:::i only have eyes for you:::
book journal 2002
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6/28
★53『すももの夏』 ルーマー・ゴッデン 野口絵美 (徳間書店) 1999

お気に入りのゴッデンの作品・・・なんだけど、これはちょっと入り込みづらくて、何度目かのトライでやっと読破。話の波に乗り切れたら面白かったんだけどね。しかし今回も、2回も図書館で延長にしてもらっちゃった。

イギリスの小さな町に住む母親と5人の子どもたちは、休暇でフランスを訪れる(でも「バカンス」というほど優雅な旅ではない)。なのに母親が病気に倒れ、子どもたちは南フランスのホテルに居候するはめになり、美しく、静かだけれど波乱に満ちた一夏を過ごす・・・というゴッデンの実体験に基づいたお話だそうな。

2番目で13歳のセシルが語り手役なんだけど、大人になること、大人の女になること、への葛藤。垣間見える、複雑な大人たちの人間関係。美しい16歳の姉・ジョスへの憧れと、嫉妬、入り混じった気持ち。大人になっていく体への視線・・・などなどが、すごくまっすぐに描かれている。いやー、13でこんなに突きつけられるのはすごいわ。でもミステリ仕立てで面白い。The Greengage Summer by Rumer Godden, 1958.

6/18 ホーギー、そして失うことについて。
★52『フィッツジェラルドをめざした男』 デイヴィッド・ハンドラー 河野万里子訳 (講談社文庫) 1992

ホーギー・シリーズ3作目。今回は、鮮烈なデビュー作を放った若き天才作家キャメロン・ノイエスの伝記の仕事が舞い込んだホーギー。まだ20代前半、ハンサムで破天荒で才能があって・・・と全てがそろっているようなノイエス。「スチュアート・ホーグ以来の大型新人」と言われている。

いやー、今回のはテーマがとてもよかった。こういうテーマで一度レポート書いてみたかったくらい(^^;)。これでミステリ小説が書けるなんて素敵。タッチがちょっと軽くなった気はするけれど、面白かった。ホーギー君は、挫折も味わって、でも生きていかなきゃね、というスタンスでそこが好き。

そうそう、小説の冒頭で、ノイエスの「左腕の二頭筋には、『失うために生まれた』という文句が入れ墨されている」とある。これ、Ray Charlesのヒット曲、"Born To Lose"からだな、きっと。

この"Born To Lose"は、村上春樹の『ダンス・ダンス・ダンス』に出てきて、ずっと聞いてみたいなあ、と思っていた。主人公の「僕」が死んだ飼い猫を埋めて帰る車の中で、ラジオから流れる。
それからアナウンサーがここでオールディーズを一曲、と言った。レイ・チャールズの「ボーン・トゥー・ルーズ」だった。それは哀しい曲だった。「僕は生まれてからずっと失い続けてきたよ」とレイ・チャールズが歌っていた。「そして僕は今君を失おうとしている」。
(『ダンス・ダンス・ダンス』上 講談社文庫 p.37)
こないだやっとCDを買った。ワーナーの The Definitive Ray Charles。何も失ってなんかいなさそうなノイエス君の腕に入れ墨してある、その対照がおもしろいかも。

今は、この曲を聴いても、自分が"born to lose"とは思わない。でも、これからの人生で、わたしはいくつのものを失い、何人の人を失うのだろう、とふと思うこともある(←村上春樹の読みすぎ^^;?)。相手を傷付け、傷つけられて、失うことになるのなら、最初から一人で生きていった方がいいのかも、と思ったこともあった。

「失うものがない人は強い」とも言う。でも、今は、失うと傷つくほどのものを持っている方が、幸せなんじゃないか、と思う。得る前に失うことを怖がっていては、何も手に入らないのかもしれない。その方が、不幸なのではないかと。"No pain, no gain"とも言うし(←実はことわざ好き)。

ふう。こんなこと考えてたら長くなってしまった。

The Man Who Would Be F. Scott Fitzgerald by David Handler, 1990.

