突然のメール失礼いたします。
私、OO大学医学部O年のOOOOともうします。
先生のホームページをみて、是非質問してみたいことがありまして、メールさせてい ただきました。
症例:62歳女性。3カ月前から歩行時の軽い息切れがあり、胸内苦悶間を覚えるので 入院した。 当時血圧166/66mmHg、胸部X線で心肺係数73%、ECGにて低電位差を認め、基礎代謝率 +13% 肺機能は呼吸数38/分、一回換気量220ml、肺活量630ml、%VC28%、%FEV1.0 100%で あった。 会話中も頭がさえないといい、検査中も眠り込むことが多かった。 問1
この患者の病態を明らかにするために、まず確かめておくべき事項を、臨床的意義の 大きいものから3こ選べ。
1 赤血球増多の有無
2 糖代謝異常の有無
3 肝解毒機能異常の有無
4 動脈血ガス分析値
5 体重肥満度問2
この患者の治療として第一選択となるのは次のどれか?
a 酸素吸入
b 強心利尿薬投与
c インシュリン注射
d 低カロリー食餌療法
e 甲状腺ホルモン投与以上の問題です。 問1は1.4.5が正解 問2はeが正解でした。
問1は、疾患がPickwick症候群だと思えば解答できそうなんですが、問2の解答が分か りません。
Pickwick症候群ならば、酸素投与もしくは低カロリー食餌療法が選択されると思うの ですが・・・
どうぞよろしくお願いいたします。
(東京 N君)
96/12/15
電子出版の準備その他で大変遅くなりました。
問2の正解がeということでしたら「甲状腺機能低下症」となるはずですね。ところが 症例文での血圧の値が高すぎますし、基礎代謝の値も非典型的です。尤も基礎代謝は よほど計り慣れた人でないと高めに出てしまうので「さもありなん」と思ってしまいますが。
この症例がたまたま「橋本病」で高血圧と甲状腺機能低下による心嚢液貯留が合併していても おかしくないのですが、それはたまたまそうなのであって基本的な病態を勉強するのに 混乱を生じさせるだけの出題のように考えます。
皆さんもご存じとは思いますが 国家試験はもっと典型的な症例のみが出題されますし、偶然の疾患の 合併がある症例はまず出題されません。何度も書いてきましたがこのような問題は TECOMやメックのようなしっかりとした出版社が行う模擬試験では当然採用されませんし、 こんな問題を1回でも作成したら編集会議でめちゃくちゃに言われて この問題を作成した人のところには2度と問題作成依頼など 来なくなること請け合いです。
まず典型例をしっかりと勉強するのが臨床の基本ですし、学生さんにこのような問題を 答えさせるのは「百害あって一利なし」ではないでしょうか。大切なこの時期に 大変な時間の無駄でしょう。良く練られた問題を解いて勉強するのが合格への近道と言えます。
いよいよ差し迫ってきましたが卒試対策、国試対策うまく使い分けて(本当は良い卒試ならばそのまま 良い国試対策になるはずなのですが)頑張って下さい。