「そうだよ。だからもう二度とお前に何か渡さない!放せよ。俺は行くからな」
「…わかったよ」
弘は俺の肩から手を離した。そして俺は再び弘に背中を向ける。
「ちょっと待て、まこと」
「今度は何だよ」
胡散臭げに振り返る俺。
「忘れ物だ」
ドカッツ!!
頬に激痛が走り、俺はよろけた。振り向いた瞬間、殴られたのだ。
「これでおあいこだ。じゃぁな。しっかりやれよ」
手を軽く上げて去っていく奴の背中を頬をさすりながら見送った。
痛いな…ちくしょう。少しは手加減しろって言うんだ。…まぁ、俺も手加減してなかったけど…。
おっと、そんなことより真澄ちゃんを追いかけなきゃ。
俺は公園を出て、海沿いに彼女の姿を探して走った。
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