浜松城公園のタイワンリス 観察レポート - 1/2

浜松城公園の野生のタイワンリス

観察日:
1999年1月30日、2月6日
場所:
浜松城公園
(浜松市元城町 市役所隣)
アクセス:
JR浜松駅から遠鉄バスで市役所前下車
車の場合、駐車は体育館駐車場(無料)または市役所駐車場(有料)へ

∬浜松の市街地に程近い場所にある浜松城と浜松城公園。ここには、野生のタイワンリスが棲んでいる。以前この地にあった動物園から逃げ出したタイワンリスが、ここを中心として住宅地や緑地に広がり数キロ四方に分布している。∬

《観察レポート》

【1月30日】

体育館側の入り口から公園に入った。庭園風の公園内の歩道の脇に木が生い茂っていた。ドングリやシイの実のなる木がたくさんあった。散歩をしている地元の人々にリスのことを聞くと、皆がよく見るということ。昨日はどこどこで見た、と教えてくれる人もいた。この時は公園内外が工事中だったため音を恐れてリスがあまり姿を見せないのだという話も聞いた。確かに工事の音が聞こえていた。毎朝リスに餌をあげているおじさんがいるとのことで、その時にはたくさんのリスが集まってくるらしい。その場所でよくリスが見かけられるということなので、行ってみた。

浜松城跡の横の階段を下りて行った所に「若き日の徳川家康」の像がある広場があり、そこに生えている1本の大きな木に餌入れが取り付けられていた。その木の下で待っていると、じきに1匹のタイワンリスがやってきた。木の幹を降りてきて途中で下向きのまま止まり、じっとこちらを見ている。手を上に伸ばしてみたら、まずはちょっと逃げてから少し近寄って来て、手に何も持っていないことが分かると、木を登って行ってしまった。うっかりしててこの日は食べ物を持って来るのを忘れてしまっていたので、木の周りに落ちていた落花生の殻を持って手を伸ばしていたら、リスがまた恐る恐るといった様子で近寄って来た。そして、勢いよく手から落花生の殻を奪い去って行ったが、すぐに殻だけだと分かり、ポイッと殻を捨てて木を登って行ってしまった。

[写真:警戒中]
警戒して鳴いているリス(中央)

[写真:巣穴のリス]
石垣の巣穴の前のリス(中央)

この日、貴重な場面に出会うことができた。タイワンリスが鳴き声をあげたのだ。1匹のリスが木の幹に後脚の爪を引っかけて下向きになって止まっており、最初のうちは犬の鳴き声に似たような「ワンワン」という低い声で、しばらくすると声が甲高くなって「キャッキャッ」というように、鳴いていた。発声と共に、ピンと張った尻尾が上下に動いていたので、警戒して鳴いているのだろうと思った(うちのシマリスが警戒して鳴くときも、同じように尻尾が動く)。う〜む、私達が警戒されてしまったのだろうか?それとも、天敵であるカラスやネコや恐い音にでも反応したのだろうか?「守山リス研究会」の「リス研通信」に掲載されているタイワンリスの音声の記事(出典:週間朝日百科「動物たちの地球」田村典子著)によれば、捕食者の接近(ネコなど)を知らせ合う警戒音として「ワンワン」と鳴き、それからしばらくすると「キキッキキッ」という高く響く声に変化する、とある。まさしく出会ったのはこの音声であった。地元の人が「ここのリスは時々鳴くけど、声が全然かわいくないんだよ」と言っていたが、その通りだった。その人はさらに、「御殿場にもリスがいるけど、そっちはかわいいよ」(御殿場ではなく御前崎だったかもしれない、失念)と言っていた。そこにいるのは、タイワンリスではないのだろうか?それともニホンリスだろうか?しかしニホンリスであれば、そう簡単に姿を見たり鳴き声を聞いたりできるものだろうか?〔※情報をお持ちの方、教えてください!〕

この日はこの場所で午後3時半から4時の間に3匹のタイワンリスを見ることができた。それぞれこちらに関心を示していたが、こちらが食べ物を持っていなかったので、近寄っては来なかった。葉のほとんど付いていない木々の枝から枝へとつたって移動し、木々の背後にある石垣の石と石との隙間を巣としているらしく、4時過には皆、石の間に入ってしまった。



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