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変則的な虹虹というと誰でも知っている現象ですので、 研究し尽くされてあらゆることが解っていそうに思えるかもしれません。 ところが、ごく稀に常識離れした変わった虹が見られることがあるようで、 これらに関しては未だ詳しいことが判っていません。 昔から絵やスケッチとしていろいろなパターンの変わった虹が記録されています。 そういった記録の中には、 絵ですから、見間違いや覚え違いも含まれているでしょうし、 実際、 反射虹 や 過剰虹 ではないかと思えるものもあります。 しかしそれを考慮した上でも、 いろいろと変則的なものが現れてきたのだろうと思われます。 そして現在。 デジタルカメラが普及したお蔭もあって、 こうした変わった虹が写真に収められるようになってきました。 ドイツの Atmospheric Phenomena のページの 奇妙な虹 にいくつか載っています。 ここでは、日本で撮影されたものをいくつかご紹介します。 その1
写真をよくよく見ると 強調画像のほうを見て頂けると判ると思いますが、 ちょうど虹が途切れているあたりを含め何本か光の明暗の筋が見えます。 これは恐らく 反薄明光線 です。 それぞれの明暗の境界は対日点 (虹の弧の中心) に向かい、普通ならば虹の弧とは垂直に交わっているはずです。
どういう仕組みでこんな虹が見られたのか? 最初に書きました通り、詳しいことは未だ判っていません。 ここでは、いくつかの可能性を考えてみたいと思います。 まず、通常の虹と「ずれている」わけですが、 ずれ方は、虹の弧の
の二種類に分けられます (組み合わせることも考えられます)。 半径が変化するためには、虹の原因となる水滴の屈折率が変わるか、 あるいは水滴が変形して、断面が円では無くなっている、などの理由が考えられます。 屈折率の変化の原因としては、水に何かが溶けている (塩分とか (海の飛沫で見える虹は半径が小さくなります)) とか、 水ではなく、氷になっているなどがあり得ます。 方向を変えるためには、反射虹のようにそもそもの太陽の光の方向が変わっている、 という理由が考えられます。 光の方向を変えるには反射のほかに屈折という手もあります。 回折というのもありますが、これは光がかなり弱くなってしまいますし、 対称に散るはずなのでここでは考えなくてよいでしょう。 屈折が原因だとすると、蜃気楼のように、 空気の温度差により屈折率の違う部分が上空にあった、 という可能性があるかもしれません。 さて、今回の虹では、跳ね上がっている部分では通常の位置に虹は見えておらず、 ガクンと途切れて元に戻っています。 ということは、原因は、なんであれ、 途切れているところを境に急激に変わり得るものであることが予想されます。 そう考えた場合、屈折率の違う水滴などが原因だとすると (これを [説1] とします)、 途切れているところを境に (今回の場合上下で) 何かが溶けている/溶けていないなどが変わらなければならないので、 (特に数分以上の時間安定してそうなっているのは) 条件的に厳しいのではないかと思います。 太陽光の方向が変わっている、という説の場合は (これを [説2] とします)、 途切れているところよりも、 連続的に変化している側のほうがそんなにきれいにいくのか? (もっと揺らぐんじゃないのか?) というところが難点ではないかと思います。 そもそも、上空からの太陽の光がそんなに曲がるのか? (主虹の幅分 (2度くらい) 曲がっていることになります) という点も疑問は残りますし。 モデルを作って計算し、検証しなければならないでしょう。 [説2] のほうが [説1] よりも有利に思われる点があります。 既に述べた、 反薄明光線と思われる光の明暗の筋です。 暗い部分には影になっているなどの理由で光が少ないのか、 あるいは明るい部分に他より多くの光がきていることになります。 ちょうどその明暗の筋の部分を境に虹がずれていますから、 何らかの原因で屈折した太陽の光が筋を作っているとも考えられます (たまたま方向が一致しているだけの可能性ももちろんあります)。 そんなわけで、 筆者は現時点では [説2] が有力ではないかと考えていますが、 まったく違う仕組みかもしれませんし、 解明までにはまだまだ時間がかかりそうです。 とりあえず、大気の屈折率の温度や湿度などによる変化のデータを探さねば…。 その2
ちなみに赤の過剰虹は普通は目立ちませんが、 これは日没間際で太陽の光の赤色が強く (というか赤色以外が弱く)、 はっきりと見えているのだと思います。 そのこと自体もけっこう珍しいかもしれません。
そして、副虹のほうをよーくご覧下さい。赤、緑、紫の外にもう一度、 赤や緑が見えます。 これは、副虹の過剰虹だと思われます。 主虹の過剰虹は内側に現れますが、副虹の場合はこのように外側に現れます。 撒水器で撒いた水に掛かる虹などで見えているものの写真はいくつか見たことがありますが、 空に掛かる副虹の過剰虹が実際に見られ、 写真に撮られたのはかなり珍しいと思います。
さて、この一連の虹の写真の中には、虹とはたぶん別の、 よく解らない現象がもう一つ写っているのですが、 それは 別項 で…。
その3
時間経過1、2 は、 変則的な虹 その1 と同じような感じで跳ねています。 跳ねている部分の右側の部分は内側にもずれているように見え、 ささくれだっているといってもあっていそうな感じです^^;。 時間経過2 はドイツの Atmospheric Phenomena のページの 奇妙な虹 のものと似たような雰囲気 (全体に斜めにずれた虹が交差している?) もすこしあるように見えます。 時間経過4の右のほうは、ちょっとぶれながら曲がっているようにも見えます。 時間経過4 の右ぎりぎりに見える反薄明光線と思しき黒い筋が、 時間経過1 の真ん中に見えているものが移動していったものだとすると、 おおよそこの光の筋にそってずれているぶぶんが移動してものとも考えられます これは、何かヒントになるかも? 関連項目
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