縮刷版97年7月上旬号


【7月10日】 はっぴーばーすでぃ・つぅ・みぃ。といっても30越えるともはや誕生日が幾つ過ぎよーとほとんど気分には影響しない。とゆーよりすでにドンゾコの気分が、さらに落ち込む余裕なんてないってだけなんだけど。毎週日曜日の朝日新聞の求人広告(なに見取るんじゃい)も「30歳迄」って制限が目に付き始めていて、それ以上になるとホントたまにしか良い物件を見かけなくなってしまった。ホントこの夏当たりになんとかせんと、ドンゾコの気分で穴の底にうずくまる自分の上に降り懸かる、重さ1万トンの汚泥に押しつぶされてしまうなーと、ようやく歳相応に見えるよーになった鏡に写る顔を見ながら、近所に聞こえないよーに超音波で叫ぶ。

 わかりました加野瀬さん。士郎正宗さんの描いたポスターを特殊印刷で製作したとかいって、自社媒体を使ってバンバン宣伝していた「攻殻機動隊 Cyberdelics」を買う。9,000円だぜ、いったいこんなバカ高いヤツ誰が買うんだって僕が買ってんだ。これはまあウケを取るためには自腹だって切るとゆー、前に「たまぴっち」を買った時と同じ理由によるものなんだけど、一般的にはやっぱり熱狂的な士郎ファンが買うんだろーねー。単行本はもちろん映画も見たしプレステ版のゲームだって買うってな人。でもサントラはテクノだから買わないかもしれないな。だって「攻殻」読んでるヲタクな子供がテクノ聞くとは思えないんだもん。クオリティーはともかく印象がミスマッチ。

 さて肝心の「攻殻機動隊 Cyberdelics」の方だけど、中身はといえば予告どーりホログラムを使ったラメラメな印刷とかアルミのフィルムみたいなシートへの印刷とか、そんな特殊な印刷技術が使われたポスター(といっても普通のポスターの半分のサイズ)が10枚と、ポスターの絵柄と制作方法を解説したブックレット、フチコマのペーパーモデルの型紙、ちょっと空山基した草薙素子的美女のジグソーパズル(これが体積的に一番大きい)なんかが入っている。

 こすって素子が3枚並ぶとTシャツがもらえるクジとか、通し番号入りカードとか、テレホンカードがもらえる券とかってのは正直言って不要。Tシャツやテレカなんて別に売ればいいし、通し番号は箱に入れておけば済む話。だったらもう1枚ポスターを増やすとか、ブックレットを豪華にするとかしてくれた方がファンとしてはありがたい。まあこの辺は初回分の特典ってことで、とりあえずは容赦しよう。ちなみにID番号は007083。これを通し番号とすると、最終的に1万部近くは刷ってるってことなんだろーか。

 ポスターの絵柄は草薙素子が中心で、ヤンマガに掲載されていた茶色っぽい服を着て乳頭をメタルのピースが覆ってるデザインとか、海外版のコミックスのカバー用に描いたデザインとか、大都会をバックに黒い羽根を生やして中空に浮かんだ素子が微笑むデザインとかで、この出版物のために描き下ろしたってのは多分入っていない。と思う。個人的には黒いレザーのボンデージファッションでキメた今年2月制作の作品が一番好きかな。

 ブックレットにはそれぞれのポスターについて、写真とかKPTのブライスを使って背景を作った話とか、色の塗り方とかが書かれてあって、デジタル環境でイラストを製作している人には、ちょっとはタメになるんじゃなかろーか。「コミッカーズ」でも十分かもしれないけれど。環境についても説明があって、マックにワコムのタブレット使って、ソフトはフォトショップとブライスとアマピ(何だ?)にプレミア(どこんだ?)の4種類だって。これさえマスターすれば貴方も明日から士郎正宗、って訳には絶対にいかないから、皆さんブックレットを読んた後も精進して下さい。

 表紙が買えと叫んでいたので、飯野賢治さんの自伝ともいえる本「ゲーム」(講談社、1300円)を買う。「YMO」の衝撃もゲームとの出会いもたいして違いはないのに、方やゲーム業界のカリスマとなって君臨すれば統治もする、もはや止まるところを知らない飛ぶ鳥を落とす勢いのスーパースター、こなたただの新聞屋とゆーのはどーしてなんだろーかと悩む。決定的なのはやっぱとことんゲームが下手だったことなんだろーな。何せブロック崩しは17点でインベーダーは1面クリア歴1回、だもんな。

 例のプレイステーション・エキスポでの、「エネミーゼロ」のセガ・サターンへの鞍替え発表に関しては、飯野賢治さんの葛藤が自分の言葉で書かれていて、「リアルサウンド」の企画がソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)で今は無きタカハシユウジにボツにされたこととか、「Dの食卓」のプレス枚数が約束よりもさらに少なかったこととか、前段階からSCE側といろいろとあって、キレてキレてキレまくった挙げ句にあの発表へと至ったプロセスは、別にセガにもSCEにも組していない身の上ながら、SCEの態度に対する怒りが読んでいて沸々と湧いてくる。

 それはまさに子を生む親の信念に近く、親馬鹿と言われれば確かにそうかもしれないけれど、そうでもなければ余所さまの子供に納得してもらえるよーな作品なんて、絶対に出来やしないんだろーね。ともかくもセガから間もなく発売される「リアルサウンド」は、正直言ってWARPのゲームのキャラクターにイマイチのめりこめなかった僕でも、安心して買えそーな1作。その後に準備しているとゆーRPGは、やっぱ絵を見るまでは何とも言えないね。


【7月9日】 「もののけ姫」が露出しまくっている。テレビのCMとか地下鉄の広告とかで見かけるようにはなっていたけど、いよいよ来週公開って段になって雑誌媒体にも露出が拡大。今日なんて講談社の看板雑誌「少年マガジン」で大特集が組まれていた。徳間書店の製作したアニメを何でまた講談社がって思うけど、こーゆー柔軟性が「マガジン」を少年誌実質ナンバー1へと返り咲かせる原動力になっているのかも。対抗して「少年ジャンプ」で「エヴァ」やるかって、絶対にやる訳ないけどね。

 宮崎駿監督へのインタビューはもしかしたら「H」より面白いかも。シナリオを作らず絵コンテを切りながら作っていった話とか、新人に大役をまかせてその粘りに期待した話とか、とにかく呻吟しながらこの作品を作り上げた様子がインタビューの言葉からうかがえる。それからとかく「自然を大切に」的メッセージの語り手と思われている宮崎監督が、「ごく流行りの言葉”自然を大切に”でくくられるような仕事をやってきたつもりはない」と断言している下りもなかなかに興味深い。

 実際「もののけ姫」は、普通だったら徹底的に悪役のエボシ御前が、仲間のために粉骨砕身する格好良い姉御に描かれていて、従来の人間=悪、自然=善の図式で見ていると、劇場でとまどう人も結構出るんじゃないかと思った。宮崎監督がインタビューで「木を切ったりして自然破壊をしてる人間が悪人だったら楽ですよ、これは。でも人間の存在っていうのは、そういうものじゃないと思う」と言っているように、立場によって善悪の基準なんて変わるもの、ようは見る人がどう感じどう考えるかが大事ってことを、映画を見る前にあらかじめ知っておいた方がいいのかもしれない。しかし本当にこんなテーマが米国でウケるんだろーか。「配給してくれるんだったらそれはいいんじゃないですかね。かまやしないです。やるっきゃないから」と簡単に言っているけど、新橋方面はそーも言ってられないからなー。金かけまくってるから宣伝に。

