![]() | ![]() | || 博物館ロビー|| 星の生まれる丘 || Main Gate |
| 虹 | → Next Page: 光環 |
|---|
虹に取り憑かれたわれわれのような仲間はいたるところで虹を見る
(R.Greenler, “太陽からの贈りもの”より)
| topics |
主虹、
副虹、
反射虹、
白虹・霧虹・雲虹、
過剰虹・干渉虹、
水平虹、 月光虹・月虹、 蕪虹・株虹、 傍心虹? |
|---|---|
| →追加トピック |
[写真1]・主虹
一番ありふれた、ごく普通の虹 (rainbow) を、主虹 (しゅこう, しゅにじ) または第一次虹といいます。英語だと primary rainbow です。 単に虹 (rainbow) という場合はたいていはこの主虹のことを指します。 太陽の反対側 (対日点) を中心とした半径約42度の円の上に現れますが、 太陽は水平線よりも上に (すなわち、虹の円の中心は水平線よりも下に)、 虹の原因となる雨粒などの水滴はたいてい空にありますから、 通常は円の上半分よりも狭い範囲しか見えません (飛行機や山の上などからは下半分が見えることもあります)。 外側の赤から内側へ向かって、橙、黄、緑、青、藍、紫と、 「虹の七色」に色づきますが、必ずしもはっきり色が見分けられるとは限りません。
虹の現れる基本的な原理は、水滴に入る光は屈折し、水滴の内側で一回反射し、 また屈折して出ていく、というものです。 色が現れる原因は、 水の屈折率は光の波長によって違うから、です。 目に見える光は波長によって色が赤〜紫と変わるので、 色によって水滴で曲げられる角度が変わることになります。 太陽の光にはいろいろな色 (波長) の光が含まれていますが (全部混ざると白になります)、 屈折するときにそれぞれの色の光が違う方向に進み、 虹の色が見えるようになります。
虹を作る光は水滴の中でどのように屈折・反射しているのでしょう? 水滴のある点から入射した光がちょうど約42度の方向に出ていくから、 虹の半径は約42度になる、というのがよくある簡単な説明ですが、 これだと、「じゃあ、『ある点』以外から入った光の行方は?!」 という疑問が残ります。 「ある点」も含めて水滴にはどこからでも光が入ってきます。 水滴の真中のほうから端のほうへ光をずらしていって、 中で一回反射して出ていく光の道筋をたどって見ていくことにしましょう。 真中から入った光は、水滴の表面からまっすぐ入るので屈折しませんし、 反射するときも反対側の表面にまっすぐ当たるので、まっすぐ跳ね返ってきます。 そして当然、まっすぐ出ていくので、入ってきたのと同じ方向、 というよりはちょうど反対の方向に光は帰っていきます。
光の入る位置をちょっとずらすと、ずらした方向と反対側、 上にちょっとずらしたのならちょっと下側から、 ちょっと下向きに曲がって出ていきます。 光の入る位置をもう少し上にずらすと、 さらに下に曲がって出ていきます。
|
最初のうちは上にずらすに従って曲がる方向がどんどんと下へ下へと変わっていくのですが、 だんだんとずらしていくとその下への曲がり方の増え方がだんだん小さくなっていき、 あるところで遂に折り返して、曲がり方が減り出します。 この「折り返す」ときに光が入る位置がちょうと上述の「ある点」になります。 そして、このときの下向きへの曲がり方が、光の入ってきた方向に対して、 約42度になります (細かく言うと、赤い光のとき約42度、紫の光のとき約40度)。 このような角度を最小偏角と呼びます。 この前後では「光の入る位置の変化」に対して「光の曲がり方の変化」が小さいので、 他の方向よりも多くの光がこの方向に近い方向に進みます (図参照。 図の一番下のところから出ていく光のところが濃くなっています)。 ここから離れた部分、 つまり「ある点」から遠い部分から入った光は、ばらばらの方向に散ってしまった、 と言えます。 よってこの、42度という方向が明るく見え、結果として虹が見られるわけです。 (補足: 光の波としての性質をちゃんと考慮すると、 実はほんの少しずれた方向になります)
[図2]・太陽の光が一定の角度で曲がると…
さて、42度曲げられた光が丸い虹を作る理由を説明しておきましょう。 太陽から光が来る方向というのは、日なたに立って、自分の頭の影を向いた方向です。 この方向に対して一定の角度、ということですから、 大きなコンパスを思い浮かべてください (両腕を伸ばすというのもありです)。 コンパスを 42度くらいに広げて、針を頭の影に刺して、 つまむ部分は自分の顔のところへ持ってきてぐるっと回したと思ってください。 このときの、ペンの描く円が、虹の見えるところです (もちろん、普通は地面より上の部分しか見えませんが)。 つまり、自分の眼から伸ばした直線と、太陽から来て水滴で曲げられた光線が、 ちょうど42度になるところは、ぐるっと丸く並んでいるというわけです。
