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帰国

今回は関空ではなく成田発着。東京まで7時間ほど。10時間越えないと楽だ。わたしは飛行機の中で寝られるけれど、友達の中には一睡も出来ない、という人もいる。それはつらいだろうなぁ、と思いつつ、とにかく眠る。

日本への帰国検査は、他の国に入国する時と較べると拍子抜けるほど簡単だった。税関でも、二言三言質問されるだけですんなり通れたし。隣の列の白人のお兄さんは身体検査までされていたと言うのに。空港から街までの電車の中は、なんとなくまだ「外国」と「旅」を引きずっているような気がする。車窓から田んぼが見える。成田の周辺ってこういう感じなのね。

★24 『ボートの三人男』 ジェローム・K・ジェローム 丸谷才一・訳 (中公文庫) 1978年

頂いた、イギリスのユーモア小説。原作は1889年。19世紀の作品なのだが、ばかばかしさは今も昔も変わらないのね、としみじみおかしい1冊。ロンドンに住む3人+犬がボートでオクスフォードからテムズ河をのんびりと下る。昔NHKのBS放送で見た川下り番組を思い出した。水門で水位が上がるのを待ったり、地面より高い運河とかあるんだよね。いつかのんびり河下りの旅とか行ってみたい・・・。このページによると、舞台になった宿屋とかパブとか、今でも残っているそうだし。

Three Men in a Boat (To Say Nothing of the Dog) by Jerome K. Jerome, 1889.


空港

のんびりぱたぱたしている内にインターンシップも終了。プロジェクトに多々問題はあったが(^^;)、本当に色々勉強になりました。ぺこり。みなさん親切にしてくれたし。ご飯はおいしかったし。

安いフライトなので、出発も朝の6時。眠ると寝過ごしそうなので、のんびり荷造りをしながら夜を明かす。ゆとりを持って3時半くらいにタクシーを呼ぶ。インド系のタクシーの運転手さん、日本に帰ると言うと、日本のサッカーの話題を出してくる。サッカー人気なんだよね、シンガポールでは。ユーロ2004もやたら盛り上がっていたし。タクシーは頼めばレシートもくれる。便利。でも深夜料金だの、呼び出し料金だの取られるけど。

空港。荷物を預ける前の質問が厳しい。危険物は入っていないか、プレゼントはもらったか、などなど一人ずつ質問される。荷物を預けて、24時間営業らしきスターバックスでカプチーノを飲みながら、もらったポール・オースターを読む。免税店も開いている。

★23『シティ・オヴ・グラス』ポール・オースター 山本 楡美子、郷原 宏・訳 (角川文庫) 1993年

ふわわ、なんだか不思議な話だった。この『シティ・オヴ・グラス』『幽霊たち』『鍵のかかった部屋』がニューヨーク三部作、と呼ばれているそうだ。これがデビュー作かと思っていたけれど、3冊目なのね。ニューヨークの地図を見ながら読んだらもっと楽しめそう、と思う。

City of Glass by Paul Auster, 1985


風邪

熱帯にいると言うのに、風邪を引く。朝、仕事に行くまでの10分の間に、スコールに当たったのが悪かったか。部屋でごろごろするついでに、軽いミステリが読みたいなあ、と、ついついバスで10分ほどの所にある古本屋に行く。古本屋兼貸し本屋、のようで、英語の本は1ヶ月以内に返せば、半額くらい代金が返ってくる。本を捨てるのは好きでないので、こういうシステムはうれしい。短期滞在なので、図書館のカードが作れなかったし。シンガポールを発つ前に、ネットで見つけた日本人向けの古本屋(今はかなり減ったけれど、駐在の日本人がたくさん住んでいる)で読み終えた日本の本を売りに行った。店員さんも日本人。6冊で200円ほどだったけど^^;。

