マンション・ビル経営を考えている方々、又は建築・不動産に興味のある方々 向けに、ちょっとだけタメになる建築知識・用語をピックアップしました。 |
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●建築用語 | |
相見積りと 見積り合わせ |
相見積りとは、施工業者に建設工事を依頼する際、複数の業者に見積りを提出させ、金額や内容を比較することを言います。 その際、最も低い金額を提示した業者が優良な業者とは限りません。見積内容の精査のほか、業者の持つ技術力や信頼度、熱意なども含めて検討し、最適な業者を選定します。これを見積り合わせと言います。 |
一括借上げ方式 (サブリース契約) |
このサービスの多くは、2〜3年ごとに家賃設定が見直される契約内容になっています。つまり、空室が埋まらず、収益性が低いとみなされると、家賃は下げられてしまいます。 このサービスを利用するには、事前に十分な説明を受け、納得してから契約した方が無難と言えます。 |
委任契約と 請負契約 |
委任契約とは、 「当事者の一方が事務をなすことを相手方に委託し、相手方がこれ を承諾する。」(民法643条) とあり、委託した業務が完成しなくても、その業務を遂行した割合に応じて報酬を請求できる契約になります。設計契約や工事監理契約の他、医師や弁護士の仕事も委任契約での業務です。 一方、請負契約は、業務(成果物)の完成をもって報酬を受取る契約で、建築主と施工会社が結ぶ工事請負契約がこれに該当します。 ちなみに、実際の工事では、工事の各段階に応じて工事費を分割して支払っていく場合が多いようです。 |
監理と管理 | 建設工事における「監理」と「管理」は、以下のように区別できます。 監理:建設工事が設計図書通りに行われているか、発注者側 の立場でチェックすること。(設計事務所が担当) 管理:建設工事を行う側(受注者側)の立場で、工事現場を 指揮すること。(施工会社が担当) |
確認申請 | どんな建物を建てるのか、法律や条令に違反していないかなどを担当行政庁や指定確認検査機関で確認してもらいます。 これを確認申請といいます。 申請後、許可が下りる(確認済証交付)までに数ヶ月かかることもあります。 |
事前協議 | ある程度の高さ(10mを超える)の建物を建てる場合、交通安全の阻害や工事中の騒音、振動のほか、日照や通風、電波障害などのトラブルが起こることがあります。そのため、工事に入る前に近隣関係者や各自治体と十分な話し合いや意見調整をしておく必要があります。 このような工事着工前の関係者間での意見調整を、事前協議といいます。多くの自治体では、 「中高層建築物等の建築に関わる紛争の予防と〜」 といった条例や指導要綱を設け、トラブルの事前防止対策を義務付けています。 |
設計図と施工図 |
建物は設計図を基に造られます。 設計図には、寸法や建材の種類などを記載するほか、それらの設計理由(法令・規則を満たしていること)などが記載されます。 一方、施工図とは、建設工事の現場で使用される図面のことです。 躯体工事や仕上げ工事など、各工程や段階に応じて作図されます。 |
大規模修繕工事 | 建物は、築10〜15年を経過すると、補修や修理が必要な箇所が増えるだけでなく、損傷の激しい部分や、更新が必要な設備が出てくるようになります。 これらを一括してメンテナンス(修理・更新)することを大規模修繕工事と言います。 |
耐力壁と 間仕切壁 |
耐力壁とは、地震や強風などの水平荷重(横からの力)に耐えるために設置する壁のことをいいます。 一般には厚さ18cm以上の鉄筋コンクリートの壁や、筋交いなどの補強がなされた壁を指します。 一方、耐力壁でなくても、部屋を仕切るために設けられた壁は全て間仕切壁と呼ばれます。 |
鉄筋 コンクリート造 |
断熱性、防音性に優れ、耐震性にも優れていますが、建物自体が重くなり、地盤の条件によっては敬遠されることもあります。 |
鉄骨造 | 軽量のため、基礎工事費が抑えられることも多く、耐震性も問題ありません。 鉄筋コンクリート造と比べると、防音性・断熱性は若干劣ります。 |
木造 | 鉄骨造などと比べ、構造体自体が軽くなる為、基礎工事費が抑えられます。最近では、環境問題への関心などから、4階建て以上の建物での使用も出てきています。 |
