インタビューの撮影の手順

学生たちがどのようにインタビューを収録していくか、すこし順を追って、示してみたいと思います。今回は、撮影までの準備を紹介します。
放送局などがつかうようなプロ用の機材は使わず簡単な家庭用の機器をつかったインタビュー収録ですが、それなりに周到な準備と手順をふんで収録を進めていきます。今回は、開教使の藤森宣明さんのインタビューを例にとって、説明しましょう。

1 まず、インタビュー対象者の座る位置を決めます。明るさの程度、光の角度などをみながら決めていきます。対象者の生活や人柄などに関連する背景も考慮します。今回は開教使という職業を考え、本堂の内陣を背に撮影することに決めました。(椅子の位置を決めているのは馬場君)

2 つぎに、カメラ位置を決めます。

3 内陣を背にして、本尊の一部が入り込む画角をねらうつもりです。

4 三脚の位置が決まると、水準器を使って水平をとります。カメラを水平に動かす(パンする)とき、水平線が崩れないようにするためです。


5 つぎに、カメラの準備です。カメラは、室内撮影で、後ろに下がる余裕がない場所であるため、広角撮影ができるワイドコンバーター(ワイコン)を使うことにしました。学生が手に持っているのが、ワイコンです。

6 ワイコンをレンズ前に装着します。

7 つぎに、音声録音の準備です。ピンマイクといって、豆粒のような小さなマイクを対象者の服の内側からいれ、襟元で固定します。こうすることで、周囲に雑音があっても、対象者の肉声を明瞭に収録することができます。(マイクの装着をしているのは酒井君)

8 ピンマイクを襟元に、固定しているところです。

9 ピンマイクの固定が終わりました。マイクからケーブルがすこし緩やかに湾曲して、胸元に消えていくのがベストです。蛇足ですが、テレビの女子アナなどは、この仕上げの美しさをたいへん気にするそうです。

10 こういう具合に仕上がります。すこしにやけた藤森先生です。

11 つぎに、マイクの端子とカメラ端子を連結する延長コードの接合部分をガムテープで巻いて、補強します。録音中に対象者が動いたり、また、何かの拍子で接合部分が抜けて、録音が途切れてしまうのを防ぐための予防策です。ガムテープは「ガムテ」などとよばれ、これ以外にも、ビデオ映像の収録では、さまざまに利用される撮影の必需品です。

12 同じように、対処者の襟元からのびたケーブルをゆとりを持たせて、その一端を対象者のズボンや腰のあたりに固定します。対象者が動いたときに、ピンマイクがはずれないためです。放送の現場では、ワイヤレスマイクを使用することが多いのですが、その場合でも、トランシーバーを腰の辺りで固定します。

13 マイクからのびたケーブルの一方の端をカメラのマイク入力端子に接続します。

14 カメラ側についても、三脚の一部にケーブルを固定し、思わぬ衝撃で脱落するのを防ぎます。(テープを巻いているのは森下さん)

15 最後に、実際にマイクからの音声をチェックし、電磁ノイズや接触不良などがないかを確認します。

16 これでカメラの準備は終わりました。(カメラマンは竹内君)

17 つぎに、対象者の顔(とりわけ瞳)にスポット照明をあて、生き生きとした表情が出るようにします。(照明係は馬場君)

 以上で、収録の準備は完了です。これを数分間の間に、的確に行うことができるようになるのを目指しています。準備に時間がかかるだけ、対象者の負担になるからです。こうして、インタビューの本番が始まります。