ゲームについて考えることは喜びである

連載『ザ・ゲームパワー』
第一章=社会の中のゲーム<第26回>


 今年の正月以来の更新になる。
 それから現在までの間に、セガとバンダイの合併話が御破算になったり、
『ポケットモンスター』が大人気になったりしたが、どちらかというと今年
は今のところ、例年に比べて今一つ話題に乏しい年になっている気がする。
 例年だと大作人気ゲームが出る夏休みの時期にも、話題はもっぱら『ダビ
スタ』と『ポケモン』。これから冬に向けても、何かもう一つ、コレという
ソフトが見当たらない。
 まあまだ各社“隠し球”を持っているのかもしれないが・・・。
 ただ、ゲーム界全体を見ると、深刻な“活力不足”に陥っている感がある。
大ヒット作ばかりでなく、中ヒットくらいのソフトも出てこない。スーパー
ファミコン末期の状態に似てきている。
 プレイステーション景気で一時期は羽振りが良くみえたものの、やはりゲ
ーム界全体の「粗製濫造」の体質は変わってなかったということか。
 とは言っても、今年も私はしっかりと、いくつかのゲームにハマっていた
りするわけである。
 中でも一番ハマっているのが『フリーセル』。一回起動させると、三十分、
一時間、瞬く間に経つから始末が悪い。
 成績表なんてのが出るから悪いのだ。今のところ、458勝654敗。
最近コツをつかみつつあるので、なんとかして勝率五割まで持っていけない
かと、ついつい思ってしまうのだ。
 いまや私はフリーセル中毒症にかかってしまっている。
 今年の夏に第19巻が出た、『頭の体操』(多湖輝/光文社)にもハマった。
『頭の体操』のコンセプトは、三十年間一貫している。「固定観念を打ち破
り、独創力を養う」。第19巻に収録されたのは全82問。どの問題も、常識に
とらわれたまま考えてしまうと、思わぬ落とし穴が待っている。
 3章の冒頭に、こういう文章がある。
「古来、人類は、自分に馴染みのない存在を『恐れ』の対象にし、タブー視
することで、精神の安定を得てきたという。ヒトは未知なるものに出会った
とき、まず驚き、同時に恐怖や感嘆という感情が生まれる。だが、それで終
わってしまっては、脳にとってはなんの刺激にもならないのだ。」
 ゲームバッシングをするような人々に、よく読んでもらいたい文章である。
 プレイステーションではアクエス(スクウェア)の『牌神』がおもしろい。
 アクエスというブランドは、“定番”ソフトを作るところときいている。
だから私はこのソフトを、ごく普通の麻雀ゲームと思って買ったのだが・・・。
 予想はいい意味で裏切られた。かなりブッ飛んだゲームだったのである。
 なんたって勝ち抜き戦の設定がブッ飛んでいる。プレイヤーが“達人”と
なって、プロ雀士たちの挑戦を受けるというストーリーなのだ。
 しかもごていねいに、フジテレビの福井アナが、「料理の鉄人」風に実況
してくれる。「プロごときに」とか、「非力なプロが」とかいうフレーズに
は、大いに笑かしてもらった。
 もちろん麻雀自体はしっかり作られているので、“定番”ソフトとしての
役割はちゃんと果たしている。デジキューブのラインナップに、常に置いと
いてほしい逸品である。
 あと最近買ったのは、『くねっくねっちょ』(ヒロ)。元任天堂・横井軍
平氏の作品として注目された、キーホルダーゲームである。
 「餌を食べるたびに体が伸びるヘビのゲーム」というのは、昔からあるの
だが、餌がフィールドの外から飛んでくるというアイデアが新しい。いった
んフィールド内に入った餌を、またフィールド外に逃すとミスになる。フィ
ールドが格段に狭いこともあって、既存のこの種のゲームとは、プレイした
感覚がまるで違う。
 序盤はフィールドの外周を回るだけでクリアできるが、ヘビの体長が外周
の長さを超えたときに、また違った戦術が要求される。こういうゲームバラ
ンスの取り方がまたいい。(続く)

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