クラブアリスト ロゴマーク

 アリストV300VEに乗るNO.1191の横浜35しろありさんが、エンジンの3.1L化、IHIC7によるシングルタービン化、そしてCurveの空力性能に優れたエアロによる最高速200MPH仕様に仕上げられたので、レポートしてくださいました。


メンテVOL.337 200MPHスペックJZS161
<作成:'03年2月3日>
200MPHスペックJZS161  〜3.1Lエンジン内部チューン、IHI C7改タービン、Curveエアロ装着記〜

はじめに

161ARISTOオーナーになり春には早や2度目の車検となります。購入にあたり家族 とのウィークエンドドライブを楽しむ3Lラグジュアリーセダン計画は、比較検討 を重ねる度に押し込めたはずのスピード好きが再び食指を動かし始め、方向性は よりスポーティーセダンへと色濃くなって行きました.. 何よりの拘りはパー ルホワイトのボディーに黒のレザーシートの色彩コーディネートは外せないとこ ろです。欧州では当たり前のこの組み合わせは国内では極端に少ないのすが、そ れに加え何と言ってもディーラー試乗での余裕の3Lに加えシーケンシャルターボ の強烈な加速が衝動的ハンコ押しの動機です。

慣らしが終わった頃からブレーキ性能に不満を持ち、その頃CAの存在を知りブレ ーキ強化情報を基にブレーキ関連を即交換。メンバーの方々との交流も始まった のが今日に至ったフルチューニングを辿る運の尽きとも言えます(笑)

ショップ関係者方々・ARISTOチューニング諸兄との情報交換や、龍ヶ崎ゼロヨ ン・FISCO・茂木サーキット走行・プロドライバー講習などを経験し、また完成 度の高い欧州ファインチューンド大排気量NAセダンとの比較などを経て、チュー ニングの方向性は紆余曲折しながらもターボチューンの宿命とその特徴を最大限 生かすべく、ようやくここ半年で最高速ステージに照準を絞ることとなりまし た。ただし「高級」セダンである為、街乗りでの低速域のトルクの細りやレスポ ンスの悪さを極力押さえ込むチューニングと、居住性・快適性は出来るだけ損な わないことも心がけました。

チューニング最終ステージであるこの“200MPH仕様”のメインポイントは、元の エンジンとの「さよなら」を機に、3.1L化に伴いエンジン内部に手を加え 2JZ-GTEそのもののポテンシャルを引き上げる所謂エンジン・ファインチューニ ングを施し、それと同時に純正EX構造のボトルネックであったエキマニ系とター ビンの見直し、そして最高速に不可欠なエアロ装備です。

特に内部チューンと3.1L化されたエンジンに更なる改良を加えたC7タービンのマ ッチングはなかなかの仕上がりとなったかと思います。街乗りでもストレスが少 なく一旦2,000rpm過ぎから過給が始まると3,000rpmあたりから体全体がシートに 押さえ付けられ、フルブーストとなる4,5000rpmあたりからは叩き付けられるよ うな加速と化し別世界領域となります。例え4速でもその加速は6,500rpm過ぎま で衰えずさらに7,000rpmあたりまで伸び続けます。

また以前まではエアロに対する期待は漠然とした空力効果を求めるに過ぎなかっ たのですが、Abflugを立ち上げ、常に強い信念でGTカーの機能美デザインの追求 を弛まない上保氏との出会いはエアロの認識に目覚めさせられ、膨らんだ期待は 最終目標となった200MPHエアロ欲求に繋がっています。パフォーマンス・チュー ニングの最終段階と、同氏によるCurve161構想が時期的に重なり、最高速域で本 来のエアロダイナミックス効果によって走行安定化を実現させ、かつ冷却機能を 最大限に発揮させるデザインをお願いし、フォルムはシェープのコンセプトであ る曲線美をデザイナーの感性に任せてゆくことになりました。そして完成したの が最高速仕様「Curve ARISTO 161 GT Modify」です。

