はじめて、質問させて頂きます。T大学6年の0000です。チャートは全て 読まさせて頂きました。学校の卒業試験で真性多血症が問題で出ていたのですが、血清鉄 は低下でよいのですが、「血清フェリチンは必ずしも高値ではない」が×でした。貯蔵鉄 が低下することから血清フェリチンも低下、つまり「高値ではない」は○だと思うのです が、如何でしょうか。僕の記憶が定かではないのですが脾臓で壊された赤血球があるので 血清フェリチンは増加するというのをどこかで見たような気がするのですが。
(96/10/28 21:43 東京都)
96/10/27
症例問題ではなく 一般問題であれば貴君のおっしゃるとおりでむしろ低値です。
フェリチン(ferritin)は球形のアポフェリチン(蛋白)の殻の中に1分子あたり2500個の鉄分子 ミセルをもつ 分子量約44〜48万の易利用性の貯蔵鉄蛋白です。
肝・脾に多く,その他骨髄・腸上皮・胎盤などの臓器,体液中にも存在します。
血清フェリチンの値は一般的に組織貯蔵鉄の量ととかなり直線的に 一致し、1μg/lの血清フェリチンは8mgの組織貯蔵鉄に相当します。
この原則に反し、組織貯蔵鉄とは無関係に血清フェリチン値が増加する場合として鉄剤静注後のフェリチンの合成誘導, 輸血のヘモグロビン鉄による貯蔵鉄の増大,慢性炎症・感染・悪性腫瘍にみられる網内系への鉄貯留, 肝炎などの肝細胞崩壊による血中への逸脱,白血病、肝癌,膵臓癌,肺癌,子宮癌やその転移などがあります。 これらの場合には血清フェリチン値は増加します。
真性多血症では多くの場合、特に反復瀉血後は貯蔵鉄が低下し血清フェリチンの値も低下します。
但し上に挙げたような慢性炎症・感染・悪性腫瘍が合併している症例では上昇してもおかしくはありません。
「必ずしも高値ではない」という言い回しが×になった理由でしょうか?
もしもそうだったとしたら 国試や模試ならまずは不適切問題となるような問題ということになりますが。ま、国試のためには 皆さんはこのような枝葉末節は兎も角として事実のみを覚えておくようにしましょう。真性多血症では血清フェリチンは低下です。 足立先生こんにちは。 御忙しい中、質問への解答有り難うございました。 早速、勉強会の仲間に知らせたいと思います。
3回生ですが、国試の勉強はいつから、なにからすればよいですか。
96/10/25 22:44 鳥取県 M君
96/10/27
まさか3回生から国試についての質問が来るとは 思いませんでしたので5回生と思って下記に回答を書いてしまいました。
3回生でしたら良い参考書を使って医学の基礎的な力を付けられることでしょう。
例えば生理学で心電図を習ったら臨床への橋渡しになる「Dale Dubinの心電図の読み方」を 読んでおく(2−3時間で通読できとてもわかりやすく医者になっても役立つ本です。) などが良いでしょう。いきなり国試の過去問題の解説を読み始めたり、臨床の勉強を系統立てて やり始めない方が得策でしょう。しかしいろいろな機会に出てくる個々の病気の名前や細かい事項について無関心でいるわけではなく 知らない言葉に出会う度に「医学大辞典(医歯薬出版)」で調べ線を引いて覚えていくようにしましょう。 この本の内容は一言一句国家試験の範囲を逸脱していないし、低学年でも読んでわかるようになっているのが 特徴です。
それから低学年のうちに矢田先生の「医系免疫学(中外医学社)」など通読できる良質の 本をできるだけ読んでおくようにしましょう。
いきなりたくさんの本を挙げてうんざりさせてもいけませんので今回はこれくらいに しておきますが折に触れてまた連絡を下さい。
3回生ですのにインターネットにアクセスし、しかもまだまだ先の国試の準備を考えておられるようで 将来を楽しみにしています。
5回生ですが、国試の勉強はいつから、なにからすればよいですか。
96/10/25 22:44 鳥取県 M君の学年を回答者が間違えたもの
96/10/27
卒業試験と重なって6回生の今頃は先日の某国立大学医学生のように 覚醒剤にまで手を出すほど心身共に疲弊してしまう人も出てくる ほどです。しかし5回生の今頃からそろそろ情報を集め始めておれば大丈夫です。
大学の授業、ポリクリの進行状況とうまくからませて、しかも学生としての医学以外の楽しみも 捨てないで無理なく計画を立てて下さい。今からなら出来ます。
5回生でしたら細々とした知識を詰め込んで覚えるよりも何といっても病気の仕組みの理解と それぞれの病気の位置づけの把握が先決です。