6/11 川原泉
所用で、急遽実家に帰ったら、どこからか借りたらしい川原泉のマンガの文庫版が何冊かあって、ついつい読んでしまった(^^;)。『フロイト1/2』『空の食欲魔人』『中国の壷』。

川原泉のマンガ、小学生の時からよく読んでたなあ・・・。ちょっと久しぶりに読み直して思ったことは、わたしって、どんなに気張ってがんばって背伸びしても、基本は川原泉リズムなんだわ(--)。(分かる人にしかわかんない定義で申し訳ないけれど)。

いや、川原泉のマンガに出てくる女の子たちは、みんな真っ当で、自分のペースで前向きに生きてるから、理想ってっちゃ理想なんだけどさ。でもさ。「あー、わたしのベースって、結局は『もぎゅもぎゅ』とか『かぶりもののネコが重いな〜〜』なんだ」と、すとんと納得してしまった時の脱力感(苦笑)。

でもいいもん、前向きに。

★51『ふたりでまいご』 いとうひろし (徳間書店) 2002

絵本画家・作家のいとうひろしさんは、わたしのお気に入りの一人。一人っ子だったのに弟が生まれて、面白くないおねえちゃんのお話『ごきげんなすてご』シリーズの最新作。1作目では、「弟ばっかりかわいがって。すてごになってもっとかわいがってくれるおうちに行くんだ」と自ら捨て子になったのだけれど、今回は、弟とふたりでまいご。いとうひろし、やっぱりいいなあ。今回はちょっと長めでコミカルさが増していた。

いとうさん、何年か前は、本の作者紹介のところに、「主夫育児休業中」って書いてあったと思うんだけど、子どももこのシリーズの弟くんくらい大きくなったのかな。いとうさんの『おさるのまいにち』シリーズも大好き。

6/9 くどうなおこさん
の講演会に行ってきた。

くどうなおこさんは、『のはらうた』などで有名な詩人(小学校の国語の教科書に載っている「ふきのとう」も彼女の作品だそう)。よく好きで読んでいたので、近くで講演会があるのはうれしい^^。2時間ほど、朗読もたくさんしてくださって、すごくおもしろかった。やっぱり声に出して読むといいなあ。ぱわふるで素敵な人だったし。66歳だそうだけど、いやーあんな風になりたいわ、わたし。

くどうなおこさんの詩は、「もっとゆっくり息してもいいよぅ」と言ってくれるようで好き。詩って言っても全然肩肘張らなくていいし。『のはらうた』シリーズや『ねこはしる』(これは泣ける)も好きだけど、『ともだちは海のにおい』に出てくるくじらといるかがすごく好き。二人は友達で、くじらはいるかをなでてあげるのが好きで、いるかはくじらになでてもらうのが好き。きゅー。1996年に出た、『くどうなおこ詩集○』(童話屋)にもいくつか収録されている。この詩集もおすすめ^^。

6/8
結局、本読んでる^^;。

★49『いちばん初めにあった海』 加納朋子 (角川書店) 1996

中編が2つ。表紙とストーリーがリンクしているのは『ななつのこ』でもあったように加納さんの好みなんだろうな。なかなか。ただ、話的にちょっと上手く進みすぎ、と思うこともあるけれど。

★50『青ひげの卵』 マーガレット・アトウッド 小川芳範訳 (筑摩書房) 1993

むぎゅー。くらくらするほどすごいよぅ・・・なんでこんなに美しくて、静謐で、一見何気ないのに深く考えさせられるような文章が書けるのかしら・・・がるるる(←嫉妬のうなり)。訳者の人の力量もすごいのかな。軽い気持ちで読み始めたのに、ぼーっと読んではもったいないような本だった。

短篇集。この間読んだのが、近未来もの(?)の『侍女の物語』だったし、この短篇集の最初に収録されている「ルゥルゥ」("Loulou, or, The Domestic Life of the Language")がちょっと設定が現実世界と違ったので、他の短篇も「これはわたしが住んでいる現実の続きにあるのか、それともファンタジーなのかな」とちょっと身構えて読んでいくのも何だか緊張感があってよかった。5編収録されてるけれど、どれも好き。くぅー。アトウッド、読まなきゃ。Bluebeard's Eggs by Margaret Atwood, 1983.