ベランダと バルコニー |
ベランダとバルコニーの違いはどこにあるのでしょうか。 ベランダとは、屋根のある縁側・廊下・回廊といった意味合いを持ち、日本語では下屋に相当します。 一方、バルコニーは建物に付随する露台といった意味合いが強く、屋根は必要ありません。但し、手すりもしくは壁(床面からの高さ110cm以上)が付けられていることが必須です。 |
リフォーム リノベーション リファイン |
実はリフォームとリノベーションは同じ意味の言葉です。 また、最近では「より一層洗練する」といった意味でリファインという言葉もよく使用されるようになってきています。 |
路地状敷地 (旗竿敷地) |
このタイプの敷地形状に建物を建てる場合は、まず担当行政庁に訪問し、詳細な規定を確認する必要があります。 路地状の敷地は災害時の避難経路の確保が難しいなど、マンションを建てるにはかなり不向きな土地と言えます。 各自治体でも厳しい条件を課していることが多いようです。 |
●良質な建物の見分け方 | |
安全性・防犯性 | 非常にデザイン性の高い建物でも、死角になっている部分や防犯性の低い箇所があると、容易に犯罪の標的になってしまいます。 防犯性の高いガラスやドアを採用することはもちろん、容易に屋上に上れない構造や、屋外の通行者などからの死角を減らす設計・工夫がなされている建物は、良質な建物といえます。 |
更新性 | 高い更新性を持つ(リフォームし易い)ということは、長い期間の時代の変化に対応できるということです。 築12〜15年もすると、大規模修繕工事や、リフォームなどが必要になってきます。その際、間取りや設備を変えようとしても、壁の位置や天井の高さによっては、変更が出来ない箇所も出てきます。 最初の計画時から後々の更新性を考慮した設計がなされていれば、実際にリフォームが必要になった時に無駄な出費が減り、さらにその時代のニーズに即した空間に変更しやすくなります。 |
省エネ性 | これからの建物に最も強く要求される性能です。 断熱性や気密性といった建物の躯体部分に関わる性能の高さだけでなく、エコキュートやエネファームなどの高効率型給湯器の使用、パッシブソーラーシステムの採用など、複合的な省エネ性能が求められてきています。 |
省メンテナンス性 | 省メンテナンス性を考慮した建物は、維持管理費用が低く抑えられ、事業運営にとても有利に働きます。 一般に、凝ったつくりの建物はメンテナンスも大変です。 同様に、水周りの設備や、複雑な構造の設備も故障が多くなります。 建物も設備も "Simple is best" です。 |
耐震性 |
シンプルな形、四角に近い形ほど丈夫な構造と言えます。 と同時にコストも抑えられます。 一方、コストはかかりますが、耐震構造(揺れに耐える構造)や免震構造(揺れ幅を小さくする構造)を採用すれば、より長い資産活用が図れます。 |
デザイン性 | 高いデザイン性は街の景観に貢献します。 高いデザイン性=奇抜なデザインという訳ではありません。一見地味に見えても、その町の雰囲気にマッチしている建物は、街の景観に貢献するだけでなく、街の人々にも愛されます。 土地活用という視点だけでなく、オーナーと建築家・建設業者による社会貢献事業の実現という視点が必要です。 |
バリアフリー | 床の段差がほとんど無く、エレベーターなどのボタンが大きく押しやすい… 通路には手摺が設置され、案内看板は大きく見やすい場所に設置・・・ 高齢者や障害者が使用しやすい建物は、あらゆる人達にも使用しやすい建物です。 |
●建物のルールに関する知識 | |
建築基準法 | 建物における最低限のルールを定めています。 建物の用途・性能・高さ・規模などに制限を設けています。 また、各都道府県、市町村によってさらに細かなルールが定められていることも多く、地域特性を考慮したデザインが要求されることもあります。 |
都市計画法 | 都市形成のための大まかなルールを定めています。 国内の全ての土地を、 ・ 建物を建ててもよい地域:市街化区域 ・ 建物を建ててはいけない地域:市街化調整区域 (特定の建物は除く) に分けています。 さらに、市街化区域は用途地域という区分がなされ、まちづくりの基本ルールを規定しています。 |
