縮刷版2000年8月下旬号


【8月31日】 何故だか良く知らないけれど突発的な事情で「レディ・ジョーカー」と「屈辱ポンチ」と「ブエノスアイレス午前零時」と「女王の百年密室」を緊急閲読、どれも家の中に確実にあって中には2冊(組)以上あるかもしれない本だけど、始末の悪さが祟って近刊の「女王の百年密室」以外は部屋の中から発見できず古本屋とか探して買い直して再読して、ああやっぱり町田康は巧いなあ、巧いって言葉があてはまらないのなら天然だなあと感嘆する。にしてもこれほどまでに楽しい小説群が揃っててこれがおそらくは最先端の最上層のホンの一部でしかないのはつまり、小説ってジャンルがエンターテインメントも純文学も決して全然衰えてないってことの現れのよーな気がするんだけど、世の中がなべて出版不況だって言っているのは何故なんだろう。

 出し手の非効率か受け手の体力知力の低下か出版社員の贅沢か何かどこかに理由がありそーな気もするんだけど、はっきりしたことは良く分からない。無駄な出版物も多いけど無駄から生まれる有意の物だってあるし有名な人も最初は無名なんだから無駄かどうかなんて判断すべきじゃないって気持ちもあるし、給料が高いから優秀なスタッフが集まって優れた本が出る「可能性」が高まるって見方もあるし体力知力の低下は受け手の責任なんで反論のしようがないし……うーむともかく本にはいろいろあるんだってことだけでもアピールし続けることによって、無駄でも無茶でも無能であっても巷に本の溢れる状況だけは続くよーに微力ながらもホザいて行こう。とりあえず「明日を想う」(堺屋太一、朝日新聞社、1500円)は読まんでよろしい(さっきと言ってること違うじゃん)(だって今時インパクの堺屋だぜ)(納得)。

 偉いぞ「週刊文春」硬派だぜ「週刊文春」。世の中の理不尽にズバリと切り込んでくれる我らが庶民の代表格、「週刊文春」に盛大なる拍手をパチパチパチ。って何がと訝る方に説明しよう、先だってシドニーオリンピックに派遣される各テレビ局のアナウンサーが揃って登場する記者会見があったとか。そうかスポーツとも報道とも縁遠い、顔だけ体だけな女子アナばかりがもてはやされる現状に憤りを感じたのかと思ったのなら早とちり。違うそうじゃない、派遣されるのがキャピキャピの女子アナであっても一向に構わないし、むしろ脳筋野郎が出てきて解説なんかするよりよほどか嬉しいと叫ぼう。問題はそんなことじゃない、集まって壇上の椅子に座った女子アナが、揃ってパンツルックだったことが問題なのだ。壇上、着席、曲げた足、そろった太股、その奥に……。なのになのに全員がパンツルック。許せますか? 認められますか? 怒りを共有したい方はさあ、「週刊文春」を片手に叫びましょう、ノオーッ! 断じてノオーッ!

 取り乱しましたすいません。いや本当に偉いぞ「週刊文春」グラビアが美少女で……って違う、猪瀬直樹さんがコラムで指摘した、新聞とかメディアの右へ習え的事なかれ主義への異論に納得しつつ、この国が置かれている精神の貧困ぶりに頭が痛くなる。九州の炭鉱があった小さな町で起こった町長の失踪事件でメディアがかき立てたのが失踪した町長が失踪中にゴルフ三昧だったとゆー悪意に満ちた記事。町民も町政も放ったらかした悪徳町長ってイメージがこれで一気に広められてしまったけれど、実はその裏にれっきとした、それも極めて深刻な「地方政治」の問題があったことを猪瀬さんは指摘している。

 町が作ろうとした施設の入札上限がどうにも漏れる傾向が続いて、いつも高値いっぱいで落札されて行くことに疑問を抱いた町長が、ある施設の入札をめぐって競争入札制を導入したは良いものの、どうにも不穏な空気が流れて身の危険を感じて入札当日まで身を隠したのが真実だとか。月曜日から休むことにして、その前日の日曜日に以前から出席の決まっていたゴルフコンペに出たことが「失踪中にゴルフ三昧」と誤報され、それを後で訂正しないことも1つ問題ではあるけれど、失踪した結果、施設の入札で町が支払う金が10数億円も節約できたにも関わらず、つまりはそーした「余計」にこれまで支払っていた金が闇へと流れる可能性を防いだにも関わらず、メディアの報道姿勢に変化が見られなかったとゆー。

 確かには仕事をサボってゴルフ三昧とゆーのは「分かりやすい」構図だけど、それが決して本筋ではないと分かっていながら、あるいは本当に知らなかったのだとしても、態度を改められないのは「正義」の判断基準がどこかでズレているからなのか。もしかすると(とゆーよりその可能性は高いけど)、判断基準なんてものはハナっからななく「皆が言ってることが正義」とゆー、横一線の発想しか出来ないからなのか。警官が発砲すれば明らかに警官側が正しくても全てひっくるめて「いかがなものか」と報道し、去年だったら没だったよーな異物混入事件でも今年はデカデカと報道する基準の見えなさ、腰の定まらなさ。そこに気づいて忠告してくれる猪瀬さんのよーな存在は有り難いけど、今に始まったものではないそーゆーメディアの横暴への批判が、いつまで経ってもなくならない現状はやはりどうしよーもないのかもしれない。

 早刷りな9月発売の「電撃文庫」が届く。「電撃」で仕事してて良かったと思う瞬間。古橋秀之さんの「タツモリ家の食卓2」は予定されてた「精神寄生体」の話じゃなくって武者小路の色紙に猫が足跡を付けて大騒ぎな話、じゃないけどそんなよーなものな「星間協定調印」の話。まるで鬼娘なバルシシア殿下のちいちゃかったおろの素直じゃないけど純真さを現すエピソードが泣けます、しかしあのバルルシアすら脅えさせる姉ちゃんって、リナの姉ちゃんより強いのか。近影が秋山瑞人さん的にキョーアクです。葛西伸哉さんの「ようこそ観光ダンジョンへ」。復活した邪神を倒しに新米剣士と見習い魔法使いと物知りな観光ガイドと聖乙女役のアイドルと剣士役の大根役者がダンジョンの奥へと向かう話。世界平和についての関係者の考えてなさぶりが無茶と言えば無茶で、だからといって徹底的にギャグに逃げるにはテーマが重くシリアスなんで、書く方もきっと悩んだだろーと思うけど、観光ガイドの仕事への意志や提示される邪神の存在意義といった部分に感じる所もあって投げられない。近影が遮光器土偶で同時発売の鷹見一幸さんの近影が兵馬傭なのは流行か。だったら僕は翡翠の仮面でも使ってもらおーか。


