MenuMy Work Stationgroup F36億年の彼・彼岸と此岸プロローグ

                                             ニュー・パラダイム仮説    36億年の彼・彼岸と此岸

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トップページHot SpotMenu最新のアップロード              塾長:  高杉 光一 <199.8.11.13/開始>

 

 36億年の彼へのリンク   参考 ・・・・・・
 地球生命圏  個体の死
 意識・情報革命の遠望/新しい人間像  

 

 

 私はこのホームページで、“36億年の彼”という概念を提唱しています。まだ確立し

た概念ではないので、ホームページの中に散文的に広がっています。記のリンク上

は、その主な場所へジャンプできます。しかし、ここは“36億年の彼”をテーマとしたペ

ージですので、改めてその概念を、別の角度から検証してみます。

 ともかく、私自身も考察を重ねながら進めて行きますので、内容の順序が前後した

り、重複したりすることもあるかと思いますが、よろしくお願いします。

 

 

 

プロローグ           

 

  私たちは普通、ある人をAさんBさんと呼ぶとき、その人の全人格を指定します。

ここでいう人格とは、その人の人体というプロセス性、誕生からの見える限りの経

歴、誕生以前の家系や種族の流れ。そしてその他に、能力や性格等の社会的評価

も加わる総合的なものです。

 こうした時空間的かつ個的な全情報が、ダイナミックに揺れる巨大な1枚の情報系

の織物の中に織り込まれているのが、AさんやBさんの姿です。そしてこの巨大な1

枚の織物(リアリティー)とは、社会や生態系であり、地球生命圏であり、全宇宙にわ

たる切れ目の無い織物なのです。

 また面白いことに、膨大な情報系をともなう結晶世界であるこの超織物の1点を小

突くと、歪みは全体に生じ、全体に揺らぎが走ります。つまり、この1点に加えられた

力は、必ず全体に及んでいますが、遥か遠くの方では全く影響がない様にも見えま

す。

  今、この超織物を空間的に広げて辿って行くと、それは地球生命圏全体を包み込

んでいるのが分かります。が、包み込むといっても、これは閉鎖系ではありませ

ん。150億光年四方の大宇宙に開かれている開放系なのです。

  さて、これから“36億年の彼”を考察して行くわけですが、全ての“命”は、このよう

に開放系であることを条件としています。つまり生物体は、下位の全てのヒエラルキ

ーに対して開かれています。しかし、生物体そのものが開放系であるがゆえに、上

位システムの生態系とも相互作用し、生命圏とも相互作用し、宇宙とも一体化して

いるというわけです。つまり、存在する全ての生命体は、開放系であるがゆえに、宇

宙全体と相互作用し、一体化しているということです。

 

 地球生命圏が開放系であるという意味は、文字通り宇宙に対して開かれた系であ

るという意味です。言い換えれば、宇宙と相互作用しているということです。

 

 <話を進めます>

  さて、宇宙空間に浮かぶこの地球という巨大生命圏は、元はたった1個のDNAが

増殖したものと考えられると言います。つまり、相当な数量のDNAが同時多発的に

在ったのではなく、その大元はたった1個だったと考えられるということです。食中毒

の細菌の繁殖を見ても分かるとおり、最初はゆっくりだったと思います。が、やがて

爆発的に増殖していったのでしょう。まさに、恐るべき、想像を絶する狂暴なシステム

です。また、これは尋常な狂暴さではなく、この宇宙の背景条件と深くかかわってい

るものと思われます。

 

( 私はこのホームページの中で、その最初のDNAを“原初DNA”と名付けています。)

 

  “原初DNA”は、まさにその“命”の設計図を、このエントロピー増大宇宙の中で守

り抜く使命を帯びていたのかも知れません。そしてそのために、まさに“命”そのもの

を発現させ、巨大生命圏を形成してきたのでしょうか。このような構造化と進化のプ

ロセスこそが、唯一エントロピーの増大と拮抗できるベクトルのようです。

 

  さて、何故このような進化と構造化のベクトルが発現したのでしょうか。また何故、

今ここに、我々のような知的生命が存在しているのでしょうか。これは、宇宙文明論

的にも、きわめて興味深い課題です。

 ところで、この大宇宙そのものの死には、2つの形態が考えられるといいます。1つ

は、熱力学の第2法則である、エントロピー増大による熱的な死。これは、この大宇

宙の全物質が、ミルクのように完全に均一にかき混ぜられた状態になってしまうこと

です。むろん、こうした全く揺らぎや片寄りの無い状態では、生命などは生まれてくる

はずもありません。

  そしてもう1つの死の形態は、ブラックホールによる死です。これは、エントロピー

の増大による死に対し、構造化と進化の方のベクトルが勝っていた場合でしょうか。

この場合は、現在観測されている銀河は、全てブラックホールとなります。銀河団は

ブラックホール団となり、やがて互いに食いつぶしあい、最後にたった1つの超巨大

なブラックホールが残るというわけです...これもまた、宇宙の死の形態です。むろ

んこれは、この宇宙の全質量と、ビッグバンの脱出速度とも関係してくるのだと思い

ます。質量が大きければ、収縮する重力が大きくなります。ビッグバンの爆発力が伸

びきった時、やがて全質量の重力によって宇宙は収縮を始めます。ところが質量に

対して、ビッグバンの爆発力の方が大きかった場合、宇宙は永遠に膨張して行きま

す。

 では、実際にはどうなのだというと、どうも現在観測されているところでは、その中

間にあるようです。つまり、ビッグバンの脱出速度と、重力による後退速度が、微妙

に均衡しているらしいということです。まさに、奇跡的に...