ということで、久々に、スー・グラフトンのキンジー・シリーズ。前回すっ飛ばしてしまった、"D" を読む。風邪が治りかけた頃に、続いて"F"も。

★21"D" is for Deadbeat by Sue Grafton (Bantam Books, New York) 1987

★22"F" is for Fugitive by Sue Grafton (Bantam Books, New York) 1989

おおお、おもしろいじゃないか。シリーズも4〜6冊目になって、キンジーのキャラが立ってきた感じ。キンジーのストイックさが、素っ気無いのを通り越して心地よく(?)なってきた。彼女、走るのは辛いし嫌、でも体は鍛えておかなきゃね、と毎日3マイル海岸沿いを走っている。で、"D"で、犯人を「だてに毎日走ってんじゃないんだからっ」と追いかけていくのがかっこいい。わたしも嫌だけど走ろうかな〜、という気になってくる(かもしれない)。前よりドライなユーモアも増えた気がするし。"F"では、一人で生きていかなきゃ、という頑なな姿勢が少し和らいだ気がするし。伯母さんから受け継いだ趣味が射撃と編み物、ってのも素敵。地道に一冊ずつ読もうっと。

日本語訳はそれぞれ『欺しのD』1988年、『逃亡者のF』1990年。どちらも嵯峨静江・訳(ハヤカワ・ミステリ文庫)。


休暇

夏休み、インターンとして働いているとは言え、学期中よりもかなりのんびりできる。のんびりしすぎないように、と読み残した文献をちまちま読みつつ。フライトの間に読もうと思っていた『族長の秋』を少しずつ読む。

★20『族長の秋』 ガルシア=マルケス (集英社文庫) 1994年

『百年の孤独』で有名な(って読んだことがないのだけれど)ガルシア=マルケスの独裁者小説(というジャンルがあるのね)だそう。ふむ、確かに機内持ち込み本には向かないかも^^;。1週間くらいかけて読破。改行も段落もない文体を読んでいるうちにぐるぐる(@@)する小説。途中から大統領の独裁者っぷりが、言葉の反復とあいまって心地よくさえなる。『百年の孤独』も読んでみたいな。

ラテン・アメリカの小説を読むのは確かこれが初めてだったと思う。小説は違う文化を垣間見る窓としても好きだ。児童文学・ファンタジーはイギリスが強いので、こどもの頃からイギリスは憧れだった。12シリングは1ポンド、午後のお茶、フルーツ・ケーキ、半熟ゆで卵。紅茶飲みたくなったな。原書はEl Ontno Del Patriarca by Gabriel Garcia Marquez, 1975.


濫読

シンガポールは、暑いけれど湿度が日本の真夏よりは低いので、思ったよりも過ごしやすい。部屋にはクーラーがなくて扇風機のみだけど、暑くて眠れないこともないし。食事もフード・コートやホーカー・センター(屋台みたいなお店がいくつも集まっている)で3・400円くらいでおいしく食べられる。紀伊国屋や西友など、日本のお店もたくさんあるし、日本レストランや食材も豊富。交通網も便利。街路樹がたくさんあってうれしい。ミネソタと較べると、日本人にとっては住みやすそうな街だな、と思う。長く住むとまた違うんだろうけれど。

到着して1週間後、アメリカ経由で日本から小包が届く。船便で送ってくれたのだけど、1ヶ月半ほどかかったため、届く前にわたしがアメリカを出発してしまったので、シンガポールに転送してもらったもの。小説が5冊入っていた。

久々に読む日本語の小説だったので、乾いた砂が水を吸い込むような勢いで読んでしまった。仕事から帰って来てから、1日2冊ペースで読破(おいおい)。いかに飢えてたかわかる。

★15『パラレルワールド・ラブストーリー』 東野圭吾 (講談社文庫) 1998年
★16『変身』 東野圭吾 (講談社文庫) 1994年

まずは東野圭吾2冊。さっくりと読める。ふむぅ、筋も謎も描写もきっちりしていて、読ませるし、面白かったのだけど、やっぱり今のわたしには、ちょっと合わないかも。「ごく普通の人たちがふとしたきっかけで歯車が狂ってしまう」というのが救いがなく感じてしまう。ここ数年のお気に入りは、「ごく普通の人たちが、色々あるけれど、何とか折り合いをつけて生きていく」タイプの小説かな。作者は元々生産技術エンジニア(何を作る人たちなんだろう、ふみ。)だったそうで、それが関係あるのかは不明だけれど、謎が破綻なく結末できれいに解かれていく(技術系の人は謎がきちんと解かれるのが好き、と言うのはやはり偏見だろうか)。近頃は、過程の人物描写がきっちりしていれば、謎が謎のままの時もあっていいよね、と思う。

