「お前のせいだぞ! 弘」
俺は奴を睨み付けて言うと、彼は「しょうがないな」という仕草をして俺を見返した。
「彼女の気持ちに気付いてやれなかった、どっかの鈍感野郎には罪はないのかねぇ」
「なんだとっ!」
俺は思わず弘の襟首を掴んだ。
「今だってそうだろ? こんな事してるより、彼女を追いかける方が先じゃないのか」
「……」
余裕の顔でそんな事を言われて俺は何も言い返せなかった。ゆっくり奴の襟首から手を離す。
「俺だってな。最初は仲を取り持ってやろうと思ったさ。でも真澄ちゃんの真剣さとお前の鈍さ加減をみてたら馬鹿らしくなってさ。彼女、きっとお前がなにも気付いてやらなかったから、寂しくて俺の誘いにも乗ったんだと思うぜ」
「……」
襟首を直しながら弘はいつになく真剣な顔で言う。
「お前、本当に彼女の事好きなんだろうな?」
「……」
「どうなんだよ!!」
激しい口調で俺に怒鳴る弘。
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