 仲間由紀恵が露出しまくっている。昨日サンケイスポーツに水着写真が出ていたと思ったら、今日は「少年マガジン」にも水着グラビアが登場、黄色い水着に包まれたムッチリとした姿態を、惜しげもなくさらけ出してくれている。10日に写真集が出る予定で、その宣伝もかねての露出拡大なんだろーね。綴じ込みピンナップには「ただいま人気急上昇中の正統派美少女」って書いてあるけど、実はテレビで顔を出している場面はほとんど見たことがなく、「HAUNTEDじゃんくしょん」で朝比奈クンの声やってて主題歌とエンディングを歌っていたなあ、そーいえば「トゥルーラブ・ストーリー」のテーマソングも歌っていたんだったっけ、ってな程度の情報しか持っていない。12日の午後3時から神保町の書泉グランデでサイン会が開かれる予定とあって、本当にお客さん来るのかなあなどと余計な心配をしてみるものの、実際にはすでにオタクさんたちの間で超有名になっていて、案外に長蛇の列が出来るのかもしれず、これは見物に行かねばと、日時を手帖にいそいそと書き込むのであった。整理券まだあるかなあ。

 「攻殻機動隊」が露出しまくっている、ってこれは講談社の雑誌だから当たり前か。「ヤンマガ占領ページ」と銘打たれたカラーページにこれから刊行・リリースされる「攻殻」関連商品のリストが並んでいて、「ゲーム&メイイング完璧収録本」とゆーのが絶賛発売中になっていたので、時間の合間に本屋に寄ってゲットする。2,000円ちゅーのはちょい高いぜと思ったけど、士郎正宗さんの手になる草薙素子の設定画とか、北久保弘之さんが描いたプレイステーション版「攻殻機動隊」のアニメパートの絵コンテとか見るものも結構あって、とくに北久保さんの緻密でコミカルな絵コンテを見られて良かったかなって納得してしまった。宮崎駿さんも「もののけ姫」の全パートの絵コンテを切ったくらいだし、やっぱちゃんとした絵が描けないとアニメの監督って出来ないんだねえ。

 幾原邦彦さんが「アニメ界の小室哲哉」なら北久保弘之さんは「アニメ界の河村隆一」ってところかな。3月に劇場版「攻殻機動隊」の凱旋公開を記念するシンポジウムで見た時も、実年齢はともかく見かけの若さと格好の良さに結構驚いた記憶がある。背はあんまし高くなかったけど。「ウテナ」が絶好調(視聴率的には×だけど)の幾原さんもそーだけど、北久保さんもこの「攻殻機動隊」のアニメパートで、次に何を作るのか期待されるアニメ監督の1人になったはず。「アニメージュ」での幾原さんとの対談で、「攻殻機動隊」が終わった今は名刺代わりの短編映画を進めてるって確か書いてあったよーに、きっと来年には何か出てくることになるでしょう、ってこれは製作者サイドの願望か。とりあえずは士郎さん自身が「ビジュアルに強いメディアで見て欲しい」と言うアニメパートを収録したビデオの登場を待とう。プロダクションIGが発売する「MAKING of GAME攻殻機動隊オープニングアニメーション」(2,000円)に入るのかな。

 フィリス・アイゼンシュタインの「氷の城の乙女 上・下」(ハヤカワFT文庫、井辻朱美訳)を買う。大昔(14年も前だ)に刊行された「妖魔の騎士」の続編ってことで、表紙を前のまんまめるへんめーかーさんが担当するのかなって心配していたら、今度もちゃんとめる様(って呼ぶんですか、ファンの人たちは)が描いてくれていた。心配だったのは最近とみに絶版のスピードが早い早川書房のこと、もう旧作を絶版にしちゃってやしまいかってことだけど、コシマキにはちゃんと紹介されていたから、多分今でも出ているんだろー。久美沙織さんの3部作の第3部が出た時には第2部までが絶版になっていたってゆー某神楽坂文庫ほどはひどくない、と思う、けど。うーむ。


【7月8日】 飛脚が牛を運ぶんだって。いえねえ、飛脚のマークの佐川急便が、牛柄模様のパソコンでお馴染みの日本ゲートウェイ2000からパソコンの配送を独占的に受託したって会見が、夏真っ盛りの帝国ホテルで開かれたってことでして。発表によると日本ゲートウェイ2000からパソコンを買うと、佐川急便の飛脚のマークがついた牛柄模様のトラックがやって来てパソコンを置いていってくれるとか。時間帯も指定可能で午前中、午後、夕方の3つから希望する時間を選べる、ってそれぞれに3時間くらい幅があるから、あんまり選べるって印象はないんだけどね。

 ものすごいのは佐川急便のトラックの運ちゃんが、パソコンの組み立てサービスまでやってくれるってことで、そのために日本ゲートウェイ2000じゃあ佐川急便から選ばれた10人だか15人だかの運ちゃんに、ただ今一生懸命パソコン教育を施している。腕っ節のぶっとい運ちゃんがガバっと牛柄の段ボールからパソコン取り出してケーブルを繋いでいる様って結構キュート、かもしれない。しかしもう大昔のこととはいえ、結構な騒動を引き起こした運送会社に配送を全面委託してサービスまで任せてしまうなんて、さすが日本ゲートウェイ2000外資系の会社だけあってあんまりイメージってものにこだわっていない。まあパソコンのユーザーだってどこのトラック屋さんが配送しよーがあんまり気にする人種じゃないし、なんだか上手いところに協力出来る分野を見つけたなあって印象を受けた。しかし牛柄トラック、見てみたいなあ。ゲートウェイ買うかなあ。

 リクルートの「ダ・ヴィンチ」買う。うーん(意味不明)。業界に鳴る京大ミステリー研が選んだ作品が牧野修さんの「MOUSE」に神林長平さんの「死して咲く花、実のある夢」に草上仁さんお「ラッキー・カード」とは。もうSF者の僕にとっては嬉しいことこの上ないリストなんだけど、ミステリープロパーの人とかはどう思ったんだろーか。あと「週刊アスキー」の渡邊直樹編集長がインタビューを受けていて、前にチラっとのぞいたことのある編集部の椅子に座ってスポットを浴びている写真が載っている。机の上に積み上げられた本の背表紙を良く見ると、おおあれは「オタクアミーゴス」ではないか流石編集長執筆している人の本はちゃんと欠かさず読んでいる。んだろーね。

 他にも何冊が積み上げてあるけれど小さくて良く見えない。遠景で編集長の上に並んだ駅用のポスターがちょっと凄い。今でも飾ってあるのかな。あと編集長のすぐ隣の机の上に、何故か「朝日新聞用語の手引き」が「広辞苑」と一緒に置いてあって、制約だらけの新聞の用語の手引きを雑誌が参考にしちゃあいかんぞと、思わず突っ込みたくなった。あるいはあまりにツマラない新聞界の用語の規制に、鉄槌を下すべくアラ探しをしているのかもしれない。あれで読みふけると結構いろいろ笑えるんですよ新聞業界の「用語の手引き」って。