数々のチューニング(ブーストアップパワーチューニング関連、純正置き換えボ ールベアリングタービン交換、サスペンション、ボディー、ブレーキ関係チュー ニング等々)ここでは最終ステージに的を絞って書き出しています。エンジンを 壊しここまでよくやったバカな呆れたヤツだとお読み頂き、少しでも参考にでも なれば幸いです。

エンジン内部チューニング・フルタービン
フルエアロ
200MPH仕様

ご存知のごとく個体差や他のチューニングとの相互作用で効果はプラスにもマイ ナスにも現れますので、もしこれら施工の場合にはショップとの綿密な相談の上 行うことをお奨めします。またチューニングは結果としての数字や他人の評価と は別に、オーナーのフィーリングと納得する自己満も重要なところかと思います (笑)

★★ エンジン内部チューニング・フルタービン編 ★★

☆ 2JZ-GTE 3.1L化並びにエンジン内部チューニング

エンジン載せ換え時、大容量タービン化に伴う低速域のトルク低下対策として 3.1L化を施しました。3.2L化も検討いたしましたが、比較しかなりの出費増とな ることとストローク長増大に伴う高回転域への影響を考え3.1Lとしました。但し 今考えると3.2Lにして見ても良かったかなと考えます。

エンジンチューニングはメンテレポートVol.240平さんの5L化レポートに大変参 考になるコンセプトや技術的記述があります。量産エンジンは性能より生産効率 やコストを重視するため細部にチューニングを施す余地が多く、ボアアップをせずとも各種研磨やピストンリングの選択、スタッティク並びにダイナミックなフ ルバランスを取るだけでも、吸排気の高速化とフリクションロスの低減で回転が 軽くなり、また振動の低減によりエンジンは見違える程違ってくると言われてい ます。

3.1L化ではそれに加え軽量鍛造ピストン並びに軽量高強度のコンロッド採用によ り軽量化や高剛性化、及び低フリクションピストンリングの採用とシリンダー内 面処理等によるフリクションロスの低減、またヘッドやバルブまで加工した事に より総合的な相乗効果が発揮され、100ccのボアアップでのトルクやパワー量増加以上にファインチューニング効果として回転が軽くなっており、レスポンス の良さと高回転域での吹け上がり期待以上でした。なお依頼先はサポーター&フレンドショップのRevolfeS.A.さんです。

エンジン加工内容

シリンダーブロック加工

シリンダーヘッド加工

3.1Lパーツ

3.1Lパーツ(ピストン、コンロッド) 3.1L化前のシリンダーの状態
3.1L化前のシリンダーヘッドの状態 3.1L化前のシリンダーヘッドカバーの状態

☆ IHI C7改良シングルタービン化

C7自体は古く完全に枯れた技術のタービンですが、この改良型C7はショップと IHIの共同開発によりIN/EXのブレードの大きさとカットバック形状を2JZ-GTEの 特性に最適化する事と、それに見合うEXハウジングを選択する事により、正しく 下を損なわずに上まで回ってくれる製品に仕上がっている様です。 通常のメタル軸受けのシングルであるにもかかわらず、何故その様に下から回る のかがポイントですが、やはりタービンの老舗であるIHIの技術とノウハウは軸 精度を極限まで高め、大幅なフリクション低減と軸負荷の均等化によりアイドリ ング状態でもブレードは回るそうです。

個人的な見解ですが、タービン選択はタービンの単体特性云々やチューニングの トレンドと共に新製品に注目が行きがちですが、基本である軸受け設計とエンジ ン特性とのマッチングによる総合的な特性の考慮が最も重要ではないかと感じて おります。さらにそのタービンを生かすのも殺すのもエキマニなどエキゾースト 系設計に負うところも大きいでしょう。

これはエキマニの構造を、各シリンダーから集合する際の排気干渉と排気脈流を 低減させかつ流速を高め、タービンに対する排圧の適正化と安定化をさせる事で す。排気ポートから直接適切な径のエキマニへ出し、出来るだけ長いステン等長 にする構造を取る事により、脈流が大きく径が小さいために排圧が高まり詰まっ てしまう純正EX系ボトルネックは一気に低減されます。所謂タコ足ですね。性能 差や耐久性はショップの技量で変わるようです。

