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<島根原子力発電所>
(しまねげんしりょくはつでんしょ)

島根原発・場所 <基本データ>
所在地
島根県松江市鹿島町片句654-1
運転開始日
1974年3月
事業主体
中国電力

<原子炉設備の概要>
 
原子炉型式
営業運転開始
定格出力
備考
1号機
沸騰水型軽水炉(BWR)
1974.03.29
46万kw
 
2号機
沸騰水型軽水炉(BWR)
1989.02.10
82万kw
 
3号機
改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)
1991.1218
137.3万kw
建設中



島根原発から半径10km <県庁所在地に建つ原発>
 現在、島根原発の建つ位置は元は恵曇(えとも)町という行政区域だった。1956(昭和31)年、昭和の大合併により恵曇町、佐太村、講武村、御津村の4町村が合併し、新しく鹿島町が誕生する。島根原発が営業運転を開始するのは1974(昭和49)年のこと。さらに2005(平成17)年、平成の大合併により松江市、島根町、美保関町、玉湯町、宍道町、八束町、八雲村が合併し、新・松江市となる。松江市の人口は15万人から20万人へ増大、面積も約2.5倍になる。こうして、松江市は全国でただ一か所、原発の所在する都道府県庁所在地になった。
 島根原発から松江市の中心地への直線距離は近く、半径10km内の範囲にスッポリ入ってしまう。原発が大規模な事故を起こし、放射性物質が拡散した際には、県庁・市役所・警察本部・消防本部など行政の中枢機能までがマヒしてしまう事態も予想される。大事故など起こるはずがないという、計画当初の想定の甘さが、最悪時にはコントロールの出来る場所が無くなってしまうという致命的問題点を今に引きずる結果となった。

 島根原発の運転開始は1974(昭和49)年で、すでに1号機は原発の一般的な設計寿命である40年を超えている。定格電気出力が46万キロワットと小さいこともあり、寿命延長をせずにこのまま廃炉にしようとする動きもある。もちろんその際は建設中である3号機の稼働が前提となる訳だが、福島原発事故以後、運転開始の見通しは立っていない。


島根原発・交通 <交通>
PR館としては「島根原子力館」が、標高150mほどの高台で原子力発電所を見下ろす場所にある。
●山陰本線松江駅より一畑バス「片句」「恵曇(えとも)連絡所」「古浦」行きを利用。鹿島支所前下車(所要45分)。バスはおおよそ平日は30分毎、土曜・休日は1時間毎に運行されている。なお2つ手前に「原発入口」というバス停があるが、ここで降りても一般の人間は原発構内には立ち入れないので注意。
●「鹿島支所前」バス停から、「島根原子力館」までは約3km。それに150メートルほどの高低差があり歩いてゆくのはお勧めできない。バス停の近くにタクシー会社があるのでこれを利用すれば良い。私の場合、タクシー料金は1,000円ほどだった。

一畑バスのページへリンク

<近辺のお勧めスポット>
佐太(さだ)神社 (上記バスで「佐太神社前」下車徒歩3分)
 出雲国二ノ宮。本殿は、正殿・南殿・北殿と三社が並立している。出雲地方に多い大社造りの社で国の重要文化財に指定されている。


<地形図で見る島根原発付近の変遷>
1960(昭和35)年3月発行の地形図より

島根半島の北部に当たる地域。北側は日本海に面するリアス式海岸である。もちろんまだ原発は影も形もない。地図中クルマの通れる道は南側の佐陀川に沿う道しかなかったようだ。この佐陀川沿いにわずかな平地があり水田やため池と思われるものもある。その他ほとんどは針葉樹林の山で覆われ、林業も行われていたことだろう。南西(左下)にあるのが恵曇(えとも)の町で港を有する漁業の町である。4町村合併で「鹿島町」が誕生するが、町の中心地として行政の機能もあった。
2014(平成26)年6月現在の電子地形図より

山腹にまで道路網は整備され、斜面を切り開いて造成された地には体育館などの公共施設も建つ。旧・鹿島町の役場は恵曇の中心から東へ離れた佐陀本郷地区へと移転されたが、2005年の市町村合併に伴い市役所支所となった。北側リアス式海岸の湾の奥部分で山側を崩し海岸を埋めて1,2号機が建設された。さらにその北西側で突起部と入り江をひとつずつ潰し、大規模に造成された部分が3号機を建設している所である。この地図ではまだ表れてはいないが、2011年現在、建物の本体工事は9割方完成しているとのことである。