 その「週刊アスキー」の最新号は表紙が大石恵さん。思えば「ニュース・ステーション」でお天気キャスターやってた頃が花だったなあ、そーいえば麦酒のコマーシャルにも出ていたなあという印象しか無い人だけど、「週アス」の表紙ではストレートだった髪をジャギジャギにジャギー入れて眉毛もくっきりとかいて陰影をはっきりとつけて、結構濃いめの顔立ちになってちょっとだけ見直した。でも7月以降でどんな番組に出ているのかは知らない。創刊号の松たか子さんから浅野忠信さん、佐藤藍子さん、長塚京三さん、鳩山由起夫さんに菅直人さんと話題の人ばっかりが続いた表紙にいきなりの登場は編集長の趣味か、それともよほどのスゴい仕事を初めているのか。「可愛いからだ」と言われれば、まあ返す言葉もないんだけど。

 特集はまずまず興味を引きそうなラインアップで安定路線に来たかなって感じ。「ポケモン151匹登場」は春に「少年エース」がやったエヴァのカードダス全絵柄公開にも匹敵するコレクターズページかも。でも「ピカチュウ」以外はほとんどまったく全然知らない。「ミュウ」とか「イーブイ」とか「ラッキー」とか可愛いキャラがたくさんいるのにねえ。でも「メタモン」は許せんなあ。このデザイン料と「フシギバナ」とか「ニドキング」とか「フーディン」とかのデザイン料が同じだったらきっと怒るぞ。飯沢耕太郎さんの「デジタルイメージ航海記」で丸尾末広さんのCD−ROM「少女椿」が取りあげられているのは、前に取材した経験のある者として嬉しい限り。丸尾さんがカラーに「感動した」っていう話も書かれていて、「もう2度と丸尾さんのはやりたくない」と言うくらい頑張った製作元の大和堂のスタッフも、これできっと苦労が報われるだろーね。

 「創」買う。コミック特集。「マガジン」が「ジャンプ」を抜くいるかもしれないというのは、火曜日あたりのキオスクの横に山と積み上げられた「ジャンプ」の返品の山を見て、いつかそうなる可能性もあるかなーと予想はしていた。がしかし、すでに「ジャンプ」の部数が435万部まで落ち込んでいたとは驚いた。かつて600万部を突破して大騒ぎをしていた時代から見れば、165万部、ちょっとしたヤング誌の発行部数くらい部数を減らしたってことになる。印刷している共同印刷さんもきっと大変なんじゃなかろーか。おまけに実売部数ではすでに「マガジン」が「ジャンプ」を抜いているとゆー話もあり、やがて発行部数でも抜き去って、「マガジン」の時代再来を高らかに宣言する時がいよいよ近づいて来た。と思いきや、例の首ちょんぱ事件で看板の「金田一少年の事件簿」にもなんらかの影響が出るだろうから、そう簡単にはいかないかもしれないね。

 しかし「大手3社の売れ行き良好コミックス」のランキングを見ると、自分がいかにマイナーな作品ばかりを読んでいるかが良く解る。「金田一少年の事件簿」を筆頭にあおぐ講談社でもっている単行本は一冊もないし、「名探偵コナン」の小学館でも4位に登場している「おたんこナース」はまだ買ってない。集英社に至っては未だに「スラムダンク」がトップだもんね。もちろんベスト10の作品は1冊も持っておらず、これほどまでに世間の嗜好とズレた感性の持ち主が、世間の嗜好を満たす情報を伝えなくてはならない新聞社にいていーんだろーかと、強く自問自答した次第。


【7月7日】 双葉社が創立50周年を記念して企画した「日本漫画家大全」。へーっ、双葉社ってそんなに長い歴史を持ってるんだってことはさておいて、コシマキにズラリ並んだ漫画家さんたちの名前がコシマキに太ゴシック文字で書かれた「壮観」の文字に違わずなかなか凄い。なにが凄いって高河ゆんが入ってる。双葉社というよりは新書館とかの方が似合いそうな漫画家さんで、いったいどんな作品を双葉社の「大全」に入れるのか、正直いって興味ある。それから御茶漬海苔。たぶん怪奇漫画の人だったと思うけど、高河ゆんが入る大全とどうも結びつかない。

 めるへんめーかーに森園みるくに伊万里すみ子に中山星香に庄司陽子に里中満智子といった少女系の面々と、石ノ森章太郎、ちばてつや、矢口高雄、弘兼憲史、かわぐちかいじ、水島新司、新谷かおるといったおっさん系の面々がいっしょに入っている「漫画大全」ってとっても不思議じゃないですか。おまけに手塚治虫さんまで入って高河ゆんと並んでる様って、少し前なら(きっと今でも)全然想像がつかなかった。セレクトした人のセンスってゆーのか、信念ってゆーのをぜひぜひ聞いてみたい気がするね。どーして三浦みつるを選んだのかを。

 で、たぶん最初のになるのかな江口寿史さんの「自選傑作集」(1100円)が。はっきりいってみんな読んだことのある作品ばっかりで、厳しいことを言えばアンソロジーにまとめることでもう1回印税稼いでるねって印象がぬぐいきれないけれど、自選というだけあって収録されている短編はどれも手抜きのいっさいない珠玉ばかり。これぞ神髄、こんなんばっかりだったら江口寿史さん今も漫画界の帝王だぜって、そんな気がして仕方がない。ボウリング漫画の第1回を読んだ時のようなどうしようもない古めかしい雰囲気が微塵もなく、どれも今の世の中に十分に通じる。と思うのは「すすめパイレーツ」から20年以上、ずっと江口寿史の漫画を読み続けていて、彼の文法が体に染みついている30男だからだろーか。20代、10代に読ませて是非とも感想(罵倒、無視)を聞いてみたい。

 もうさっぱりストーリーが解らなくなっている「ヤングマガジン」の「攻殻機動隊」連載第2回目。現実の世界からサイバースペースへと意識を転じる手順がいっさい省かれているから、いきなり別の場所へと飛ばれてそこがサイバースペースなんだと示されて、そうかサイバースペースなんだとすぐに納得できる読者が相当数いるのだとしたら、これは「ヤングマガジン」なかなかにSF度の高い読者をかかえているなあと感心する。そんなことはないんだろーけどね。きうちかずひろとかハロルド作石とか楠みちはるとかを読んでいる「ヤンマガ」読者に、「攻殻機動隊」っていったいどう写っているんだろー?