なお制御はTECSを基本としたDCシステムによる主に空燃調のサブコン制御方式で す。フルタービンではV Proでのフルコン制御が多い中、純正のエアフロ制御方 式に拘っており、独自のノウハウである加圧式と高ブースト対策、ビッグシング ルのバックタービン問題やハンチング・ストール防止策が施されアイドリングも 安定しています。皆さんに好評な電子スロットル開度チューン(通称:リニア 化)が生かせるところなど、基本ECUの電子制御がそのまま機能する事も長けて いるでしょう。無論現車実走行合わせです。

現在のポンプの最終スペックは米国製の純正置き換え方式の高流量255L/hインタ ンク方式です。レスポンス対策の常時高出力方式(常時12V制御)ですが、イン タンク方式の為いわゆる耳障りなポンプ音もありません。

ご存知の通りポンプは最も重要な部品の一つであり、純正はプラスティックのハ ーネスにはめ込み使用している為、サイズが大きい高流量ポンプのインタンク固 定は慎重な強度的工夫が必要です。外れた場合などブローと隣り合わせの怖い存 在の為、選択並びに取り付け方法には十分注意が必要な部品の一つです。 またインジェクター交換など燃料系を一旦いじってしまいますと、周知の通り燃 料計はセンサー方式では無くECUにて噴射量を基に純正機器での計算で残量を示 しており、実際の残量に差が出てしまい危ない状況にもなりかねません。残量が 1/4になったらガソリンの補給は絶対に必要です。

C7タービンおよびエキゾーストマニホールド
エンジンルーム

☆ ATシフトアップポイント変更

Dレンジ走行で度々思う事はシフトアップが早く、3速で引っぱる事ができない事 かと思います。ここをDCサブコンでAT制御が可能となっており、シフトアップポ イントを高回転寄りにし、よりMTに近い感覚のシフトアップとなりますので速度 感も増し結果乗りやすくなっています。楽しいですよ。

★★ フルエアロ編 ★★

☆ Curveエアロ

最も求めたものは冷却効果と200MPH域での安定性です。後の最高速で要求機能及 び強度は実証されました。また曲線美を求めたデザインは何とも言えない美しさ で大変満足しております。

フロントバンパースポイラー

インタークーラー、ラジエター、オイルクーラー等、徹底的に冷やすデザインと 最高速域でのディフューザー・カナード効果構造、但し「顔」となるため美に拘 りカーボンを露出

サイドスカート&サイドストレイカー

フロントタイヤで乱れた空気を整流し、かつリアタイヤへの抵抗を減らす整流を 行うと同時に、曲面デザインとカーボンの露出により美を表現

リアストレイカー

リアタイヤで乱れた空気を整流しリアアンダーディフーザーとの相乗効果を出す

エアロミラー

空気抵抗の低減と視覚性の確保、かつ全体のシェープの引き締め

☆ Curveメーター類

コンディションをモニターするメーター類は見やすい位置に設置したく、かと言 ってエアコン口を潰すのは許容できず、最終的にはセンタースピーカー位置に。

カーボンメーターフード

純正のセンタースピーカーと置き換え設置、ブースト・燃圧・油温の最もクリテ ィカルなメーターの視覚性は格段に向上

200MPH(320Km/h)フルスケール・スピード・メーター

誤差が非常に少なく、Km/hとMPH表示

★ 200MPH仕様編 ★★

☆ C7改の再改良・ビッグスロットル化並びにインタークーラー変更

最高速に狙いをつけC7を更に改良。インテークパイプの100φ化と、EX側ハウジ ングを25番から30番へ大型化・排気流入構造変更によるスムーズ化、並びにサー ジング防止対策を施してあります。但しハウジング大型化はオプション扱いで す。

この時にトルク特性が300rpm程上にスライドすると予想されたため、低速トルク 対策と上狙いでビッグスロットルの採用と、インタークーラーを3層でも圧損が 少なくかつ大パワー対応のBLITZのLM V-specに交換。LM Vは目が粗く、オイルク ーラー・ラジエター冷却効果も期待しました。