【8月30日】 もしかすると猫耳少女へのフェチ的関心が生まれたのって猫を飼えないマンション住まいの世代が増えたからだってなことと突然思った今日この頃。飼ってる人は分かるけど猫の耳って外見の手触りはともかく(年頃の女の子は触っちゃだめー、らしい)中をのぞくとぐにゃぐにゃとしごちょごちょとした部分が付いていて、見ように寄ってはなかなかに気色がよろしくない。手に握れるくらいの猫の頭にしてからそーなのに、例えば人間の少女の頭に付いて適当なサイズだったら、ぐにゃぐにゃとしてごちょごちょとした部分も比例してぐにゃぐにゃでごちょごちょになる訳で、じっくりとは多分見られないよーな気がする。臭いだってありそーだし。従って安易にネコミミかーいーとか言えるのは、実際の猫を飼ったことがなくって病気になった猫の耳ダレ掃除もしたことのない「ペット禁止」な人なんじゃないかと思ったんだけど、さてはて実際のところはどーなんだろー、ぐにゃごちょでも美少女のネコミミだったら愛せるものなんだろーか。

 例えばネコミミの最近の代表格とも言える「デ・ジ・キャラット」&「プチ・キャラット」は実は設定上でも単なる被り物だったりしてるみたいだからぐにゃごちょは初めからついてないから全然平気に愛でられる。同様に伊吹秀明さんの「出撃っ!猫耳戦車隊」(エンターブレイン、640円)に登場する本当は人間なのに極度の猫耳フェチでフェイクの猫耳を付けて喜んでいる美少女の「猫耳」だったらやっぱり平気で触って近寄って愛でられるかも。とはいえ小さい戦車に適合するよーに遺伝子操作か何かで生み出された亜人種の猫耳はマジに耳として機能する「猫耳」だからぐにゃっとしてごちょっとした部分が付いていたって不思議じゃない。近藤敏信さんのイラストにはそこいらあたりが詳しく描かれてないから不明だけど、やっぱり近寄ると結構ウッと来るのかなあ。でも耳より巨大なバストに目が行くから案外と「猫苦手」な人でも平気なのかもしれないなー。やがて来るバイオの時代にどんな猫耳が登場するのか、関心を持ちつつ見守ろー。

 さてはて「出撃っ! 猫耳戦車隊」を何故に野尻抱介さんが大フィーチャーしてるんだろーと思っていたけど、狭い戦車に適合するよー低い身長の猫耳娘を集めたってあたりが、低予算で宇宙に出るには小さい女子高生がパイロットに最適とゆーアイディアが秀逸だった「ロケットガール」シリーズに通じてるのかもしれない。それとも単純に88センチとか90センチ超とかいった猫耳娘の巨大バストに動じているのかなー。それにしても狭い戦車向きに身長が幾ら低くたって胸回りが1メートルとか90センチも在られた日にやー高身長と同じくらい邪魔っ気だと思うんだけど、そーゆーあたりの考察がないのはちょっと謎。猫ならバストがでかくなる、って辺りも説明が欲しかったよーな。牛なら分かるんですけどね。

 物語自体は神林長平さんの「戦闘妖精 雪風」や「グッドラック 戦闘妖精・雪風」にも似た人間vs機械知性の戦いが軸となっていたりして、神林系SFマニアの人でも「猫耳ぃぃぃぃ?」なんて投げずに読み通せばそこそこ受け入れられそー。戦車戦に亜人種への差別では霜超かほるさんの「双色の瞳 ヘルズガルド戦史」(集英社、495円)にも重なっていて、合わせて読むと面白そー。ただし戦車戦のリアルさでは、たとえキャラは猫耳の「猫耳戦車隊!」でも「双色」を超えるリアルさを持っていて、ファンタジーよりライトのベルよりミリタリーな人の結構支持も受けそー。続への期待も出て来そーで、それまでの間は猫耳の耳の中身について考察を重ねて行こー。

 マシンのスペックとか対応ソフトのラインアップとかも勿論気になったけど、1番気になったのは何故に顎髭を伸ばしているのかってこと。バンダイが12月に発売するカラー対応「ワンダースワン」、つまりはネーミングもベタに「ワンダースワンカラー」の発表会見に、人気ソフト「ファイナルファンタジー」を供給するんだと言いにやって来たスクウェアの鈴木尚社長のなぜか顎に「全日本プロレス」の三沢光晴選手に通じる虚仮脅し的なニュアンスも感じられる髭がぼそぼそと生えていて、社長に就任したのを契機にイメチェンでも図っているのかってな想像を巡らす。白髪もそれなりに混じっていたし。「ワンダースワンカラー」向けの「FF」は一応第1作ながらも「リメイク版」としての位置づけが高まって、昔遊んだ人でも存分に楽しめるソフトだとか。「FF」を同梱した「WS」も発売するみたいで任、天堂向けには出さないのか出せないのかは不明だけど「WS」向けでは最大規模のソフトウェアベンダーになったスクウェアが、本気で携帯ゲームに取り組む移行を見せているんだとゆー風に理解しておこー。

 さて「ワンダースワンカラー」。単3電池1本で20時間は動くとゆーエネルギー面での優秀さ、100グラムを切る軽さといった部分で現行「ワンダースワン」の良さはそのまま引き継がれ、かつ同時発色で最大241色とゆーカラー性能、容量を増したVRAMといった部分で現行機種をしのぐゲームを楽しめることだけは確実に言えそー。「FF」ももちろんそーだけど、「パラッパラッパー」の松浦雅也さんが作った新しいタイプの音ゲー(「WS」をナナメにして遊ぶってあたりが謎なれど画期的)の美麗なグラフィックも、「機動戦士ガンダム」のファーストと同じシナリオでもってゲームが展開される3部作(映画のよーな切り分けになるのかな)のアニメ的色調で描かれるガンダムにアムロにシャアといったキャラクター&モビルスーツのアニメーションも、それなりの訴求力を持っている。

 たとえ16ビットでも、6800円とゆー値段は9800円の「ゲームボーイアドバンス」より3000円安く、その分ソフトを1本積み増せるって意味では間隙を縫っての投入に結構な意味がありそー。ロボットと戯れる「ワンダーボーグ」にオリジナルのソフトを組める「ワンダーウィッチ」、PSとつないだり他の機種と情報をやりとりする「ワンダーウェーブ」といった周辺機器もそのまま使えるあたりが財布に優しく、出たら「FF」専用マシーンとしてとりあえず買ってしまいそー。あとマスクROMでのソフト供給ではリードタイム的な限界があるとゆーことっで、来年の夏とかをメドに汎用のメモリーカードを浸かったソフト供給なんかを考えて行くってあたりが新しい発想かも。