 仮想現実が現実の世界をまるまる再現できるようになった時、サイバースペースの中を漫画でどう描写するかってのは相当にやっかいな問題だと思う。違いがなければ書き分けられないからね。例えば内田美奈子さんの「BOOMTOWN」は、サイバースペースでは空が飛べるよーになっていたりして、現実世界との違いを見せているけれど、「攻殻機動隊」の場合はカットがちゃきちゃきと切り替わるくらいで、違いというかサイバースペースの特徴がまだ伝わってこない。まあサイバースペースが物語の主題じゃないから仕方がないことなのかもしれないけれど。それにしてもホント、いったいどんなストーリーなんだろー、今度の「攻殻」は。来週には解るかなあ。

 許すまじ角川書店。これまでホラー文庫で出していた荒俣宏さんの「シム・フースイ」シリーズの最新刊をハードカバーで出しやがった。風水師の黒だ龍人と相棒とゆーか助手のミヅチと猫の通が活躍する一連のシリーズの第4作、「闇吹く風」(1700円)のことね。たとえば大沢在昌さんの「新宿鮫」が1冊だけハードカバーで出て(「無間人形」のこと。これの初版が古本屋で結構な値段になっているのは驚き)いるけれど、これは出版社が違うからまだ許せる。けれども同じ会社で同じシリーズが前の3作は文庫で出たのに1冊だけがハードカバーというのは、集めている側として並べるのに手間がかかるといった物理的な問題から、ボりやがってという感情的な問題まで、さまざまな波紋を引き起こす。

 中身が面白くない訳じゃないのでさらに腹がたつ。文庫だったら3分の1の値段で同じ楽しみを味わえたんだと思うと、面白さだって半減するというのが人情だ。あるいはもしかして「角川ホラー文庫」って廃刊になった? いやそんなことはないだろーから、きっと角川の陰謀か荒俣の策謀に違いない。でもまあ新刊をハードカバーで出す方が、既に単行本に収められている短編を並べ替えてアンソロジーにするよりはずっと正しい態度だよなあ、ってやっぱり引っかかってるね江口さんのことが。


【7月6日】 職場が変わって仕事のペースがつかめないままアタフタしていた関係で、このところ更新が途絶えていた積ん読パラダイスに新作を加えるべく、パソコンに向かったのも束の間、激しい睡魔に襲われてダウンしたのが昨日の午後8時。3時間くらいで起きようとかけた目覚ましも効き目がなく、気が付いてみてれば今日の8時と12時間も爆睡してしまった。もったいないなあ。もっと落ちついて本の読める職場に行きたいぞ、どうせだったら本を読んでさえいれば食べられる仕事に就きたいぞと、「本が読めない」ことを理由にさっさとサラリーマンからリタイヤした目黒考二さんのことを思い浮かべるが、サラリーマンをやめると今度は本を買うお金がなくなるからなあ。おまけに最近はLDなんてものに手を出してしまって、ボックス物で欲しい物が山と出てきてしまったからなあ。なやましいなあ。

 ごそごそと起き出して昨日に続いて灼熱の秋葉原へ。ええ、ええ女王様(誰やねん)のご下命とあらばたとえ火の中水の底、死ぬ気で行って参ります。と訳の分からぬ前置きはさておいて、昨日に続いて中古LD屋をごそごそと回ると、あったあった幾原邦彦さんがシリーズ構成をした「美少女戦士セーラームーンR」のボックス物がそこかしこの中古LD屋に。値段は安い物で15,000円から高い物で30,000円とバラ付きがあるけれど、かの「少女革命ウテナ」で世間を震撼させつつある幾原さんの作品、いずれプレミアが付いてバカ高い値段で売られることになるのでしょう。お金があったら欲しかったけど、先に手に入れようものならお仕置きされること必定(ウソですよ)なので、とりあえずどこのお店に幾らで出ているかをメモに取り、帰ってから女王様(だから誰やんね)にご報告申し上げることにする。

 耳よりな話。フラリと寄ったLD屋で、宮崎駿監督のマボロシの傑作「On Your Mark」がビデオで発売されるとゆー張り紙が出ていた。LDボックス「ジブリがいっぱい」に多分収録されているんだろーけれど、それだけのために7万円は出せないと思っていた人には、多分朗報なんじゃないかと思う。ポニーキャニオンからえっと7月25日発売だったかな。時間は20分。でもチラリと見ただけなので、日時や時間には自身が無い。もしかしたら張り紙自体が暑さにあてられたマボロシだったのかもしれない。ともかくも月末には足繁く秋葉原に通おう。コナンのDVDも出るしね。

 秋葉原から地下鉄を乗り継いで四谷三丁目へと回り、ロケハンを兼ねて京極夏彦さんの「嗤う伊右衛門」で最近話題の於岩稲荷田宮神社を見に行く。大通りに沿って走る細い道をしばらく歩くと、「於岩稲荷」と赤地に白い文字で書かれた上りが見えて来て、そこが於岩稲荷だと教えてくれる。こじんまりとした神社で、参拝客は1人もおらず、おまけに周囲は高級住宅街とあって、歩いている人影も少ない。けれどもその場所は、確かに「四谷怪談」でいっぺんに知られるようになった(それが不本意な知名度であっても)於岩稲荷であり、およそ170年が経った今に至る時間を越えて、歴史的な事実のみが持ち得る存在感を振りまいている。神社を取り囲む石柱には、古今東西の著名な歌舞伎役者らの名が刻まれ、今なお於岩稲荷が厚い信仰の対象になっていることを教えてくれる。

   思えば東京に来て、上野動物園や東京タワーや新宿まんがの森や中野ブロードウェイには散々行ったが、こうした神社仏閣の類にはほとんど行ったことがなかった。わずか百数十年前までかの地に存在していた「江戸」を感じるには、おそらくこういった神社仏閣を訪ねるのが早道なのだろうけれど、そんな箱庭みたいな「江戸」を感じたって、かえって寂しい思いにとらわれることになるだろう。「明治」はもちろん「大正」もその痕跡を消し去り、「昭和」すらやがて消えてしまおうとするこの街で、「江戸」ばかりを尊んでいても詮無きこと。あと何十年か経った後、再び於岩稲荷に「江戸」を感じに出向いた時に、果たして「平成」はどんな顔を見せてくれているのだろうか。案外ペシャンコになっていたりして。我が身もろともね。

 などと熱い気温にイカレて、いつになくまじめなことを書き散らすようになってしまった頭を、家に帰ってクーラーで冷却しつつ、西澤保彦さんの新刊「複製症候群」(西澤保彦、講談社、760円)を読む。うーんやっぱり西澤調。クローンなんてありえない状況をSF的設定で無理矢理作り出し、その上でドタバタやらジタバタを繰り広げて楽しませてくれる。ミステリーという割には事件は単純で、犯人当てのような楽しみはあまりない。しかしそこは西澤保彦、地味な顔して人が悪い。小説の土台となっているクローンの問題は、とても一朝一夕では結論が出ない話で、この「複製症候群」でも、ラストにその可否の判断を暗に迫るような、実になやましい設問を投げかける。もう頭パンクします。

 疑問が1つ。川に流されたサトル1号は川にかかった壁を抜けたことになるが、その際に生まれたクローンはどうなったのか。生まれた瞬間に川に流されて、またクローンが出来て流されてまたクローンが、と永久にクローンを作り続けて川下には何十、何百ものサトルが流れ着いてるって、そんな光景を想像してしまいました。川には魚だって泳いでいるはずだから、やっぱり川下に果てしない数の魚が溜まってるってことも想像できる。ミミズだってカエルだってアメンボだって、どんどんと川下にたまっていく。さて真相やいかに。これもなかなかになやましい問題だ。


【7月5日】 船が沈んだ(沈んでないって)関係で忙しくなったので、放送当日は見られなかった「少女革命ウテナ」の第14話を録画で見る。なんだかもの凄いことになっている。100人の人間が眠っていると言われる建物のたぶん地下室に、薔薇の模様のプレートが壁一面に並んでいて、いったいなんの飾りだろーと思っていたら、ポコンと引き出しみたいに突き出て中に何か入っていて、そこから黒い薔薇の刻印の指輪が取り出された。その指輪をはめられて操られたデュエリストがウテナに破れたとたん、引き出しは地下室と逆方向に押し出されて火炎にまかれて消え去った。棺桶だったんだ、あの引き出しは。火葬場だったんだ、あの地下室は。

