BMW540i試乗記

新旧BMW5シリーズ比較
540i 昨年デビューしたE39 5シリーズの540iに2日間試乗した。540iというので4リッターのエンジンかと思ったら、なんと4.4リッターだという。最近のBMWはネーミングがわかりにくい。他にも323iが実は2.5リッターだったりする。きちんと排気量に合わせて544iや325iとした方が親切だと思う。

[Interior]

 ドライバーズシートに座って最初に気付くことは、メーターパネルがE34 5シリーズとほとんど同じであり違和感を全く感じないということだ。これは乗り換え組には好都合かもしれないが、新しいモノを好む向きには物足りないであろう。キーをひねってエンジンをかけてみると、生暖かい風が吹き出てきて、メガネが曇った。なんでもE39 5シリーズには、前に乗ったときのエンジンの熱を蓄えておき次にエンジンをかけたときにすぐエアコンが効くといった機能があるらしい。メガネの曇りが取れるのを待って、エアコンをOFFにすることにした。しかしOFFスイッチが無く、止めることが出来ない。そこでオーナーズマニュアルを読んでみたが、OFFの仕方がどこにも書いてないのである。結局OFFにするのに10分くらいかかっただろうか。気を取り直して、インプレに入ろう。エアコンと格闘!?しているときから気付いていたが、アイドリング音がほとんど室内に入ってこないのである。これがBMWか?、と不思議な感じを受けた。また振動も全くといって良いほど感じない。E34 5シリーズならいかにも走りそうなアイドリング音が室内にも響くし、振動も多少は感じる。しかし、そこがクルマ好きにはたまらない魅力であり、またBMWオーナーは、メルセデスオーナーなどと比べても一般にそうした嗜好を持った人が多いはずである。
 装備は至れり尽くせりといった感じで、たくさんあるが多すぎてよく分からなかった。おそらくクラウンにも負けないくらいの装備では無いだろうか。E34 5シリーズはとにかく収納スペースの少ない車であり乗っていて不便に感じることがあるが、E39 5シリーズには大きなセンターコンソールが付いたので、そうした不満を感じることはないだろう。ただし、このセンターコンソールもついに開け方が分からず、中のスペースを確認することは出来なかった。また、日本人はあまり本皮シートを好まないようだが、あの皮の香りに包まれるとなんともリッチな気分にひたれ、やはり高級車には欲しい装備であろう。
[Driving Feel]
 低速域ではE34 5シリーズと比べて、BMWとは思えないほどソフトな乗り心地であり、いわゆるドイツ車に乗っているというあの独特の感覚を味わうことは出来ない。走り初めての第一印象はクラウンのようであり、少々がっかりした。しかし、ハイスピード域になるとビシッと安定し紛れもなくBMWのそれである。もちろん同じような方向性を持つアリスト(レクサスGS300)のように多少浮いているような感じは全くない。もちろんこれは生産国や輸出対象国(BMWもアリストもメインとなるマーケットは北米であろう)の嗜好や使われ方に合わせたセッティングと思われる。サスペンションはスイッチひとつで、Sモードという少しかためのセッティングにすることが出来る。しかし二日間の試乗では乗り味の変化をあまり感じることは出来なかった。
高速走行でひとつ気になる点があった。100km/h付近主に定速走行時に振動が出ることである。しかも、たまに出るから困りものだ。これはインターネットで話題になっていたことだが、気になるところである。
 0発進加速は286馬力とは思えないほどのおとなしさだが、これは100km/h、150km/hからの加速を重視したセッティングを行ったためではないだろうか。280馬力級の荒々しい加速を期待していたのだが、ATでは230馬力(アリスト)も280馬力も乗っていて感じる加速Gや速さに関してはあまり変わらないということが分かった。やはりドライバーが感じる刺激は馬力そのものよりも、セッティングに大きく左右されるようだ。
 E39 5シリーズから運転を楽しくする新しい装備が加わった。それは一部国産車にも採用されているモノで、ATでありながらマニュアルのようにギアチェンジが出来るMモードのシフトである。これは私のようにATでもシフトを多用する者としてはホントーに欲しい装備である。4速ATではシフトチェンジの機会も多くなく、またこれまでの普通の5速ATのときはエンジンブレーキを使いにくく感じることがあったが、このMモードならUP,DOWNを楽しめる。しかし気になる面もあった。例えば、3速に入れての発進のときはきちんと3速のまま発進するのだが、逆に減速しているときはドライバーの意に反して勝手にシフトダウンしてしまうのである。これは余計なお節介というものであり、しかもそのダウンが何のショックもなく行われるので、「ヨシ!ここで2速にシフトダウンだ!」と2速に落としたつもりでいると、実はそのまえに車の方で勝手に2速に落としているため、ドライバーは1速に落としたことになってしまい、急なエンブレにびっくりさせられることがあった。車のあたまが良くなるのは、環境面など良い点も多いと思うが、度がすぎると逆に危険でさえあるような気がするが、これは言い過ぎだろうか。それともメーカーはドライバーをたいして信用していないということか。
 燃費に関しては聞かない方がイイ。なにしろE34 525iと同程度の加速を行うとアクセル開度はわずかなのだが、瞬間燃費計は525iの半分程度の値を指しており、非常に心臓に悪い。
 E34 5シリーズと比べてまぎれもない高級車にはなったが、反面操る快感という面に関してはかなり物足りないものを感じた。これでこのパワーが無いとしたら、フツーの高級車でしかないような気がしてならない。
 BMWが二一世紀に向けて送り出した車であるが、これからBMWがどういった方向に進もうとしているのか、非常に見えにくい気がした。気のせいならいいけど・・・


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