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<東海村>
(とうかいむら)

<日本原子力発電・東海発電所>
原子炉型式
営業運転開始
定格出力
備考
黒鉛減速炭酸ガス冷却型原子炉(GCR)
1966.07.25
16.6万kw
1998.3.31運転終了・廃止措置中

<日本原子力発電・東海第二発電所>
原子炉型式
営業運転開始
定格出力
備考
沸騰水型軽水炉(BWR)
1978.11.28
110万kw
 


<東海村と原子力関連施設>
 1955(昭和30)年12月国会で「原子力基本法」が成立し日本は本格的に原子力の時代に入った。この翌年東海村で原子力研究施設の誘致活動が始まり、1957(昭和32)年には「日本原子力研究所(原研)・東海研究所」が開設される。また同年「原子燃料公社(原燃)・東海製錬所」が設置され核燃料技術の開発がなされる。この「原研」と「原燃」(のちには動燃)が中心になり、東海村は日本の原子力技術の研究・開発の拠点となる。
 原研は、1963(昭和38)年10月26日、動力試験炉(JPDR)により日本で初の原子力発電の試験に成功する。右写真はその時の制御室の模様。以後この「10月26日」は「原子力の日」と制定されることになる。

<日本原子力発電(株)>
 「日本原子力発電(原電)」は1957(昭和32)年に発足した、日本で初めて商業用原子力発電の運転を開始した会社である。当初、日本の原子力発電は「民間主導」を主張する電力会社9社と、「政府主導」を主張する電源開発(国主体の特殊法人)の間で対立し、結局、電力会社9社と電源開発が共同で出資する、原子力発電に特化した新たな会社「日本原子力発電」が発足する。原電は1960(昭和35)年、「東海発電所」の建設工事に着手。1966(昭和41)年7月には、日本で初の商業用炉の営業運転を開始した。この炉は「黒鉛減速炭酸ガス冷却型原子炉」という日本で他に採用されなかった型であり、また出力が16.6万kwと小さいこともあって1998(平成10)年3月には運転を終了。現在、廃炉(廃止措置)のための作業が行われており、2021年頃を目途に完了する予定である。


<地図で見る東海村の原子力関連施設の変遷>
1957(昭和32)年5月発行の地形図より

5万分の1の地形図なのでかなり大雑把である。この地図が発行された1957年は日本原子力研究所(原研)・東海研究所」が開設された年だがまだ影も形も無い。海岸沿いには砂丘が発達し、その内陸側の少し小高い地には松林が広がっている。藤田東湖(幕末の水戸学の学者)が「正気の歌」で詠んだ“卓立す東海の浜”もこの辺りのことなのだろう。下側(南側)にある「国立療養所(晴嵐荘)」は、傷痍軍人の療養のための施設だったそうである。
2008(平成20)年発行の地形図より

改良された国道245号沿いとその海側に、原子力関係の施設が集中的に立地する。北には日本原電の原子力発電所、中ほどには原子力機構・原子力科学研究所(元の原研)、南には同じく原子力機構・核燃料サイクル工学研究所(元の動燃)がある。この辺りで変わらないのは村松虚空蔵尊くらいであろうか。地図の北西側(左上)は道路が整備され直線的になっている。海岸の一番南側の埋め立て地は東京電力の「常陸那珂火力発電所」。石炭火力で2003年の運転開始と比較的新しい。現在1基が稼働しているが、近い将来3基で総出力300万kwという大発電所になる計画である。

使用地形図・左:1/50000那珂湊(1957年5月30日)地理調査所発行
右:1/25000常陸久慈(2008年2月1日発行)国土地理院発行

<3箇所ある原子力見学施設>
 さすがは、日本の原子力のパイオニアの地で今でも研究・開発の拠点であるだけあって、原子力に関する見学施設が3箇所もある(あった)。ひとつは、日本原子力発電(株)が運営する「げんでん東海テラパーク」。もうひとつが茨城県が運営する「原子力科学館」。さらに原子力機構が運営する「アトムワールド」であるが、「アトムワールド」は民主党政権時のいわゆる「事業仕分け」で不要と判断され、2012年3月末をもって閉館となっている。

