ゲームについて考えることは喜びである

連載『ザ・ゲームパワー』
第一章=社会の中のゲーム<第28回>


今回は、最近プレーしたゲームの感想を。

『フォーミュラグランプリチーム運営シミュレーション2』
(ココナッツジャパン、PS)

 ちゃんと6年目でコンストラクターズチャンピオンになれたのだから、ゲームにはなっ
ているのだろう。
 ただし、少しずつ強くなっていって、チャンピオンを獲得したわけではない。4年目ま
でノーポイント、5年目で初入賞すると、その年の後半には、無敵のチームになっていた。
いいときと悪いときが極端すぎる。
 ほかにもいろいろ「作り手はF1を知ってるのだろうか?」と疑いたくなる点があった。
・予選のセッティングのままで、決勝も走らなくてはならない。
・ゴール直前でリタイアしても、完走扱いにならない(でもリタイアしたマシンを抜かな
い限り、後ろのマシンの順位は上がらない)
・頻繁に順位が入れ替わる(マシン同士に当たり判定がなく、後ろから来たマシンをブロ
ックすることができない)。だから予選をやる意味が薄い。
・レース中に雨が降ってくる(または雨がやむ)と、自分のマシンはタイヤを替えないと
タイムがガクンと落ちる。だが他のマシンはタイヤを替えた形跡がないのに、それまでと
同じタイムで走る。
・ピットインしても、ウィングを交換することができない(ウィングが破損したら、ドラ
イバーから「ピットに入れたほうがいい」と言われるにもかかわらず)。
 後ろの二つは、F1を知ってる知らない以前の問題か。まあ一応、クリアーはできるか
ら、ゲームにはなっているのだろうが。
 セナはどんな遅いマシンでもその能力を最大限引き出したというが、このゲームは、上
記の特徴を踏まえた上で、最善の策を探すという、セナ的な楽しみ方をするゲームといえ
よう(タイヤ交換の回数を減らすのは有効な作戦だ)。

『ゼロヨンチャンプDoozy−J』(メディアリング、PS・サターン)
 恋愛シミュレーションの要素を取り入れたゼロヨンチャンプ(笑)。
 もともと『ゼロヨンチャンプ』シリーズは軽いノリが売りだから、恋愛シミュレーショ
ンと組み合わせるのは、いいアイデアだと思う。
 ただ、ゲームとしての完成度は、これまでのシリーズ作品よりも低い。
 最大の問題は、これまでミニゲームだったRPGが、強制イベントになっていることだ。
あれは本筋とは関係なく、お金を稼ぐアルバイトとして存在していたから良かったのであ
る。『ゼロヨンチャンプ』のRPGは難易度が高く、なかなか先へ進めない。これをクリ
アーしないと物語が先へ進まないというのでは、のろい進行にいらいらする。しかもこの
ゲームには時間制限があるから、なおさらである。
 また、シカゴでデートすると強制的に始まってしまう、一発勝負のRPG。1回でクリ
アーしないと彼女が入院してしまう。
 一発勝負のRPGというのは、アイデアとしては面白い。緊迫感が出る。だが、敵があ
まりにも強すぎる。私は最初に出現した敵に一発で倒されてしまった。他の迷宮でレベル
を上げてから挑めば良かったのだろうが、デートしてたら強制的に始まってしまったわけ
だから、そういう下準備をすることもできないのだ。
 恋愛シミュレーション部分にも問題がある。
 例えば1回オカマに抱きつかれただけで、それまで好意度が最高だった彼女が、あいそ
をつかして去ってしまう。再びパートナーにすることもできるが、好意度が初期値にクリ
アーされている。アップダウンクイズじゃあるまいし。
 とまあ不満点だらけのゲームなのだが、ユフィの言動にクラクラッときた時点で、私の
負けかも(爆)。攻略本を見ながらプレーすれば、そこそこゲームになるのでは。

『かまいたちの夜』(チュンソフト、スーファミ)
 チュンソフトのサウンドノベル第2弾。日経ゲームライフの仕事で今回プレーしたわけ
だが、これはスゴい。
 第一印象は「推理ゲーム」。正しい選択肢を選ぶことで、連続殺人の犯人が突きとめら
れる。終盤は文字どおりデッドエンドの嵐で、一つ選択を誤っただけで主人公が死んでし
まう(と書きながら、私は最初のプレーで犯人を倒し、生き残ることができたが)。
 犯人を倒し、彼女と二人で生き残るのが一見正しいエンディングのように見えるが、実
は連続殺人を未然に防ぐこともできるのだ。誰も殺されないうちに犯人を捕まえられたら、
それが真のエンディング。
 しかしこのゲーム、真のエンディングを迎えた後は、全然別のゲームに変わる。
それまで選択肢のなかったところに選択肢ができていて、そちらを選ぶと、ストーリーが
すっかり変わってしまうのだ。
 そもそも、連続殺人が起こらない。サスペンスだったはずの物語が、オカルトになった
り、ナンセンスものになったりする。
 全部のエンディングを見つけると、さらに分岐が増えるというが(『弟切草』にもあっ
た「ピンクのしおり」)、残念ながら私はまだそこまでには達していない。
 ローソンの書き換えソフトとして入手できるし、今度PSにも移植されるというから
(『弟切草』『街』も)、一度プレーしてみてはどうだろう。

『美少女麻雀バトルロマンス』(アスキー、Win95)
 テックジャイアン誌で連載されていた脱衣麻雀が、一つのソフトにまとめられたもの
(らしい)。
 ストーリーモードとフリー対戦モードがある。ストーリーモードをプレーしてみると、
各女性キャラのキャラクター性が濃いのに驚く。
 例えば猫耳のキャラは「家庭内不和で、人間でいることが嫌になった少女」だし、ロリ
なキャラは「幼い頃の飛行機事故で心因性発育障害を起こした少女」。このように、各人
がそれぞれのギミックを持つようになった心理的背景(トラウマ)を設定しているのだ。
某残酷な天使のアニメの影響ありありだが、それが「アダルトゲームにはありがちだが現
実にはありえない設定」のキャラクターに、多少なりとも現実感を持たせているような気
がするのは私だけだろうか。

(続く)


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