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<敦賀原子力発電所>
(つるがげんしりょくはつでんしょ)

<基本データ>
所在地
福井県敦賀市明神町1番地
運転開始
1970年3月
事業主体
日本原子力発電(株)

<原子炉設備の概要>
  
原子炉形式
営業運転開始
定格出力
備考
1号機
沸騰水型軽水炉(BWR)
1970.03.14
35.7万kw
  
2号機
加圧水型軽水炉(PWR)
1987.07.25
116万kw
  
3号機
改良型加圧水型軽水炉(APWR)
 
153.8万kw
計画中
4号機
改良型加圧水型軽水炉(APWR)
 
153.8万kw
計画中


<原子力発電所の集中する“敦賀半島”>
 福井県南西部の若狭または嶺南といわれる地域は原発銀座とも呼ばれる原発の集中する地域だが、さらには敦賀市市街の北西に15kmほど突き出した敦賀半島には、日本原子力発電(株)敦賀発電所の1〜2号機、関西電力・美浜発電所の1〜3号機、原子力機構(JAEA)の高速増殖炉原型炉の「もんじゅ」と異なる事業体の原発が狭い地域に集中しているとの点で特異である。さらには、半島の北端に近い場所に敦賀発電所の3〜4号機が建設される計画である(右航空写真の西側(左側)の埋立地が3〜4号機の建設予定地)。一度、原発立地による「旨味」を覚えてしまった自治体が、原発依存から抜け出せない実情が垣間見られる。

<大阪万博と敦賀原発>
 敦賀原発の1号機の営業運転が開始されたのは1970(昭和45)年3月14日であるが、この日は戦後日本の最大の祭典「大阪万博」が開幕した日でもあった。もちろん偶然ではなく、世間に原子力発電というものを印象付けるためで、発電された電力は万博会場へ送電され、ともされた灯りは「原子の灯」として盛んに喧伝された。なお、この1号機は西日本で初の原発であったが、この年の11月には関西電力の美浜原発も営業運転も開始し、日本原電による原子力発電の独占は早くも崩されることになる。


<地形図で見る敦賀発電所付近の変遷>
1967(昭和42)年12月発行の地形図より

海岸沿いに県道が延びているが、半島の北端までは達していない。その他は全くといっていいほど道路は未整備である。北端に建つ「立石岬灯台」は1881(明治14)年に完成したもので今も残ります。南にある色ヶ浜(いろがはま)松尾芭蕉が『さびしさや すまに勝ちたる 浜の秋』と呼んだ場所ですが、その通り喧騒とは無縁の静かな所だったのでしょう。
2013(平成25)年現在の電子地形図より

地図で見る限り、敦賀発電所と「ふげん」の建屋が目を引くがそれ以外はあまり変化は見られない。県道はいくらか延びたが立石の集落までで、その先はクルマの通れる道はない。道路の拡幅などはなされているかも知れない。東側にある「水島」は海の潮流によって砂が堆積してできた島なのでしょう。夏休みの観光シーズンは海水浴客で賑わいます。

使用地形図・左:1/50000今庄(1967年12月)国土地理院発行
右:2013年現在の「電子基本地形図」より

<交通>
●北陸本線「敦賀」駅より、敦賀市コミュニティバス常宮線「立石」行、「原電前」下車すぐ。バス所要37分。敦賀原発のPR館「敦賀原子力館」も歩いて5分ほどの所にある。
※バスの本数は1日3便とひどく少ない。夏休み期間中(7月下旬から8月20日頃)の土・日曜日に限って臨時のバスが日2便運行される(2011年現在の情報)。私は、この臨時バスを使ってなんとか行って来ました。

<その他の見どころ>
立石岬灯台
バスの終点「立石」から5分ほど海辺の細道を歩き、左手に延びる坂道をひたすら登ってゆく。ガイドブックに「バス停から灯台まで徒歩15分」と書いてあったので気楽な気持ちでいったのだが、この坂道がキツイ。灯台は標高120mほどの所にあり息を切らしながら20分ほどかけて登りやっとたどり着いた。1881(明治14)年に建てられたという灯台が風格があり、なかなかの見ごたえがあります。

