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 アリストV300VEに乗るNO.1のワタルが、TTE車高調整式サスペンションキットを装着しましたので、ご紹介いたします。


VOL.145 TTEサス装着記 <作成:'99年10月31日>
 私がサス交換をするに当たってひとつの条件としたのは、車高調整が可能であるということでした。これまでに乗ってきた車でもスタイリングと走行性能を高次元で両立させるためにBTSキットなどの車高調整タイプを組んだことがありましたが、実際に車高を調整してその走行性能や乗り心地の変化を確認したことがなかったため、今回はそれらを試してみたかったからです。
 今回装着したTTEのサスキットは、ビルシュタインのダンパーとアイバッハのスプリングにより構成され、ドイツのニュルブルクリンクでテスト開発し、タウンユースからワインディングロードまでを幅広くカバーすると謳われています。それではサスキットデータや交換調整内容、そして実際にステアリングを握ったインプレッションをお届けしましょう。

<サスキットデータ>

Fスプリング(アイバッハ)  :78N/mm
Rスプリング(アイバッハ)  :52N/mm
Fダンパー(ビルシュタイン):0.26m/s 2050N/1200
                     2720N/1575
Rダンパー(ビルシュタイン):0.52m/s 1580N/ 655
                     2200N/ 905

<ノーマルや他製品との重量比較>

 これは、100g単位まで計測可能なヘルスメーターにて計ったデータで、(パーツ一式+私)ー(私)の重量差が結果となっています。また後者2つについては頂いたデータとなっております。
 サスのどこからを正確に「バネ下」と言うのかはわからないのですが、単純計算でもバネ下重量が1本あたり約1kg増加したことになります。バネ下重量の増加は路面追従性に少なからず影響を与えますので、このあたりが乗り心地の変化のひとつの大きな要因と考えられそうです。ただ、ストロークスピードの比較的遅い市街地では、バネ下というよりもスプリング自体の設定要因のほうが大きいことも考えられ、ストロークスピードの速い高速道路では逆にバネ下による要因が増加するものと思われます。

<ノーマルとの車高比較(単位mm)>(道路面〜フェンダーアーチ)

 右フロント左フロント右リア左リア
ノーマル69.569.567.565.5
TTEサス67.267.266.066.0

 キットには1枚ものの車高調整要領書(見るとコンプリートカー用と同じものと思われます)が入っており、アリストの標準車高と30mmダウン車高とするための設定長が示されています。
 上の表は、(道路面〜フェンダーアーチ)間を測定したものです。今回は、標準車高の20mmダウンで設定をお願いしました。私のアリストのノーマル時の車高は、アリストの標準車高に対してほぼ誤差の範囲と言えそうな車高となっていましたが、左リアだけはかなり下がっていたようです。今回のサスキット装着による車高設定により、これまでのノーマル状態と比較すると若干前下がりのセッティングとなったことがわかります。

<ノーマルとの単体比較>

写真上のスプリング・ダンパーともにブラックのものがノーマルサスで、下がTTEサスです。また、写真左が装着時に上側となり、TTEサスではスプリング下側(写真では右側)のロアシートを調整することにより、車高を無段階に調整することが可能となっています。

<交換手順>(所要時間:約3時間)

  1. アリストをリフトアップし、タイヤを外す。
  2. サス上下の取付け部を取り外し、ダンパー・スプリングをセットでアリストから取外す。
  3. ノーマルのバンプストップラバーを再使用のため取外し、サスに取付け、別体梱包されていたダンパーとスプリングを組み付ける。
  4. サスをアリストに組み付ける。
  5. ロアシートの位置を調整することにより、車高を調整する。
今回の交換の所要時間は、約3時間で、基本的に前後ともに同様な手順での交換となります。
写真は、右リアにサスキットを装着した状態です。

<アライメント調整>(所要時間:約1時間)

写真が、アライメント調整風景ですが、本当はノーマル状態でのアライメントがどういう値だったのか非常に興味があったのですが、今回は時間の都合上見送らせていただきました。しかし、これまでにアライメントが狂うような衝撃を与えたり、ハンドリングがなんか変だ、ハンドルが取られるといった症状は出ていませんでしたので、ほぼ規定値内に収まっていたのではないかと考えています。ただ以前乗っていた車(BTSキット装着車)でアライメントを取った際に、路面をワシ掴みするような感覚を味わっていましたので、サス交換+アライメントというチューニング基本セットの実施により、どのような乗り心地になるかたいへん興味深いものがありました。
 そのあたりの乗り心地の変化は後述いたしますが、アライメント調整の所要時間は約1時間でした。ただし、これは車によってある程度の時間差が発生するとのことでした。
★G-SWATアライメントデータ←←←クリックしてご覧下さい

