人を魅了するというのは、たいへんなことなのである。
多少たとえが強引かもしれないが、今、世の中に出回っているゲームソフ
トの中で、プレイヤーを魅了することのできるゲームが果たして何本あるか。
佐々木さんのライブからは、「お客さんを盛り上げよう、楽しませよう」
という意欲がみえてくる。それにひきかえ、「プレイヤーを楽しませよう」
という意欲のまったくうかがえないゲームソフトがいかに多いことか。
どんなエンターテインメントも、基本は「お客さんを楽しませる」ことで
ある。そうでないものはエンターテインメントとは呼べない。
「消費者の好みを考えることこそが文化創造」とは、ターザン山本氏の言
葉だが(「プロレス式最強の経営」山本隆司著、日本経済新聞社)、私もま
さにその通りだと思う。
消費者のことを考えずに、ただ惰性でゲームを作って惰性で売る。そんな
メーカーは早晩プレイヤーから見放される。そんなメーカーがゲーム界に居
座っているかぎりは、ゲームはいつまでたっても“文化”にはなり得ない。
佐々木さんの魅力を感じていただくためには、ここで文章で説明するより
も、CDを聴いていただいたり、ビデオを見ていただくほうが手っ取り早い。
CDシングル
コットン100% (データム・ポリスター:DPDX-5003)
OPEN THE GATE (F2 Sound Unit) (ポリグラム:PODX-1002)
CDアルバム
Hi-TechNOlody (F2 Sound Unit) (ポリグラム:POCX-1003)
(6月にニューアルバムが発売される)
ビデオ
ゲームの殿堂'95 (F2 Sound Unit) (ユーメックス/東芝EMI:TYVY-5008)
『コットン100%』だけはちょっと毛色が違うが、それ以外は佐々木さ
んの実力が十分感じられる。とくにビデオは、佐々木さんの豊かな表情と躍
動感ある動きを見ることができるので、おすすめである。
どれも現在入手困難なのが残念だが。
新宿駅西口地下道。高円寺の小さなライブハウス。新宿厚生年金会館の向
かいにあるライブハウス。原宿ルイード。そして日本武道館。
佐々木秋恵は、どこにいても観客を魅了する。
佐々木秋恵は、どこにいても佐々木秋恵である。(続く)