用途地域 | 都市計画法によって定められた、まちづくりに関する基本ルールです。 住居、商業、工業系に分かれ、以下の12の種別があります。 第一種低層住居専用地域 第二種 〃 第一種中高層住居専用地域 第二種 〃 第一種住居地域 第二種 〃 準住居地域 近隣商業地域 商業地域 準工業地域 工業地域 工業専用地域 建築基準法では、各用途地域ごとに建物の用途や規模(建ぺい率や容積率)の制限を設けています。 また、第一種低層住居専用地域などでは、各自治体の条例などにより、建物の高さに制限が設けられていることが多く、中高層マンションなどは建てられません。 |
防火地域 | 都市部など、建物密集地での火災を最小限に食い止めるために設定されています。 この地域内では、建物の構造や建材に一定の耐火性や防火性が求められます。 |
耐火性 耐火建築物 準耐火建築物 |
耐火性とは、火災の熱に耐える性能を指します。 耐火建築物とは、主要構造部(柱、梁、壁、床、屋根、階段)を高い耐火性を持つ構造とし、万が一自分のビルで火災が発生しても、容易に周辺へ燃え広がらず、一定時間(避難に必要な時間)倒壊せずに持ちこたえられる建築物を指します。 鉄筋コンクリート造の建物や、鉄骨に耐火性の高い被覆を施した建物がこれに該当します。 準耐火建築物は、耐火建築物ほどの耐火性は持ちませんが、これに順ずる耐火性能を持つ建築物を指します。 |
防火性 防火構造 |
防火性とは、建物の周囲で発生した火災からの類焼を一定時間防げる性能を指します。 防火構造とは、防火性を持った建材(モルタルや石膏ボード等)を壁や軒裏に貼り、周囲で発生した火災による延焼を一定時間防ぐ構造を指します。 |
建ぺい率 | 敷地面積に対する建築面積(建物を上から見た時の、建物が建っている部分)の割合を指します。 例:土地が400uあって、建ぺい率が50%なら、 400×50/100=200 となり、 その土地に建てられる建物は、建築面積200uまで となります。 |
容積率 | 敷地面積に対する建物の延べ床面積(各階の床面積の合計)の割合の事です。 例:土地が400uあって、容積率が300%なら、 400×300/100=1200 となり、 延べ床面積が1200uまでの建物が建てられることに なります。 但し、前面道路の幅が12m以下の場合、 ・商業・工業系:道路幅員(m)×0.6×100% ・住居系:道路幅員(m)×0.4×100% を算出し、その土地の容積率と比較して、小さいほうの数値を採用するという規定があるため、 例:前面道路の幅が 5m で用途地域が住居系であれば、 5×0.4×100%=200% となり、容積率が300%であっても、この土地には容積率 200%以下の建物しか建てられないことになります。 |
斜線制限 | 街中を歩いていると、上層階が斜めに切り取られたような形状の建物を見ることがあります。 これは、 ・道路斜線制限 ・隣地斜線制限 ・北側斜線制限 といった、建物の高さや規模に対する制限があるためにできた形状です。 これらの制限は、採光、通風などを確保し、良好な環境を保つために設けられているルールですが、最近では景観上好ましくないとの意見も多く、一定の条件(天空率計算など)を満たせば、条件を緩和できる措置も取られるようになりました。 |
高さ制限 | 第一種低層住居専用地域や第二種低層住居専用地域では、建物の高さに上限値(10mまたは12m)が設けられています。 これ以外にも、日照確保や住環境保護、都市景観の整備などを目的として、特定の地域(高度地区など)や用途地域毎に上限値を設定している場合もあります。 |
日影規制 | 日影規制とは、建物が建つことで生ずる日影を一定の時間内に抑え、周辺の居住環境(日照の確保など)を保護する目的で制定されたルールです。 主に10メートルを超える建物(第一種低層住居専用地域では軒高7mを超える、又は地上3階建以上の建物)が対象となり、天空率などによる緩和措置はありません。 |
採光 | 建築基準法では、一定の建物の居室(長時間使用する部屋など)には、採光(自然光)のための窓(開口部)を設けなければならないと定めています。 必要な窓の大きさ(採光ができる面積)は、居室の床面積の1/10〜1/5の範囲で規定され、住宅の居室などでは1/7以上と規定されています。 |