 「コンパクトフラッシュ」は来年夏ではおそらく沈没しかかってるだろーし、東芝とかイチオシの「スマートメディア」もID機能は付いたものの、より性能の高い「SDメモリーカード」へと波が移りある状況では、なかなかに押し難いだろー。残るはソニーの「メモリースティック」か松下陣営が推す「SDメモリーカード」って辺りが有力かも。ソニーに迎合して「メモリースティック」を使うとも思えないし、やっぱり「SD」が次世代の統一メモリーカードになるのかなあ、あたしゃ「スマートメディア派」なんで出来ればそっちでやって欲しいなー。任天堂の「ゲームキューブ」がアダプタを介して「SDメモリーカード」にデータを記録できそーなんで、仮にWSも「SDメモリーカード」に決まればこれほど心強いことはないのかも。書き換え可能なメディアを中核に据えるのはゲームの歴史でも珍しい(任天堂の「ディスクシステム」は成功だったんだろーか失敗に終わったんだろーか)んで、状況がどう移り変わっていくのかを年末から来夏にかけてじっくりカンサツしていこー。


【8月29日】 最高にグレイトでフェイマスな日本SF作家、小松左京さんの名前を冠した「小松左京賞」が発表されて、世間(といってもSF世間、ちょっと狭い)は大騒ぎになっているかと思ったら案外と静かなのは何故? 朝刊とか読んでもどこにも出てなかったのは始まったばかりの賞ってこともあって速報じゃなく日曜版の読書面あたりで扱えば大丈夫って判断によるものなんだろーけれど、これが例えば「松本清張」とか「司馬遼太郎」ってな名前の賞だったら、ちょっとは扱いも変わっただろーと思われるだけに、SFってやっぱり未だにちょっぴり普通一般の目から見れば縁遠いジャンルなのかもしれないなー。

 不謹慎を承知で言うなら存命の人の賞ってあたりにバリューが足りないのかもしれないけれど、某橋田何とかって脚本家の賞はもらって嬉しいかどうかはともかくスポーツ新聞の芸能欄にドカンと掲載されるから、やっぱりバリューって意味で「SF」は「渡る世間」に負けるのかも。あと新聞社がバックについていないってのがちょっと痛い。日の丸嫌いな築地の新聞が主催の夏の甲子園だと国旗掲揚国歌斉唱をやってしまって文句の1つも言わないよーに、自分のところの「イベント」の扱いは段が2つ3つ上がって時には1面トップとかになっちゃうからねー、「世界文化賞」とか。ともあれ始まったばかりの賞なんで今はひたすらに良い作品を送り出していくことが先決、「科学と人間」について考察する「SF」の重要性を今問おうってなお題目の付いた賞が、科学と人間の関わりが重要視されているこの時代に振り向かれないはずがない。えいえいおー。

 例えばスポーツ新聞だと情報を取って来る記者よりも見出を付けて紙面を整える整理記者の方が偉いケースが多々あって、見出1本で売上が大きく変わる「東京スポーツ」の場合だと、編集のトップとも言える編集局長のポストに整理部長が上がることもあるらしい。一般紙だと政治部社会部経済部あたりから出るケースが多いけど、それでも整理部員の記事に対する裁量は、不明な部分があったら出稿元を糺し長すぎれば削るだけの力を持っている。校閲って部署もあるにはあるけど、デスクからもらった記事のバリューを判断して的確な見出しを付けるて新聞の「顔」を作る整理記者の重要性は決して低くはなく、むしろ新米の記者なんかよりよほどか世間を知っていたりするケースがある。むしろそーゆー百戦錬磨の整理記者が昔は多かったとも聞く。

 ところが時代は変わったのか、それとも別の事情なのかある新聞は出入りしている「坊や」と呼ばれる編集庶務のアルバイトくんを臨時に「整理」として使うことになったらしー。上がって来た記事のバリューはデスクがするし、捨て見出しも出稿元が付けてくるなら整理に要求されるのは記事をパズルのように割り付けるテクニックだけ、内容への判断とかコピーよろしく見出しを付けるノウハウとかってのはさほど重要視されないらしい。それが良いのか悪いのか、時代の流れなのかは判断の別れるところで、それより以前に「貧乏なんで人がいない」とゆー刹那的な状況から背に腹は帰られないとばかりに実施に踏み切ったのかもしれず、声高に「新聞の堕落」と非難することは難しい。が、少なくともそーゆー状況が何を意味するのか、歴史的にどれほど凄い事なのか、くらいは「新聞」の世界にいる者だったら「了解」ではなくとも「理解」はしてもらいたい気がする。渡っている橋が狭く鋭くなっているにも関わらず、笑顔でスキップしていたら行き着く先は谷の底。そろそろと注意深く渡って行ってもらいたいものである。他人事じゃねえんだけど。

 中部地方のSF作家に超人気らしーラジコンの「BB弾発射機能付き90式戦車」があってあまつさえ猫耳仕様になっていたりするんだけど(戦車に猫耳が付いている訳ではありません)、そんな人気ぶりを捨てておけないと判断したのか玩具のトミーが満を持してラジコンのやっぱり「発射機能付き90式戦車」を今秋に投入するってことが、今日から始まった東日本玩具見本市の会場で明らかにされた。何しろ値段が3980円と東京マルイの製品に比べたら大安で、おまけにドラム缶型で当たると「黒ひげ」よろしく中から人が飛び出す的まで付いてくる。結構大きくってその割に動きが早くって置き場所にも遊び場所にも困る東京マルイの「90式」に対して、トミーの「90式」はコンパクトでちょっとばかり大きめの「チョロQ」の様。玉もせいぜい10センチ飛ぶくらいだから、部屋の中のそれこそベッドの上でだって遊べます。狭いアパートくらしでマルイの「90式」を諦めた皆さん、10月末の発売を心待ちにしていてね。

90siki  って書いててちょっとばかり虚しくなって来た。まあ確かに「90式」に見えないこともないけれど=写真右、やっぱり本物(の東京マルイの「90式」)の迫力には負けるもんなあ。ちなみに周波数帯で2種類があって2人で違うバージョンを買えば対戦されることは可能。弾はそれほど飛ばなくってもフトコロに入れば威力はそれなりにあるから、東京マルイとの戦車戦でも接近線へと持ち込めば勝てるでしょう、踏破性がちょっとばかり劣るけど。旅館の畳の上なら小回りで勝てそーなんで「京フェス」あたりで対戦させて遊ぶなんて余興があったら楽しいかも。それまでにちゃんと発売されてるかなあ。ラジコンに詳しい人だったらあるいは周波数帯をいじって3台4台を同時に動かして遊べるのかも。そのあたり「ラジコン技術」に書いてあるのかな、「ラジコン技術」の8月まで出ていた表紙がスポーツウエア美少女な「増刊」には書いてなかったけど。

