Club ARISTO Maintenance |
アリストV300VEに乗るNO.2007のSOARISTOさんが、JZA80スープラの前後ブレーキシステムをアリストに移植されたので、紹介してくださいました。
【はじめに】これまで、JZA80スープラのフロントブレーキを移植されたクラブマンさんは多くいらっしゃるようですが、リヤを移植された方はほとんどいらっしゃらないと思います。JZA80のリヤキャリパーは、147はボルトオンで装着可能ですが、16xはキャリパーとナックルのボルト位置が合わず、各部に干渉するため、純正のナックルにボルトオンするためには、キャリパーの大幅な改造が必要でした。
なんとかリヤキャリパーを移植できないものかと悩んでいたところ、今年の春に、「ナイトペイジャー」さんから、リヤキャリパーの取付キットが発売されました。普段は街乗りと高速が半々ですが、ほどんと「熱い走り」をしないため、純正のブレーキシステムにそれほど不満を抱いている訳では無かったのですが、ごくまれに、首都高速などのブラインドコーナーで、突然渋滞の最後尾が見えた時など、「止まれないのでは!」と、ヒヤッとした経験が何度かありました。そこで、ボルトオンの取付キットが発売されたこともあり、この機会に前後ともJZA80スープラ用のブレーキシステムを移植することにしました。また、これに合わせて、ローター、パット、ラインついてもグレードアップを図りました。
ブレーキシステムの取り付けにあたっては、信頼でき、かつC.A.のフレンドディーラーさんでもある「ネッツトヨタ東京ハブポート若林」さんにお願いしました。
〈装着パーツ一式(フロント)〉 | 〈装着パーツ一式(リヤ)〉 |
![]() |
![]() |
品名 | メーカー | 定価 | 重量(純正との差) | 備考 |
JZS161アリスト 80ブレーキ取付キット(フロント) | Night Pager | \92,000 | 6.6kg(-0.4kg) | 4ポット、カラー: ゴールド、ロゴ: 無し |
JZS161アリスト 80ブレーキ取付キット(リヤ) | Night Pager | \148,000 | 3.0kg(+0.0kg) | 2ポット、カラー: ゴールド、ロゴ: 無し |
スリットブレーキローター JZA80 17インチ車用(フロント) | C-ONE MOTORSPORT | \40,000 | 9.4kg(+0.2kg) | 6本スリット入り、ベンチレーテッド、φ323mm(+28mm) |
スリットブレーキローター JZA80 17インチ車用(リヤ) | C-ONE MOTORSPORT | \40,000 | 6.8kg(+0.6kg) | 4本スリット入り、ベンチレーテッド、φ324mm(+18mm) |
トムス ブレーキパット・スポーツ JZA80 17インチ車用(フロント) | TOM'S | \12,000 | ||
トムス ブレーキパット・スポーツ JZA80 17インチ車用(リヤ) | TOM'S | \12,000 | ||
トムス ブレーキライン JZS16#用 | TOM'S | \33,000 |
【装着パーツ】取付キットは、フロントは純正をそのまま流用し、リヤはキャリパーの下半分を切断し、クロモリ鋼製の特製ブラケットを介することで、純正ナックルへのボルトオン装着ができるようにしています。
今回は、ゴールドペイント済みでロゴ無しのキャリパーを購入しましたが、ペイントの色(ゴールド/ブラック/レッド)およびロゴ(ARISTO)の有無は、自由に選択できるようになっています。また、すでにキャリパーを持っている場合には、オーバーホールした上で、ペイントおよびロゴ入れをしてくれるようです。装着の前に、キャリパー部とローターのハブ部を自分でゴールドにペイントしてみました。ハブ部は、このまま放っておくとすぐに錆が発生してしまうため、外見的なアップに加えて実利的な効果があると思います。
出荷状態では、キャリパーはゴールド、ローターはシルバーの焼き付け塗装がされていましたが、キャリパー部とハブ部の色を合わせるため、いったん色を落とした後、同じ色で再塗装しました。具体的には、剥離剤(アサヒペン「強力塗料はがし液」、非塩素系/生分解性)で塗料を落とし、アルコール等で脱脂をした後、サーフェサー(SOFT99工房「ボデーペン」、プラサフ)できっちり下地を作り、エナメル系塗料のゴールド(ニッペホームペイント「スプレーラッカー」、金色(ゴールド))で2〜3回程度上塗りして仕上げました。