そのためには自著で申し訳ありませんが「内科のチャートシリーズ(1−5巻)医学評論社」が最適です。 寝っ転がって読んでも、通学の途中の電車の中だけでも 1巻と2巻は薄いのでそれぞれ1週間もかからないでしょう。基礎医学の知識はある程度必要ですが 内容は中学生でも!!!理解できるように書いてありますので引っかかるところは ほとんど無いはずです。読んでいる途中で投げ出す人もいないように書きました。
国試対策の内科は5回生の間はこのチャートを何回か読めるだけ読んでおく程度に留めておきます。 国試全体の把握とポリクリのために石黒の「ランダム外科学」、「コンパス産婦人科」、 「小児科チャート」などの名著(楽にものにするための本)は機会があるごとに目を通す ようにしておくと自信もつき、あとあとまで大変楽です。
「100%眼科」などのマイナーも弱点を作らぬよう1冊ずつは揃えておけば良いでしょう。
余力のある人は5回生のときにTECOMやMECの定評ある模擬試験を受けてみましょう。 数年先の国家試験をねらった、受験参考書では得られない 最新の情報が入った選りすぐった良問とその解説があり、学内の試験で間違ったところを 悔やんでいるよりは何十倍も役立ちます。
春休に入って余裕のあるときに、これも自著で申し訳ないですが医師国家試験問題解説書(医学評論社) に一度目を通し国試がどんなものかを研究します。「敵を知る」ことがとても大切だからです。 この時点では分からないことがあってもかまいません。「こんなのが何年前に出ていたな」と 本格的に国試の勉強をするときにふと想い出せるか想い出せないかで差が出てしまうのです。 最低第90回、余裕のある人は第89回、88回も見ておくと良いでしょう。
6回生に入ってからは調べるための本(朝倉など)の通読などへたな勉強はしないよう に気をつけましょう。これをやると大概の人は途中でくたばり敗因となることさえあり危険です。
前述の模擬試験などを大いに活用するのが得策です。敢えていうならば ふつうに勉強していればTECOMやMECの定評ある模擬試験のその年の問題さえ理解していれば 国試は大丈夫とも言えます。大学にもよりますが特に国立の場合、学内の試験は出題目的もシステムも異なり、 国試のためにも実地臨床上も無駄が多すぎてかえって邪魔になることさえありますのでこれも注意して 掛かって下さい。
是非能率の良い勉強法によって余裕を生み出して、人間性を育み知識技量とあいまって立派な 医師になられるよう願って止みません。
大まかにお答えしましたがそれぞれの方の勉強のレベルに合わせてお答えしますのでどうぞご遠慮なく どなたでもまたご質問下さい。
基本的に学生時代からこのようにインターネットを活用出来るほどの 情報活用能力のある医学生は将来有望です。
あまりお役には立てませんが いつまでも心から応援していますので頑張って下さい。
はじめて、質問させて頂きます。T大学6年の0000です。チャートは全て 読まさせて頂きました。学校の卒業試験で真性多血症が問題で出ていたのですが、血清鉄 は低下でよいのですが、「血清フェリチンは必ずしも高値ではない」が×でした。貯蔵鉄 が低下することから血清フェリチンも低下、つまり「高値ではない」は○だと思うのです が、如何でしょうか。僕の記憶が定かではないのですが脾臓で壊された赤血球があるので 血清フェリチンは増加するというのをどこかで見たような気がするのですが。
96/10/28 21:43 東京都
96/10/27
症例問題ではなく 一般問題であれば貴君のおっしゃるとおりでむしろ低値です。
フェリチン(ferritin)は球形のアポフェリチン(蛋白)の殻の中に1分子あたり2500個の鉄分子 ミセルをもつ 分子量約44〜48万の易利用性の貯蔵鉄蛋白です。
肝・脾に多く,その他骨髄・腸上皮・胎盤などの臓器,体液中にも存在します。
血清フェリチンの値は一般的に組織貯蔵鉄の量ととかなり直線的に 一致し、1μg/lの血清フェリチンは8mgの組織貯蔵鉄に相当します。
この原則に反し、組織貯蔵鉄とは無関係に血清フェリチン値が増加する場合として鉄剤静注後のフェリチンの合成誘導, 輸血のヘモグロビン鉄による貯蔵鉄の増大,慢性炎症・感染・悪性腫瘍にみられる網内系への鉄貯留, 肝炎などの肝細胞崩壊による血中への逸脱,白血病、肝癌,膵臓癌,肺癌,子宮癌やその転移などがあります。 これらの場合には血清フェリチン値は増加します。
真性多血症では多くの場合、特に反復瀉血後は貯蔵鉄が低下し血清フェリチンの値も低下します。
但し上に挙げたような慢性炎症・感染・悪性腫瘍が合併している症例では上昇してもおかしくはありません。
「必ずしも高値ではない」という言い回しが×になった理由でしょうか?