 決闘場に並ぶたぶん100個の机とその上に置かれた100個の花瓶の百合の花。おそろしく不気味な光景の中で繰り広げられる闘いのシーンは、これまでのようなジェラシーでいっぱいの熱ぽい空気とはまったく違う、昏い情念に満ちた邪悪なトーンに満ちていた。上空より俯瞰すると、机の下には横たわる人の赤い影が一面に。つきまとう死のイメージの中でラストにアンシーもまた淫靡で邪悪な表情を一瞬だけ垣間みせる。いったいこのままどこに行ってしまうのだろうか。どこに連れていってくれるのだろうか。放送地域が限られていたこと、視聴率が決して高くないことが幸いしてか、例の事件の重大キーワード「薔薇」を、このアニメのやっぱり重大なキーワード「薔薇」とつなげて考えるマスコミはなかったが、これからの展開いかんによっては、別に意味で物議を醸すアニメとなるだろう。僕はもちろん大歓迎だ。絶対購入、レーザーディスク。

 ってことで幾原邦彦さんの初監督作品になるのか「美少女戦士セーラームーンR」のLDを探しに秋葉原へ。夏だけあって群集うコンパニオンの格好も大胆きわまりなく、近寄ってその胸にスリスリと頬摺りしたくなったけど、それやっちゃうと万世警察署行きだからぐっとこらえてリバティやディスクマップあたりを流す。ディスクマップ4号館で「LDボックス値段から2割引ぃぃぃぃぃ」の声に財布からカードを抜き出したい衝動かられるが、すでに限度額いっぱい使っちゃってるかもしれないし、払えるあてもないのでやぱりぐっとこらえて「セラムンR」の中古LDを買って帰る。おわぁぁぁぁぁ、「重戦機エルガイム」のLDボックスが後ろ髪を引くぅぅぅぅぅ。

 佐賀町の食糧ビルにある小山登美夫ギャラリーへ。扱っているアーティストの作品を一同にあつめた大バーゲン、じゃない大お披露目展覧会で、目当ての村上隆さんの作品や、最近注目の太郎千さ恵蔵さんの「キョロちゃん」をモティーフに使った作品なんかが並んでいた。「田宮模型」のプレートの星の部分を焼いた作品なんかが売られていたけれど、値段は5万円だったかな、50万円だたかな。5万円だったら買っておけばよかったかなって一瞬思ったけど、だったら「エルガイム」のLDボックス買った方がいーかもと思い直すあたり、つくづく見下げたオタク野郎だと自分のことを誉めて挙げる。誉めるんだよ。

 面白かったのは奈良美智(よしとも)さんの一連の作品。イラストなんかがときど雑誌に載っているらしいけど、意識して見たのはこれが初めてで、その作品が醸し出す雰囲気にいっぺんい惹かれてしまい、これから注目していこうと心に決めた。大きなおでこで目つきの悪い子供が描かれたイラストというか絵なんだけど、色使いという顔の造作のバランスといい、なんともお茶目でメルヘンな印象を見るものに与える。造形作品の方は直方体の上にプールみたいなものが作られていてそこに小さな動物の人形が半身までつかっている。1つはプールが布で作られていて、人形をひっぱると直方体の中に折り込んである布が上に出てきてそうかプールの水を形成していた布は人形の胴体だったのかと解る。とってもユーモラス。

 しかし12万円は今の自分ではちょっと出せないし、出せたとしても置いて置く場所がない。いずれマンションでも買って大きな壁のある部屋を持てたら買ってもいーかな。でもそんな時が来たら間違いなく1分の1「KOKOちゃん」とか1分の1「綾波レイ」とか買っちゃいそーだしなって思うあたり、つくづく度し難いオタク野郎だと自分のことを慰めてあげる。せっかくなので村上隆さんが何かの雑誌用に構成した図版のポスターを購入。それから「KOKOちゃん」が写ったポストカードとかを買って外に出る。本当は「HIROPONちゃん」の描かれたTシャツが欲しかったんだけど、サイズがなくってあきらめた。「KOKOちゃん」のTシャツ出ないかな。

 帰って朝から放映していたNHK「土曜日の朝」を録画で見る。若手アーティストを紹介していくシリーズで村上隆さんが登場、「KOKOちゃん」の髪の毛にシャドーをかけたり「DOBくん」のバルーンを膨らませたりして、とても東京芸大院卒の博士号取得者だとは思えないその作品の数々を披露してくれた。でも鬼だかを原点から写し取ってアレンジして色をつけていくあたりの腕前は流石に芸大出身者って感じ。線がとにかくしっかりしていてデッサンも狂いがない。あーいった確実な技術があるからDOBくんは歪まないんだね。ってことは「HIROPONちゃん」はわざと歪めて(つまりはデフォルメして)描いたのかな。番組では例の西日暮里での若手アーティスト3人展「TOKYO SEX」の模様も放映されていて、アーティストの1人と話し込む村上さんの間に、ブスっとした禿頭のおっさん(つまり僕だ)がしっかり写っていた。でもまあ朝早いから誰も見ていないだろーな。9日水曜日に教育テレビで午後3時半から再放送されますんで、興味のある人は見て笑おう。

 LDマストバイだ「逮捕しちゃうぞ」第39話は。中嶋敦子さんが作画監督でおまけにビーチバレーの話だと聞いて期待して期待して待っていて、現れた絵は期待に寸分も違わずむしろ期待を上回って素晴らしい仕上がりになっていた。だって水着がいっぱいなんだもん。おまけにオイシいポーズがいっぱいなんだもん。しっかと足を大地につけてレシーブする様のなんとまあ○○なことか。って別に美幸のナイスな水着のバディだけを見ていた訳じゃない。キャラクターの顔も目がぱっちりのお好み系で、動きも動かすところはちゃんと動かし、止め絵も手を抜かずにしっかりと描いていて、最後まで目が離せなかった。来週も結構良さそーなのでまた録画しよー。よかったらマストバイだ第39話と第40話のカップリングLDは。


【7月4日】 電車はひっくり返らなかったけど、JTBツアーのバスがフィジーで転落したみたい。でもまあ外国での話だからテレビも新聞もそれほど大騒ぎはしていない。東京湾がちょろっと油で汚れた事故と、人が8人だか亡くなっているバス事故とでは、「人命は地球より重い」なんて当時の首相が喋る国の国民なんだから、きっと後者の方こそ重大だって思うはずなんだけど、現実はまったく逆。バス事故の扱いたるや、タンカー事故に比べれば毛ほども話題になっていない。こーゆーお膝下こそ大事ってゆーのか、事大主義ってゆーのは、まーなんとゆーかニッポンのみならずマスコミ全体にあてはまることでしょう。アメリカだって東京湾のタンカー事故なんてきっと毛ほども気にしてないだろーし。イヤだねえ。