このエナメル系の塗料ですが、広く使われているアクリル系の塗料と違い、乾きが若干遅いため、塗装面にゴミ・ほこり等が付着しないように細心の注意が必要ですが、乾いた後は、表面の平滑性や光沢感が格段に高いため、このような金属の塗装にはお薦めです。耐熱的にも今のところ問題はありません。
(ちなみに、この剥離剤ですが、VEのフロントグリルのプラックペイントの色落としにも使えます)TOM'Sのロゴは、Macintoshでデータを起こし、カッティングしてもらったものを貼り付けました。
カッティングシートの材質は、「住友3M」さんの「スコッチカル スタンダードシリーズ」(色名: ジェラシー)を使っています。屋外耐候性: 8年、耐熱温度: 107℃なので、極端なハードブレーキングをして高温にさらされない限り、耐久性については問題ないと思います。
なお、ロゴのデータの作成は、一般的に行われているような、原稿をスキャナーで読み取ってベクタライズする方法ではなく、Windows用のフォント集(約1000書体)の中から同一のフォントを探し出し、寸分の狂いもなく再現したもので、拡大・縮小によるジャギーや歪み等の発生は全くありません。
〈装着前(フロント)〉 | 〈装着前(リヤ)〉 |
![]() | ![]() |
【装着前】普段はほとんどハードブレーキングをしないため、ローター部は、フロント・リヤ共にきれいに剥けています。
ALTEZZAと同じブレーキシステムとのことですが、1.7tオーバーの車重を考えると、ちょっと役不足のようにも見えます。7月のマイナーチェンジでは、ブレーキシステムが若干強化されるようですが、トヨタさんもその辺りのことを認識されてのことでしょうか。【装着にあたって】
装着にあたっては、いくつか工夫が必要でした。
1 バックプレートの加工
ローターの大型化により、ローターがノーマルのバックプレートに干渉するため、バックプレートの加工が必要でした。
フロントのバックプレートを外すためには、ドライブアクスルの取り外しが必要で、かなり大掛かりな作業となります。また、取り外してしまうと、せっかく調整されているバランスが崩れてしまう心配があります。そこで、ノーマルのバックプレートを無傷で取り外すことは諦め、バックプレートの取付位置のリング状になっている部分を、グラインダーで削り取り、少しずつ押し広げることで取り外すことにしました。
リヤは、ドライブアクスルに加えて、パーキングブレーキの取り外しが必要になります。また、リヤはフロントと異なり、バックプレートのリング状になっている部分が、グラインダーで削り取れない形状になっていることが分かりました。そこで、金バサミでバックプレートの「耳」の部分とキャリパーに当たる部分とを切り取ることにしました。切り取った部分は、きちんとタッチアップしてもらいました。2 ブレーキラインの取付の工夫
今回は、JZS16#用のブレーキラインを使用したのですが、フロントキャリパーへのブレーキラインの取り付け時にひと工夫が必要でした。
ブレーキラインのキャリパー側の先端はフック状になっており、またキャリパー側のブレーキラインの取付位置は、このフックの先端を逃がすための穴が空いています。キャリパーとブレーキラインを確実に固定するため、このフックを穴に引っかけてブレーキラインをキャリパーに取り付けることにより、サスペンションの動きに関わらず、取付ボルトが緩まないようになっています。
フロントでは、このブレーキラインのフックの「首」の長さと、キャリパーの取付位置とフックの「逃げ」までの距離が異なるため、そのままでは取り付けができないことが分かりました。また、TOM'Sのブレーキラインは、アルミの削り出しになっているため、そう簡単にフックの先端を削り取るなどの加工はできません。そこで、本来ならばもっときちんと対処すべきですが、取付ボルトの締め方向にフックの先端を逃がすことにより、なんとかブレーキラインをキャリパーに取り付けることができました。
ブレーキラインは、銅ワッシャーを2枚挟んでキャリパーに取り付けるようになっており、規定トルクできちんと締め込んでさえあれば、特に問題は起きないように思いますが、心配な場合には、JZA80用のブレーキラインを使用した方が良いかも知れません。(ただし、ブレーキラインの長さおよび車体側の取付金具の形状が適合するか、注意が必要です)
リヤについては、全く問題はありませんでした。3 ナックルの干渉
これは車の個体差の問題かと思いますが、リヤの左側のナックルがキャリパー下部に干渉し、きちんと取り付けられないことが分かりました。リヤのナックルは鋳造製のようですが、合わせ目に「バリ」が出ており、これがキャリパーと干渉していました。この問題は、この「バリ」をグラインダーで削り取ることにより、解決することができました。