6/7 も、もう迷わない(多分)
やっぱり、これでいいんだよね・・・。色んな人に色々迷惑振りまいたけど、決めたことで、すごく気が楽になったし、これだけ考えたもん。もう、迷わない。後は、自分で切り開いていかなきゃ。

しかし、特に(アメリカの)恩師の先生には、迷う心そのままに、決断が二転三転するメールを送りつづけちゃったけど(--;)。すすすいません・・・。他にも、心配をかけた人が、たくさん。

6/5 ぽよん
どうして、わたしはもっとしなやかに生きれないのだろう。
どうして、わたしがやっとの思いで何か決意すると、状況が変わるのだろう(--)。
しあわせってなあに、って聞いても誰も教えてくれないもんね。

6/3
こないだここを更新した時に、本読み過ぎ、というのに気づいて反省したのだけれど。なのになんでまた読むんだろう・・・。5ヶ月で47冊っておいおい。こ、今後はせめて1ヶ月小説は5冊にして、文献を読まなきゃね^^;。

★48『真夜中のミュージシャン』 デイヴィッド・ハンドラー 河野真理子訳 (講談社文庫) 1990)

ホーギー・シリーズ2作目。ゴーストライターのホーギー、今度はイギリスの往年のロック・シンガーの伝記を書くことに。女優でホーギーの元・奥さんのメリリーがすごくかわいい。マティーニに追加でオリーブ一瓶分持ってきてもらって、浸して食べる。あと、ホーギーとの会話の中で3回くらい出てくるんだけど、
メリリー「ばかね、ロマンチストなんだから」
ホーギー「半分は当たってる」
メリリー「どっちの半分?」
で、ホーギーは決まって答えないの^^。
それから、彼女は比喩がおかしくて、「こういうのって、煮豆の山みたいなもんだわ」とか言い出すの。いいなあ。

これ、ラストがよい、と思う^^。がんばれホーギー君。これを読み終わって、ついスーパーでオリーブ買ってしまったわたし。おいしいなあ。The Man Who Lived By Night by David Handler, 1989.

6/1 美術館
1週間ほど前に、新しくできた美術館に行った。開館記念展で「美術館の夢」という特別展と、常設展を見てきたのだけれど、なかなかおもしろかった。

特別展は、日本における美術館の変遷の展示。幻に終わった美術館設立のために、明治の富豪・個人コレクターが集めていたが今は散逸してしまったコレクションの一部が再現されていたり、美術館の設計図からCGで美術館の様子を再現したり。

一番おもしろかったのが、戦後の無審査で自由出品の現代美術展だった日本アンデパンダン展のコーナー。作品が過激になりすぎて、美術館側と対立、中止になった展覧会だそう。いやー、おもしろいというかグロッティ(←ビートルズの映画でグロテスクの意で使われていた)というか過激だわ(^^)。赤瀬川源平の作品もあったんだけれど、・・・赤瀬川源平、わかかったんだなあ・・・^^;(いやでも好きだけど)。

田辺三太郎さんという人の、「不調和音音階」という作品が、ひどく心に残った。いくつものドラム缶の中に、性的なイメージや不安を喚起させるようなものが入っていて、観客は一つ一つのぞきこんではどきっとする。例えば毛むくじゃらのトイレとか(^^;)、 あと、金魚が泳いでるのもあった^^。でもそのひとつひとつのドラム缶の中には、小さく、
"I'm thinking of you"
と書かれていた。

あと「この上を歩いてみてください」と書いてある作品とかね(今回は「触れないで下さい」と注意書きがあったけど)。なんか、オノ・ヨーコとジョン・レノンの出会いのエピソード思い出すな。あと宇宙飛行士の部屋もすごくクール。とか、くすくす笑いながらぷらぷら見てしまった(変な人と思われたかなあ^^;)

あと、わたしはアンディ・ウォーホルが結構好きなので、彼の「ジャクリーン・ケネディ」があったのもうれしかった。わたしは絵は詳しくないけれど、こうやって、のんびりと、静かな空間を楽しむだけでもいいなあ、と思う。常設展の現代美術もなかなかよいし。美術館友の会に入ったので、散歩がてらちょくちょくきて、ぼんやりしようかしら(^^)。