 銀行に金を振り込みに行った帰りに地下鉄で隣のモヤシくん(みたいに細い男の子)がいきなり「小黒祐一郎」なんてアニメのエラい人の名前の載っているA5サイズの雑誌を読み始めた。まさかダカーポじゃあるましと思って横目でチラッ、チラッと表紙を見ると「ニュータイプ」なんて書いてある。えっ、ニュータイプってあの大判の雑誌がこんなんなっちゃの? と不思議に思って本屋に入るとおーあった。なになに「ニュータイプ・マーク2」だって? おいおい角川おまんとこはアニメ雑誌でガンダムやるつもりか、エルガイムやるつもりか、ダンバイン・・・はビルバインになったからちょっと違うけど、しかしセンスがねえ。やっぱり「Zガンダム」で始まった「ニュータイプ」は、どこまで行ってもアンノコじゃなくってトミノコなんだねえ。

 僕らの世代に最初に作家を意識させてくれたアニメーションの人は、やっぱり富野由悠季さんでしょう。今はOVAの企画だかでちょこちょこと出て来る程度しかないけれど、それでもアニメを語る段になると必ずや登場して、厳しいお小言で僕らの居住まいを正させてくれる。「ニュータイプ・マーク2」にももちろんインタビューがフィーチャーされているから、古来よりのトミノコも、近年台頭著しいアンノコも是非読もう。あのトミノがいよいよケツ割ってチンチン押っ立てて来たって感じがするから。

 対するアンノコなんだろうか、小黒さんの発言はとりあえず庵野秀明監督に見方する。「その時庵野秀明の『才能』は『消費者』に勝ったのだ」なんてカッコ良い言葉で、「作家」庵野秀明が作ったものだから、それが「快楽」を与えてくれと信じて大勢が劇場に足を運んだことを讃えている。けれども「消費者」はすでに「作家」としての庵野秀明をもその旺盛な食欲で「消費」するプロセスに入っている。その一挙手一投足が注目されていた間はまだ良かった。けれども、その一挙手一投足に注目すること、その行為に人々が「快楽」を覚えるようになってしまった今、たとえ話題に中心にいたとしても、庵野は「作家」として讃えられているのではなく、「作家」として「消費」されようとしているのである。決して「『消費者』に対して勝利して」などいない。

 どうしてアニメの視聴者が「消費者」であってはいいけないのか。見せられる以上はそれに対して「面白い」か「つまらない」か感想を言うだろう、それが「つまらないから駄作」と断じた時点でどうして「消費者」として見下されなければいけないのか。なるほど「最終回を『楽しんだ』人もいる」ことを想起できないのというのは、確かに傲慢な態度かもしれないが、「楽しもう」とも「つまらない」と断じようとも、同じ「消費」に変わりはないではないか。

 いつまでもついていくといって、「作家」がない頭を振り絞って考え出したアイディアを「素晴らしい」と褒め称え、「次もね」といってねだる行為が「消費」でないとしたらいったい何だ? 無尽蔵の才能ならばいくら「消費」されようと一顧だに気にせずひたすらその発露に務めればいいではないか。そうでないと感じるところがあるからこそ、いたずらに「消費」されることに、苛立ちを感じているのではないのか。とまあ、トミノコたる自分のアンノコへのジェラシーから来る暴言を重ねたが、とまれ「夏エヴァ」が公開(ホントか?)されて、その真価が白日のもとにさらされる日も近い。富野も動き始めたし、押井守も動いている。宮崎駿はいよいよ来週、最後の花道に立って世界に向かって大見得を切る。ただの「消費者」として今ほど楽しい時期はない。

 しかしとことん不思議な雑誌だ「ニュータイプ・マーク2」。小黒さんの論文に著名アニメ作家へのインタビューに「スター・ウォーズ」大特集に最後は大森望さんも混じっての「21世紀アニメ制作委員会」なる大座談会。およそ30代のノスタルジックでかつスノッブな(ってことは10代からほとんど進歩していない中年オタク・アニメファンってことだな)人間くらいしか読みそうもないし、読んで面白いと思わないだろーな。夏号ってことは季刊で出るのかもしれないけれど、第1号でこんなに総花的な特集をやっちゃったからには、第2号はもっと焦点を絞った雑誌にしないと区別ができない。ほら「動画王」がロボットの次は魔女物にしたみたく。でも次の号が出る頃までに、今の第2次アニメブームが終焉してる可能性も無きにしもあらず、だからなあ。

 1週間かけてようやくゲームを終了み持ち込む。バタバタと仲間が死んでいくのを後目にヒロインと乳くりあいながら向かうは聖魔城。んでもってサタンを倒して大団円の場面で、おいおいおまえたち確か死んだんじゃなかったのか、って突っ込む前に「よかったなあ」って感情が湧いてくるほど、1週間ですっかり「帝国華撃団」メンバーの虜になっていた。この中から1人選ぶのは難しいよー、なんて思っていたら知らない間に相手が決まってしまっていた。感動のエンディングで流れるヒロインの写真を見ながら、これまでの数々のラブラブ場面を思い出しつつ、次作への期待を膨らませるのであった。期待しているよ広井王子さん。「すみれ大戦2 君、死にたもうことなかれ」の完成を。


【7月3日】 なんのことはない過去最悪だなんて言ってたったの(たったじゃないけど)1550キロリットルしか流出していなかった東京湾タンカー事故。朝方そのことがわかって、そんでもって事故った会社がその事実を官庁には喋っておいて一般向けには昼まで黙っていたからもう大変、シカトされた格好のマスコミが怒って騒いで痛罵しまくる激しい会見があっちこっちで開かれた。少なくなったからいーじゃん、みんなで喜ぼうよってことになったって良いのに、そこはそれやっぱりお上の顔色ばっかりうかがう企業とうかがわれてご満悦の官庁の様子を見ていると、悪態の1つもついてみたくなるんだろーね。

 でも企業が一重底のタンカーを運航していることを挙げて、二重底にしなかったのはお金儲けをしたかったからどろうって糾弾する様子を見ていると、僕にはそこまで目上の人を(たとえ犯罪者であってもだ)痛罵するだけの度胸はないなーって気持ちが湧いてくる。仮に築地あたりの旭日旗の会社の看板を背負っていても、だよ。それはたぶん、人様を叱れるほどに自分たちが立派なんだろうかって疑問を持ってしまったことによるもので、例えば世界環境年が始まった年、環境を守ろうって記事を集めた大特集を、第何部だかって番号を付けて分厚い元旦の新聞に折り込むんだもん。こういう行動を見て自己矛盾を感じてしまうと、熱血情熱を胸に秘めて社会の悪たる「企業」と闘うんだって意欲が萎えてくる。さりとてホンカツ教の子供は、「企業」や「役所」の完全なる見方になることもできず、どっちつかずの中で、無能の烙印を押されて消えていくんだ。そんなんだったら消えて本望、と思わないでもないけどね(ってなことばかり書いてると消えるんじゃなく消されるかもね)。

 日本旅行が何を思ったかミステリーツアーを催行。かの東京乾電池の柄本明さんにベンガルさんに蛭子能成さんが同行して劇を見せ、その劇で提示される謎を解くカギを探して、エジプトの観光地を回るってツアーで、旅の最後には出演者たちも出席するパーティーが開かれる。ピラミッドとかルクソールとかアスワンとか、主要なところはだいたい抑えているし、値段も確か30万円を切っていたから、純粋にエジプト旅行としても楽しめるんだろーけれど、これで東京乾電池がもっと別の美人女優がたくさんいるよーな劇団だったら、もっともっと楽しくなっただろーなと、あのノベランとした顔の柄本っさん、ガチョキンとした顔のベンガルさん、ブワリャンとした顔の蛭子さんがついたパンフレットを見ながら、深く深く嘆息する。

