Haiku 1,000 days(一人千日句会 1997.7.28 - 2000.4.29 )


       212  雪たたへ音喪へるドナウ河  2/24


       211  下萌や蜥蜴濶歩の日も近し  2/23


       210  雁風呂(がんぶろ)の煙はかなき道しるべ  2/22


       209  空白の鳥小屋の内に彳(たたず)む余寒かな  2/21


       208  一句詠み工夫の跡を加えけり  2/20


       207  比良八荒念仏ふりしく山路かな  2/19


       206  山の端にソネット記す翼端灯  2/18


       205  無花果の幹に残りし霜の布団  2/17


       204  耳鳴りの収まる間ぞ我が遊泳  2/16


       203  霙載せ淫ら装う破れ芭蕉  2/15


       202  霜解けの水の陽受けて初田かな  2/14


       201  鼻先の洟水いとし霜の朝  2/13


       200  駐禁の見回り恨む雪の午後  2/12


       199  先立つも先立たれるも恨みなく  2/11


       198  雪上がり木々に吸はるる鳥の影  2/10


       197  明月に追われ怯えし日や何処  2/9


       196  帰巣する小鷺の下の川模様  2/8


       195   雨上がり指はピアノの蓋閉じる  2/7


       194  あちこちの天使捕える空の網  2/6


       193  銭湯の側溝に立つ世の香り  2/5


       192  子を揺すり褞袍と寝入る寒夜かな  2/4


       191  鬼去って柊(ひいらぎ)調べる親子かな  2/3


       190  春待ちてくだくだしなり椿花  2/2


       189  霜焼けの指透かし見える母  2/1


       188  鉄瓶の囁く音や冬ごもり  1/31


       187  北風を喰らひ伊吹おどろなる  1/30


       186  我と我が子ともに見ている青春の日々  1/29


       185  天使去り残る澄ました謀反人  1/28


       184  雪載せし椿ながめて未練なし  1/27


       183  集まれば喧し楽し天使かな  1/26


       182  夢の野に微かに響く猪やらい  1/25


       181  雪が下り数の増したる火の用心  1/24


       180  音を断ち風鳴く谷を君翔り  1/23

        (1月19日大倉山のラージヒルジャンプ競技での高橋竜二選手)


       179  霜枯れの刈り田に立ちし烏かな  1/22


       178  廃屋の臘梅揺れず闇待てり  1/21


       177  侘助を脅さぬように店仕舞い  1/20


       176  飾焚く見知らぬ貌や山の神  1/19


       175  綿虫や去年振り返ることのあり  1/18


       174  幼子の肌を擦りつ震災忌  1/17


       173  霜柱そないに気張って何処へ行く  1/16


       172  竹の爆(は)ぜ雄雌松まじはるどんと焼き  1/15


       171  販売機転がる缶の薄情け  1/14


       170  廻るたび狐に変はるか巫女の貌  1/13


       169  雪を頭に機嫌治せし案山子かな  1/12


       168  雪片を待ちて見上ぐる案山子かな  1/11


       167  裏山の鳶と夢路の冬布団  1/10


       166  鴬の喉湿したり椿水  1/9


       165  煙草吸ふ女優ばかしで雪見かな  1/8


       164  煌々と月のほほ刺す夜明けかな  1/7


       163  野も山も誰の膝下や冬の空  1/6


       162  子をしかり椿の赤を見つめたり  1/5


       161  御降や雀訪ふ注連飾(しめかざり)  1/4


       160  御降(おさがり)や裏の小山も寒山に  1/3


       159  寒厳は松もなければ蓬莱もなし  1/2


       158  迎春をふぐりに言寿ぐ長寿かな  1/1

            (阿波野青畝翁の句に)


       157  除夜の鐘詠まむと手繰る褞袍(どてら)かな  12/31


       156  冬ざれの庭に思案の竹箒(たけぼうき)  12/30


       155  吹きすさぶ枯野の風の枕元  12/29


       154  冬ざれのホタルブクロの骸(むくろ)かな  12/28


       153  戸の隙間重宝しつつ雪待てり  12/27


       152  掛軸の野菜で締める年用意  12/26


       151  一年の迷ひを濯(そそ)ぐ池普請  12/25


       150  一句詠み大手を振って寝る夜かな  12/24


       149  あちとこち瞳向き合う薪能   12/23


       148  目覚めると大人の寝居りし寒夜かな  12/22


       147  鼻先に柚を並べて長湯かな  12/21


       146  起こされて子とゆばりする寒夜かな  12/20


       145  天を突く光の束や那智の瀧  12/19


       144  のっぺい汁具沢山もまた楽しけれ  12/18


       143  綿入れが連絡船の水尾を追う  12/17


       142  笑いつつフォームに残る天使かな  12/16


       141  瞼(まぶた)には甲虫の歩むひたむき  12/15


       140  ふと目覚め蝋燭のすす見つめたり  12/14


       139  夕まぐれ烏に食わす熟柿(じゅくし)かな  12/13


       138  この月の異国の雪を照らしおり  12/12


       137  時雨止み闇にうづまる濡れ落ち葉  12/11


       136  冬めきて犬の欠伸のぬくげなり  12/10


       135  さくさくの絵ごころ満たすみぞれかな  12/9


       134  かのものの見ゆる日々をたどらむ  12/8


       133  蜘蛛の糸ながれて我を捕えけり  12/7


       132  子の声に顔見合わせる夫婦かな  12/6


       131  我知らず結界またぐア・ラ・モード  12/5


       130  池の面に触れてたじろぐ粉雪かな  12/4


       129  我骨を呼ぶひとのいる霜夜かな  12/3

            我骨のふとんにさわる霜夜かな(蕪村)


       128  凩やお湯にとろとろ身を浸す  12/2


       127  街灯で二つの影の人となる  12/1



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