活性酸素とは、電子を受け取ることで、より安定な状態になろうとする状態の物質を言います。この物質は自分自身が安定な状態になろうとするため、近くにあるあらゆる物質から強力に電子を引っこ抜こうとします。電子を取られた物質は不安定になりますから、隣から電子を奪おうとします。これが1秒の何万分の1というスピードでドミノ倒しのように連鎖的に発生します。細胞膜や遺伝子などは、この現象に出会うとひとたまりもありません。細胞膜の脂質は変性し、遺伝情報は傷つけられてしまいます。血液中のリポ蛋白(LDL)の中の脂質、蛋白もこの現象に出会うと変性して動脈硬化症へと結びついていきます。実は、私はこの変性脂質の同定と病態との関連について研究しておりました。これについては業績の論文4から10をご参照下さい。PubMedから要約が入手できます。活性酸素の代表として、スーパーオキシドアニオンラジカル、ヒドロキシルラジカル、過酸化水素があります。過酸化水素はこの攻撃性の高さから傷の消毒などにも使われています。
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