2004年 カウアイ・フィールドワーク日記 後半 18日更新

インタビューにご協力いただいた二世の方々をご紹介します

ワイメア点描・今年のワイメア

ワイメア東本願寺のむかしと今

カウアイ・フィールドワークこれまでのハイライト

お寺でお世話になった方々をご紹介します(更新あり)

インタビュー収録の手順を紹介します

9月13日(月)
 
今日から本格的なインタビュー収録が開始されました。あらかじめ決めていた対象者とは、すでにアポイントメントがとれているので、さっそくビデオカメラをつかった収録作業に入ることになります。収録に際しては、すでに合宿で練習したように、インタビュー映像に関するいろいろなテクニックを動員して、質の高い映像の収録を目指します。もちろん、撮影技術の前提として、人間を的確にとらえるインタビューの技が必要となります。学生諸君は、まだまだ未熟ではありますが、精一杯頑張って、ときどき教員からの檄を受けながら収録を進めていきます。

9月14日(火)
 インタビューは、順調に進められています。お寺には、近くのみなさんから学生たちにたくさんの差し入れが届きます。新鮮な魚介類や熱帯のフルーツは、たべきれないほどで、ジュースにして流し込んでいるという贅沢なありさまです。もったいない!でも、ちょっと食傷気味。

学生たちに届けられたたくさんのフルーツ。左はマンゴー、右はタンジェリン、他にもパパイヤやオレンジなどたくさん。

9月15日(水)
 
インタビューは順調です。お年寄りの二世たちは、日本語での会話をそれなりに楽しんでくれているようです。中には、学生たちにご馳走をしてくださったり、別れを惜しんで涙を流してくださったりするお年寄りもおられます。調査の学術的、教育的意義もさることながら、調査自体が人々の心によい結果を残すことが何よりも大切だと実感されます。人を傷つけるような興味本位のインタビューは私たちの主義ではないのです。
 さて、今日、9月15日は、参加者の一人、森下なつきさんの22歳の誕生日です。みんなで夕食のあと、特注のケーキでお祝いをしました。それぞれがこっそりと用意したプレゼントも登場して、誕生会はことのほか盛り上がりました。そのときの写真と全員で撮影した記念写真を掲載します。

ロウソクの炎を吹き消すなつきさん

全員の記念撮影です。後半も安全で充実したフィールドワークを続けようと気合いを入れました。

開教使の藤森宣明さんです。地元の人々は、「センセー」と親しみを込めて呼んでいます。

9月16日(木)

 インタビューもだいたいが収録を完了しました。それぞれご自宅を訪問し、日系二世のお年寄りたちの日常生活のこまごました模様をビデオに記録し、彼らのこれまでの人生のさまざまな出来事について、思い出を語ってもらいました。また、たいせつに保存さてきた写真を拝借し、お寺に帰ってスキャニングをして、お返しするという手間のかかる作業を着実にこなしています。

 さて、お寺の月報で、藤森先生が学生たちに差し入れをしてやってくださいと書いていただいたおかげで、たくさんの食べ物が届けられ、また、食事を作ってくださる方々もあります。今日の夕食は、カリフォルニアロールの海苔巻きが提供されました。オオシロさんご夫妻、シブヤさんご夫妻、ジョイ・ジムラさん、フィジーからの移民のツィツィさんがお寺にたくさんの食材を持ち込んできて、インタビューから帰ってきた学生たちも手伝いながら、夕食の準備をしました。海苔巻きははじめての学生もいて、なかなか真ん中に具が入らず、へんてこな海苔巻きもできたりして、大騒ぎの夕食となりました。

9月17日(金)
 
インタビューは、終盤に入りました。今日は、お寺で、藤森開教使のインタビューを収録しました。その様子は、「インタビュー収録の手順」でも紹介しました。ご覧下さい。たかがインタビュー、されどインタビューです。せっかくの二世たちの声を損なわないよう、細心の注意を払いながら収録が進められています。