<交通>
●「東海駅」へは水戸駅より常磐線で3駅。所要約15分。人口27万人の県都のこんなに近くに、原子力発電所や原子力の研究・開発施設が集中していることに驚いてしまう。

●「東海駅」から各見学施設に向かう路線バスは無い。距離は4〜5kmほどあり歩いて行くにはちょっとキツイ。そこでおススメなのが、東海村で貸し出しているレンタサイクル「エコりん」。ふだんは付近の人が買い物や病院に行くのに利用しているようだが、村役場の人に電話で聴くと村外の人の観光目的での利用も大歓迎との事。駅の西口階段の下に受付があるのでここで申し込む。東口側にも自転車は用意してあるのでそちらを利用した方が良い。使われなくなった自転車を整備したものなのでお世辞にも「立派な自転車」とは言えないが、サイクリングにはちょうど良い快適なコースである。
●「原子力科学館」、「東海テラパーク」の見学者のためのバスが、毎週金・日曜日に東海駅の東口から運行している。予約が必要。詳しくは原子力科学館のホームページで確認のこと。

東海村・レンタサイクル「エコりん」のページへリンク
「原子力科学館」のページへリンク


<原子力機構・東海展示館「アトムワールド」訪問記>
旅行日 2011.05.20
(注意)「アトムワールド」は2012年3月末をもって閉館になりました

↑ということで、いつも旅ではローカルバスにお世話になっている私だが、今回は東海村で貸し出しているレンタサイクル「エコりん」を使う。
↑原子力機構の展示館「アトムワールド」まで30分くらい。アップダウンのある道で結構きつかった。写真はその「アトムワールド」である。右側が「サイクル館」で核燃料サイクルの案内施設、左側が「ファミリー館」でゲーム感覚でいろいろ学べるコーナーになっている。
↑玄関で出迎えてくれる黄色い物体はウラン坊や。この展示館のメイン・キャラクター。ニコちゃんマークに似ているかもと思うのは気のせいだろうか?
↑入口のマットに描かれた、キャラクター群。ウラン坊やプルト君ナトリウムちゃん(赤色)、ガラスの精(青色)。
↑平日の昼間とあって、館内はガランとしていた。1階はロビーになっており、核燃料サイクルをモチーフにした「サイクルゲーム」なるものがありました。
↑さて、サイクル館の展示物の模様。核燃料サイクルに関する資料がいっぱい。パネルがズラリと並んでいて思わず勉強したくなっちゃいます。
↑これが核燃料サイクルの仕組みです。かなり複雑なのですが、原発というものに賛成するにしろ反対するにしろ、この核燃料サイクルの実現性というのが極めて重要なキーポイントですので、概略だけでも把握してほしいと思います。
↑この展示館の目玉は動く「プルト君」が見られる事でしょうか。高速増殖炉「もんじゅ」の模型の前で、その仕組みをウラン坊やとともにを解説しています。プルト君は「核燃料サイクル工学研究所」の前身である「動力炉・核燃料開発事業団(動燃)」のキャラクターで、3.11後「プルトニウムは飲んでも大丈夫」という動燃が1993年に制作したアニメ映像が動画サイトに投稿され、ネット民から大きなツッコミの嵐が起きました。
↑「高レベル放射性廃棄物」を説明するコーナー。「高レベル〜 」は人間が数十秒間近づいただけで100%死ぬというとんでもない代物ですが、それを説明するはこの展示館のキャラのひとつガラスの精
↑最上階まで上ると「核燃料サイクル工学研究所」の展望できます。赤と白の煙突が立っているのが再処理施設。使用済み核燃料を使える部分(ウラン・プルトニウム)と使えない部分(核分裂生成物)に分ける施設。ここの再処理施設は試験的なもので小規模。本格的な再処理工場は、青森県・六ヶ所村に建設中です。
↑「サイクル館」の見学を終えて隣棟にある「ファミリー館」へ。3階は「エネルギー・ファクトリー」というコーナーで、子供向けの科学の体験ゾーンになっています。
↑2階に下ると「コミュニティ・ギャラリー」。東海村の歴史を紹介するコーナー。ビデオ映像の類がなかなか充実しています。
↑コミュニティ・ギャラリーの片隅にある不思議な展示物。「自然放射線解説システム」といい、「世界平均で人間1人が自然界から受ける放射線量は年2.4ミリシーベルト」とか、「食糧の摂取で0.29ミリシーベルトの放射線を受ける」とかそんな説明がされています。
↑この「プルト君」は妙にリアルで、かなり異質な感じを受けますね。本当はこの展示館から歩いて10分程の所にある「村松虚空蔵尊」やさらに1km程北にある「原子力科学館」のご案内もしたいのですが、長くなるので割愛させて頂き、「げんでん東海テラパーク」のご紹介をします。

