俺はついカッとなって拳を振り上げていた。
ドカッ!
「いてぇ!」
地面に倒れる弘。俺は思わず奴を殴り倒していた。
「お前のせいだぞ! 散々彼女の気持ちを弄びやがって!」
「くそ〜、てめぇ! 殴る事はないだろ! 真澄ちゃんの気持ち気付いてあげれなかたくせに、よく偉そうに言えるなっ!」
弘は立ち上がり俺の襟首を掴んだ。
「お前な、彼女がどんなにお前の事想ってたか分かるか? 卒業式の時、彼女はお前に第二ボタンをもらいに来ただろ。お前が素っ気ない態度を見せなかったら彼女はお前に告白するつもりだったんだぞ。それを他の奴らに見られるのが嫌でとっとと渡して帰りやがって」
「……」
「内気だった真澄ちゃんにいろいろアドバイスしてあそこまでさせたのに、お前はとうとう卒業まで彼女の気持ちに気付いてやれなかった。だから悔しかったのさ。俺が彼女を慰めてるうちに情が写ったってお前に文句は言えないよな?違うか」
そう言って俺を睨み付ける弘。こいつのこんな表情、初めて見た。俺は思わず目を反らしてしまう。
「それとこれとは話が違うだろ」
「いんや違ってはないね。それに本当に彼女の事が大切なら、俺を殴っるよりも追いかけるのが先じゃないのか? そんなんだから相手の女の子が傷つくんだぜ」
「うるさい、言われなくてもそうするさ!」
俺は弘を突き放すと真澄ちゃんの去った方へ走ろうとした。
「ちょっと待て」
弘に肩を掴まれる。
「おまえ、真澄ちゃんの事、本気で好きなんだろうな?」
「それは…」
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