわけではなく、あくまで純正のLIを下回らないようにしてくださいというのが、正しいコメントです。

例えば、235/40-18の場合は次のような計算になります。ETRTO 基準250kpa−(JATMA基準240kpa−純正指定230kpa) +LI低下分20kpa=260kpaとなります。

同様に例えば、245/35-19スタンダードはETRTO基準250kpa−(JATMAA基準240kpa−純正指定230kpa)+LI低下分40kpa=280kpaなります。

※ タイヤの適正な空気圧等使用にあたってはタイヤメーカーの説明に従ってください。

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