 見本市はこれぞってな目玉商品がなくって、決して低調ではないものの全体にのべらーっとした感じが漂う。ロボット玩具は春の「おもちゃショー」の時の方がまだわくわく感があったけど、実際に品物として出てくるとやっぱり価格とか生産性が考えられてしまうのか「ありきたり」な製品になってしまうんだよなー。BB弾を発射したり「ジェイバスター」の様に弾が飛び出すギミックが自分的に目についたのは、「あいつを(どいつだ)撃ち殺したい」ってな内的欲求の現れがあったからなのかもしれないけれど、皆が持っているから自分も欲しいってな共通言語としての「キャラクター商品」が爆発的に人気のあるキャラクターに乏しい事情もあって伸び悩む中で、何か具体的な成果があった方が楽しいってな風潮が起こって来ているんだと、今ふっと思ったけれど実際のところはどーなんだろー。1つ検討課題にしよー。

 「ゼイラム」に「ハカイダー」に「タオの月」の雨宮慶太さんが何年も前からシコシコと作り続けてて、それを香山哲さんが支援していた「鉄甲機ミカヅキ」がいよいよそのベールを脱いで今秋に登場。タカラが玩具面を取り仕切るよーになったみたいで、会場には撮影用の「ミカヅキ」のプロップと一緒にキャラクター商品が何点か並べられていた。聞くと今秋からフジテレビだかで月に1回、日曜日のおそらくは夕方ニュース前あたりの時間帯で最初は90分、以後は60分の枠でもって番組を放映していくことになりそーで、子供が操縦だか命令だかした巨大ロボット「ミカヅキ」が、「ジャイアントロボ」あるいは「鉄人28号」それとも「魔人バンダー」「レッドバロン」「大鉄人17」よろしくのしのし歩き、夕日に向かって「バンギャオー」「ま」ってな具合に雄叫びを上げる姿を見られる、かもしれない。詳しいことは知らないけれど。

 日曜夕方で帯じゃなく月1のペースで果たして子供にどれだけ届くのかって所が目下の懸念で、雨宮さんの名前はなるほどマニアな層には浸透しているし、見せられたパイロットフィルムの出来の良さ、原史奈さんんとか高岡早紀さんといった巨乳かどーかはともかくなかなかな美女も出演していて雨宮作品に馴染みの螢雪次朗さんもいて、大きいお友達は放っておいてもチェックすることは確実だろー。けど市場が広がるためにはやっぱり「ウルトラマン」あたりと同様に子供のハアトをガッチリとゲットする必要がある。玩具だって売れない。雨宮さん独特の凝ったデザインのキャラはフィギュアとしてホビーの領域では人気出そうでも、子供たちがソフビのウルトラ怪獣よろしく手に取り遊ぶためにはやっぱり番組自体の認知度が必要だろう。そこは製作総指揮に名前を掲げる香山さんの腕の見せ所って訳で、さてはいったいどんな仕掛けを繰り出してくるのか。成り行きを見守りたい。


【8月28日】 早売り「ヤングキングアワーズ」10月号、ああハイアットちゃんがっ……死んじゃった……けど生き返った、っていつものことか。挑んだ「鳥人間」は飛ぶってゆーより跳ぶって感じに似てたりするかも、あるいは身投げとか。「ジオブリーダーズ」は巳晴くんの操縦棹フトモモなかなか。「迷彩くん」はトモさんの下チチが下チチが下チチが。「トライガン・マキシマム」は相変わらずのハードな展開、あと「ヘルシング」も。30日だかの発売日には店頭でバッシュ目当てにゲットだ諸君。しかし「ゲームのヘソの穴」にすでにして「ニンテンドーゲームキューブ」の写真が掲載されているのには仰天、すでに写真とか入れていたのか、それとも慌てて突っ込んだのか。でも仮称で登場とかってことになってる「マリオ128」ってのはとりあえず宮本茂さんの冗談だと思うんだけどなあ。マジで作るのかなあ。

 満を持して徳間書店に登場の上遠野浩平さんは徳間デュアル文庫「ぼくらは虚空に夜を視る」(590円)、やあ表紙は中澤一登さんだ。一匹狼っぽい存在の少年・工藤兵吾が下駄箱に入っていた果たし状っぽい手紙に呼び出されて行った先に待っていたのは1人の女の子、辺りに敵の気配がないので女の子を問いつめたところ泣いて走り去ってしまい、成り行きを見ていた兵吾の幼なじみの聡美が駆け寄って「この朴念仁」とばかりにポカポカとやる、まるで「フルメタルパニック」とか「迷彩くん」でも読んでいるよーな印象を持った途端に世界がグルリと反転し、兵吾は、というより兵吾の意識を持った「そいつ」は虚空の宇宙から迫って来る謎の敵との激しい戦闘場面へと放り出されたのだった。

 「冥王と獣のダンス」(メディアワークス、570円)にも登場した地球人を宇宙へと進出させまいとする謎の勢力「虚空牙」が再登場する物語は、おそらくは「冥王……」よりも数千年は経ってそーな感じがするけど、それより何より上遠野さんのもうひとつの超人気シリーズのトップに立つ、1人の少女の優しさが世界を救ったエピソードへとリンクしてそーな仕掛けもあって、ハインラインとは大原まり子さんとかが描くよーな壮大な宇宙史のほんの切れ端を垣間見せられているよーな感じに陥る。もちろん最初っから考えていたってことはないんだろーけど、後になって書いてる作品のすべてと1つの「宇宙史」にまとめちゃうなんてことはよくあること。あるいはただの勘違いかもしれないんで、読む人それぞれにいろいろと考えてみよー。

 物語の現実と非現実とが交錯する展開は、「Uの世界」なんかに代表される神林長平さんの描く曖昧であやふやな世界を舞台にした物語に似ているところがあって、数ある上遠野作品の中でも仕掛けでも思弁的な部分でも1番「本格SF」してる作品と言えそー。「ブギーポップは笑わない」(メディアワークス、550円)と並ぶくらい好きかも。とはいえキャラクターの喋り口調とか恋愛に絡むエピソードとか眼鏡っ娘の漫画家にして実は銀ピカスーツのバトルウーマンってな展開とかは、パッケージから受ける期待にそぐわない程度にライトで読みやすいから「神林ぃぃぃぃ?」と思ってしまうメタ言語的SF嫌いな人でもご安心、もちろん宇宙史っぽからと言っても「大原ぁぁぁぁ?」でもないし。ラストのパッと開けるシチュエーションも良し、そうだよ、人間は決して孤独じゃないんだよ。空気の澄んだ場所に行って夜空を埋め尽くす星が見たくなって来た。田舎に帰ろーかなー。

