「わかんないよ…ただ…」
「わかんないだって! そんな中途半端な気持ちで追いかけようっていうのかお前は」
「関係ないだろ。それに学校一のナンパ男のお前に言われたくないぜ」
「待てよ! 俺は一度だって中途半端な気持ちで女とつき合ったことはないぜ。いつだって本気で相手を好きになってつき合っていたんだ。お前に真澄ちゃんを渡す訳にはいかない。お前に行く権利はない」
「なんだと!」
「いいから帰れよ」
「なに?」
「中途半端な気持ちならこのまま帰れっていってるんだ!」
「……」
いつになく強い口調で俺は思わず黙り込んでしまう
「もう俺は知らないからな」
何も言わない俺の腕を払い退かして、弘は公園を出ていった。
俺はもう真澄ちゃんを追いかける気力は無くなっていた。弘の言うとおりだ。俺に彼女を追いかける権利なんてない。
そのまま俺は姉貴の家に戻った。
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