ゲームについて考えることは喜びである
連載『ザ・ゲームパワー』
第一章=社会の中のゲーム<第23回>
『ダンシングアイ』(ナムコ)を全キャラクリアした。
いわゆる「アダルトゲーム」の類に属するゲームを、私はほとんどプレイ
していない。このホームページでも、これまで基本的にアダルトゲームは扱
ってこなかった。
なにせ私は“正義の味方”である(^^;。
『同級生』のようなタイプ(『同級生』も未プレイだから、引き合いに出
していいのかどうかよくわからないけど)なら別だが、「脱衣麻雀」形式の
アダルトゲームは、女性を単なる“モノ”としてとらえているようで、どう
も好きになれなかったのだ。
『ダンシングアイ』も、ゲームの基本形式はこのタイプである。ポリゴン
で描かれた女性の服の上に線が引かれており、自機(お猿)・敵とも、その
線の上のみ動くことができる。ボタンを押すと、お猿が線の上に別の線を引
きながら進んでいく。ボタンを離すと、線で囲んだエリアの衣服が裂けて、
下に着ているものが現れる。
私は最初、ここまで「お色気」度の強いゲームだとは思わなかった。
デモ画面や、他人がプレイしているのを見たときは、セーラー服の下に体
操着、あるいはソウルエッジTシャツの下に豹柄のセパレートという、「健
康的なお色気」路線のステージしか見ていなかったからだ。だから、『バー
チャ3』の空きを待つ間にふとコインを入れて、軍人娘のステージをプレイ
したとき、予想だにしなかったものを見てブッとんだ。
ピンクのランジェリー上下。
かりにもあのナムコのゲームで、こんないかにも「下着っ!」という感じ
の下着が出てくるとは思わなかったのだ。
初遭遇で強烈なインパクトを受けた私は、その後『バーチャ3』の合間に
このゲームをプレイ。ついには100円硬貨50枚をポケットに入れるという、
万全の態勢でゲームに臨み、全キャラクリアを達成してしまったのであった。
なんだかんだいっても、やっぱり私も寂しいひとり身の男だったというこ
とだ。
そもそも私は高校時代、『クイックス』に熱中していた。
今から10年ほど前のことだから、クイックスといっても『スーパークイッ
クス』(タイトー)のほうである。特徴は、文字を集めるとクリアになる点
と、敵キャラに変な怪獣が登場する点である。
当時の私は、ゲームブック作家およびゲーム雑誌のライターを目指してい
たのだが、なかなかその願いがかなわず、もどかしい気持ちでいっぱいだっ
た。
そういう意味では、今と状況がすこぶる似ている。
たしかに今はゲーセンに行くと、(『バーチャ』以外には)『ディグダグ』
や『パックマン』のアレンジ版を好んでやったりする。
置かれている場合には『ヴォルフィード』もやる。ほかならぬ『クイック
ス』の続編である。
家庭用でも『ナムコミュージアム』が好きでよくプレイする。私にとって
『ダンシングアイ』は、こうしたゲームの延長戦上にあるゲームなのだ。
エンディングのスタッフロールに、見城こうじ氏の名があった。
「マイコンBASICマガジン」のライターとして、その名前をご存じの
かたも多いかと思う。ナムコに入社してゲームデザイナーとなった見城氏は、
『コズモギャングザビデオ』をはじめ、数々のヒット作を産み出している。
とくに非スクロール型のアクションゲームやパズルゲームを得意としてい
る。こうしたゲームは、『ギャラクシアン』『パックマン』等の例を挙げる
までもなく、昔からナムコのお家芸。つまり『ダンシングアイ』は、これら
のゲームの流れを汲む、ナムコ伝統のアクションゲームなのである。
『ダンシングアイ』が単なるアダルトゲームでないことは、出てくるのが
必ずしも女のコばかりではないというあたりが証明している(続く)。
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