ビッグスロットルの口径拡大は純正比2〜3mm程度ですが、出足にかなりの効果が 出ました。効果は上にも出ているかと考えます。V-specのオイルクーラー並びに ラジエターへの通風量は増し、5,000rpm巡航でも水温が今までより5℃も下がり パワーアップと共に冷却効果にても予想通りの結果が出ています。同様に油温も クーリング走行での下がりはかなり早くなっています。大変重要な部分です。総 合的には2,000rpm付近でのトルクの若干の落ちと低速での踏み直しのレスポンス 低下はあったものの最高速は予想以上でした。ハイカムと合わせ3速まではレブ リミット7,300rpm手前まで何のストレス無しに回り、4速では純正メーター読み で6,950rpmです。アライメントを最高速にセッティングし直すと7,000rpmに達す るかと思います。

ファイナルも交換していない4速ATでありながら、直6 2JZ-GTE搭載の161はチュ ーニング・エアロ次第では200MPHのパフォーマンスが出る基本ポテンシャルの大 変高い車であること、ARISTOユーザーとしては大きな誇りを感じています。直線 ならチューンドGTカー系にもひけは取りません(笑)。

【スペック】

JZS-161 2JZ-GTE vvti 3.1L IHI RHC7タービン Curveエアロ

  • 最高速度 198MPH@6,950rpm
  • 最大トルク 59.6Kgm
  • 最大パワー 493.5PS

注:ブースト1.5Kg/cm2、最高速度は推定、トルク・パワーはSABみなとみらいで のDレンジ測定後SAE補正値(1/24/03天候での実測値は61.6Kgm@4,800rpm 510.6PS@6,600rpm)

3.1L化

タービンキット 

カムシャフト

マフラー

制御系

燃料系

点火系

パワートレイン系

ボディー補強

冷却系

足回り系

ブレーキ系

ホイール

タイヤ

シート

メーター類

エアロ

  • Curveフロントバンパースポイラー
  • Curveサイドスカート
  • Curveサイドストレイカー
  • Curveリアストレイカー
  • Curveエアロミラー
  • Abflugグリル
  • Abflugリアアンダーディフューザー
  • Abflugリアウィングリップ
サポーターのCurveでカスタマイズした場合の特典のひとつ、特別仕様ステッカー。3種類から選べます。

オイル類

セキュリティーシステム

ここまでのチューニング時間

ここまでのチューニング費用

これからの課題

おわりに

ノーマルはメンテさえ適切に行えば20万キロ、30万キロ十分な耐久性を持ってい ます。チューニングによりその潜在パフォーマンスを押さえ込んでいる安全マー ジン部を解き放ち、弱くなった部分を補強してあげると、回らないと言われる 2JZですがタービンチューンをも施すと日常とかけ離れたとんでもない性能を発 揮します。

但しトレードオフは耐久性の低下と自乗係数的に増大するリスク、その対策であ る細心のメンテナンス実施である事言うに及びません。多くの方には雑誌の中の 言葉でしかない“ブロー”はちょっとした不注意ですぐに発生します。例えブー ストアップのみであってもそのリスクは付きまといます。

頭では危険性は解っていましたがそれはやって来ました。ピストン溶解、全エン ジンブロック歪み・内部損傷、それに伴い金属片オイル混入廻りによるカムシャ フト損傷、タービン破損、オイルクーラー系損傷・・・所謂エンジン全損です。 物的はもとより、精神的なダメージは酷いものです。

その様な失意のどん底の中、現2基目となった2JZ-GTEの雑誌での販売情報をいち 早く教えてくれましたのは東日本オフミを通じ知り合いましたエンミョウさんで した。低走行距離で大変程度の良いエンジンを入手する事が出来、それを期に 3.1Lチューニング・フルタービン化と共に復活し本日に至っております。これも CAのネットワークのおかげで大変感謝しております。

最後にエンミョウさん、並びにCA運営のワタルさんありがとうございました。

クラブアリストisland
GO TOP メンテTOP ←BACK NEXT→ 投稿する