 パンパカパーン話題の「小松左京賞」が28日決定しましたドンドン。栄えある「第1回小松左京賞」は岩手県から「エリ・エリ」で応募の平谷美樹さんに決定しました。別に中谷美紀さんとは全然関係はなくってだいいち読み方も「みき」じゃなくって「よしき」とゆー、今年40歳になった男性です。と聞いてすぐにピンと来た人はSF通、あるいは「SFマガジン」10月号の喜多哲士さんの「ヤングアダルト評」を読んだ人ですね、そうです平谷さんは堀晃さんも大激賞「エンデュミオン エンデュミオン」(角川春樹事務所、1390円)とゆー著作がある人です。角川春樹事務所からすでに本を出している人いるってあたりに何やらアヤシゲなカラクリを感じる人も多いかもしれないけれど、そーゆー文学賞のカラクリに賢い昨今の人を相手に堂々とやってしまえるほど小松さんも選考に当たった評論の人作家の人編集の人もエグくはないだろーから、おそらくはそれなりに「小松左京賞」の名前に相応しい作品ってことなんだろー。読める日をとりあえず楽しみに待とう。

 佳作には「DOMESDAY(ドームズデイ)」で応募の浦浜圭一郎さんが入って努力賞には「ストレンジ・ランド」ってゆー作品で応募の高橋桐矢さんが入賞。高橋さんは児童文学として「くだける」(パロル舎、1500円)って本を出している人らしーけど応募作品がどーゆー話なのかは不明。最終候補に「かめくん」が入って評判になっていた北野勇作さんは選外になってしまって残念だけど、「かめくん」ってゆータイトルからするに他のド真面目っぽい話に対してどこかユーモア漂う話だったから漏れたんだろーと類推、だとしたらハードで壮大で理屈っぽい「小松左京賞」なんて冠がつくよりも、1冊の優れたファンタジックな物語として出してもらった方が読み手としても分かりやすいのかも。案外と超絶ハードなSFだったかもしれないけれど。フォローは編集の人とかが考えるでしょー。ともかくも続いてこその賞なんで、次回以降もプロアマ含めていっぱい応募作品が集まって、その中から優れたSF作品が出てジャンルを盛り上げてくれることを願います。意外な名前とかあったら面白いなあ。


【8月27日】 歴戦の英雄が戦争終結後の今はしがない庶民に身をやつしていたとしても、期待するのは事あれば再びバッシュ・ザ・スタンピードよろしく圧倒的な力を発揮して大活躍をしてくれるってな在り来たりだからこそ心躍らせられる展開だけど、川崎康宏さんの「革命暮れて皿洗い」(ファミ通文庫、640円)はガンゴーストなんて異名も取った革命の英雄が今は皿洗いに決して身をやつしている訳じゃなく、食うためにマジに皿洗いの仕事をしていて事件が起こってとりあえずは昔とった杵柄とばかりに6連発の銃を持ち出してはみるものの、甦った悪鬼を相手に決して八面六臂の大活躍なんかせず、むしろ間抜けにあっけらかんとヤられてしまう展開の何とゆーか力の抜け具合がたまりません。戦争の英雄なんて戦争がなければタダ以下の穀潰し、ってことなのかも。

 復活した豚魔人にメリケン粉でパワーアップした剣士が挑んで完成するのが豚の天麩羅略してトン天だったら笑えたけれど、そこまでの冗談は流石にないか。近眼で凄腕のスナイパーって矛盾しているよーな設定も何とも肩の力が抜けてイイ、眼鏡っ娘だし。あと美女で必殺技が乳パンチの魔導師姉ちゃんの活躍ぶりは、是非ともそのシーンをコマ割り状のイラストでもって示して頂きたいもの。担当の幡地裕行さんには是非ともお願いいたします。そのためには乳ビンタ姉ちゃんも登場の続編の刊行を待ちたいところ。パワプロくんが松下進であれやこれやらしーエンターブレインだけど、ゲームばかりに頼ってないで新人中堅ベテラン含めた小説ノベルズの世界に地歩固めを図って一人立ちを狙うなら、ここは「ガンゴースト」に検討のほどを、おひとつ。

 自分は野口英世になれると信じている時代があって、実は今も野口英世になれなかったんじゃない、ならなかっただけなんだいっ! ってな感じの空威張りだけは幾らだって出来そうなくらいに皆無と証明されつつある能力に自惚れてたりするんだけど、子供の頃の自惚れぶりに比べればそれでも半分くらいにはなったかな、まだ半分も残ってるって言い方もできるか。ともかく「伝記」って類の本は、歴史上に長くその名前を止める英雄英傑であっても、何となく自分もそーなれるんだと子供心に思わせる効果があって、だからこそ親も与えるし子供も喜んで読むことになる。

 とにかく山のよーにある「伝記」の類にも子供が憧れるランキングってのががあって、先に挙げた野口英世は「医者」を志したがる人にとってはおそらくシュバイツァーよりもジェンナーよりもコッホ北里志賀武見(誰?)よりも上位に来るだろー名前だろーし、政治家だったらやっぱりリンカーンがトップに来る、よーな気がする。「朝鮮民主主義人民共和国の中華人民共和国によるベトナム人民共和国のための政治」とゆー演説に、奴隷をアフリカの原野に放って狩る「奴隷狩猟宣言」の発令は人間の抑圧者として永遠にその名を歴史に刻まれるだろう、って全然違う。もちろんアメリカ合衆国第16代大統領のリンカーンののことです。あるいは同格で桜を切り倒し魔のワシントンか。これにあと1人、歴代の「偉人」の中で誰になりたいかとゆー質問を子供の時の自分の投げかけたとしたら、やっぱりこの人を欠くわけにはいかないだろうー。トマス・アルバ・エジソン、27世紀の発明王、じゃないそれはラルフ124C41+。こっちはただの発明王ですね。

 野口英世になるには頭が必要だし手とかを囲炉裏でコンガリと焼いておかないといけないんでちょっと大変そうだし、リンカーンになるにもヒゲが濃くないと格好悪いから無理っぽい(火傷も髭も無関係ですってば)。その点でエジソンの場合は近所からガラクタと集めて来れば簡単になれそーな気がしてたんだけど、学研から出ていたエジソン式の蓄音機を組み立てられる「大人の科学」を付くってみたら、1時間程で見事にプラスチックコップに針で音を刻んで再生する実験に成功する。もちろん吹き込んだのは「メリーさんの羊」です。でも読んだ伝記だと「メリーは羊を飼っていた」って歌詞だったんだよなあ、エジソンの吹き込んだ歌ってホントに「メリーさんの羊」だったのかなあ。「メリー・ジェーン」だったらやだなあ。