<日本原子力発電(株)「げんでん東海テラパーク」訪問記>
旅行日 2011.05.20

↑ということで、国道245号を北に進むと右側にご覧のような異様な人形が目に付きます。げんでん東海テラパークのキャラクターで「テラちゃん」。もちろん大事故が起こると「地球規模で迷惑をかけます」という意味ではありません。
↑国道から150メートル程進むと、ゲートがあって日本原電の構内へ。右手に「東海第二発電所」の建屋が見えたので写真を撮ろうとすると警備員に即座に制止されました。キビシイですね。そんな警備員を恐れながら撮った、原子力発電所のPR施設「げんでん東海テラパーク」の建物の写真。
↑玄関のすぐ脇にある、テラちゃんの人形。右側はテラちゃんの子供?。テラちゃんが手にしているのは海溝型の地震の仕組みの図です。
↑原子力関係の展示内容はこんな感じ。原子力について何も知識がない人がいきなり見て分かるような展示方法でありません。手前の黄色いドラム缶は「低レベル放射性廃棄物」用のものです。
↑電力供給に関してはよく「ベストミックス」という事が言われます。それぞれの発電法の長所を考慮し組み合わせるという事です。このコーナーでは、天然ガス(緑)、原子力(紫)、石油(赤)、石炭(黄)、水力(後方・水色)、そして地球と太陽が何やら楽しげに、歌ったり踊ったりしています。
↑日本原電の「東海発電所」のパネル写真。1966(昭和41)年7月に営業運転を開始した、日本で最初の商業用原子力発電所です。定格出力は16.6万kwと、100万以上が当たり前の現在からみると小規模なものでした。
↑東海発電所の原子炉は「黒鉛減速炭酸ガス冷却型原子炉(GCR)」という形式でしたが、後に設置された他の国内の原発ではこの形式は採用されず、ここ独自のものでした。
↑東海発電所は1998(平成10)年3月で運転を終了。現在は廃炉(原子力関係の人は何故か「廃止措置」と言う)の作業が進んでおり、この作業は2021年頃までかかる見込みです。
↑展示館の屋上は展望デッキとなっており、原子力発電所の建屋他を見られるのですが、「屋上からの写真撮影はご遠慮ください」の注意書きが。残念ながら写真をお見せする事は出来ません。
↑ということでこれは展示施設内にあったパネル写真を撮影したもので「東海第二発電所」。1978(昭和53)年に営業運転を開始した、ごく一般的な「沸騰水型軽水炉」です。
↑受付で「館内クイズ」というペーパーを配っています。結構ムツカシイ問題ですが、館内をキチンと見学して回れば分かる内容。全問正解すると記念品を貰えます。もちろん私は満点で記念品もしっかりゲットしました。まあ、あくまでも小・中学生向けなのですけどね・・・。
↑受付横には、土産物のコーナーがありまして「テラちゃんグッズ」を販売しています。何かと言ってグッズを買い求めている私。なにも「原発グッズコレクター」という訳ではないのですが、社会学的見地からボールペン・キーホルダー等を購入しました(←ホントか?)



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