 さて、今日は、夕方、近くのソルトポンドビーチで、バーベキューをしました。インタビュー対象者の一人であるオキノ・ナミエさんのごきょうだいのハナエさんが、ステーキ肉を差し入れてくださったので、それをありがたくバーべキューにして食べました。塩焼き、つけ焼き、ともに大満足でした。

ビーチには、かならず公共のバーベキューコーナーがあるので、そこを使って小宴会。ただし、公共の場所での飲酒は御法度です。飲んでいるのは、ソーダばかり。

太陽が沈んだばかりのたそがれどきのビーチ。ソルトポンドのビーチは夕陽は海に沈みます。

9月18日(土)
 インタビューの収録はほとんど終わりました。あと、作品をつくるときに必要な関連映像(たとえば、サトウキビ畑の遠景、海岸、飛行場などいろいろ)やイメージショットと呼ばれる挿入用の映像を撮影する課題が残っています。手分けをして車をかって周辺をめぐり、撮影を行いました。当初は、撮影したショットを山中が一つ一つ確認し、指導をしていましたが、だんだんそれもする必要がなくなり、(こちらが疲れてきたこともありますが、学生たちが要領を飲み込めてきたことが大きい)彼らにまかせて、撮影は随分はかどりました。
 18日の夜は、ワイメア東本願寺のプレジデント(日本では門徒頭とでもいうのでしょうか))のノナカ・マサトシさん一家が、激励と慰労の一席を設けてくださいました。昔、ノナカ家が経営していて、現在は中国系のオーナーに引き継いだ中国料理のレストラン「ウォングス」(旧名:思い出レストラ)で美味しい中国料理をいただきました。ノナカさんは、持病にもかかわらず楽しそうで、おくさんやお子さんご夫婦、お孫さんたちもいっしょに、食膳を囲みました。

中央がマサトシさんご夫婦。写真が暗かったので明度をあげました。

9月19日(日)
 この日、お寺ではお彼岸の法要がありました。それ以外にも、月に一度、日曜日に法要(サービス)を行います。これはキリスト教の習慣の影響で、日本では、お寺に檀家たちが集まって法要するようなことはありませんが、こちらでは、それを行います。インタビューに協力してくださったお年寄りたちが集まってきました。法要のあと、もちよった食事をみんなでいただき、お寺の掃除をし、宿舎の帰って掃除をして、明日の帰国に備えます。


法要にこられたインタビューイーの方々。ジンジャーの花が生けられています。

9月20日(月)
 この日記も最後になりました。早朝の出発前の忙しさの中で書いています。10:55のアロハ航空機でホノルルへ、そこからノースウエスト便で関西空港に帰ります。山中は、ホノルルでの事後処理をすませて、24日に帰国です。
 今回のフィールドワークでは、学生たちが日々成長していくのをみることができてとても嬉しく思いました。99年以来、大学を超えて積み上げてきたワイメアの人々との信頼関係があってこそ、成功裏におわることができるだとあらためて感じます。今回の学生たちも、後輩たちのために、その信頼関係をよりいっそう強めることができたと思います。
 最近は、多くの大学で海外研修やフィールドワークを行うところが増えてきました。しかし、その実態はたんなる観光旅行をフィールドワークとよんでいるにすぎないことが多いように思います。フィールドワークは、しっかりとした学術的な調査計画とその達成、調査団の規律と個々人の集団に対する献身と貢献、そして、学生たちの人間的学問的な成長が伴わなければ、意味をなさないと思います。とりわけ、帰国後にしっかりとした研究成果をまとめあげることが必要です。そこまでを服未婚でこそはじめてフィールドワークといえるでしょう。今回のフィールドワークが、それだけその理想に近づけるかはまだこれからの学生たちの日本での取り組み(作品を完成させること)をみなければ判断できませんが、まずは、現地での取り組みは首尾良く終わりそうだということでしょう。
 あとは、帰路の安全と平穏を祈るばかりです。ホノルルから関空までは、山中の援助なしての旅となります。まあ、現地でしっかりと身につけた判断力でその位は十分自力でできることと確信しています。

以上で、この日記を終わります。ご精読感謝いたします。