[写真2]・主虹と副虹と過剰虹
(last modified: 2002/05/11)
主虹の外側、半径51度の位置に現れる二本目の虹を、 副虹 (ふくこう, ふくにじ)、または第二次虹 (読むと冗談みたいな名前ですが^^;) と呼びます。 英語だと secondary rainbow で、 主虹と合わせて double rainbow と呼ばれるようです。 主虹が現れるときに必ずしも現れるわけでもなく、 主虹に較べて明るさが少ないので、やや見つけづらいかもしれませんが、 雨上がりだけではなく、噴水などの水しぶきの中にも見つけることが出来ます。
現れる仕組みは主虹とほとんど同じですが、光が水滴の中で二回反射する、 というところが違います。 水滴の中で光が反射するときに、全反射はせず、 一部の光は外へ洩れ出すので、反射が一回多い分、副虹のほうが暗くなります。 色の順番は主虹とは逆に、内側が赤になります。 よくある簡単な説明では「二回反射するので、主虹と色が逆」 と書かれていたりもますが、 それは間違いです。 正しくは、光線が主虹と逆向きに (上の図では光線が右回りに曲がっていますが、 その場合には副虹を見せる光線は左回りに) 曲がっているから、 というような理由になります。 主虹の光の経路は半回転弱、という感じですが、 副虹では光の経路がぐるっと一回転しているような形になって目に届いているのです。
さて、ここで前項の光をずらしていく話を思い出してみます。 水滴の真中から入った光は、まっすぐ返るわけですから、 虹を見ている人から見ると、太陽のちょうど反対側 (対日点)、 すなわち虹の中心に見えることになります。 光の入る位置をずらしていくと、それはだんだんと虹の見える方向へとずれていき、 42度、虹の半径のところで折り返すわけです。 一方、主虹の外側にはこのような、水滴の中で一回反射してきた光はありません。 そうすると、主虹の内側は外側よりも光が多い、ということになります。 場合によっては肉眼でもわかるほど、明るさの差ができます。
副虹の場合は、同じようにずらしていくと逆に、外側から副虹に近付いて、 折り返していきます。 つまり、副虹の外側は内側よりも明るくなります。 これらが顕著に現れると、二本の虹の間は、 それ以外の部分よりかなり暗く見えることになります (この部分を、アレクサンダーの暗帯といいます)。 折り返す位置は、紫の光よりも赤い光のほうが先まで行きますから、 この暗い領域を挟んで主虹の赤と副虹の赤が向かい合うことになります (これが色の順番が主虹と副虹で逆になることのもう一つの説明です)。
水滴の中で一回反射すると主虹、二回反射すると副虹になるのなら、 三本目の虹、すなわち、 三回反射した第三次の虹やもっと高次の虹も見えるのでしょうか? 対応する光の経路は確かに存在します。 しかし、反射回数が増えると、それだけ、明るさが指数関数的に減っていきます。 でも、ひょっとしたら三本目くらいは…?。
三次の虹が現れるであろう方向は、なんと、太陽の反対側の空ではなく、 ぐるっと回って太陽側の空、太陽から約40度のところになります (外暈 (46度) よりも内側!)。 このような方向になると、空自体も明るくなるので、 虹の暗さもあいまってますます発見が困難に、 というよりはほとんど不可能になります。 (ここからは筆者の想像になるのですが) さらに、この方向だと主虹や副虹を作る水滴のある場所とはだいぶ離れた場所になりますから、 これだけの広い領域に条件の良い水滴が同時に分布する (そのうえで適切な太陽の光が射し込む) のも難しいでしょう。 つまり、もし、見えたとしても、 そのとき同時に主虹や副虹も見えているとは限らないのです。 ますます見つけ難いですね。
副虹と同じ仕組みで三本目の虹が現れることは、 上述のようにほとんど絶望的なわけですが、 実は、他の仕組みで三本目、時には四本目の虹が見られることがあります。 それは、通常の虹に加えて、水面に反射した光によって虹が出来る場合です。 この虹を、反射虹、といいます。