『パラレル・・・』の初出は中央公論社・1995年、『変身』は講談社・1993年。

★17『愛逢い月』 篠田節子 (集英社文庫) 1997年

ふむ、やっぱり篠田節子はわたしには合わないわ、と再確認しつつ読了。なんだかもっと救いがないんだよね。いえ、文句ばっかり言ってるみたいだけれどど、ありがたく読みましたです^^;。お気に入りにならなかっただけで。初出は集英社、1994年。

★18『上限の月を食べる獅子』上・下 夢枕獏 (ハヤカワ文庫) 1995年

うわわ、何だかよく分からないけれどすごい。壮大だけれど読ませる。SFってこういうのもありなのだ。神話や伝説、宇宙論まで入ると物語が厚みを増す、と言うのがよくわかる。初出は早川書房、1989年。


フライト

今回はミネアポリス発成田経由シンガポール行き。日本まで直通なんて初めてだ。今回の荷造りは特に、詰めて詰めて詰めて〜という感じだったので、機内用の本も、手元にあったものを詰める。読みかけの、ケイト・マーティネリ・シリーズの2冊目、To Play the Fool とガルシア=マルケスの『族長の秋』。2冊とも頂き物。

金曜日午後3時のフライト。ミネアポリスの荷物検査では、またも靴を脱いで、ラップ・トップはケースから出して、スーツケースの鍵は開けて、と。やれやれ。通路側の席に落ち着いて、周りを見ると、10代らしきアメリカ人の男の子たちがうようよしている。どうやら成田経由で中国に行く団体らしくて、「我(ハートマーク)華国」(←I love NYの中国版ね)と言うシャツを着ている人もいる。いいんだけど。隣の席の二人がおしゃべりしているので、うるさいかなと思ったけれど、疲れがたまっていたようで、フライトの間、泥のように眠る。

眠っているうちに日付変更線を越える。成田空港は初めてだったけれど、日本に帰ってきたという感慨もなく、2時間足らずで次のフライトに乗り換える。とにかく眠い。シンガポール行きの飛行機の中でも、本を読む暇もなく、テーブルにうつぶせになって、眠る。

シンガポールに着くと日曜の午前1時。入国管理でひと悶着した後、24時間営業のKing Burgerで To Play the Fool を読みつつ朝を待つ。朝8時過ぎ、ミネソタでのシンガポール人のクラスメートの友達が、空港まで迎えに来てくれる。青い空、見慣れない街路樹、蒸し暑い空気。ミネソタは2日前4℃だったというのに、すでに30℃を越えている。間借りする部屋は、タイルの床で、机、クロゼット、ベッドがついたユース・ホステルの一部屋のよう。中国系の大家さんはあまり英語を話さない。リビングの祭礼壇の上を台にメモを書こうとして、あわてて止められる。おっと。

初対面なのに親切なクラスメートの友達が、街を案内してくれた後、部屋に戻ってベッドにもぐりこむ。日付上では、出発してから2日が経っている。

★14 To Play the Fool by Laurie R. King (Bantam Books, New York) 1995

1冊目もそうだったけれど、事件が少々奇抜だ。ふむ。それから、ケイトの心情があまりつっこんで詳しく書かれていない気がする。彼女、何考え、悩んでいるのかいまいちよくわからない。そこがちょっと物足らないかな。わりかし面白かったけれど。

巻末に、同じ作者による違うシリーズの1冊目の第1章が、プロモーションとして付いている。続きが知りたかったら買ってね、と。スー・グラフトンのキンジー・シリーズでもこの宣伝方法を見たことがあるけれど、アメリカではメジャーなのかしらん。

日本語訳は、『愚者の街』 ローリー・キング 森沢麻里・訳 (集英社文庫) 1995


学期末

あ゛ー、毎度のことながら学期末は本当に、やることが次から次へと出てきてへろへろになる。今回の記録は、13時間、コンピューター・ラボにこもってペーパー書いたことだな^^;。最後の試験の2日後にシンガポール行きの飛行機に乗る、というスケジュールになってしまったため、やたらに忙しかった。荷造りもあったし。わたしにとっては「外国」であるアメリカから、また違う「外国」に行く準備と言うのは何だか落ち着かなくて、変な気分がする。

