BMW vs アリスト

Driving Feel:ドライビングフィール徹底比較(BMW vs アリスト)
[High Way:ハイウェイ]
 速さに関しては、圧倒的にアリストである。仮にリミッターをカットしたとすると 最高速は、アリスト:230km/h、BMW:215km/h(Mマガジンより)である。この両車とも最高速チャレンジは行っていないが、両車の高速でのスタビリティーを持ってすれば、若葉マークのドライバーでも限界を試すことは可能であろう。その高速でのスタビリティーを少し比べてみよう。BMWは、ACシュニッツァーのエアロの効果であろうか、スピードが乗るほど車体がグッと沈み込み4つのタイヤが路面にへばりつく感じで非常に信頼感が持てる。特に、高速の下りコーナーで絶大な安心感がある。だが、太いタイヤのせいか路面状態に少し神経質な面がある。またABSの制御はキックバックも少なく、かなり奥に行ってから作動するため余計なお節介的な面はないのだが、タイヤのグリップがダンパーに勝っていることが原因と思われるバネ下のチャターを一度だけ感じたことがあった。
 対するアリストは、4つのタイヤからのインフォメーションはしっかりしているが、沈み込む感じは無く、若干腰高な感覚が残る。だが姉妹車のクラウン・マジェスタのようにボートに乗ってるようなフワフワ感は無く、BMWを知ってしまうと少し浮いている感じと言う程度のことである。これに関しては、ワイドタイヤを履かせて比べてみたい。ABSに関しては介入は少し早い気もするが、その制御は文句なしであり、雨のコーナーリング中にブレーキをガツンと蹴飛ばしてもラインが外れていくことは無いようだ。モーターファン95年9月号でライバル車との危険回避能力比較ということで、ウェットでのJターン+フルブレーキのテストが行われていたが、アリストはしっかりラインをトレースし最短距離で停止していた。(セドグロのグランツもまずまずだったが、ブ○アムや北欧のV車はコースアウトしていた)。BMW,アリスト共に路面のイヤな起伏などの外乱を一発で吸収するし、ハンドルのすわりも良く、安定感は素晴らしい。
  BMWはリミッターが210km/hで効くようだが、アリストは日本車の例にならい180km/hで効く。しかしこの効き方がけっこう唐突である。180km/hまでも結構な勢いで加速しているので、車の姿勢、ドライバー共に前につんのめる感じになるのである。また、180km/h付近でワイパーを使うと、風圧でワイパーがびびり一瞬前が見えなくなるので、やはり日本使用もワイパーにウィングを付けても良いだろう。BMWにはワイパーウィングが付いているのである。
[Cornering:コーナーリング]
 扁平率45%の235タイヤをはくBMWは、サスペンションを含めた足回りの剛性感が素晴らしい。おそらくサスペンションの取付部の剛性が高いのであろう。また感覚的にロールが少ないため、ハンドルを切った瞬間から剛性感を伴いコーナーリングGが立ち上がり、高速でのS字の切り返しといった場面でも姿勢が一発で安定する。したがって首都高速での吸い付くようなハイスピードコーナーリングが非常に楽しい車である。しかし、深めの中スピードコーナーの後半にパワースライドとはまた違った、リヤがスーッと出る感じがあり、やはり最終的にはオーバーステアとなるBMWのハンドリングが確認できる。
 一方ヨーロッパ仕様の硬めのサスペンションを持つアリストは、ボディ剛性はBMWより上ではないかと思わせるが、サスペンションの剛性不足を感じる。また、扁平率55%のタイヤのためかBMWと比べるとGがかかった場合に多少タイヤのヨレを感じる。そして、硬めのサスでありながらロール量も多く、高速のS字の切り返しでは揺り返しが発生するため、このようなコーナーではステアを一度中立に持っていくとより安定した姿勢を保つことが出来る。そしてハイスピードコーナーリングではあまり外乱に強いとは言えず、継ぎ目を越えると横っ飛びのような状態となり多少ボディがぐらつく。これもBMWではあまり見られない現象である。
 アリストに関しては気になる面ばかりを列挙したが、これはあくまでワイドタイヤに履き変え、サスペンションもノーマルではないBMWと比較した場合の体感性能であり、この両車実際のコーナーリングスピードは、ほぼ互角であろう。ただその時の安定感は、チューンしてあるBMWの方が一枚上手なだけである
[Engine Feeling:エンジンフィーリング]
 両車は排気量こそ違うが、直列6気筒エンジンを搭載する。アリストのエンジンはレスポンスが良く、フラットな伸びでスムーズに吹け上がる。このピックアップの良さを生かして雨の日には、簡単にカウンターを楽しむことができる。フィーリングとして若干気になる点は、何か油膜が薄いような少々カサツイタ感じの吹け上がりをする点である。対するBMWの6気筒エンジンは”シルキー6”と世界中で絶賛されている伝統のエンジンで、重厚でありながらどこまでもスムーズに吹け上がる。SOHCにもかかわらず3500回転を越えると一段と加速力が強まるのは意外である。
 アリストはサルーン的に走ろうとすれば、本当にサルーンとしての走りを楽しむことができ、またアグレッシブにアクセルを踏み込めばスポーティな走りを楽しむことができる。それに対して独特のエンジン音を発するBMWは、車が常にアクセルを踏むことを求めてくるようで、ドライバーもそのエンジン音を聞きたいがためについついその要求に応えてしまう。
 ATについては両車共スポーツモードがあるが、その制御についてアリストの方は、若干シフトアップするポイントが高くなるといった程度であまり大きな差を感じない。それに対してはっきりしているのがBMWで、Sモードを使うとアクセル全開でない場合でも、170km/h近くまで引っぱらなければトップギアにシフトされない。日本で使う場合には、はっきり言って引っぱりすぎであり、このセッティングには疑問を感じる。これはアウトバーンで他車に離されないためのセッティングと思われる。

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