元になる光の向きが変わってますから、反射虹は、対日点 (太陽とちょうど逆の位置、自分の頭の影が見える方向) の周りではなく、 対日点を水平線に対して対称に移動した位置にある点の周りに現れます。 ちょっと紙に描いてみると判りますが、対日点と、 それに対称な位置の点の周りに同じ大きさの円があると、 ちょうど、 一つの円を水平線で折り返したような形が水平線より上にあることになります。 水平線に近いところでは、何と V字型の七色の光の帯が見られることになります。
反射虹はもちろん主虹、 副虹それぞれに対応したものが現れますので、 最大で四本の虹が見られることになります。
参考
![]() |
主虹の項で、 虹の七色は必ずしもはっきり見分けられるとは限らないことを書きましたが、 色がはっきりするかどうかは主に虹を見せる水滴の大きさに左右されます。 水滴が比較的大きいときには色がはっきりと分かれ、 小さいときにははっきりとしなくなります。 そして、とても小さなときには、色がほとんど分かれず、白っぽい虹となります。 これを白虹 (white rainbow) と呼びます。 朝日や夕日の、赤い光によってできる場合は、 これが赤っぽくなって赤虹とも呼ばれます。
水滴が小さいときは、光が分かれるところまでは同じなのですが、 他の小さな水滴により回折という現象が起こり、 光がまっすぐ進めずにいくらか散らされるために再び他の色と混ざって、 白っぽくなるのです。 …というのが古い説明でしたが、 光の波としての性質をちゃんと考慮すると、違う説明になります。
波としての性質を考慮すると、 水滴が大きいときは虹のそれぞれの色のピーク (明るいところ) が、 より明るく狭くなるのですが、水滴が小さいと、 ピークがあまり明るくなく、広くなってしまうことが判ります。 ピーク部分が広くなると、隣の色と重なりが大きくなってしまいます。 すると、色が混ざって白くなってしまうのです。
雲や霧というのはとても小さな水滴から出来ているので、 白虹が見えるのは主として雲や霧の中です。 これらをそれぞれ、雲虹 (cloud bow, cloudbow)、霧虹 (fog bow, fogbow) と呼びます。
雲の場合はそもそも明暗があったりするので、見つけ辛いかもしれません。 飛行機に乗っている場合は、眼下に広がる雲に雲虹が見える場合があります。 この場合、雲はおおよそ水平に広がっているので、別項で説明する 水平虹のような側面もあり、 楕円や双曲線状に見えるかもしれません。
日本語及び漢文の世界などで、 場合によっては、色のついていない、 空に現れる(虹以外の)光の帯をさして「白虹」ということもあるようです。 たとえば、「白虹日を貫く」という言葉があり、 この場合には 幻日環 という現象をさしていると思われます。
(last modified: 2002/05/11) 参考
|
主虹のすぐ内側、もしくは副虹 のすぐ外側に、白っぽい縞模様が見えることがあります。 これが、過剰虹 (supernumerary bows)、もしくは干渉虹 (interference bows) と呼ばれる現象です。
これは、ひとつの水滴の中で、もっとも強く光が出ていく方向 (主虹の説明で出てきた「折り返す」方向) の両側の、同じ方向に出ていく二つの光 (折り返す前と後) の出るところの間の距離がちょうど光の波長 (の半分〜数倍) 程度になる場合に見られます。 この距離が光の波長の半分、もしくは 1.5倍、2.5倍、 …の場合は光は干渉して弱めあって暗くなりますが、 整数倍のときは干渉して強めあって明るくなります。 距離はもちろん角度によって変わりますから、 角度によって明るいところと暗いところができて、縞模様になります。
縞の幅は水滴の大きさによって変わり、水滴が小さいほど広い縞になります。 白虹の項で説明したのと同じく、 水滴が小さいと、それぞれの色の明るさのピークが広くなるのが原因です。
(last modified: 2002/05/11)
虹は普通、空に見られます。 しかも、水平線に近いところから、せいぜい40度ほどのところにかけて現れるので、 垂直に立っているようなイメージを受けます。 ところが、草の葉などについた露や、 水面に転がる水滴によって虹が見えることがあり、 この場合、水平線より下、地面や水面に沿って「水平に」虹が現れることになります。 これを、水平虹と呼びます。 諏訪湖でよく見られるらしく、名物となっているらしいです。 露 (dew) で見られることから、英語では dewbow というようです。