 しかしミステリーツアーもあちらこちらで開かれるよーになると、どれだけすっげーバリエーションを提示できるのかって辺りが勝負になりそーで、エジプトと東京乾電池ってのはそれなりにプラスアルファになってると思う。いちおーみんな知ってる人たちだもん。これが例えば同行する劇団が大駱駝艦だったら、きっと無頼な旅になっただろーし、山海塾だったらきっとストイックな旅になっただろーし、芸能山城組だったらきっとケチャケチャな旅になっただろーな。四季だったらもー成田に向かうリムジンバスの時から、運転手が歌いながら踊りながらバスを運転して、横でガイドが花吹雪をまき散らすんだ。これはこれで楽しいかもしれないけど。

 極めつけは着ぐるみの金田一のはじめちゃんが同行するミステリーツアー。声優さんは忙しくって参加できないので、飛行機の中で突如登場した着ぐるみの金田一はじめちゃん、何かセリフを言うたびに手にもったラジカセのボタンを押してセリフを喋らせるんだ。別の出演者の着ぐるみも、やっぱりセリフの時にはラジカセをカチャ。あっちでカチャ、こっちでカチャカチャと五月蝿い演劇に、だけども何10時間も揺られるだけの飛行機で移動中のツアー参加者は、結構喜ぶかもしれない。希望者にはあらかじめ希望の出演者の着ぐるみを持参してもらって、途中から劇に参加してもらうの。かくして飛行機の中は次から次へと登場する明智警視正とかの着ぐるみで、一大コスプレショーと化すのであった。そうだ、コスプレツアーなんてどーだい、全員なんらかのコスプレしてその役になりきって外国を旅するの。ウテナがいっぱいだったら、それもほとんどが女性だったら、きっと絵的にタカラヅカもびっくりなツアーになって、世界に革命を引き起こしただろーな。どっかの旅行代理店さん、ホントにやりません?

 講談社ノベルズ夏の当たり月。森博嗣さんの「まどろみ消去」を筆頭に(名古屋市民だから筆頭!)、我孫子武丸さんの「ディプロトドンティア・マクロプス」、西澤保彦さんの「複製症候群」、そして気絶怪絶また壮絶な清涼院流水さんの「19ボックス 新みすてり創世記」とくれば、これはもう講談社ノベルズで常に新刊が待たれている人たちの、火砕流土石流に襲われたに等しい事態ではありませんか。もう速攻で4冊まとめてレジへと行き、いっぱいの鞄につめこんで歩き始めると、肩に食い込むストラップ重さもこれからの楽しさに軽くなるって寸法だ。

 週末は4冊まとめ読みの予定。おっと京極夏彦さんの「嗤う伊右衛門」も遅蒔きながらいよいよ佳境だ。タンカーが沈んで(沈んでないって)ヘリコプターが落ちた(これはホント)今週もいよいよ終わり、本を読める週末が来るはずだから。もっとも移った早々に、こう事件事故が多発すると、いよいよ明日は新幹線が空を飛んでロボットの腕にでもなるのかな、それとも真ん中から割れてライターみないたロボットになるのかなって、そんな危惧(とゆーか期待)を抱いてしまう。ホント僕って疫病神かもね。自分では貧乏神って思ってるんだけど。


【7月2日】 まるで疫病神のように行く先々で騒動が付いて回って来る僕。前に証券取引所にいた時はかの証券不祥事が起こったし、次の日銀ではすっげー円高が起こった。どちらもその後もっとすっげー証券不祥事と金融不祥事と円高が起こったんだけれど、その先触れともいえる状況に立ち会うことができたのやラッキーとゆーかアンラッキーとゆーか。

 でもって運輸省にいったらこんどはとたんにタンカーが東京湾で沈没(じゃない)だ。石油の流出量はなんでも今年はじめのナホトカ号の流出を上回り、それが目の前の東京湾で起こったってことで、みんなが大騒ぎしている。まあ重油じゃなくって原油だから、そこに沈んでいつまでも悪さをするってことはなんだろうけれど、今年の夏は東京湾内で海水浴を楽しむのは、ちょっと難しいだろーね。コパトーンがいらなくなるのは良いかもしれないけれど。

 とはいえ行ったばっかりで何をどうしなくてはいけないのかが全然解らないし、こーゆー事故はだいたいが社会部あたりがガヤガヤとやって油漂う海面とか、匂い漂う湾岸とかの映像を映してその悲惨な状況を伝えようとするくらいだから、エクソンのタンカーがアラスカで起こしたバルディーズ号沈没くらいになって、補償とか保険とかいった経済的な問題が出てこないと、正直言ってすることがない。周りがわいわいと大騒ぎをしているなかで、泰然自若(茫然自失)としながら小谷真理さんが満を持して送り出した究極のエヴァ本「聖母エヴァンゲリオン」(マガジンハウス、1200円)をボーっと読んでいる。

 モノクロ包帯姿の綾波レイの表紙はいたってシンプル。けれども中はカラー図版が抱負に収録されていて、それだけを目当てに買っても悪い気はしない。もちろん文章の方もガイネーシスがどうとかサイボーグ・フェミニズムがどうとかいったいつもの小谷節がたっぷりで、うーんどうしてそこまで考えてアニメを見なくちゃいかんのかなあ、などと眉間にしわ寄せ頭を抱えながらとつとつと読み嗣ぐ。

 マギの内部に入るリツコさんが四つん這いになる、そのスタイルが前エディプス期的表象と言う下りとか、ATフィールドをこじ開けられてプログナイフを打ち込まれた使徒の場面を「女を虐殺の対象として取り上げる」女性虐待描写にしばしば登場する暴行形態の隠喩表現と言う下りとか。まあ言われて見れば確かにそうとも言えるんだけど、テレビを見ながらそこまで考えないもんなあ、普通、とくにファンの中心になっている男は。まあ、だからこそ小谷さんがピクっと来てこういった読み解き方を提示して、夜の男どもが無意識的にエヴァに投影している性的なイメージを、白日のもとにさらけだそうとしているのだろうけど。

 大日本印刷のギンザ・グラフィック・ギャラリーで「ADC(アートディレクターズクラブ)」の展覧会が開幕。一等賞になったペプシマンのシリーズが、缶やペットボトルといった商品と、それから「ペプシマン」で話題のCMで展示されていた。泣く子供編からコルベット、スノボ、サーフィン、ボクシングへと続くシリーズが、全部ロングバージョンで見られるからファンの人は行こう。あとNIKEのCMで全世界のサッカーファンを狂気させた「天使対悪魔」が、ロングバージョンで流れていて、エリック・カントナの爆熱シュートに至る短いながらも起伏と迫力にあふれた映像を見ることができるぞ。

 注目は地階のガラスケースに入ってにいるタカラの「うのちゃん人形」。発売されたのは知っていたけれど、実物を見たのは初めてで、へーこんなパッケージに入っていたの、ふーんスカートの下はちゃんとつけてるんだってなことが確認できて良かった。でもいったい「うの人形」なんて誰が買って何に使うんだろうか。眺めて見るか逆さに吊すか。せっかく関節が付いているんだから、やっぱここは手足を折り曲げて陵辱のポーズをとらせよう。だからタカラは「石井選手(ヤクルト)人形」を出すんだ。

