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〈31〉ギデオンと300人の精鋭軍

聖書
 1さて、エルバアルと呼ばれるギデオン及び彼と共にいたすべての民は朝早く起き、ハロデの泉のほとりに陣を取った。ミデアン人の陣は彼らの北の方にあり、モレの丘に沿って谷の中にあった。
 2主はギデオンに言われた、「あなたと共におる民はあまりに多い。ゆえに私は彼らの手にミデアン人を渡さない。おそらくイスラエルは私に向ってみずから誇り、『私は自身の手で自分を救ったのだ』と言うであろう。3それゆえ、民の耳に触れ示して、『誰でも恐れおののく者は帰れ』と言いなさい」。こうしてギデオンは彼らを試みたので、民のうち帰った者は2万2千人あり、残った者は1万人であった。
 4主はまたギデオンに言われた、「民はまだ多い。彼らを導いて水際に下りなさい。私はそこで、あなたのために彼らを試みよう。私があなたに告げて『この人はあなたと共に行くべきだ』と言う者は、あなたと共に行くべきである。また私があなたに告げて『この人はあなたと共に行ってはならない』と言う者は、誰でも行ってはならない」。
 5そこでギデオンが民を導いて水際に下ると、主は彼に言われた、「すべて犬のなめるように舌をもって水をなめる者はそれを別にしておきなさい。またすべてひざを折り、かがんで水を飲む者もそうしなさい」。6そして手を口に当てて水をまめた者の数は3百人であった。残りの民はみな膝を折り、かがんで水を飲んだ。7主はギデオンに言われた、「私は水をなめた3百人の者をもって、あなた方を救い、ミデアン人をあなた方の手に渡そう。残りの民はおのおのその家に帰らせなさい」。8そこで彼はかの3百人を留め置き、残りのイスラエル人の手から、つぼとラッパを取り、民をおのおのその天幕に帰らせた。時にミデアン人の陣は下の谷の中にあった。 士師記7:1〜8

はじめに

 ★新約聖書ヘブル書11章に信仰の勇者たちの名が上げられていますが、ギデオンはその一人です
(ヘブル11:32)
 ★上記の士師記はイスラエル民族が偶像礼拝に陥ると必ず敵の手に渡され、それで民が苦しみの中から助けを叫び求めると、主は彼らの中から指導者(士師・裁き司、英語ではJudges)を起こし、民を救われる、という歴史の繰り返しの物語です。
 ★士師ギデオンの起こされる直前、民は偶像バアル(太陽神)を拝んでいました。そのため、主は異教徒ミデアン人の手に民を渡され、ミデアン人に悩まされたイスラエルが主に呼ばわると士師6:6)主はギデオンを助っ人として呼び出されました。

 ★上記の記事はそのギデオンが敵のミデアン人と戦った時の話です。

T.ギデオンの精鋭軍の選抜
 A.イスラエル軍とミデアン軍の兵士数の比較

 ★イスラエル軍は3節から32000人であることが分かります。他方、ミデアン軍は8:10,11を見ると、最初の戦いでの戦死者が12万人、生き残って敗走したもの15000人で合計135000人でした。その比率は1:4、敵軍はイスラエル軍の4倍でした。
 ★それでも、主は、主の民の軍としては「多すぎる」と言われました。
 
B.主が「それでも多すぎる」と言われた理由
 ★それは2節にあるように、イスラエルが思い上がって、「自分の手で敵に勝った」と言わないためでした。主は、いつの時代でも主の民がへりくだって主と共に歩み、主に栄光を帰する歩みをすることを求めておられます。それが、人として幸せな祝福された道を歩む秘訣なのです。
 
C.精鋭軍の選抜
 ★選抜のための第一次テストでは「憶病者」は除去されなければなりません。主は「誰でも恐れおののく者は帰れ」とイスラエル軍全軍に命じられました(3節)。この戦いは主の戦いでした。すなわち、信仰の戦いでもありました。信仰の戦いにおいては「憶病者」は常に失格者なのです。

 「しかし、おくびょうな者、信じない者、忌むべき者、人殺し、姦淫を行う者、まじないをする者、偶像を拝む者、すべて偽りを言う者には、火と硫黄の燃えている池が、彼らの受くべき報いである。これが第二の死である」 黙示21:8


 それを聞いて帰った者は22000人で、1万人が残りました。主はそれでもまだ多いと言われて、次なるテストをギデオンに命じました。
 ★第2次テストは兵士の水の飲み方でした。水際でひざを折って、かがんで水を飲んだ9700人を天幕に帰らせ、ひざを折らずに手で水をすくって水を犬のようになめた者300人で13万5千人のミデアン軍と戦い勝利することを主はギデオンに約束されました。
 ★第一次テストで憶病者が除外されたのに対して、第二次テストでは戦場にいることを忘れて、のどの渇きをいやすことに夢中になっていた者は失格者とされました。主は戦場にいることを忘れず、いつ敵に襲われても対処できる姿勢を取っていた忠実な300人の兵士を選ばれました。

