名探偵ピンじろうシリーズ
10本足の怪物
第7回

 

 ――みられたくない!――

 ピンじろうはさんぽをしながらすいりをしていた。
(やはり犯人が字水とは思えない。やはり谷山だ。しかし、谷山は犯人ではないといい張るし、決定的しょうこはどこにもない。字水が犯人なら、私とずっといっしょにいることはできないはずだ。ようぎ者は谷山か字水! しかし、どっちも犯人ではないらしい)(かなり混乱しているよーだ)
 こんなことを考えているに、冷たいものがほおにあたった。
「ヒッ! 冷たい」
 ピンじろうは思わず声をあげた。
「また雪か……。多分、おそわれることはもうないと思うが、念のため、字水の家へ行ってくるか……」
 ピンじろうは字水の家へ上がった。
「お茶をいれてきますから」
 字水は台所へいった。ピンじろうはフワフワしたいすにすわった。
(おや? あれは……)
 ピンじろうは部屋のすみにある1つの箱をみつけた。
(何がはいっているのだろう)
 ピンじろうは箱を開けようとした。
「やめてください!」
 字水はさけんだ。
「その箱をあけるのはやめてください!」
「なぜだい。別に箱をあけたら、おじいさんになるわけじゃないだろう(ははは(乾いた笑い)……)
「みられたくないんです!」
 字水はピンじろうから箱をとりあげた。
「帰ってください! ピンじろうさん!」
 字水はさけんだ。
「しかし……」
「帰ってください」
「わかったよ」
 ピンじろうはくつをはいて家をでた。(そりゃ、靴は履くだろうな)
「いったい、あの箱の中には何がはいっているのだろう……。何か事件に関するものなのだろうか)
 ピンじろうは考えた。
(ようし! きっと、あの箱の中の正体をあばいてやる!)
 ピンじろうはそう考えた。(くどい)

 ――何をもやした!?――

 ピンじろうは次の日からずっと、字水をかくれてみていた。(笑)あの箱の正体をあばいてやろうと思っているのだ。
「おやっ?」
 ピンじろうは字水が何かをかかえて庭へ運びだしているのをみた。
「何を運んでいるのだろう」
 ピンじろうは字水のもっているものをよくみた。
「あっ! あの箱だ!」
 ピンじろうはさけんだ。思わず大きな声でさけんだので、字水に気づかれそうになった。
 字水のもっているものは、あの時の箱だった。字水はその箱を庭におくと、ポケットからライターをとりだし、箱に火をつけた。
「あっ!」
 ピンじろうは大声でさけんだ。字水がこっちをふりむいた。箱はメラメラともえている。ピンじろうは自分の上着をぬぎ、火をおさえつけた。
 火はおさまったが、半分以上はもえつきてしまった。
 ピンじろうは箱のふたをあけた。
「!!」
 ピンじろうは声もでなかった。ただ、おどろくばかりだった。
「こ、これは……」

(次回、箱の中身が明らかに! さらに、字水の驚くべき秘密が!)


 

この物語についての解説