と、思って今日、ふらっと美術館に行って、資料室でも冷やかしてこようと思ったら、「安藤忠雄大講演会」という幕が。(この美術館は安藤さん設計) うわ、安藤忠雄!と思って(←このへんみーはーなので^^;)とことこ行ってみたら、海に面した階段広場で、講演会が開かれていて、最後の質疑応答を20分くらい聞けた。街づくりの話とか、すごくおもしろかったなあ。最初から聞けたらよかったんだけど。教えてくれりゃいいのに^^;。

5月に読んだ本
そう言えば、この間Artの読書リストを眺めていて、「・・・なんて脈絡がないんだ・・・(^^;)」とくすくす笑っていたのだけれど(いや見る人が見れば脈略あるのかも・・・)、わたしもレポートの文献で読んだのとか入れたら、あのくらいは脈略ないかも、とふと気がついた。しかし、文献もこのリストに入れるのはなんかちょっと恥ずかしいなあ。でも入れてみようかしら、ちょっと。あと、一年に何冊読んだか知りたいからナンバーを振ろうっと。

★33『この国で女であるということ』 島崎今日子 (教育史料出版会) 2001

去年、新聞の書評で見てちょこちょこ探してたけどやっと借りれた。島崎今日子さん、新聞のテレビ欄のコラムで時々読んでおもしろいなあと思っていたので。雑誌の『アエラ』の著名人インタビュー・コーナー「現代の肖像」から、女性のインタビューばかり、20本。

割と期待して読んだんだけど、まあまあ、ってところかな。最近、わたしは「普通のひとたち」の生き方の方にすごく惹かれるので、著名人のインタビューにはぴんとこなかったのかも。みんなすごい苦労もしてるけれど、何らかな形で成功してるものねえ。

「普通のひとたち」にも、色々あって、みんながんばってて、ささやかながら幸せな人も、苦労している人もいて・・・というのが、最近なんかしみじみくるのよねえ・・・。あ、でもこの本、著名人ものとしては結構おもしろいと思う・・・吉田美和、やっぱいいよねえ(中・高の時のあこがれの女性no.1だったの^^;)。天海祐希のもおもしろかったし。

★34『残酷な神が支配する』全17巻 萩尾望都 (小学館) 1992-2001

マンガなんだけど。高校生のときに誰かから最初の5巻くらい貸してもらって、その後ずっと続き読みたいな、と思ってた。やっと見つけた、借りれるところ(^^)。

ふあああ・・・。読んでると足のつま先に力が入るんだよね、このマンガ。主人公のジェルミくんは、母親の再婚相手に性的虐待を受ける。読んでるとほんとに辛くなるし緊張するのだけれど、丁寧に書いてるよねえ・・・。映画とかでもこういうテーマあるけれど、それを中心に描いてるのは少ないんじゃないかな。まして苦しみと傷の深さをここまできちんと書いてるのはねえ・・・。

ジェルミくんが、何度も「僕のせいなんだ」って苦しむのがつらいなあ。(何言ってんの!)と思ったんだけれど、よく考えたら、きっとわたしもそう思い込むだろうな、と。もうこれは、何度も「君のせいじゃない」って言ってあげるしかないんじゃないかしら、セラピストとかカウンセラーが。

ラストに賛否両論あるみたいだけれど、わたしはこれでいいんじゃないかな、と思った。傷はそう簡単に癒せるものではないのだから・・・。映画とか本で、「子どもの頃に性的虐待を受けて・・・」とさらっと人物描写で出てくることがあるけれど、そんな一言で収めてしまえるような傷では、ないのだと思う。

★35『殺人は広告する』 ドロシー・L・セイヤーズ 浅羽莢子訳 (創元推理文庫) 1997

ウイムジー卿シリーズ。いやー、これはおもしろかったぁぁ・・・広告制作社を背景とした殺人ミステリ。ウイムジー君、やるなあ。作者のセイヤーズは、広告の仕事をしてたそうで、描写が生き生きしててすごくよかった。しかし、何冊かすっとばして読んだので、いつの間にかウイムジーの親友のパーカー主席警部と、妹のポリ―が結婚してるじゃないか、いつの間に(@@)。ウイムジーもの、続けて読んでみるか・・・。Murder Must Advertise by Dorothy L. Sayers, 1933.