U.ギデオン、敵陣偵察によって勇気を与えられる
 ★主は不安をいだいていたギデオンを励ますために、しもべプラを連れて敵陣にくだり、彼らの語ることを聞くように命じられました。
 ★彼としもべが敵の前哨地点に着くと、敵の兵士二人が夢の話をしているのが聞こえてきました。その一人が言いました、「私は夢を見た。大麦のパン一つがミデアンの陣中に転がってきて、天幕を倒した」。仲間は答えて言いました、「それはイスラエル人ギデオンの剣に違いない。神は、ミデアンと全軍を彼の手に渡すのだ」。ギデオンはその夢と解き明かしを聞いて主を礼拝し、イスラエルの陣営に戻りました。

V.ギデオンのとった戦術
 ★失格した兵士たちからラッパとつぼを引き取り、300人の手にラッパと壺とたいまつを持たせ、100人づつ3組に分け、敵陣のところに下って行き、彼らにするべきことを説明した上で、3組を敵陣を取り囲むように配置しました。
 ★ギデオンがラッパを鳴らすと、300人の兵士達は一斉にラッパを鳴らし壺を打ち砕いて、「主のための剣、ギデオンのための剣」と叫びました。
 ★真夜中の不意打ちで面喰い、あわてふためいた敵の全軍は逃げ惑い同仕打ちをはじめ、敵軍13万5千の中12万人がその時、味方の剣によって戦死しました。イスラエルは敵軍の将を打ち取り、この戦いに完全に勝利しました。
 ★ギデオンの前の時代、モーセの後継者ヨシュアが異教徒の町エリコのまわりを武装兵士と契約の箱を担ぐ祭司達との行列に6日間、毎日一回周回させ、7日目に7回めぐらせることによって城壁を崩落させた時
(ヨシュア記6章)と同様、このギデオンの戦いの勝利は、戦わずして勝つ、信仰による主の勝利であり、全面的に主の栄光を現わすものとなりました。

W.ギデオンが敵兵たちの語る夢物語から学んだこと
 ★ミデアンの兵士が語った夢とその解き明かしは、敵たちがギデオンについて抱いていた思いを明かしていました。すなわち、「ギデオンは当時の中東の貧しい人々の食料である大麦のパンのように一顧にも値しない人物だが、そのギデオンが我々に大打撃を与える恐ろしい敵ともなり得る」と彼らは見ていたことです。
 ★この夢もその解き明かしも、偶然の出来事ではありませんでした。主がギデオンに聞かせるために、ギデオンと従者が偵察に降りてきたタイミングに合わせて、主が二人の敵兵に夢と解き明かしを授けられたのでした。
 ★主のその第一の目的は、敵の心境を明かすことより、ギデオンがどのようにして敵の大軍に勝利するか、その勝ち方を暗示することでした。
 ★すなわち、大麦のパンのような素朴で単純で平和的な方法でありながら、敵の目には「ギデオンの剣」のような効果をもつ方法でした。この戦術を聖霊に満たされていた
士師6:34ギデオン自身が思いついたのか、あるいは主から具体的に指示されたのかは定かではありませんが、夢の話を聞いて陣営に戻ったギデオンが夢の話と戦術とを300人の兵士に語って聞かせたことは、兵士たちの確信に満ちた行動から読み取れます。
 ★ギデオンの戦いは、エリコでのヨシュアの戦い同様、武力による力の戦いではなく、信仰による主の戦いでした。この戦いに必要なものは、第一次テストで求められた「勇気」と第二次テストで求められた職務に対する忠実さでした。キリスト者の信仰生活はサタンとこの世と自分との戦いの生活です。その生活に必要なものはみ言葉に対する従順とみ言葉を実践する勇気です。

X.ギデオンは初めから信仰の勇者だったのではなかった
 ★彼の前に主の御使いが現れて、「敵のミデアン人からイスラエルを救い出しなさい」と命ぜられた時、彼はしり込みして、「私の氏族はマナセのうちで最も弱い者です。私はまた私の家族の中で最も小さい者です」と言って、主の命令から逃れようとしています
(士師6:15、16)
 ★また、主の命令を受けて、バアルの祭壇を壊した時、敵を恐れて夜、こっそりと行っています(同6:25,26)。
 ★300人の精鋭軍を率いて戦いに下って行く時も、主に「もし、あなたが恐れるなら、しもべプラを連れて敵陣に偵察に行け」と言われたように、彼が偵察に下ったのは恐れる心を主に励まして頂くためでした。
 ★ヘブル書11:34の「弱い者は強くされ」(新改訳「弱い者なのに強くされ」という叙述はまさしくギデオンに当てはまる言葉でした。

結び
 ★私たちの神、主は「弱いところにご自身の御力を完全に表す」お方です。肉体のとげを抜き去ってほしいと切望した使徒パウロに主は「私の恵みは、あなたに対して十分である。私の力は弱いところに完全に現れる」と答えられました(Uコリント12:7〜10)。その霊的体験から、使徒パウロは「私が弱い時にこそ、私は主にあって強い。だから、むしろ喜んで自分の弱さを誇ろう」と言う心境に達しました(Uコリント12:10)
 ★従って、主にあって自分の弱さを認め、その弱さを誇るキリスト者と、偶像礼拝国である日本の中の圧倒的少数派であるキリスト教会を用いて主はご自身の栄光を現わすことを願っておられるのです。



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キリスト紀元2008年 5月 1日公開


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