海上技術安全研究所構内に残る鎌倉街道

東京都三鷹市と調布市の境界で海上技術安全研究所構内に残る古道跡

平成14年2月


東京都の三鷹市や調布市に果たして昔のままの道の鎌倉街道が残っているのだろうか。疑問に思う人もい居るのではないでしょうか。鎌倉街道そのものが忘れ去られていることが多い中で、自然が残っていることが珍しい都下の町中に、昔のままの鎌倉街道など奇跡でもない限り残ろうはずがない。だいいち鎌倉街道の上道も中道も通過していないこの土地に昔のままの道が残る鎌倉街道はないだろう。正直いって私もそのように考えていたのですが、以前から鎌倉街道の資料をあさっていると海上技術安全研究所構内の鎌倉街道の写真をよく目にするのでした。そこで許可を得て実際にその鎌倉街道を尋ねてみました。


海上技術安全研究所構内に残る鎌倉街道その1 地図はこちら

JR中央線の三鷹駅から真南に2キロほどのところに三鷹市役所があります。市役所までの途中に禅林寺というお寺があり遠い昔にそのお寺を訪ねたことがある以外はこの付近には知り合いもなく、私には縁の薄い土地でした。

三鷹市役所南からは三鷹市と調布市の境界になり、その付近に独立行政法人の海上技術安全研究所があるのです。

独立行政法人の海上技術安全研究所は船舶技術に関する研究機関として、海上交通の安全及び効率の向上のための技術や、海洋資源及び海洋空間の有効利用のための技術、海洋環境保全のための技術に関する研究等に取り組んでいる施設です。

私は直接、研究所の構内の鎌倉街道見学を申し込んでみると、丁寧なご返事がきて見学希望日などを尋ねられました。

私がここを訪れたのは2月のどんよりと曇った日で、小雨がパラパラと降っていました。小川さんという方に「研究施設見学のあいまに鎌倉街道の散策を」という案内書を頂き実際に鎌倉街道まで同行して頂きました。

鎌倉街道の前には一番上の写真の標示と道脇に説明版が立っています。

なるほど、これが研究所構内に残る鎌倉街道かと思わず緊張が走ります。静かです。とても東京都内の町中とは思えないくらいです。どうでしょうか、上から2番目の写真などは山中の古道のように見えませんか。かっての武蔵野の光景が目の前にあるかと思えば不思議な感じがします。昔はこの辺りはこのような風景が続いていたんだと改めて武蔵野の雑木林を実感するのでした。

案内して頂いている小川さんに「鎌倉街道とか興味ありますか」と聞いてみると、「うーん、そうですね。あんまり興味があるかと聞かれても・・・。」私の手前で何と答えたらよいものか困ったように口籠もって、そこで私は「日本の歴史とか興味ありますか」と質問を変えてみると、「信長とか秀吉とか戦国時代には興味あります。」と答えてくれました。私の見たところでは彼はまだ20代のように写りました。

小川さんは「どうですかここ、鎌倉街道らしいですか。」と私に尋ねてくれましたので、鎌倉街道は行政境界を通る特徴があることや、極めて直線的な道であること、私が今まで見てきた鎌倉街道とこの道はほぼ同等の道幅であること、中央がやや窪んで、両脇が幾分盛り上がっているところは古い道の跡と考えられることなどを説明して、「この道は鎌倉街道の可能性が大いに考えられそうですね。」と答えました。

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