ステレオ月面写真

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 ここで紹介する写真は,擬似的に視差を作った「擬似ステレオ写真」ではなく,本当に視差のある画像を取得し,ステレオ写真として構成しています。
 撮影方法は難しくありません。1〜3時間程度の時間差をおいて月を撮影するだけです。そうすると,地球の自転により,観測者と月の位置関係が微妙に変化します。それを視差として利用したものです。
 厳密に言えば,撮影間隔を空けると,月齢も進みますし,月も公転して動いていますから,それほど綿密に作られたものではありませんが,臨場感ある画像がお楽しみいただけると思います。

 平行法……左画像を左眼で,右画像を右眼で見る……で,ごらんください。
 左右の画像の間隔は,50〜55mmぐらいになるのが適正です。モニターで調整できない場合,フォトペーパーに適切なサイズでプリントしてくだされば,かなりリアルな立体像が楽しめます。

 なお,このページの画像は,すべて正立像にしています。
 また,目の健康のため,あまり長時間注視しないようにしてください。


2002.04.27〜28

 ほぼ満月の月。拡大像ではないので,「月齢の進み」をあまり気にせず,撮影間隔を3時間近く取って,視差を大きくしてみました。
 ボールのように膨れた,まん丸お月様をお楽しみください。


2002.06.19

 上弦をちょっと過ぎた月。
 満月に較べると,すこし立体感が掴みにくいようですが,どうでしょうか?
 左右の画像は,1時間40分の間隔が空いていますが,欠けぎわをよく見ると,左の画像のほうが,微妙に月齢が進んでいるのが見えますね。

 前から狙ってみたかった,「直線の壁」のステレオ写真です。
 半月頃の撮影になるので,右目用の写真は比較的好条件で撮れますが,左目用の写真は,月が西に傾いてしまい,かなり苦しい条件になります。明らかに左のほうが画質が悪いのですが,立体視すると,右画像のシャープさのおかげで,それなりに鋭い画像として認識できます。脳の画像補完能力に助けられているのが実感できて,なんか,別の意味で,興味深いですね。
 肝心の「直線の壁」は,左下のほうに写っています。クレーターを目標に立体視したほうが見やすいので,変なレイアウトですが……。
 いちばん上に見える大きなクレーターはアルフォンススAlphonsus,そのすぐ左下の小さくて深いクレーターがアルペトラギウスAlpetragius,アルフォンススの下の噴火口を持ったクレーターはアルザケールArzachel,直線の壁の右にあるやや深いクレーターはセービトThebit,その下,ちょっと画像からはみ出ている大クレーターがプールバッハPurbach
 アルフォンススの直径が110kmですから,直線の壁の巨大さが想像できると思います。

 月面中央よりやや北,アペニン山脈です。
 この地形は,立体視しやすいと思います。山脈の浮き上がり方や,クレーターの深さの違いなども感じられると思います。
 中央よりやや左に見える,フラットなクレーターはアルキメデスArchimedes。アルキメデスとアペニン山脈に囲まれた,暗い平原が腐敗の沼

 月面南部の,「月面めぐり」の「定番」エリア。画像の下のほうが,ちょっと遠く見えるはずです。
 画面中央より左下に,たくさんの小クレーターを従えたクラウィウスClavius,その右上の大き目のクレーターがマギヌスMaginus,マギヌスの左上にある,小さいけど深くてはっきりしたクレーターがティコTycho。ティコは満月の頃になると,巨大な「光条」を従え,大変目立つクレーターですが,そんなに直径は大きくないですね(クラウィウスが225km,ティコが85km)。


2002.07.20

 月齢11.7。この時期の月面は,見どころもいろいろ。ちょうど夕食後ぐらいに南中するので,時間的にも観測しやすいですね。

 今回は,パソコンの画面で立体視しにくいと言う方のために,ダウンロード用の大きめサイズの画像を用意しました。
 画像をディスクに保存し,適当なアプリケーションを使ってレイアウトし,なるべく品質の高い紙にプリントアウトしてみてください(インクジェットプリンタでフォト光沢紙に出力することをおすすめします)。ファイル名にRのついているのが右目用画像,Lのついているのが左目用です。平行法で見る場合,左右の画像の間隔は50〜55mmにすると,立体視しやすいと思います。交差法で見たい人は,左右を入れ替えてプリントしてみてください。


↑左目用  右目用↓



次は,コペルニクスのアップです。

クレーター周囲の盛り上がりや,クレーターの左側にぽつぽつ見えるドーム状の地形に注目してみてください。

これも,プリントアウト用の画像を用意しました。


↑左目用  右目用↓


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