今年は大学のアパートに住んでいたのだけど、設備は整っているけれど割高なのと、とっても安全とは言いがたい(隣の駐車場でナイフ沙汰だの強盗騒ぎだのあったりした。おいおい^^;)ので、来年は違うところに引っ越すことにした。新しい部屋も4月くらいから探していたけれど、結局決められたのは最後の週になってから。まあでも決めることが出来てよかった。3年前にウィスコンシンにいた時は、ずっと大学の寮に住んでいたし、アメリカで部屋を探して住むのは初めて。4・5人で一軒家を借りているところや、家の一室を借りるところとかも見たけれど、色々考慮した結果、アパートにした。

大学に程近い、小さな studio apartment。日本で言うと1Kかな。小さなキッチン付。同じ学部のベトナム人の女性が住んでいたところで、静かだし管理人さんがいい人だよ、と勧めてくれたし、こじんまりした部屋なので気に入って。床は hardwood (フローリング)で、天井には日本の喫茶店にあるような大きなファンがついている。わたしは日当たりが良くないと気分が重くなってしまうので、明るいのもうれしい。近所はコーヒー・ショップや古本屋さんなど、小さな店が細々とある学生街。家具はついていないので、帰ってきたら安いのを探さないと。夏の間、荷物は友達の家の地下室に置かせてもらう。・・・いつの間にこんなに物が増えたんだか・・・(ぶつぶつ)。

空港まで行く車の中で、暖かい日差しに照らされながら、大学院の最初の一年(9ヶ月間だけど)が終わったんだな、とぼんやり考えていた。まだまだのところも、新しい問題も、色々あるけれど、ひとまずよくがんばりました、と自分に言っておく。


忘れないうちにメモメモ

順不同で。1月から5月の記録。1月は、冬休みがあったし、学校が始まっても、ちまちま休憩で読んでいた。

★2『彼女は水草に抱かれ』 キャロリン・ウィート 堀内静子・訳 (早川文庫) 2001

「茶色がかった赤毛がアート・ガーファンクルのように縮れ」という描写があるがために、海を越えて送られてきたミステリ。ばく。ありがとうございます(合掌)。翻訳の文体がわたし好みでなかったのがちとつらかったけれど。テーマ的には、養子の話でちょっと面白いんだけどなぁ。訳がどうにも合わない。女性の会話の訳、「〜かしら」「・・・だわ」で統一するのはいかがなものか。気になりだすと気になるのよねぇ。

Fresh Kills by Carolyn Wheat, 1995.

★3『捜査官ケイト』 ローリー・R・キング 森沢麻里・訳 (集英社文庫) 1994

サンフランシスコ市警の女性捜査官、ケイト・マーティネリ・シリーズ1作目。これって設定をちょっと詳しく言うと、プチ・ネタばれになるので書かないでおこうっと(訳者の解説では既にネタばれしているけれど・・・)。ケイトの相方の捜査官のアルのガール・フレンドがすてき(はは)。ちょっとリアリティに欠けるかな(当事者でない作者がマイノリティの登場人物を描くのは、限界もあるのだろう)、と思うところもあるけれどなかなか面白かった。ケイトとケイトの恋人の会話で、ピーター卿が出てくるのも笑ったし。

Grave Talent by Laurie R. King, 1993.

★4『このささやかな眠り』 マイケル・ナーヴァ 柿沼瑛子・訳 (創元推理文庫) 1992

ヒスパニック系の弁護士、ヘンリー・リオス・シリーズ1作目。ゲイ・ミステリ版『長いお別れ』と評される、らしい。ヘンリーのやるせない倦怠感がいいなあ。たまにやたらに正義感に燃える時もあるけれど。ゲイ・ミステリ、初めて読んだけれど、やっぱりレズビアン・ミステリとは当然だけど雰囲気が違ってその辺も面白い。しかし、最近読んだミステリの舞台はカリフォルニアが多い。このシリーズもサンフランシスコ郊外とLAが舞台だし。ケイト・マーティネリ・シリーズはサンフランシスコ、ケイト・デルフィールド・シリーズはLA、キンジー・グラフトンはカリフォルニア州の架空の街、サンタテレサ。ホーギー・シリーズはニューヨークだけど。ミネアポリスが舞台のミステリもあるらしいから読んでみたいな。

The Little Death by Michale Nava, 1986.