〈装着後(フロント)〉 | 〈装着後(リヤ)〉 |
![]() | ![]() |
〈装着後(フロント拡大)〉 | 〈装着後(リヤ拡大)〉 |
![]() | ![]() |
【装着後】予想はしていましたが、かなり派手になってしまいました...。(笑)
TOM'Sのパットのレッドと、キャリパーのロゴのレッドがうまくマッチングして、なかなかいい感じです。またゴールドペイントも、自分で塗装した割には、かなりきれいな仕上がりになりました。ビッグキャリパーの装着では、ホイールとキャリパーとのクリアランスが気になるところですが、今回のブレーキシステムの移植に合わせて、前車のSOARERからキャリーオーバーしたBBS Super-RS 18インチから、BBS LM 19インチに履き替えました。
装着後のクリアランスですが、リヤについては全く問題ありません。フロントについても4〜5mm程度の余裕があります。また、ビッグローターの装着によるオフセットの変化も特に無いようです。
ホイール | タイヤ | 重量(純正との差) | |||||
BBS LM DSK-P Tuner Program | DUNLOP LE MANS LM701 | ||||||
サイズ | オフセット | 定価(1本) | サイズ | 外径 | 定価(1本) | ||
フロント | 9.0×19 | +38 | \118,000 | 245/35ZR19 | 654mm | Open Price | 23.4kg(+1.9kg) |
リヤ | 10.0×19 | +40 | \120,000 | 275/30ZR19 | 652mm | Open Price | 24.4kg(+2.9kg) |
〈ホイール装着後(フロント)〉 | 〈ホイール装着後(リヤ)〉 |
![]() | ![]() |
【ホイール装着後】ホイールは、盗難防止のため、BBS純正のロックナットとMcGardのロックナットを二重に取り付けています。また車両本体の盗難防止のため、純正セキュリティーシステムとC.A.のサポーターさんの「加藤電機」さんの「ホーネット700J」を自分で取り付けました。ホーネットには、さらにオプションの「傾斜角センサー」を取り付けることにより、ジャッキアップによる盗難に備えています。
(詳しくは書けませんが、これら以外にも物理的・電気的なトラップをいろいろと仕掛けてあります)【インプレッション】
装着後の感想を一言で表すと、
「止まるのが楽しみになる車」
に変身しました。まさに、「別の車に乗った感じ」です。Advoxを装着した時と同じくらいの感動です!心配していた効き過ぎの「カックンブレーキ」になるようなことはなく、足の動きにリニアに反応して、超高速域からも、静かに、沈み込むようにして止まります。ノーマルの「フニャッ」とした感じが無くなり、踏んだ分、きちんと制動のかかるブレーキになりました。鳴きやジャダーもいまのところありません。また、ブレーキダストも思っていたほど多くはありません。
ただし、制動力が高まったことと、踏みしろが少なくなったことで、静止する直前に「フッ」と力を抜いて静かに止まる技が難しくなりました。(目下練習中です) また、制動力の飛躍的なアップに伴い、追突防止の意味も込めて、リヤブレーキランプの7灯化を行いました。今回は、ブレーキ関係を一気に変更してしまったのですが、できることなら、ステップを踏んで変えていき、それぞれのパーツによる変化を確認したかったと思います。「brembo」や「alcon」ほどの強力なストッピングパワーは実現できないかも知れませんが、街乗り+高速クルージングを楽しむ分には、十分なキャパシティーがあると思います。またなによりも、1/3程度のコストでこれだけのストッピングパワーが手に入る訳ですから、かなりお得なブレーキチューンだと思います。お薦めです。
これでやっと「安心して止まれる車」になりましたので、これからはエンジン系のファインチューンに励みたいと思います。
【おわりに】
最後に、慎重かつ確実な取り付けを行っていただきましたC.A.のフレンドディーラーさんでもある「ネッツトヨタ東京ハブポート若林」の松○さんをはじめとするメカニックの皆さん、またいろいろとご配慮いただきました大○マネージャーに、心からお礼申し上げます。ほぼ半日に渡って、ピット内をちょろちょろ(?)してしまいまして、たいへん申し訳ありませんでした。
GO TOP | メンテTOP | ←BACK | NEXT→ | 投稿する |