使用地形図・1/25000江角(1960年3月30日)、講武(1955年8月30日)、電子国土地形図(2014年11月現在)国土地理院発行


<島根原発PR館「島根原子力館」訪問記>
旅行日 2011.11.29

松江駅前・一畑バス「片句」行き
島根原子力館・全景
↑東京発の夜行列車に乗って朝9時半に松江駅到着。11月なのでまだ雪は降っていません。ここから一畑バスの「片句」行きに乗車し、目指す原発PR館へ。
↑バスに乗って45分。さらにここから約3キロの道のりがあるのでタクシーを使います。標高150メートルほどの高台に建つ「島根原子力館」へ。ピラミッド型の建物が目を引きます。
島根原子力館・島根原発を見下ろす
島根原子力館・ようこそ原子力館へ
↑さっそく館内へ入ろうとすると、入口手前に島根原発の建物群が良く見渡せるスポットがあり写真撮影。左側手前が2号機、右側奥の少々小ぶりな建物が1号機。さらに左の山陰に建設中の3号機があるはずなのですが、残念ながら姿は望めません。
↑さっそく登場しました、原発PR館にならどこにでもあるマスコット・キャラクター。ここ島根原子力館のキャラの愛称は「リッキー」。
島根原子力館・圧力容器模型
島根原子力館・3号機進捗率
↑島根原発1,2号機は西日本の原発としては珍しく沸騰水型を採用しています。ここに展示されている原子炉圧力容器内の模型ももちろん沸騰水型のもの。燃料集合体と制御棒が見られます。手前にあるオレンジ色のキャラクターは何なのでしょう?
↑ここ島根原発では3号機を建設中であり、2011年4月現在、進捗率は93.6%。完成も間近いと思われていた時期に福島原発事故が発生。以後、国による安全基準が大幅に強化され、さらに津波への対策も要されるなどの理由で、現在のところ運転開始時期は未定。
島根原子力館・3号機完成模型
島根原子力館・原子燃料リサイクルツアー
↑島根原発の模型。左側の入り江の奥に1号機と2号機。右側の埋め立てられた部分に建設中の3号機。3号機は改良型沸騰水型(ABWR)で建設費は4600億円。工事は9割以上終えているのに、運転開始の目途が立っていないのは先ほど申した通りです。
↑おっと、リッキー以外のキャラが登場。頭にコブが2つ突き出したピンクのキャラは「プルプル」。ドラム缶のように見える緑のキャラは「モック」。スクリーンがあり、「原子燃料リサイクルツアー」と称して、プルサーマルや高速増殖炉の必要性を説く映像が流れます。プルプルの声は小原乃梨子のそれにそっくりなのだが、気のせいだろうか?
島根原子力館・展示物
島根原子力館・ゲームコーナー
↑展示物のある一角。発電に関する基礎知識、原子力発電の仕組み、環境対策など。まあどこの原発PR館もそれほど変わりはありません。
エネルギーコーナー。水力・火力・風力・太陽光の発電の仕組みを紹介するコーナー。なんだかゲームセンターのようにも見えます。
島根原子力館・ゲームコーナー
島根原子力館・ハクション大魔王の立体映像
発電チャレンジコーナー。とにかく回して発電量を競う。まあ子供向けのゲームです。
立体映像ホール。眼鏡をかけて立体的に飛び出してくる映像を楽しむ場所。なぜか「ハクション大魔王」が上演されていましたが、もちろん発電とも原発ともまったく関係のない内容です。
島根原子力館・ここにもリッキー
島根原子力館・展望コーナー
↑「リッキー」というのは愛称で、正式な名は「力丸くん」であることが判明した!
↑2階の展望コーナー。先ほどこの建物の入口手前から見た景色とさほど変わりません。
島根原子力館・リッキーと太陽光発電パネル
島根原子力館・ゲームコーナー
↑ここにもリッキー。窓の外の三角形の斜面には、太陽光発電のパネルが張られています。これも原発PR館ではよくあること。
↑2階のゲームコーナー。考えながら手を使って遊ぶ、小学生向けのお遊びコーナーです。
島根原子力館・エネルギアの国の仲間たち
島根原子力館・鹿島町の特産品
↑中国電力のキャラクター「エネルギアの国の仲間たち」。青が「水の精・ウォータン」、オレンジが「あかりの精・アッカリー」、赤が「火の精・ファイアン」、緑が「空の精・スカイン」、茶色が「大地の精・グランドン」。ぜひとも覚えておきましょう(覚えておいて何になる?)。
鹿島町の特産品を展示するコーナー。2005年に松江市と合併し、鹿島町は消滅しているのですが、なぜかここにはこのような物が残っています。原発を受け入れてくれた鹿島町に敬意を示してなのか、それとも展示担当者が手を抜いているだけなのか。
島根原子力館・加茂岩倉遺跡の銅鐸
島根原子力館・オリジナル商品コーナー
↑なぜかここに銅鐸が。1996年に発見された加茂岩倉遺跡の銅鐸の複製品で、一か所から大量39口もが出土し当時大きなニュースにもなりました。出雲といえば古代から文化の栄えた地。今回は原発などという世にも無粋なものを訪ねていますが、今度島根県に来る際は、古代の遺跡巡りでもしたいものです。
↑受付の横にはオリジナル・グッズを販売するコーナーが。この展示館のキャラ「リッキー」の絵の入ったハンカチや、中国電力のキャラである「エネルギアの国の仲間たち」が5匹揃ったぬいぐるみセットなんてものがあります。



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