★5『ゴールデン・ボーイ』 マイケル・ナーヴァ 柿沼瑛子・訳 (創元推理文庫) 1994

ヘンリー・リオス・シリーズ、2作目。あいかわらずヘンリーがやるせない。学部時代は詩を勉強していて、ロースクールに行って弁護士になるって、やるせないなぁ(^^;。作者のマイケル・ナーヴァも弁護士さんのようで、作者と主人公がオーバーラップするシリーズ。

Golden Boy by Michael Nava, 1988.

★6『ショージ君の時代は胃袋だ』 東海林さだお (文集文庫) 1988
★7『タクアンの丸かじり』 東海林さだお (文集文庫) 1997
★8『伊勢エビの丸かじり』 東海林さだお (文集文庫) 1998

ミステリと一緒に、「日本食が恋しくなるように」と(?)送ってくれた。ふっ(遠い目)。日本食、それなりに作って食べているけれど、トンカツ食べたいなぁ。後、たまにコンビニのおにぎりとか、冷たいお茶とかがとても欲しくなる。

★9『ショージ君の青春記』 東海林さだお (文集文庫) 1980
★10『どくとるマンボウ青春記』 北杜夫 (中公文庫) 1973

青春記二つも、送ってくれたもの。北杜夫のはなかなか面白かった。しかし、読んでいると、いろいろな意味で時代の変遷を感じる。

★11『狐笛のかなた』 上橋菜穂子 白井弓子・挿絵 (理論社) 2003

上橋菜穂子さんの新刊、送ってもらった。ほくほく。守り人シリーズではない、単発もので、日本の「なつかしい場所」の物語。わたしはやっぱり守り人シリーズが好きだけれど、これもしみじみとした味わいがある。装丁も挿絵も素敵だし(^^)。しかし、上橋さん、とりあげ女(産婆)とか、ちょっと日陰においやられている人たちを書かせると、本当にすごいと思う。

★12『喪われた故郷』 マイケル・ナーヴァ 柿沼瑛子・訳 (創元推理文庫) 1996

ヘンリー・リオス・シリーズ3作目。やっぱりやるせないヘンリー。このシリーズって、逆風やあまり幸せでない家庭環境や、病気などといかに共存しつつ、少しでも幸せに近づこうとする人たちのお話なのかも。がんばれヘンリーくん。

How Town by Michael Nava, 1990.

★13『チャリング・クロス街84番地』 へレーン・ハンフ 江藤淳・訳 (中公文庫) 1984

ニューヨークに住む、作家の卵の女性と、ロンドンの古書店の店員の書簡集。うーん、こういうのとっても好きだ。手紙から当時(1949年から1969年)のイギリスの様子がうかがい知れてとても面白い。第二次大戦後、しばらくイギリスは食糧難だったんだとはしらなかった。本の装丁、食料、ストッキング、テーブル・クロスなどなど、こういう細かい描写を読むのは楽しい。

84, Charing Cross Road by Helene Hanff, 1970.


冬休み

のんびり冬休み。ということで、2004年。

★1 The Salaryman's Wife by Sujata Massey (HarperPaperbacks, New York) 1997

今年の初読みは、またしてもお掃除のおじさんが貸してくれた、日本が舞台のミステリ。主人公は、大学院で日本の骨董を勉強した後に、日本に来て英語を教えている、日系アメリカ人の女性。作者は、イギリス生まれでインド系とドイツ系の両親を持ち、アメリカで大学に行って、日本に一時期住んでいた(らしい)女性。ジャンル的にはミステリ、なんだろうけど、微妙に火曜サスペンス・ドラマ系のにおいが(おいおい)。日本の文化や雰囲気をよくつかんでいるんだけれど、少し違和感があるところもある。ミステリとしての出来よりもそういうとこがおもしろいかな。

日本語訳も出ているらしく、タイトルは『雪 殺人事件』。(・・・やっぱり火曜サスペンス劇場のにおいが・・・)。スジャータ・マッシー 矢沢聖子・訳 『雪 殺人事件』 (講談社文庫) 2000。日本語で読むとどうなんだろうね、これ。


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