OZ's電影中心(2000) |
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この作品のレスリーはめちゃくちゃかっこいい。
レスリー演じるジンは共産党幹部。妻を死なせてしまったことに苦しみ ながら、運動に献身している。
ジンは、偽装妻の秋秋が逮捕されたと聞き、身代りを申し出て逮捕され処刑 される。「革命の大義」よりも愛に殉じた。エゴイズムと批判されかねない行 動ではある。(パンフレットの石子順氏の批評の中に、中国国内で批判があっ た、と述べられているが、批判者はここを問題にしたのではないだろうか?)
しかし、弾圧された「普通の人々」を救うこと…これも「革命の大義」に含 まれる、いや、「大義」の中でもとても重要なことではないのか? …そんな 思いに駆られた作品だ。
英国人でも中国人でもない、いったい自分は何者なのだ!? という、「祖国回 帰」を前にして、アイアンディティの「あいまいさ」に揺れる香港人の姿を描い ている。
現実(といってもフィクションだが)と、想像あるいは思い込みのシーンが 錯綜していて、はらはらした。と同時に、このシーンはいったいどちらなのだろ う? と好奇心が湧き、飽きなかった。
中国のカリスマ英会話教師・リー(李陽)先生って人が、最近、日本の マスコミにもかなり登場したらしいのですが、そんなこと知らずに、リー先生 を追ったドキュメンタリー映画「クレイジー・イングリッシュ」を見に行って きました。(リー先生をテレビで見た人います?)
リー先生が、全国行脚して、「英語を学んで金儲け!」とアジリまくり ます。それを聞く子供やら学生がものすごく熱狂的。まるで洗脳されてる みたい。
ドキュメンタリー映画だから真面目で退屈かも、という気持ちもあって、 どんなモノかな? と半信半疑だったんですが、これがなかなか笑える。最後 までリー先生の勢いに圧倒されてしまいました。
単純な「お涙ちょうだい」でないところが面白い。最初から最後まで、お金・ お金…のシーンの連続だ。
そもそも、代用教員の少女ミンジが、街(ロケ地は河北省張家口市のようだ) に出稼ぎに行ったホエクーを探しに行くのか、と言えば、「一人も生徒を減ら さなかったら」上乗せされる10元がほしいからだ。決して「高尚な」動機では ない。
そして、街に行くバス代を稼ぐために、生徒をレンガ工場に動員して働かせ てしまうし、街では、探す手伝いを頼んだ女の子に、「料金」を請求され、 その値段をめぐって喧嘩をするのだ。
ところが、ミンジが街でホエクーを探すうちに、いつのまにか目的が「すり 変わって」、心からホケクーを心配するようになる。…その辺が、チャン・ イーモウ監督が表現したかったところのようだ。
でも、私にとっては、市場経済化の進行、そして、都市・農村間の経済的格差 の拡大という「中国の現在」を実感する作品だった。
ほろっときちゃいました。
女性ではなくて、子どもに愛を注ぐレスリーもいいです。レスリー演じる ウェイが、ミンと遊んだりおしゃべりしたりするシーンは、とても自然で ほほえましい。
レスリー自身は「アッパークラスのイメージがつきまとっている…」 (プログラム中のインタビューより)と語っているのが、不精ヒゲの庶民スタ イルがとても似合っている。
ところで、ラストでは、実の母親であるリャン(キーキー)がミンを引き取る ことにあっさり決まってしまう。子どもを捨てた母親を前にして、怒りやわだ かまりがないわけがないと思う。ウェイはお人好しすぎないか?
…このあたりの気持ちの変化は、エンターティメントに仕上げるべく、監督が ストーリーに織り込まなかったのだろう。これはこれでいいのでは、と思いま す。