換気 | 窓(開口部)については、採光規定と同様に、換気についての規定も定められています。 原則的に、居室の床面積の1/20以上の窓(開口部)を設けなければなりません。 |
避難経路・ 避難施設 |
一定の規模を超える建物は、災害時に避難する際の避難経路の確保や避難施設、救助のための開口部の設置などが義務付けられています。 建築基準法では、建物の用途や規模などにより、廊下や階段の最低幅員、階段の数、非常用進入口(消防隊員の進入口)の位置、排煙設備の設置基準などが定められています。 |
構造強度・ 構造計算 |
建物が持つべき最も大切な機能が頑丈さです。 そのため、躯体部分(柱、梁、床、壁など)に必要とされる強度の確保や、構造計算による安全性の確認(一定の規模を超えた場合など)が必要になります。 積載荷重や地震に耐えるだけでなく、風圧などにも耐えるよう設計・計算します。 |
民法 | 上記以外の法律でも、建築に関するルールが決められています。 例えば、民法では隣地境界線と建物の間に、50cm以上の距離をとるよう決めています。 |
●省エネ・環境に関する知識 | |
オール電化 | 住宅などでの調理・給湯・冷暖房用の熱源を、電力のみで賄うシステムを指します。燃焼機器を使用しない為、火災の危険性が低く、COxなどの空気汚染物質を減少させる利点があります。 二酸化炭素排出削減の観点からも導入が推進されています。 一方、ライフラインを1つに絞ってしまうため、停電時には非常に不利に働きます。 |
改正省エネ法 | 平成22年4月、改正省エネ法が施行され、これまでより小さな規模の建築物(床面積の合計が300u以上)にも、所管行政庁に省エネ措置の届出、3年毎の定期報告が義務付けられました。 また、不動産賃貸業等を行う事業者は、省エネ性能の表示を行うなど、顧客への情報提供に努める必要があるとされています。 |
高効率給湯機 (エコキュート) (エコジョーズ) (エコウィル) |
2000年以降、急速に普及しました。 一方、技術的にはまだまだ改善の余地があるとも言われ、従来の給湯器と比べて故障が多いとも言われています。 耐用年数は7〜8年程度、稼働時間で20000時間前後が目安とされ、初期投資が高いわりに長持ちしないのが欠点とされています。 故障が発生した時、すぐに修理に来てもらえるメーカーのものを選びましょう。 ・エコキュート:大気中の熱を取り込んで(ヒートポンプ技術)給湯します。価格は数十万円〜といったところです。 ・エコジョーズ:高熱の排熱を回収(潜熱回収)して再利用するタイプです。 ・エコウィル:ガスエンジンを使用して発電し、同時にその排熱を給湯に再利用します。コージェネレーションシステムと呼ばれる高効率型発電機の一種です。 ・エネファーム: 都市ガスなどから水素を取り出し、空気中の酸素と反応させて発電し、同時に排熱を給湯に再利用します。非常に高効率なコージェネレーションシステムですが、価格が高い(約280万円〜)のがネックです。 |
断熱材 | 省エネ法の改正に伴い、断熱材の重要性は非常に高まっています。 比較的安価なグラスウールなどの繊維系断熱材、フェノールフォームなどの発泡系断熱材、コルクなどの自然系断熱材があり、厚みがあるほど断熱性も向上します。 |
パッシブソーラー システム |
電力などの動力に頼らず、建物の形状や材料を工夫することによって太陽エネルギーを効率よく利用するシステムです。 ちなみに、電力などを使用して機械的に太陽エネルギーを利用するシステムを、アクティブソーラーシステムと言います。 |
ペアガラス | 複層ガラスとも言われます。 断熱性に優れ、遮音性にも優れますが、コストはかかります。 外側または内側のガラスにLow-Eガラスを使用して、さらに断熱性・遮熱性を高めたものもあります。 |
Low-Eガラス | ガラスの表面に金属膜コーティングを施したものです。 可視光線を通し、紫外線や赤外線を反射する機能を持っています。 室内の熱を逃がさない(高断熱性)使用法や、室外の熱を遮る(高遮熱性)使用法があります。 |
LCC | 建築物や土木構造物などの企画・設計、竣工、運用、修繕、解体処分までの全期間に要するコストを指します。 建設費などのイニシャルコストと、保守・管理費、修繕費などのランニングコストにより構成されています。 コストパフォーマンスを推し量るうえでも重要な指標となるため、経営の観点からも重要視されています。 |