 1時間ほどで道具もあんまり使わずに簡単に「蓄音機」が出来てしまったんで、自分にだって案外とエジソンなみの工作力が備わっているんだなーと、とちょっとばかり悦にいっては見たものの既に発明されているからこそ設計図を見てパーツを組み立てられたんであって、見かけは幾ら単純でも原理を知ってそれを形に作り上げる先人の才覚は、やはり凄いと言わざるを得ない。やはりここは電車を借りて1車両を実験室にした挙げ句に火事を出すしかないんだろーかと、何事にも形から入る人間として思ったとけれど、やっぱり格が違い過ぎるんで、ここは我慢して年老いた母親の醤油汲みを簡単にするポンプを発明するところから始めよう。


【8月26日】 まるで「仮面ライダースナック」みたいな装丁だと後になって気づいた北道正幸さんて漫画家の「ぽちょむきん」(アユタヌーンKC、505円)を購入してゲラゲラくすくす笑い死ぬ、やあおもしろい面白い。「初版特典カード付き」ってのが冗談かどーかは別にして、まるで「仮面ライダーカード」みたいな怪人&変身ヒーローのカードを4枚冒頭に収めて始まったストーリーは、のっけから秘密結社「ゲルニッカー」の秘密基地が変身ヒーロー「トレンジャー」に攻撃されて首領ほか戦闘員ら主要メンバーが全滅、けれども唯一「最終怪人」の胎児2人が残されて、トレンジャーの攻撃に生き残った関係者のうちの1人がお家再興を夢見て育てて幾星霜、胎児2人も今では立派な14歳の女子中学生になりました、っておいおい女子中学生だって? そうなんです最終怪人の2人は立派に女子中学生になて今日も腹筋1万回を平気でこなし自動販売機を片手で天へと放り投げ、発射された拳銃の弾丸を片手でつまみとる「超人的」ってゆーか「怪人的」な能力を秘めたハルカとマドカ、2人の美少女へと見事に成長をとげたのです。

 ってこところから始まった物語は、どこか脳天気な眼鏡っ娘の妹マドカが育ての親のおっさんの思いを汲んで「ゲルニッカー」の怪人としてとりあえず世界征服への第一歩として渋谷の街を混乱に陥れる、ふりをして姉のハルカがかつて「ゲルニッカー」を倒した「トレンジャー」から変身セットを譲り受けてヒーローよろしく立ち上がり、八百長試合でごまかそうとしたところが何故か別の通りがかりのスポーツ新聞の女性記者の「トレンジャーレッド」のスーツが蒸着だか瞬着して「ゲルニッカー」といやいやながらも戦闘に。かくして14年の歳月を超えて「ゲルニッカー」VS「トレンジャー」のラストバトルが始まったのであった、んだろーなー。それにしても妻子もちで復活を拒む「元トレンジャー」のつつましやかなアパートでの今の暮らしぶり、ヒーローやるのもタイヘンなんスねえ。

 変身ヒーロー物のお約束を踏まえつつ、ハルカとマドカの2人の美少女「怪人」を主役にすえて変身ヒーローを通りがかりにやらせてしまう転倒の設定も笑えるし、脳天気なマドカや秘書の茜さんのリキいれた真面目ぶりも超おかしい。「イッツ、ジャパニメーション(ジャップの文化侵略)」最高っス。言ったはなから逆のことを言う秘密がありそーな宮内先生の言動もマル。安倍吉俊さんの「ニア・アンダーセブン」で宇宙人民服を着たまゆ子みたいな格好の怪人姿(ハルカとマドカの変身後、でも背中に名前が書いてあるぅぅぅ)はなかなかにおかしく、真面目に冗談超絶をやってしまうギャグのテイストもキャラクターのズボラぶりも「ニア・アンダーセブン」に雰囲気が似てたりして個人的には好みです、絵柄は全然違うけど。月刊誌「アフタヌーン」連載なんで次巻が出るのは相当先になりそーだけど、最新号も出ていることだしちょっと注意しておっかけて行こー、もちろん「電撃アニマガ」の1冊には決定だ。「スカタン」関連も買うか。

 てっきり「逆A」を連載するため「だけ」に作られたと思ってたりした「マガジンZ」に連載されてる「D’V ディーヴァ」(藤真拓哉、講談社、514円)を購入、人間を滅亡させたマザー・コンピューターと女性の姿をした最終兵器「リーヴ」から生まれた4人の「マザー」に支配され、新人類のセレイドだけが暮らす未来の地球を舞台に突如巻き起こったバトルの相手は、滅亡していたと思われた人類の末裔だった……ってなストーリーが美麗で「美少女エロコミック」的な肉感を持って股間もモッコリな女性たちのキャラクターを得て、麻宮騎亜なり木城ゆきとなり士郎正宗なり風忍(はちょっと違うかな、でもオブジェクトの曼陀羅的配置が似てるんだよなあ)といった「電脳美少女バトル」的なガジェットを絡めて描かれている。敵と味方の全体像が掴めない展開は続巻待ちで判断は留保、同時収録の本編に対してプロローグ的な役割を果たす短編「ハイブリッドエンジェル」の位置づけなんかを噛みしめつつ、全体像の想像に務めよう。

 「任天堂スペースワールド2000」に行く、会場につめかけている小学生なり就学前の「美少女」を見物するためである、ってのは冗談じょうだん、でもちょっとだけ本気。ただしストライクゾーンに入る8歳から13歳あたりの体系に性徴が見られる世代より、おむつが取れた女の子が圧倒的に多かったから観察は早々に断念する、あと5年経てば(どうするってんだ)。それにしても男の子女の子を含めてこれから10年は「ゲーム」で遊んでくれそーな層をガッチリとつかんでいる所に、今はいちおうは「ナンバー1」と目されている「プレイステーション」陣営の徐々に世代がせり挙がって来ている状況に対して、任天堂の再び天下をつかむ可能性が伺える。「ゲームボーイ」は子供層に「ナンバー1ハード」だったりするし「アドバンス」も大ヒットは間違いないし。中学生から高校生から大学生に大きいお友達がドッとつめかけただろー「ドラゴンクエスト」より、増殖する「ポケモン」に圧倒的な市場性を感じるんだけど、どうだろう「ドラクエ」も再び原点回帰を目指すことになるんだろーか。それともかつてのファン層とともに「成長」して行くんだろーか。