もしもそうだったとしたら 国試や模試ならまずは不適切問題となるような問題ということになりますが。ま、国試のためには 皆さんはこのような枝葉末節は兎も角として事実のみを覚えておくようにしましょう。真性多血症では血清フェリチンは低下です。
足立先生こんにちは。 御忙しい中、質問への解答有り難うございました。 早速、勉強会の仲間に知らせたいと思います。
貧血でESRが亢進する機序を教えてください。
96/10/12 19:02 茨城県 0000さん
96/10/13
赤血球沈降速度(赤沈,血沈)は赤血球の連銭形成に関連したものと考えられています。 赤血球は負に荷電しているので,互に反撥しあっているので、当然のこと陽性に荷電している 蛋白質(フィブリノゲン,γ-グロブリン,骨髄腫蛋白等)が増加すると赤血球は陰性電荷を放電し ,赤沈値は高くなります。
貧血だけでなく,高コレステロール血症,妊娠,血沈チューブ傾斜,炎症性疾患によって 血沈値は増加します。逆に多血症,赤血球形態異常,副腎皮質ホルモン,心不全などは低下することが 知られています。しかしこれらの詳しい機序についてははっきりとは分かっていません。
古くから使われ、検査技術の進んだ現在でも身近で頻繁に利用されている検査法ですがその機序についての研究は以外と進んでいないのですね。
都内のある大学の5年生です。ただいまポリクリの最中です。今内科を回っ ていて持ち患が自己免疫性肝炎と診断されまたシェーグレン症候群も合併している模様で す。レポートを書くのに参考になればと思いご相談してみました詳しいデータとかは書く ことができませんが一般的な診断、治療、予後などを教えてください。よろしくお願いします。
96/10/13 15:12 東京都 Kさん
96/10/13
大変興味深い症例のようですね。
「シェーグレン症候群」も「自己免疫性肝炎」ともに国家試験でも大変大切な事項ですので これを機会にしっかりと勉強して下さい。
両者の合併例は国家試験の範囲は超えますが報告例はいくつかあり単なる合併というより 疾患の機序を考える上で示唆に富む症例です。
教科書で勉強するなどというレベルではなくインターネット上で文献検索にあたり 受け持ち医以上にワークアップするのがポリクリの楽しみとしましょう。
野口英世がフレクスナーの実験助手をしていたときに毒蛇の文献を片っ端から纏め上げてしまい アメリカ人研究者を唸らせてしまったという逸話が有名ですがこのページにアクセスするほどの 時代を先取りする医学生にとっては同様のことは難なくやり遂げるのではないでしょうか。
ま、できる範囲で頑張って下さい。
1995年10 月の「日本臨床」という雑誌の「シエーグレン症候群」と「自己免疫性肝炎」についての関連を述べた 論文とか同じ年にClinical Rheumatologyという雑誌にDurandという人がC型肝炎との合併例などの 論文を書いていますがこういうのも含めて検索をして楽しんで下さい。はっきり言って学生が少し文献検索をすると受け持ち医よりも詳しく調べてしまいます。 実際アメリカの有名大学でのカンファレンスでは学生の意見も十分に反映されます。 日本でも近々そうなるでしょう。
なお、再度申し上げますが本件の合併例そのものは国家試験の範囲を超えています。このページを見て 慌てる必要はありません。国試準備中の方は国試範囲内のことに絞って勉強しましょう。
低カリウム性アルカローシスが肝性昏睡を誘発するのは何故ですか?