 

  この奇跡的な状況は、このホームページのテーマである“人間原理空間”の、重要な柱の1つと

なっています。

 

 上記のブラックホールのシュバルツシルト半径の内部では、数学的に時間

と空間が逆転していると聞いています。この重力半径が形成する球面は、あ

らゆる事象の地平面となり、光さえも出てくることができません。これが、い

まM理論で話題になっている、ブラックブレーンと言う特殊な表面になるので

しょうか。しかし、ホーキング博士が示したように、実際にはブラックホール

は完全な黒体ではなく、多少のエネルギーを放出しているようです...

 

 いずれにせよ、現実の宇宙には、揺らぎも片寄りもあります。また、構造

化と進化のベクトルもあり、まさに“ここ”に生命圏と知的生命体が実在して

います。

 

 

 <話を戻します>

  この構造化と進化のベクトル、エントロピー増大と拮抗する力とはどの様なものな

のでしょうか。実は、その最も分かりやすい例は、生命体なのです。したがって、私

たち自身の体のレベルで見ると、さらにわかりやすいと思います。

 つまり、私たちは、外部から別の構造体である食物やエネルギー(熱や光や電磁気)を取

り入れ、汗、熱、炭酸ガス、大小便といったエントロピーを排泄して平衡を保っていま

す。言いかえれば、構造物やエネルギーを取り入れ、エントロピーを排泄するという

システムをフル稼働することによって、このエントロピー増大宇宙の中で、からくも安

定を保っていられるのです。これはどのような生物体でも、原則的には同じです。ま

た逆に言えば、人類文明はこれ以外のシステムを、いまだ観測したことが無いので

はないでしょうか。

  が、おそらく、この構造化と進化という流れのみが、唯一、大宇宙のエントロピー

増大と拮抗している力だということです。くり返しになりますが、構造化や進化は、シ

ステム論的に見れば、生物体のみに見られるのではありません。進化は、星や天

体、宇宙構造等、様々なレベルで観測されています。

 

 それにしても、この進化・構造化の力と方向、つまりベクトルは、一体どこから発現

して来たのでしょうか。

   私は、このホームページの中では、これを宇宙開闢の初期条件の中に求めていま

す。つまり、宇宙の開闢は、生命の存在を条件としているということです。安易な考え

ですが、とりあえず私には、これ以外に思いつきません。何故なら、“質量の保存則”

や“エントロピーの増大”も、もともとはこの宇宙の初期条件から来ているわけですか

ら...

 

<話を進めます>

 さて、この生命圏という安定した開放系システムの中で、“原初DNA”は、今も引き

継がれ、進化し、全ての生命体の中で生きていると考えられます。また“原初DNA”

の引き起こした最初の奇跡、“原初の命”も、この巨大開放系の中で、エントロピーを

排泄しつつ、今も生き続けていると考えられます。何故なら、それは“命”であり、命

とはプロセスだからです。したがって命は、生物体の新陳代謝の中を駆け抜けてい

る、高度なプログラムのようなものと考えるべきなのかもしれません。

  以来、命は全生命圏にまで拡大し、36億年にもなるわけです。また、生物体相互

間の結びつきは、通常私たちが見かけるよりも遥かに強く、独立性は遥かに弱いよ

うです。これは、私たち自信の身体の細胞レベルで考えると分かりやすいと思いま

す。つまり、自分の中の1細胞と、自分という人格を比較してみてください。生命圏の

中の私たちとは、まさにこうした1細胞のようなものです。何故生まれてきたかも分か

らず、ここにすでに在ったと言うわけです。

 

 私はAさんやBさんを、時空間座標に広がる全人格で指定するように、この生命圏

も全体を1つの統一した人格とみなしています。その統一的情報系や頭脳を持つ安

定したシステムを、“36億年の彼”と呼ぶことにしたわけです。この“彼”について、こ

れから考察して行くことになるわけですが、それは想像を絶するものになるかも知れ

ません。というのも、まさにこの“彼”は、現段階ではその全体像すら見えない代物だ

からです。ただ、分かっていることは、私たちの本能も、地球人類の文明も、この私

の存在も、全てはその同じ“彼”から発しているのだろうということです。

 

  ところで、時間軸を現在にとった時、この“36億年の彼”という開放系の中で排泄

されているエントロピーの一片が、実はAさんやBさんや私なのです。そのAさんやB

さんや私の中を、“命”が駆け抜け、引き継がれ、新陳代謝でリレーされて行きます。

現在から見ると、生命圏は20世紀の終わりの地球であり、膨大な数量の命が新陳

代謝しています。土中のウイルスや細菌から、植物や昆虫、そしてDNAで最高モー

ドのホモサピエンスに至るまで、その数量は計り知れません。そして見渡すところ、

その総てが、共通のDNAで描かれた“命”であり、膨大な情報系をともなうシームレ

スな超織物の世界です。