梅雨時期の花として私達の眼を楽しませてくれる植物には、馴染みのアジサイの
ほかにタチアオイの花がありますね。

　　　　　　　咲き登る梅雨の晴れ間の葵かな　　　　　　　成美

近所の畑に囲まれた農家の庭先には下段から咲き始めているタチアオイの紅色や淡
紅色の花が、アジサイの藍色、桃色の花よりも高い位置で視界に入ってきます。

一般にタチアオイの花は下段から咲き始めて咲き終る頃には梅雨が明けると言われて
いますが、花はもう中段から上段部に向って咲いていますので、７月下旬になるとい
う梅雨明けの予想を思い合わせますと、これからは相当にゆっくり、ゆっくりと咲き
登って行かなくてはならないようです。

昨夜から今朝にかけての強い雨に打たれたのか、今朝のタチアオイの姿にはやや傾い
ているものも見られたりでしたが、午後からの回復した天候でまたしゃきっと立ち上
がるでしょう。

農家の庭々にしっかりと背の高さを越える程に咲いているタチアオイは梅雨時の花の
代表、アジサイが何となく淋しい印象を持っているのに対して、梅雨を迎え打つよう
な強い力を感じさせる花ですね。
こうした印象を与えてくれるのは、この植物が原産地のギリシャ、クレタ島などの小
アジアからシルクロードを通って中国を経由して、はるばる日本へ渡ってきたという
強靭さによるものなのでしょうか。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　うめだ　よしはる

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