色ヶ浜・水島
バス停「色ヶ浜」下車。バス停から歩いて5分ほどの所に「本隆字」という寺があり、ここは元禄二年(1689年)の奥の細道の旅で松尾芭蕉が訪ねた所。また、バス停の目の前の桟橋から船で5分ほど行った沖合には「水島」という小島(というか砂の堆積した所)があり、夏の晴れた日は紺碧に輝くので「北陸のハワイ」と呼ぶ人もいるとか。夏休みシーズンには船でピストン輸送され、海水浴客で賑わいます。

常宮(じょうぐう)神社
バス停「常宮」下車すぐ。創建は古く、神功皇后の「三韓征伐」にもゆかりのある神社。加藤清正が文禄の役の際持ち帰ったと伝えられる「朝鮮鐘」が保存されている。銘により西暦833年に鋳造されたものと分かり、国宝に指定されている。
<リンク>
敦賀市・コミュニティバスのページへリンク
日本原電・敦賀原子力館のページへリンク


<日本原電「敦賀原子力館」訪問記>
旅行日 2011.8.20

敦賀駅から立石行きのバス
↑今日の旅行のスタートはJR敦賀駅前のバス乗り場より。「立石」行きのバスに乗る。一見ふつうのバスなのだが、あまりに客が少なく民間バスが撤退し、市営のコミュニティバスとなっている。しかし実際委託を受けてバスを運行しているのは元の民間バス会社。ただし、公営ということで運賃はどこまで乗っても200円という均一制になった。
↑この「立石」行きのバスなのだが、朝1本、昼1本、夕1本で1日3便しかない。旅行で使うのは極めて困難なのだが、夏のシーズン中の土・日曜日に限って1日2便が増便される。私はこれらを使ってなんとか行ってきました。
福井県敦賀市・立石岬灯台
敦賀原子力館
↑せっかくだからとバスの終点まで乗って立ち寄ったのが「立石岬灯台」。ガイドブックに「バス停から徒歩15分」と書いてあったので気軽な気持ちで行ったのだが、急な坂を延々と登ることになった。明治14年に建てられた白亜の灯台はなかなか見もの。
↑灯台から立石のバス停に戻り、さらに20分ほど歩いて敦賀原発のPR館である「敦賀原子力館」へ。「原電前」のバス停からなら歩いて5分くらいです。
↑「原子力館」に入ってまず目に付くのがこの館のキャラクターである「げん丸くん」。提灯の先には日本原電の社章(マーク)が描かれています。私はこの「げん丸くん」に異常にはまってしまった。
↑夏のシーズン中という事もあって訪ねる人もチラホラ。どこの施設もそうですが原子力発電というものを基本から分かってもらうとのコンセプトがあるとは言えないような展示内容です。
↑館内は写真撮影に対する制限がけっこう厳しく、原子炉の模型や原発構内の建屋の配置図などはNG。テラスからは、原発本体の姿も望めるのですが、これも角度によってNG。そもそも民間の施設なのでこちらもあまり強い事は言えませんが。この写真は「ここならOK」と係員の許可を得て撮影した写真です。
↑受付では子供向けの紙工作用の用紙を配っており、館内に組み立てのためのコーナーがある。こういうことは、原子力発電のための啓発にはならないだろうけれど、子供が喜びそれを見て親も喜ぶ。ひいては子供も親も原発に好印象を持つようになる、とのことなのでしょう。
↑フロアにはなぜかUFOキャッチャーがある。お金を入れてプレイするのではなく、館内に設置されているクイズコーナーなどで問題に答えて正解するとこのゲームで遊べるコインが受付で貰える。敦賀原発のオリジナルグッズとかがあれば面白いのだが、中の商品は中国製と思われる安っぽいオモチャばかりでした。
↑上を見ればげん丸くん…。
↑下をみればやはりげん丸くん…。
↑受付の方に、「この“げん丸くん”欲しいのですけれど」と尋ねてみましたが、「申し訳ありませんが非売品です」とにこやかに断られてしまいました。



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