★36『雲なす証言』 ドロシー・L・セイヤーズ 浅羽莢子訳 (創元推理文庫) 1994

ピーター・ウイムジー卿シリーズ、2作目。ピーター卿のお兄さんのデンヴァー公爵が殺人容疑をかけられてる羽目に。

デンヴァ―公妃(ピーターの義理のお姉さん)はさりげなくみんなにきらわれていて(^^;、先代公妃(ピーターのお母さん)はすごくしっかりしてていい人。なんか嫁姑関係が見え隠れしてておもしろい。貴族を裁判にかける時は、特別な裁判だそうで、そこの描写も面白かった。あ、ここでパーカーさんとポリ―は出会ったわけね。Clouds of Witness? by Dorothy L. Sayers, 1926.

★37『不自然な死』 ドロシー・L・セイヤーズ 浅羽莢子訳 (創元推理文庫) 1994

導入がなかなか上手い。ピーター卿の助手をつとめる中年の女性がなんかいい(^^)。1920年代にかかれたシリーズなので、どういう感じで生活しているか想像しにくいんだよね・・・(わたしは第2次大戦の前の時代は時代感覚に乏しいので)。しかも、貴族が主人公だからなおさらねえ。車は普通にあるのね?とか、あれ、アメリカに行くの・・・って船?あ、飛行機なのね・・・とか、馬車ね、馬車・・・とか。しかし、イギリスの貴族って今でもこんな優雅に暮らしてるのかしら。 Unnatural Death by Dorothy L. Sayers, 1927.

★38『毒をくらわば』 ドロシー・L・セイヤーズ 浅羽莢子訳 (創元推理文庫) 1995

ウイムジー恋をするの巻。なかなかミステリーとしてもおもしろかった。執事のバンターさん、すごいなあ。よく働く。1作目の『誰の死体?』では、カメラ(だっけ)をねだってみたりとおちゃめな面も見せてたけど、ここまで来ると、出来すぎて執事サイボーグのようだ^^;。ピーター卿のお世話(料理から洋服のコーディネート、お風呂の用意)から捜査の手伝い(尾行・化学分析・女性に言い寄って証言を聞きだす)まで涼しい顔してやるもんなあ。給料いくらもらってるのかしら。Strong Poison by Dorothy L. Sayers, 1930.

★39『ピーター卿の事件簿』 ドロシー・L・セイヤーズ 宇野利泰訳 (創元推理文庫) 1979

短篇集。時期がばらばらな短篇を、日本で編集したもののよう。後書きがちょっと面白い。

★40『螺旋階段のアリス』 加納朋子 (文藝春秋) 2000

『不思議の国のアリス』をちょっとモチーフに使っている。早期退職制度を使って念願の探偵業を始めたおじさんのお話。なんかメルヘンだ(^^;。

★41『沙羅は和子の名を呼ぶ』 加納朋子 (集英社) 1999

これは加納朋子さんにしたらちょっと異色かな。彼女の本は、同じテーマ(登場人物が同じ)の短篇を1冊にまとめたものがほとんどなのだけれど、これは普通の短篇集。ほどほど。いつものスタイルが好きかな。

★42『ステップファーザー・ステップ』 宮部みゆき (講談社) 1993

再読。かるーくぼーっと読みたかったのだけれど、ちょっと軽すぎるか^^;。かわいいけどね、ふたごくんが。

★43『九マイルは遠すぎる』 ハリイ・ケメルマン 永井淳/深町真理子訳 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 1976

いわゆる安楽椅子ものに入るのかしら。英語・英文学教授のニッキイ・ウェルトを主人公とする短篇集。ちょっと強引な展開のところもあったけれど、なかなか。ボストン近郊の小さな大学町ってこんな感じなのかねえ。1967年に書かれたものだけど、時代を考えたら非常に静かな大学だなあ^^;。The Nine Mile Walk by Harry Kemelman, 1967.