 会場を写真撮りながら歩いてたら背中をトントン、未来の世界的アーティストとして村上隆さんが「スタジオボイス」の9月号でフィーチャーしているタカノ綾さんと同姓同名同顔同性格(酔うとグラグラしてグラスをひっくり返す)同血液型同誕生日、だと思う高野綾って名札の人が「ゲームボーイアドバンス」の新作ゲームのデモコーナーから飛び出して来たんで挨拶する、どうもどうも。おそろいのTシャツを着てデモのコーナーで来場者にゲームの内容を説明しつつナビゲートする役回りは、きっと新入社員の新人研修も兼ねてたりするんだろー。そそくさと職場に戻って小さい子供にヘッドホンを渡してゲームの中身を説明する姿も板についてたりするんだけど、世界的なアーティストの創作活動への果たして糧となるのかどーかってあたりは判断が難しい。ともあれ1年2年は学生生活だと長いけど社会人生活だとホンのさわりで「アーティスト人生」においては一瞬の光、そこから得たり学んだり見たり感じたとこが例えば5年後、10年後に発揮されて来ることを期待しよー。ところで「スタジオボイス」で「好きな作品」としてタカノ綾が挙げている「ドリームキャスト64」って何? 高野綾さん説明して。


【8月25日】 「bk1」経由で来ていた9月発売の新刊のゲラを読む、吸血鬼ヤポンに行く、って感じ。信長が女顔の美形ってのは「信長、あるいは戴冠したアンドロギュヌス」だったかにも描かれていたエピソードで、歴史的な事実とははえトピックス的な最近っぽさを感じる。一方で柳生十兵衛が千葉ちゃんみたいな隻眼で鍔眼帯なのは「柳生一族の陰謀」あるいは「魔界転生」だったりするから、いろんな時代のイメージが注ぎ込まれているよーにも見える。この本にも高瀬彼方さんの「天魔の羅刹兵」にも岩本隆雄さんの「鵺姫真話」にも松永久秀が登場するのは流行かそれとも何か時代の呼び声なのか。

 ローマの教会に排撃されて深手を追った吸血鬼が船にのって種子島に鉄砲とともに伝来して、いずれ追ってくるローマからの使徒と対決するためにカトリックの教えに逆らい鉄砲を民衆に広めたとか。その恩恵を受けて台頭した信長がローマから来た使徒の見方になって吸血鬼と対峙する設定のどちらが敵でどちらが見方か判然としない複雑な気持ちにさせてくてれ、いよいよ本格的な対決の始まる次巻への期待を煽る。今のところは正義ぶりを発揮しているをキリスト教の実は正義かそれとも欺瞞かも明らかにされていくのかな。聞くと男でも勃起してしまう吸血鬼の声って俳優声優が当てるなら誰が最適だろー、家弓? 小安? 若山弦蔵じゃ年食い過ぎてるしなー。

 読み始めた80年代初頭の「SFマガジン」に続々と短編なんかが紹介されて「海外SFシリーズ」からハードカバー、青背から文庫が次々に刊行されていたから、ジョージ・R・R・マーティンもノーマン・スピンラッドもバリントン・J・ベイリーもノーマン・スピンラッドもジェームズ・P・ホーガンもマイクル・ヴィショップもヴァーナー・ヴィンジもジョーン・D・ヴィンジもてっきり80年代作家だとばかり思っていたけど、日本に紹介されまでの何年かのタイムラグを考えるとなるほど「70年代SF」とゆー方が年譜的には正しいのかも。彼らの中でもいちばん「80年代」と思っていたジョージ・R・R・マーティンを、小川隆さんが「70年代SFといって真っ先に思い浮かぶ」と言っているのはやっぱりリアルタイムで海外のSF作品を読んでいる人ならではの感覚なんだろー。なんてことを「SFマガジン」10月号の特集「幻想の1970年代SF」に挙がった作家の名前を見ながら思う。

 個人の読書経験と照らし合わせた時にしっくりこない事はたぶんよくあることで、「黄金の50年代」だって日本で日本語で読めるよーになったのは60年代だから、人によっては御三家の名前で60年代の苦労しながら読書をしていた自分の姿を思い浮かべるかもしれないし、80年代中期に沸いた「サイバーパンク」の面々だって、本格的にSFを読み始めた90年代に最初に手にとったのが「JM」の映画が公開されたりネットが話題ってことで雰囲気の合った彼らだったら、90年代作家だと感じているかもしれないんで、歴史的な定義と経験的な感覚との差異はいつの時代にもつきまとっているのものかも。

 だいいち御三家だってクラークの「宇宙のランデブー」から「楽園の泉」へと続く作品はズドンと70年代にハマっているしハインラインの大作「愛の時間を」もアシモフの「神々自身」も70年代の作品で、たとえ大家であってもしっかり「70年代」を代表していると思うんだけど、「SFマガジン」の特集では彼ら御三家を含め「マン・プラス」で返り咲いたフレデリック・ポールや円熟期にあったP・K・ディックらベテランの大作が外されているのは不思議とゆーか意図的とゆーか。つまりはそれは、単純に年譜とか読書時期とかいった物ではなく、ある程度その時代性を反映した作品を選ぼうとしているからだろー。

 こーしたスタンスの危険性ももちろんあって、時代と結託した作品がしょせんは時代の空気の中でしか呼吸できないが故に滅んでしまったものを、同じ時代で呼吸していた人の「感性」でもっていたずらに持ち上げてたりする可能性がある訳で、選ぶ方も受け取る側も気を付ける必要があるんだけど、何せ70年代作家と言いつつ個人的には日本への紹介時にほぼリアルタイムで読んでいた「80年代作家」がずらり並んでいたりするから、そーした「内輪」的な感性で「やっぱりすげえでマーティンはヴァーリイはベイリーはスピンラッドは」としか感じられない。困ったものです。

 なので若い人のとりわけ20代の人が、ズラリと並んだラインアップと紹介されている幾つかの短編(個人的にはやっぱりマーティンの「…ただ一日の昨日とひきかえに」が”気分”だねえ)を読んで「いーじゃん70年代」あるいは「ケッ!70年代」と思うを知りたい気分。とは言え紹介されている文庫や単行本のほとんどが絶版になっている現実が、つまりは彼らが御三家以上の普遍性なり市場性を持ち得なかった事実を証明してたりする可能性があって、かつベアとかソウヤーとかいった今をトキメク海外SF作家さんたち以上に売れるだけの市場性もなかったりする可能性がある訳で、だからやっぱり滅びたんだよ絶版なんだよと言われたりすれば、ちょっと答える言葉がない。でも本当にそーなんだろーか。あれだけアン・マキャフリィが刊行されてるのに僕実は1冊も読んだことがないんだよな。