 何を迷ったか映画の良心(と思われている)キネマ旬報社が季刊ペースで刊行を始めた「動画王」の第2弾が登場。第1弾が「ロボット」だったから次は何かと期待していたら、その期待を裏切ることなく日本が世界に誇る「魔女物」の大特集を組んでくれた。20代後半から30代前半のアニメファンにとってもう涙なくしては語れないあの「ミンキーモモ」を表紙に配し、「サリー」に「アッコちゃん」から始まるニッポン魔女物アニメーションの流れをしっかりとした作品解説を交えて的確に把握し、紹介している。注目は話題の大地丙太郎さんと田中一也さんの対談「ナースエンジェル りりかSOS」。実はほとんど見ていなかった「ナースエンジェル」がかくもハードでメロウな話だったとは。ちょうど朝方再放送をやっていることだし、これからじっくり見ることにするか、ってそんな時間に見られるの? ううん見るの。

 マミ派です。っていきなり何をカミングアウトしてるのって言われれば、「ミンキーモモ」も良かったけど実は「クリーミーマミ」の方が今となっては好きだったなあ、ということ。今はなき(まだ死んでない、と思うけど)太田貴子さんの、実はLPを2枚持っていたんですよ僕は「ハートのシーズン」が入っているやつを含めて「たぶんあなたはろんりねす」だったかな始まりは。

 「らぶらぶみんきーもも」も悪くはないんだけど、前半と後半の設定のギャップが気になって、なんか無理矢理延命したんじゃないかってゆー印象がついちゃって、それだったら最初から真っ白で見られた「魔法の天使クリーミーマミ」の方が、よりのめりこめたってことみたい。最終回を見るために2時間かかる大学から家までの通学距離を電車を乗り継いで必至に帰った記憶があるね。ビデオ持ってなかったからなあ、当時は(最近までは、だけど)。でも「動画王」では「ペルシャ」と「マジカルエミ」に重点を置いた紹介の仕方になっているからちょっと残念。僕は太田貴子の鼻声、ぜんぜん気にならなかったんだよー。


【7月1日】 仕方がないが社命には従わなければならないのがサラリーマンの悲しい定め。さんざんっぱらいー加減なアニメとコミックの記事を書き飛ばして来たツケが回って運輸省なんてカタいカタい官庁詰めを命じられて今日から着任した。普通の新聞社に勤務する普通の新聞社の記者だったら、「やったねおめでとう」とか「官庁詰めなんて出世じゃん」とか言われて有頂天になって大喜びするんだろーけれど、生憎とこちらは仕事がイヤでイヤでどーやってサボろーかってことばかり考えている怠惰な記者、たまにする仕事は趣味丸出しのヲタク記事ばっかりって人間だったから、ホント真面目な世界でこれから何やって暮らそーかと、ない髪を縛って今から頭をナヤマしている。頭を縛った官庁詰めってのもすげーけど、これは切らないだって着るとただの禿になっちゃうんだもん切らなくたって今度はアブナいプーなんだけど。

 担当が代わると面白い業界でも見捨てていかなくてはならないのは、やっぱり相当に心が痛む。ゲームが好きでゲームの人たちと仕事して離れられなくなった千葉麗子さんが、ゲーム業界に行きたいって泣いた気持ちがなんだか解るよーな気がするね。したがっていわゆる業界ネタってのは、仕事を通じての入手が困難になるから減るだろーけれど、私生活まで仕事場によって変わるたーとても思えないので、やっぱりマンガ読んで雑誌買って本を積み上げてアニメ見て、ゲームやってストーカーになりすまして最後は首切りに須磨に行って首になるから、過不足なくご披露していけると思う。って言いながらも動揺の色がありありで、精神もぐらぐらと不安定になっているからなのか、書いていることがあぶなくなってきた。せっかくなのであぶなくなったついでに、道を歩いていて思いついたテレビ番組の新企画を披露しよう。タイトルはズバリ「今日の猟奇」だ。

 おいしい人間の育て方、選び方から始まって部位によってどうさばくか、内蔵はどれがおおいしくてどれが不味いか、脳味噌はどうやって料理するのか、筋張った筋肉を柔らかくする方法は、なんてことを教えながらおいしい「人間料理」の作り方を披露してくれる番組。首なんて持って帰って冷蔵庫に入れても、どう料理したら良いか解らないでしょ。テレビを見ればばっちりで、テキストにはCGを使ったイラストまで出てるから、初心者でも簡単にバラせるって訳。民放にはちなみに「猟奇バンバイ」って番組があるから、ニューギニアとか南米とかの名物人間料理を見てみたいって人はこっちを見よーね。あと「QP3分間ストーキング」って番組もあってこれは・・・・

 しかし相変わらずドラスティックな人事をやるもんだ我がグループは。僕なんざあ一般的には真っ当な人事だから(受けた当人が真っ当じゃないだけ)、傍目には「良かったね」ってことになるけれど、親会社の方はもうなにがなんだか解らない。留学制度でアメリカに留学した経験もある人が外信部から静岡支局に行ったり、長く香港支局長を勤め上げたチャイナウオッチャーとして名高い人が東北総局に行ったりする。関係分では文化部でミステリーなんかを担当して大森望さんの日記とかにもチラと出たことのある女性記者がやっぱり東北の支局に行くことになっていて、この人僕よりたしか年上だから、なんだかちょっと大変だなーって同情の1つもしてあげたくなる。明日は我が身か。

 ロッキング・オンから出ている「H」買う。「もののけ姫」が表紙のヤツね。表紙になっている割には8ページくらいしかなくって、そのほとんどをキャンディ ストリパーのデザイナーの2人による宮崎駿監督へのインタビューとゆーか3人の対談って感じの記事が占めていて、いわゆる真っ当な(真っ当もあるものか)オタクにとってはちょっと薄いかなって記事に仕上がっている。それでも妙にネチっこいオタク記者のインタビューに比べると、あっけらかんとして屈託がなく、それでいて肝心な部分はちゃんと聞いているから読んでいて結構読まされる。いっしょについていったちゃんとしたインタビュアーがまあ良かったのかな。

 しかし知らなかったねえ、宮崎監督が「ツール・ド・フランス」好きだったってことは。崖からすっとんでいって消えちゃった自転車を、バイクでおっかけていたカメラがずっと撮ってるってことを面白がっていて、なんかとっても無邪気で可愛い。吃驚したのは「もののけ姫」の製作発表の時に配っていた「もののけ時計」が世界で限定999コしかなかったってこと。えー、これならウチに1コあるよって、本の山の端から引っぱり出してケースを開けて時計の裏をのぞくと、ホントだ924って番号が刻印してある。もらったモノを持って帰るのが面倒で、回りの人にどんどんあげちゃうんだけど、「もののけ時計」がそんなに貴重なモノだったとは。人にあげなくて良かったなあと今になってホッとする。ちなみにウチには「もののけタオル」ってのもあるんだけど、これは多分たくさん出ていそーだから、今度バンダナ代わりに頭に巻いて仕事に行こう。パンツ代わりに腰に巻いてもいいかな(いけません)。


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