発行日:’91年 8月27日(火)
発行:守山リス研事務局

リス研通信 No.53

'91.8.25 調査報告会での報告より。

キャンプ調査旅行結果報告特集(3) ==特集==

日時:’91年8月11日(日)夕方 野田市清水公園 交流会
8月12日(月)早朝 野田市清水公園 調査 

事前に無線で、Aさんに連絡し、清水公園キャンプ場で迷う事なく合流。タープやテント2台を既に設営して頂き一同大感激した。(鎌倉でテントを立てる際時間がかかったため。)いつものお手紙と最近の電話から、その人柄が充分推察されたが、その通りの方であった。少しの時間を見て、事前に清水公園のリス給餌器の場所へ案内も頂いた。18:30 から野田清水公園のリスを守る会のI会長、Yさん、Sさん等とAさんアレンジのレストラン「ホームラン」で食事をしながらいろいろ話しを伺い、夜9:00までも。翌日6:00に起床し6:30に調査したが、わざわざ出向かれて全コース案内を頂いた。


K夫人の報告

公園には、高さ20m前後の赤松が沢山生えており、リスは青い松ボックリを木の上で食べる。食べる時燐片がはらはらと回転しながら幾つも落ちてきて、最後に林檎の芯のようになった残りがポツントと落下してくる。ほかにスダジイなどもある。カシ、シイの実をやったがあまり食べていない。鬼グルミが主要な餌であるようだ。早朝6時に餌がでる頃から給餌台のそばに数匹のリスが集まってくる。キャンプに来ていた子供や大人もリスだリスだと喜びの声をあげて指さしていた。日常茶飯事の出来事との事で、羨ましい限りであった。自動給餌機は10台あり、太陽電池で作動する。

鬼グルミは、長野県の和菓子屋さんから、麻袋に20kgづついれて年間20万円ほど購入。繁殖のスピードの要因は、すべて餌なりとの事である。リスの隠した鬼グルミが、数カ所で発芽し、高さ5m程に成長し実をつけていた。鬼グルミは、数本まとまらないと実をつけない由。(ちょうどいちょうの木の♂♀が必要なのと良く似ている)リスは本能で知っているようだ。しかし5年で実が実るということは貴重な情報であった。クルミは落ちる時、3つづつ落ち2個は犠牲となり1つを必ず地面に押し込み発芽させる。」という自然の不思議さをYさんは説明してくれた。

リスを守る会の発足は青年会議所のメンバー7人と市民を合わせて約40人で、実動は20人程。守る会の活動記録としてリス観察めもを必ず各自で記入。1ケ月に一回会員との活動(例会)。ホトンド毎日調査に清水公園に訪れデータをとっている。会費は0円。運営はグッヅを年間40万円、祭りでかき氷を売って20万円程で餌代や会費、月一回の例会と二次会の食費・飲み代を賄っている。

当初リスを捕獲するため富士山麓へ20日間こもり、24時間体制−4交代で捕獲し、当地までピストン輸送した由。この事をSさん(美人で、お茶の水大を卒業し3年イギリスへ留学植物研究)もとってもがんばってやったとの事。そんな活動も今年で5周年として11月3日に椎名誠氏の講演会、映画会、リス写真展を開催する予定。又記念として記録をまとめ配付する由。

リスの数

5年前に♂、♀各5匹づつ、放し飼い。その後後6 ケ月で二世が生まれたのは日本で始めて。毎年3〜5匹子リスが生まれて現在30匹を越えた様子。寿命3〜5年。死亡したリスは確認した事はない。6ケ月後リスがつくった巣は3個。53個の巣箱をかけたが当初は使用せず。現在はしっかり使われている。

生息環境

15ヘクタールの公園の中に、キャンプ場が3カ所もあり、アスレチックもある。(20万平米)皮剥ぎは殆ど見られない。強いていえば、鎌倉のパッチワーク状のものに近い。何時も南向きの巣箱の利用率が高い。穴は天敵から逃げるための非常用として2ケ所(従来は一ヶ所)。屋根は平らで、一部を蝶番で開けられるようにして巣箱の中を覗けるように改良。木の高さ7mの所にかけてある。

餌の状況

最初の3年間は毎日、雨、嵐、雪どんな天気でも早朝に、鬼グルミを与えた。現在は、自動餌供給器で、朝6時になると10個前後自動的に放出される。【写真】図面はないが、詳細写真を撮ってきた。


リスの自動給餌器の概要

[自動給餌器の構造図]

巣箱の図面

[巣箱の製作図]

感想

Aさんのご親切とご配慮に全員厚くお礼を申しあげます。忙しい中を午後早朝、お昼とお付き合い頂き大変な御世話になりました。また早朝調査ではIさん自らも、Yさん、Tさんなどの守る会の人の、ご案内と説明でその情熱には、驚くばかりか頭がさがる思いで、自分達も同じ様な事を今後できるのかという心配を感じた位であった。

野田のリスを守る市民の会の人達の活動は、「一人一人が自分自身の喜びとしてやっている」ところがとても好感が持てました。仕事に行く前にちょっと調査という感じの銀行の美人OLさんなどもその典型でしょう。いずれにしろ、若い女性にとり「いったいなにが彼女をそうさせているのか?」そのエネルギーの源はなにか議論沸騰しました。清水公園でリスが生息できるキーポイントは、

  1. やはり餌付けと、
  2. 樹木の豊富さそれに
  3. この熱意と情熱

である。餌が毎日同じ時間で出る「パブロフの犬」の条件反射に近い状況をつくり出した事や大学生(東京理科大学生物クラブが毎年協力)と協力し4000本の木の種類別本数調査を今年実施など驚くべき活動です。5年間で30頭の定着に対する自信から会員皆さんに余裕が見られた事も事実で、リス研全員、よしやろうという意気込みが非常に高まったのが一番の収穫だったようです。

東谷山に鬼グルミの大量の投与を!

そのために、鬼グルミの定期的な入手と一定の場所への給餌を今後実施して行きたい。

情熱をもった学生さんとの協力態勢を!


キャンプ旅行の旅路について

名古屋から鎌倉まで330km。休憩を含め4時間30分。お盆の帰省方向とは逆のためか、まったく渋滞はなく、気持ちの良いドライブ。参加者数は、急用で、予定の7 人が5 人になってしまったのが残念。鎌倉駅には(車を置いて)約束の時間の11:00にぴたりと到着。鎌倉の調査を終了し、野島へ出発したのが17:50 。キャンプ場には18:36 に到着。テントを立てランタンの下でイスに座ってゆったりと食事し、ひさしぶりに銭湯へ全員で。夜は隣りのキャンプ組みが大声で「朝まで○○」のように議論をしていたため眠れず。しかし翌日は朝7:30には起床し簡単な食事をして、8:22に、井の頭に出発。距離は56kmだったが、1 時間22分と渋滞もなく9:44には無事到着。井の頭を14:30に出発し、渋滞のない東京都をかすめて千葉県野田市へ16:00には到着。全行程が、極めてスムーズだった。


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