もちろん、よくよく観察してみれば、あくまで対日点の周り 42度の位置に光の帯があるわけですが、 その光までの距離が、背景の地面や水面までの距離に見えてしまい、 (虹自体は、左右の目に同じ角度で光が入ってくるので、 背景がなければ無限遠に見える(#1)) また、 実際に近くの水滴から来た光のほうが明るく (すなわち近く) 見えるでしょうから、 楕円や双曲線の虹が水平にあるように知覚されるのです。 同じ場面でも、写真に撮られると背景までの距離の明確さが減るので、 通常と同じく円形であることが幾らか分かり易くなります。
太陽が高いときに見られる、地面すれすれに (普通の) 虹の上の部分だけが見える虹が水平虹と呼ばれることもあるようです。 この場合は虹は水平ではなくあくまでアーチ型なので、 「水平線近くの虹」といったほうがより正確かもしれません。
太陽の光だけでなく、月の光でも虹が見えることがあります。 これを、月光虹とか月虹とかいいます。 月の光は太陽に較べて遙かに弱いので、虹自体もとても暗く (月が欠けているとさらに暗くなります)、 色を見分けるのが困難なことが多いようです (人間の眼は暗い光では色を見分けることがあまりできません)。 それでも、満月に近い月がちょうどよい位置にあるときは、 少なくとも二、三色は見分けることができますし、 長時間露出で写真に撮るときれいに色が見えます。 筆者が見たときは、 「空の色が一部変」→「よく見ると色が分離した帯になっている」 →「あ、虹か」→「ふりむいたら月が見えた」 という感じでした。
(last modified: 2002/05/11)虹が、雲と水平線の間だけに見えているような場合をさして、 蕪虹 (かぶにじ) と呼ぶそうです。 株虹とも書きます。 現象自体は虹そのものです。 日本語以外で対応する言葉を持つ言語があるかどうかは知りません。
これ以外にも日本で蕪虹と呼ばれることのある現象が二つほどあるようです。 一つは、反薄明光線と呼ばれるもので、 雲の切れ間から太陽の光が放射状に広がって見える薄明光線が、 太陽と反対の空にまで現れる場合です。 これはちょうど、太陽の反対側の水平線から放射状に、 何本かの光の筋が現れているように見えます。 日本語では裏御光とも呼びます。 もう一つは、 向日アーク、もしくはウェーゲナーのアークと呼ばれる現象で、 太陽と同じ高度かつ水平方向に180度反対側の位置で交差する、 二本の光の帯が現れるものです。 加えて、向日光柱という、太陽と反対側に現れる光の柱も含んでいるかもしれません。 これらは氷の結晶が原因で見られる現象で、かなり珍しいものです。
平凡社の世界大百科事典の記述に、「傍心虹」として 「ふつうの虹は太陽とちょうど逆の方向を中心としてあらわれるが、 その位置より右または左にちょうど虹の半径、すなわち 42度だけはなれたところに中心をもつ弧があらわれることがある。 さらにその2倍の距離に中心をもつ場合もあるらしい」 というものがあります。 虹の仕組みを考えると、 そういう方向に見えることは非常にありえなさそうなのですが、 数値が妙に具体的なのが気になります^^;。 しかし、この百科事典以外には「傍心虹」に関する記述は見当たりません。 推測するに、他の現象を虹の弧の一部と間違えたものではないかと思うのですが…。
白虹や 蕪虹の例を見ても、日本語では、 空に現れる光の帯は色がついていなくても「虹」と呼ぶ場合があるようなので、 「42度ずれた傍心虹」とは、向日アーク (太陽と同じ高度かつ水平方向に180度反対側の位置を通る) を虹の弧の一部と思ったものではないかなぁ、と想像します。
さらにその 2倍の距離、すなわち「84度ずれた傍心虹」になるわけですが、 こちらはどうでしょう。 84度もずれたとすると、虹の端は対日点から126度、 つまり太陽から54度のところに到達します。 これくらいのところに虹っぽく(?)現れる光の帯というと、 下部ラテラルアークという、 氷の結晶によって見られる現象があります。 これはちょうど太陽に対して凸な弧が水平線近くから現れているように見え、 色も比較的きれいに分離するので、 「変な位置に現れた虹(の一部)」と勘違いする可能性はありそうです。
以上、詳しい資料がないので推測ではありますが、 「傍心虹」の正体に少し迫っているかもしれません^^;。 実は、もっと思いもよらない (未知の) 現象なのかもしれませんけれども。
追記: 最近ようやく、これに関係するかもしれない現象が出ているページを見つけました。 Atmospheric Phenomena のページの、 奇妙な虹 のページです。 二本の虹がずれて重なっている写真が出ています。 そして、ページの一番下の絵は「42度ずれた傍心虹」に近い感じです。 何か関係はありそうなのですが、、、。
E-Mail: aya@star.email.ne.jp