★44『女性の就職、それから―短大・大卒167人の生き方さがし』 市川幸子 (一葉社) 1996

働き始めて、5年目・10年目・15年目の女性のアンケートをまとめたもの。働くことをものすごく考えていた時期に読んだので、2回読み返した。これ読んでたらバスの中で泣けてきたんだった・・・。こういう普通の女の人たちが何を思って生きてるのか、今はこれが気になる。だからインターネットの日記とかもおもしろいんだろうなあ。

★45『生涯学習と図書館』 塩見昇 (青木書店) 1991

最初読みにくいけれどなかなかよくまとまっている。

★46『アメリカ社会とコミュニティ』 本間長世編 (日本国際問題研究所) 1993

これで「読まなきゃいけない本」リストができたな・・・。面白かった。

★47『時の娘』 ジョセフィン・ティ 小泉喜美子訳 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 1977

再読。どきどきするほどおもしろいのよねえ、これ。寝台探偵(安楽椅子探偵)もの・歴史ミステリの名作と言われてるだけあるわ。勤務中にマンホールにおっこちて入院中のグラント警部は、ひまにまかせて、リチャード三世の肖像画を眺め、推理し始める・・・。社会学好きとしては、「トニイパンディ」が素敵すぎる^^。ちょっと面白くなって調べたんだけど、アメリカの大学の歴史の授業に、この本を課題で読ませるところが結構あった。ふふふ。

4月中旬-下旬
今更ながら。

★32『ローワンと魔法の地図』 エミリー・ロッダ さくまゆみ訳 (あすなろ書房) 2000

話題のローワン・シリーズ1作目。なかなかよい。この情けないローワン君がいいんだわ、また。
作者はオーストラリアの人だそう。絵が佐竹美穂さんなんだけど、この方最近ファンタジー系に異常なまでに使われてるよねえ・・・独占市場なのかしら。

Rowan of Rin by Emily Rodda, 1993.

★31『ローワンと黄金の谷の謎』 エミリー・ロッダ さくまゆみ訳 (あすなろ書房) 2001

これもなかなか。しかし、ローワン君なんで君は花粉症なんだ(^^;。空気がいいとこに住んでるんだから・・・。

Rowan and the Travellers by Emily Rodda, 1994.

★30『ローワンと伝説の水晶』 エミリー・ロッダ さくまゆみ訳 (あすなろ書房) 2002

次から次へとよく災難(?)に遭うなあ、彼は^^;。これだけ情けない主人公でシリーズものは珍しいと思う。確かに、少しずつ成長はしているけれど、これだけの経験したら、たいていの児童文学は1冊でどおんと成長させるぞ。3作目は成長の幅が大きいけど。でも、こういう主人公だとなんだかほっとするよねえ。いい子だし。
さりげなく家族の問題あつかっているのも○。(ローワン君のお母さんは夫(ローワン・父)と死別、今はストロング・ジョンと婚約中。)ジェンダー・ロールもステレオタイプじゃないし。モダンだわ。

Rowan and the Keeper of the Crystal by Emily Rodda, 1996.

★29『ドミノ』 恩田陸 (角川書店) 2001

ははっ、マンガみたいでおもしろかった。東京駅を舞台にした、どたばた・ミステリ(?)。でも、生命保険会社の描写が何かリアルだなあ。わたしは現実知らないからリアルかどうかたぶん分かってないけど・・・。
思わずまじまじっと付属の東京駅地図を見てしまった。この後、東京駅行ったけど、確かにわけわかんないわ。
しかし恩田陸、作風が多彩だ。

★28『六番目の小夜子』 恩田陸 (新潮文庫) 1998

恩田陸デビュー作。これがデビュー作か、確かに力量あるなぁ。実家から神戸に帰る時に読む本がなくなったので、本屋さんで購入。

★27『月曜日の水玉模様』 加納朋子 (集英社) 1998

これはおもしろかった。良い意味でマンガっぽくて。後5・6年早く読んでれば、萩君(準主役)にほれてたわ、間違いなく(笑)。だってかわいいんだもん。主人公の女性もいいよね。加納朋子さんは、設定の不自然さが気になる時と、逆にいい感じの時とあるけれど、この作品は後者。中高校生の女の子にもおすすめ。加納さん、しばらく会社勤めしながら小説を書いていた人だから、普通の会社勤めの女性の描写がすごく素敵。

