ゲームについて考えることは喜びである

連載『ザ・ゲームパワー』
第一章=社会の中のゲーム<第24回>


 たしかに『ダンシングアイ』は、「ポリゴンのアダルトゲーム」としてみ
ても、よくできている。
 ポリゴンだから、女のコたちの動きはさすがにリアル。やっぱりモーショ
ンキャプチャーしたのだろうか。どんな人が体にセンサーつけたのかちょっ
と気になるが(笑)。
 そういえば『デッドオアアライブ』(テクモ)の“胸揺れ”も、センサー
つけてキャプチャリングしたのだろうか? どうなんすかね>水上さん
 『ポリスノーツ』(コナミ)に“胸揺れチェック担当”のスタッフがいた
というのは、有名な話だが。あ、『餓狼伝説』(SNK)の舞はどうだった
んだっけ?
 なんかこうしてソフト名を挙げていくと、いわゆる「ギャルゲー」じゃな
いゲームのほうが、このテの演出に熱心なように思えてくる。開発者の趣味
なのか?
 というより、マスコミ受けを狙っての、あざとい戦略のような気もするが。
 『ダンシングアイ』の話に戻る。
 動きばかりではなく、見た目のほうも、まずまずよくできている。脚の太
さも絶妙だし、プレイヤー誰もが気にする(?)股関節のあたりの処理もよ
くできている。
 さすがにナムコだけに、アダルトとはいっても下着まで。ヘアヌード全盛
の今の時代に、これはかえってさわやかな感じがしていい。
 ただ、下着がテクスチャーマッピングで表現されているので、素肌にじか
に描かれているようにみえてしまうのが難。
 肩関節の処理の甘さも気になった。ほかの箇所はけっこう良くできていた
のに、肩と腕との境目はなめらかでなく、マペットみたいになっている。女
性の鎖骨のあたりに色気を感じる人は多いと思うのだが。
 もっとも、私がこのゲームにハマってしまったのは、そういうアダルト的
要素ではなく、ゲームそのものに魅かれたからである。
 ゲームバランスは、まともにやればやや難しめ。制限時間の設定がきつく、
のんびりやってるとすぐタイムオーバーになってしまうのだ。
 そのかわり、アイテムが強力。点滅するエリアを囲むか、点滅する敵を倒
すと出てくるのだが、これを取ると戦略ががらりと変わる。
 通常時はちまちまとエリアを細かく囲み、敵にぶつかれるアイテム(『パ
ックマン』のパワーエサと同じ)や、お猿の引いたラインに触れた敵が動け
なくなるアイテムを取ったら、一気に広域獲得に向かう。
 ほかにも、一か所囲むと横一列のエリアが全部消える(縦一列もある)、
敵が全滅してエリアもたくさん消える、消えたエリアと消えてないエリアが
入れ替わる、等々強力なアイテムが揃っている。アイテム取る前がストイッ
クな展開(アダルトゲームで「ストイック」というのも変な話だが)を強い
られるだけに、取ってからの爽快感が格別なのだ。
 敵キャラがまた個性的。引いたラインに乗った途端猛スピードで追っかけ
てくる奴、お猿と一直線に並んだら突っ込んでくる奴、小魚を発射する魚、
クモの子を散らすクモ(そのまんま)。それぞれの敵に対して、異なった対
処の仕方が要求されるのがおもしろい。
 ゲームシステムそのものにハマってしまうと、女のコなんて二の次になる。
しまいには牛でもアニキでもトラックでも何でもよくなってくる。
 そういう境地に達してくると、最終面が女のコでないにもかかわらず、コ
ンティニューしてまでオールクリアしてしまう。最終面でコンティニューす
るかしないかで、プレイヤーがこのゲームを、アダルトゲームとみているの
か、アクションパズルとみているのかがわかる。「『ダンシングアイ』は単
なるアダルトゲームではない」という見城さんの意地が、最終面をああいう
キテレツなものにしたのかもしれない(続く)。

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