土地活用の成否は、企画の段階で80%が決まると言われています。 その土地にどんな需要があるのか? 収支は成立するのか? 綿密な分析が求められます。 |
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●企画、土地分析 | |
企画の大切さ | 建物を建てる前には、丁寧な周辺調査や立地条件を始めとした土地の特性分析が欠かせません。 また、周辺地域の家賃相場を分析し、それに基づいた適切な家賃設定、建設コスト設定などを、綿密にシミュレーションする必要があります。これらをおろそかにすると、 ・空室がなかなか埋まらない ・老朽化によるリニューアル工事の予算が足りない ・家賃を下げざるを得ない ・さらに収益性が下がる といった悪循環に陥ることも考えられます。 |
歩いて情報収集 | 不動産コンサルタントや設計事務所などに頼めば、専門的な需要分析の基、マンション(ワンルーム、ファミリータイプなど)にすべきか、テナントビルにすべきか、それ以外の用途にすべきかなどを客観的にアドバイスしてもらえます。 しかし 、オーナーとしても、いつもとは違う視点で敷地周辺を歩いてみるなど、自分の肌で土地の特徴、雰囲気を感じ取ることは非常に重要です。 例として、 ・自分が入居者だったらどんな建物がいいか ・魅力ある街並みか ・買物は便利か ・学校・病院は近いか ・安全か ・競合するマンション・テナントビルが多いか など、様々な視点で土地を見つめ直してみると、長年住んでいても気付かなかった長所、短所が見つかるものです。 また、地元の不動産屋さんと仲良くなると、貴重な情報がもらえます。古くからの市場動向や家賃相場の変化、管理手法、売買の理由、入居者の希望条件など、どれも活きた情報ばかりです。 |
将来性 | 計画を練るにあたり、忘れてはならないのが建物の将来性です。建物は、適切なメンテナンスさえすれば50年以上使えます。 現状の需要分析だけでは、大切な資産の長期的有効活用には結びつきません。 10年後、20年後に敷地周辺でどんな開発があるのか、入居者の生活スタイルはどのように変化していくのか、その変化に対応できる間取り、構造、設備を備えているかなど、長期的な視点で計画を練る必要があります。 マンションを例に挙げると、今後の一世帯あたりの住居面積は確実に広くなっていきます。従来の広さの設定では、10年後の競争に勝てない可能性があります。 また、間取りに関しても、小さい部屋を多く作るより、部屋の数を少なくし、リビングなどを広くとっている物件の方が、人気が高くなります。 ちなみに、間仕切りが少ない広々とした間取りの部屋は、将来のリフォーム時にもコスト面などで有利に働きます。 |
●ターゲットは誰か | |
差別化 | どんな土地でも、需要を考えずに建物を建てると、事業が台無しになってしまいます。 どんな入居希望者が多いのか、何をすれば競合他社に勝てるのかなど、選ばれるための差別化を考える必要があります。 |
ターゲットを絞る | 綿密な分析を行った上で、ターゲットとする入居者層を絞り込みます。 さらに、そのターゲットが何を求めているかなどをしっかり分析し、間取りや設備計画などに盛り込みましょう。 賃貸マンションの場合、ターゲットは以下のようなグループに分けられます。 ・学生、単身者 希望する部屋の広さ:25u〜40u 最もボリュームが多いグループです。1Rや1Kの間取りを好 み、通勤、通学の利便性を重視するグループです。また、最も 入退去が頻繁なグループでもあります。 一方、支払い能力が低く、滞納の可能性も若干高くなります。 ・カップル、新婚さん 希望する部屋の広さ:30u〜70u 駅から多少離れていても、静かな環境を希望することが多く、 もうすぐお子さんが生まれる家庭では、学校やスーパーマーケ ットに近い物件を好む傾向があります。デザインに敏感なグル ープでもあります。 ・ファミリー 希望する部屋の広さ:70u〜120u 主に2DK以上の物件を好むファミリー層は、まず子供の事を 優先して考えます。近くに学校や病院があり、買物に便利なス ーパーマーケットがあれば、ある程度条件は整っていると言え ます。 その一方で、いずれは持ち家に移行する確率が高いグループと も言えます。 ・シニア 希望する部屋の広さ:40u〜70u 定年退職後のシニア層は、近くに医療施設があること、良好な 環境と利便性の両立や、バリアフリーへの十分な対応など、量 より質を重視する傾向が強いようです。 |
●収支計画 | |
収支の内容 | 家賃や共益費などの収入から、ローン返済額や修繕費、税金などの支出を差し引いたものが実収益となります。 その際、入居率の設定は、90〜95%など、より現実的な数値で設定しましょう。入退去がある以上、常に入居率100%というのはありえません。(金融機関によっては、入居率:60〜70%で収支を計るところもあります。) また、様々な経費計上により、大きな節税効果があることも、この段階で学習しておきましょう。 |
利回りの計算 | 利回りの計算方法には、表面利回りや実質利回りなどがありますが、収益性の判定には実質利回りを使用します。 (各社独自のノウハウから、独自の算出方法や係数を用いていることも多いようです。) この実質利回りの数値によって、事業の成否を判断します。 但し、どの物件にも共通する最低ラインというものは無く、各物件の立地特性や規模、需要予測などによって左右されます。 |
家賃の設定 | 一般に、賃貸マンションの家賃設定には、 ・建設地の近隣にあるマンションを参考に、立地や設備、間取り 、築年数などを比較して設定する方法 ・建設費用や諸経費、期待利回りの金額から設定する方法 などが用いられます。 また、テナントビルの家賃設定では、入居するテナントの予想収益などから算出する方法もあります。 ちなみに、不動産仲介者に返礼を約束するなどして、高い家賃設定でも「竣工即満室」を実現させているオーナーさんもいらっしゃいます。 |