★26『魔法飛行』 加納朋子 (東京創元社) 1993

『ななつのこ』の続き。やっぱりちょっと「わかい」感じがする。もう一息なんだけど。でも女子短大生の描写はさすがに上手い。

★25『笑いごとじゃない』 ジョセフ・へラー/スピード・ヴォーゲル 中野恵津子訳 (ちくま文庫) 1990

『キャッチ=22』のジェセフ・へラーの闘病記。ポール・サイモン(とその家族)がちょこっと出てきて面白い。しかし、ジョセフ・へラー、すごすぎる^^;。色んな意味で。
闘病中に出会った看護婦のヴァレリーと結局結婚したのね。1999年12月に75歳で死去。 No Laughing Matter by Joseph Heller & Speed Vogel, 1986.

★24『古書店めぐりは夫婦で』 ローレンス・ゴールドストーン ナンシー・ゴールドストーン 浅倉久志訳 (早川書房) 1999

古本収集に血道をあげるようになってしまった夫婦のお話。
楽しそうではあるけれど、「おいおい、あなたたちそんな高いの買ってもいいの^^;??」とつっこみつつ読んでしまった。娘もまだ小さいんだから(余計なお世話だけど)。きれいな装丁の本は手元に置いておきたいものではあるけれど。Used and Rare Travels in The Book World by Lawrence and Nancy Goldstone, 1997.

★23『バレエダンサー』上・下 ルーマ・ゴッデン 渡辺南都子訳 (偕成社) 1991

再読。これはとーーーってもおもしろい。児童文学の大家、ルーマ・ゴッデンの作品。舞台はイギリス。姉のクリスタルが通うバレエ教室についていくうちに、弟のデューンがバレエにのめりこみ、才能を開花させ始める。母親は、自分が子どもの頃ちょっとバレエをやっていたその夢を娘にかなえさせたいんだけど、弟の方は目に入っていない。父親も、「男の子がバレエか?」と渋い顔。でも、才能が本当にあるのは弟で・・・というお話。でも、素直で才能があるデューンが成長していく様子だけじゃなくて、わがままでふらふらしているお姉さんのクリスタルが成長していくのもきちんと書いているのがさすがゴッデン。映画の『リトル・ダンサー』にちょっとストーリーは似ているのかな(まだ見てないので)。

ゴッデンさんは、1907年生まれなので、この本を書いた1984年には77歳。77歳でこれがかけるなんて・・・すごすぎる。1998年没。Thursday's Children by Rumer Godden, 1984. 原題は、マザーグースの一節からだそう。

★22『カンガルー日和』 村上春樹 (講談社) 1983

古本で文庫を安く売ってたので買ってしまった。読むたびに、静かに紅茶でもいれて飲みたくなるなあ。そしてわたしは、「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」を読むたびに軽くため息をつくのだろう。人生には、ある種の不運がデフォルトで内包されているのかもしれない。

★21『誰の死体?』 ドロシー・L・セイヤーズ 浅羽莢子訳 (創元推理文庫) 1993

貴族探偵ピーター・ウィムジイ卿シリーズ、その1。原書は1923年刊。ウィムジイ卿は、デンバー公爵家の次男だから、公爵家を継ぐ苦労もなく、不労所得で希少本コレクションとか集めているのだ。いい身分だよなあ^^;。1冊目はまあまあ、といったところ。Whose Body? by Dorothy L. Sayers, 1923.

★20『グラタンおばあさんとまほうのアヒル』 安房直子 いせひでこ絵 (小峰書店) 1985

これですわ、お皿にくっついているアヒルの話・・・ひさびさに読んだらやっぱり面白かった^^。おさらのアヒルはふしぎなアヒル♪って歌ってお皿から出たり入ったりするの。絵もいいし、配色もきれいだし、お話も好き。グラタン食べたくなったよ、特にほうれん草のグラタンとお魚のグラタン。しかし、栗のグラタンてのはおいしいのかしらん。

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