「お前に言われるまでもない。好きだよ。めちゃめちゃ本気で好きだよ。いくら相手がお前でももう二度と渡さない!」
「…わかったよ。なら行けよ」
そう言った弘の声が心なしか柔らかく感じた。
「え?」
「とっとと行けよ! どうすればいいか言わなくても分かるだろ? いいから行けって」
「あ、ああ」
俺は弘の勢いに背中を押されるように真澄ちゃんの去って行った方向へ駆け出した。
「おい、まこと!」
急に呼び止められて振り返ると、親指を立てて弘が笑っていた。
「上手くやれよ」
「…ああ。ありがとな」
俺は胸の中に暖かい感情が広がった。なんだかんだ言っても奴は友達なんだなぁってちょっと実感してしまった。
よし!しっかり探さないと。
俺は公園を出て、海沿いに彼女の姿を探して走った。
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