96/10/ 7 23:16 長野県 0000さん
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「低カリウム」「アルカローシス」自体が意識低下,不随意運動,場合によっては 痙攣の誘発因子です。
肝性昏睡で状態が悪いところへさらに意識状態を増悪させます。 特に大量輸血など「代謝性アルカローシス」を起こす処置には注意が必要です。
問に答えよ。
45歳、男性。元来健康であったが6ヵ月前より労作時の息切れが強くなった。喀痰 はないが咳嗽がある。
主な検査所見
血沈 50mm(1時間後)
LDH 700lu/■
胸部X腺写真で横隔膜挙上と周囲肺野特に下肺野を中心にスリガラス様陰影が認め られた。
PaO2 50mmHg, PaCO2 35mmHg, pH 7.38
肺活量 68%、一秒率 85%(a)最も考えられる疾患名は次のうちどれか。
(b)鑑別すべき疾患として妥当なものを次よりすべて選べ。
- chronic bronchitis
- bronchioctasis
- pulmonary emphysema
- Idiopathic Interstitial pneumonia
- sarcoidosis
- pulmonary silicosis
- bronchial asthma
- hypersensitivity pneumonitis
- radiation pneumonitis
- lung cancer
- aspiration pneumonia
(a)の答えはd)だと思うのですが、(b)がわかりません。教えてください。
96/10/ 3 21:31 Mさん
![]()
おっしゃるように(a)の答えは「間質性肺炎」です。
体動時の「乾性咳そう」,「呼吸困難」。自己免疫を検査所見のうち血沈の亢進が示されており 特に「間質性肺炎」の病勢に応じて変化するLDHの上昇が記載されています。
初期の「磨りガラス様陰影」も特徴的ですが「横隔膜挙上」がみられるほど進行したころには 実際には「輪状陰影」や「蜂巣状」になっていることが多いです。AーCブロック、拡散障害による低酸素状態、それをおぎなおうとして過換気をおこしCO2は 低下気味となります。結合組織の増加によりコンプライアンスが低下し、 拘束性障害で%肺活量が低下するまでぴったりです。
さて(b)ですがはっきり言って医師国家試験ではこういう出題はされません。もちろん「テコム」、「メック」 など の有名模擬試験でもこんな問題はありません。
一度でもこういう問題を作成したらその作者にこういう権威ある会社からの問題作成の依頼は以後一切来なくなるでしょう。あまりにも主観的な判断に依りすぎますし、いくつ答えたら良いのかも書いてありませんね。
但し、高率に合併する「肺ガン」は必ず入れておいて下さい。強いて言えば全部が鑑別の対象になります。
この問題の答えが分からなくても気にしなくてもいいです。出題者からの解説があるでしょうから、 出題の意図を伺っておきましょう。
本例のX線写真を是非見たいと思います。 数値の設定、先程書いた「横隔膜挙上」などからして実際の例ではなく机上の空想で作成された出題でしょう。そういう面からも こういう問題は実際の国家試験や模擬試験では採用されません。
拝啓
私は、CHARTシリーズで内科学の勉強がとてもおもしろくなりました。とても感謝い たしております。
さて、CHART INTERNAL MEDICINE4 について質問があるのですがよろしいでしょうか。 p.221 10行目の大動脈弁位についての説明で、「弁口が開いているときが左室の拡 張期。したがってOC間が拡張期で、CO間が収縮期である。」とあります。しかし、収 縮期には大動脈弁は開かなければならないので、「OC間が収縮期、CO間が拡張期」で あると考えられます。するとこの考えでは、チャートの説明と矛盾します。わかりや すく説明をして下さるようにお願いいたします。
先生のますますのご活躍をお祈り申し上げます。
敬具
96/10/01 T君
![]()
ご指摘のとおり,「収縮期」「拡張期」の記載 が逆になっていますね。
私が直接編集に携わった訳ではありませんが気が付きませんでした。
明朝担当の方に確認をしてみます。
「再生不良性貧血」の「鉄芽球」,「劇症肝炎」で多いものなどについても9月16日のこのホームページの記載も参考にして下さい。 時々はこのページをご覧になることをお勧めします。