<<インプレッション>>

 このレポートを書いている段階で装着後約1000kmを走行しておりますので、これまでに感じたことをレポートしてみようと思います。

<低速域>

 装着後、まず走り初めて最初の印象はかなり硬いということです。シティユースでは路面状況がかなりダイレクトに車体やハンドルに伝わってきます。私はダイレクトな感覚が好みですし、路面の凸凹を拾って多少揺すられるのも高速域でのポテンシャルを想像させてくれるので、あまり悪くないと思っているのですが、さっそく試乗してみた家族からは「元に戻さない?」なんて声も出てしまいました。しかし、良く見掛けるダンパーとスプリングのバランスが悪いためにヒョコヒョコと跳ねているような感じは全く無く、外乱は一発で収束します。
 いくつか報告されていたキット本体からと思われる異音等は一切発生していません。このあたりは高価な商品ですし、アリスト自体も高額車ですので、気になる部分と言えそうです。キット本体からの異音の発生は無いのですが、路面の凸凹を拾って車体が揺すられる際に、これまでは発生しなかった助手席側からのビビリ音(発生源はまだ不明ですが、本人はあまり気にしていない)やレザーシートと洋服が擦れるシュクシュクといった音が頻繁に聞こえるようになりました。ちょっとフワフワしたノーマルの乗り心地のほうが、全体的に見ればやはり乗り心地が良く高級感があると感じるのが一般的だと言えるかもしれません。
 また、低速時に限ってのことですが、わだちや起伏にハンドルを取られやすくなったため、こうした面では高級感を失っていると言えるかもしれません。
 しかし、私好みの部分ですが、かなり良くなったと言えるのは、加減速時の乗り心地です。スタート加速時のピッチング(フロントの浮き上がり)や減速時のノーズダイブ(フロントが沈み込む)という現象が、ある意味ではかなり乗り心地が悪いとも言えましたし、同乗者によっては不快感や不安感を覚える人もいるかもしれないのですが、アリストの標準車高から2cmダウンとスプリング+ダンパーの特性によってピッチングとノーズダイブがかなり抑えられたので、特に急な減速時という車がかなり不安定な状態においても、より安全な車、より高級な乗り心地になったと考えています。
 そして、約1000kmを走行し、だいぶサスにも当たりが付いて来たのか、硬い中にも少しまろやかな乗り心地を感じられるように変化してきました。

<高速域>

 スタビリティが格段に向上したのが一番大きな変化と言えると思います。4つのタイヤが路面にへばりついているような感覚で、ノーマルのなんとなく路面から浮いているような感覚が無くなり非常に信頼感が持てます。直進時の安定性は素晴らしく、うねりによって突き上げられるような場面でも、ノーマルに見られるストロークの奥まで入ってからやって来る一瞬路面から離れるような不安感はなくなり、ストロークにもまだ余裕を残していながらサスがいなしてくれているようでフラット感を体感させてくれます。ただ路面の微妙なわだちには少し神経を使うようになりましたが、逆に車の置かれている状態のインフォメーションがより的確に伝わってきているとも言えるかもしれません。
 コーナリングでの大きな変化を逆バンク風の高速下りコーナーで特に大きな差を感じ取ることができます。ハンドルを切り込んでいく際に発生する内輪が浮き上がるような感覚(しかもロールスピードがストローク途中からかなりはやい)がほとんど無く、4輪がきちんと仕事をできる姿勢のキープが可能となったので、これまではスロットルを閉じるかパーシャルでコーナー出口までじっと我慢を強いられていたにもかかわらず、装着後はハンドルを切った直後から安心してスロットルを開けていくことができるようになりました。車はトラクションを与えているときが一番安定しているため、これ非常に大きな収穫と言えると思います。
 このあたりは、揺り返しが発生するために、ハンドルを一度中立に持っていくことにより姿勢を安定させていたような高速のS字コーナーの切り返しといった場面ではより顕著です。ロール量自体が少なく、ロールスピードも途中から急に変化しないため、ハンドルを切った瞬間から剛性感を伴いコーナーリングGが立ち上がるようになり、またハンドルを中立に持っていく必要がなくなったため、思い通りに運転できるようになったと言えると思います。
 コーナリングにおいて、ノーマルの「お尻にGを感じる感覚」から「腕の付け根(から脇腹)にGを感じる感覚」へと変化したため、コーナリング自体が非常にファントゥドライブになったと同時に、これまでより通過速度が速いにも関わらず、これまで以上に安心感が高く、しかもより安全に走行できるようになったと思います。

<最後に>

 今回のサスキット交換は、クラブアリストのフレンドディーラーであるネッツトヨタ東京のハブポート若林さんにて、特別サービス項目「サスペンション交換トータルサービス」にて実施していただきました。作業風景の写真撮影や各種データのご提供など種々のご協力をいただきまして、ほんとうにありがとうございました。この場を借りてお礼させていただきます。

island
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