2026.09.03
藤井香織のインタヴューが YouTube にあった。クラリネット奏者の友人と日本語で話している。普段は英語なのでかしこまってしまってやりにくかったとか。確かに英語だと表現がストレートになるだろう。2004年のインタヴュー記事も見つかる。
お父さんはクラリネット奏者でお母さんはピアニスト、姉もピアニストで、プロの音楽家は大変そうなので、最初は音楽を避けていたそうだが、家の中が音楽だらけだし、家族との会話も音楽なので、仕方なく最初はクラリネットをやったのだが、既に絶対音感があって移調楽器に馴染めなかったということである。そこで姉が使っていたフルートを吹き始めた。指導者は三上明子。順調に日本でのコンクールを制覇。早くから海外に行きたかったが、パウル・マイゼンが日本で教えるというので、芸大に残ったらしい。デビューCDはありきたりの曲が嫌だったので、バッハの無伴奏チェロ組曲全曲演奏となった。2001年である。
卒業後は予定通りアメリカに行って個人レッスンの教師をやっていた。アメリカに行って、今まで自分の事しか考えていなかったことに気づいた。現在はコンゴで音楽教育家育成プロジェクトをやっていて、彼女のFaceBookは専らその報告と宣伝である。日本に居ると日本の文化が当たり前にしか感じないのだが、アメリカで暮らすと多様な文化背景を尊重するようになる。要するに自由を感じる。日本は好きだから年に2回帰国しているが、やはり心理的な縛りが多い。僕が生で聴いたのは2007年だった。日本での演奏会は殆ど東京近辺だと思う。
お父さんの藤井一男さんがFaceBookをやっていて、香織さんが誰かの結婚式でちょこんと座って、カラオケに合わせて、グノーのアヴェ・マリアを吹いている動画を投稿していた。(今となっては url が見つからない。)奥の深い演奏で、なかなか聴きごたえがあり、花婿が聴き入っていた。彼女はCDはあまり出していないし、演奏活動もそれほど多くはないが、息の長いフレーズに籠める表情が魅力的である。この人はフルートをほぼ真横に構えていて、高い音とか弱い音の時には端を上げて、深い低音を吹くときに端を下げている。頭はそれほど変えないから、こうすると息の入り方が変わるんだろうと思う。そういえば、パウル・マイゼンもフルートを真横に構えていた。彼女は、超一流の演奏家として大衆を相手に活躍することを目指すのではなくて、何か自分の求めるものと世の中との接点を探している感じがする。「フルートもクラリネットもただの道具である。うまく操ることは勿論必要かもしれないが、大事なことはその道具で何をするか、ということである。」