 そうじゃないんだ素晴らしかったんだと「SFマガジン」の編集の人も紹介にあたった人たちも声高々に主張するのならば、「70年代SF」に挙げた文庫のたとえ半分でも復刊するなり、挙がった作家の末訳の傑作(スピンラッドの「バグ・ジャック・バロン」を出せぇぇぇぇぇ)を翻訳するなりといった具合の大キャンペーンを、社運かけるなり自腹を切るなりしてでもやって頂けやしませんか。「制覇せよなんからかんたら」より僕はマーティンとベイリーとスピンラッドとボブ・ショウがもっといっぱい読みたいのです。レイバー・デイ・グループの台頭よりはその後のサイバーパンクのムーブメントを拾った漢字のある「80年代SF傑作選 上・下」が復刊されるみたいだけど、その勢いで「70年代SF傑作選」ってのも是非ぜひ作ってやって下さいませ。ここに水鏡子さんが編んでいる案がありまーす。スピンラッドの「美しきもの」は良いぞお。


【8月24日】 一昨日の唐沢俊一さんと久美沙織さんのトークイベントでもちょぼちょぼと話題になったんだけど、愛知県立豊田西高校を卒業した漫画家さんの実に評判が芳しくないのはどういった事情によるものなんだろう。なるほど久美さんはトヨタ自動車に何カ月かの勤務経験もあるその漫画家さんの元奥さんと友達で共著もあったりするから事情は分からないでもないけれど、前に田村信さんの「できんボーイ」復刊に関連して江口寿史さん大地丙太郎さんが登場した「ロフトプラスワン」のイベントでも、同様にくだんの吉祥寺に縁の深い漫画家さんのなかなかにはかばかしくない話が出ていたあたりから察するに、同業者間で相当に敵がいるよーに見える。相当ってのが甘ければ全同業者が敵ってことになるのかな。

 個人的な好悪で言えば、父親が愛知県議会議員だったらしい漫画家さんが某「ぱふ」に連載されてた身辺雑記のエッセイを好きで毎号楽しみに読んでいた口で、そんな訳でどちらかと言えば漫画よりも文章の人としての認識があって、あるいは吾妻ひでおさんの「SF大会漫画」に登場するガルルルルと単行本を積み上げたらその何倍もの高さを吾妻さんが積み上げて粉砕される男性として知っているくらいで、どうしてそうまでマイナスの感情を持たれるのかが分からない。絵としては火浦功さんの「みのりちゃん」シリーズかなあ、あと相撲の漫画は相撲の「なぜ?」を大袈裟に取り入れて茶化してみせるスタンスが好きで文庫版も買いました。

 それなのに大勢の人からああだこうだそうだどうだと言われる事態に○○○○○○んさん、一体皆さんに何をしているんだと表に見えない場所での言動がどうしても知りたくなって来る。岡田斗司夫さんが番組で一緒する機会が結構多いんだからその辺り知ってそーだけど、「ロフトプラスワン」のイベントはアニメ関係のイジリが中心だったからあんまり聞けなかったんだよなー。唐沢さんも会場で提案していたけど、かくも話題性十分ない○○○○○○さんについて語り倒すトークイベントを開いてみたらいがかっしょ。一体どんなゲストが集まって、目に線を入れながら、あるいは村崎百郎さんみたく顔に覆面をかけながら撃コメントを繰り出すのか、あるいはモデルみたいなこともやってる長身で当人の乱入なんかがあるのか。怖いけど面白そうだけどやっぱり怖い。ちなみに高千穂遥さん森卓也さんと並べて「名古屋3悪人」とゆー紹介があったけど、○○か○○○○さんは愛知県でも西三河の人なんで名古屋とはいっしょにせんでちょー、とか思ったり。

advance  「SF大会」の「パシフィコ横浜」から「コミケ」「ワンフェス」の「幕張メッセ」と徐々に東京湾岸を北上して来た「夏休みおたく前線」も土用波の立つ夏休みのクライマックスを迎えて最後の大舞台「幕張メッセ」に到来の模様。明日から開幕する「NINTENDO スペースワールド2000」の会場には「ゲームボーイ」で楽しむ子供も大勢集まるだろーけど、来年3月21日に発売の決まった新型ゲームボーイ「ゲームボーイアドバンス」を一目見よーともしかしたら「東京ゲームショウ2000秋」を超えるゲーム好きが集まって、大賑わいになるかもしれない。もっとも最近の大きいお友達向けイベントで顕著な「限定グッズ」目当ての行列が出来るよーな要素はなさそーなんで、あるいは汗の香りを漂わせる、Tシャツのすそをケミカルウォッシュにジーンズの中に入れてるよーな「純」な人は、そんなに見かけないかもしれない。その意味では比較的「純度」の高かった「SF大会」から入り交じる「コミケ」にオシャレなホビー野郎も多い「ワンフェス」と言った具合に、「おたく」の「純度」は下がっているのかもしれないなー。

 さて「ゲームボーイアドバンス」。まるで「ネオジオポケット」を薄くしたよーな横型にカラーの液晶が搭載されて価格は9800円と実に巧妙なプライシング。おまけに「ゲームボーイ」「ゲームボーカラー」のソフトも再生できる任天堂には珍しい、こともないんだけど(「GBカラー」で実現してた訳だから)互換性があって物欲魂が妨げられない。32ビットゲーム機なみにカートレースで遊んでも画面こそ小さいけれど32000色のカラフルなキャラクターを操作して、スピーディーなレースを楽しめたりするから、家の中でよっこらせと「PS」を立ち上げて遊ぶんだったらこっちでいっかと思う人も多そう。流石にポリゴンぐりぐり系のゲームは難しいけど、「スーパーファミコン」でピョコピョコやってたゲーム以上のクオリティのゲームを外で手の中で遊べちゃうし。ちなみに単3電池2本で15時間稼働。専用の充電池も用意するみたいで省資源にも配慮してまーす。

gamecube  「ゲームボーイアドバンス」に関しては、発表が噂されはじめてから結構間もあるし、ゲーム画面なんかが公開されていたからどんなゲーム機になってどんなソフトがあるのか、だいたいの当たりをつけてた人も多かっただろーけど、「仮称ドルフィン」の正式版としてプレスや関係者のみに発表された「ニンテンドー ゲームキューブ」には、流石に集まった人たちも目を見張ったみたい。名前の「キューブ」に関して言うなら、「ゲーム」は付くけどアップルコンピュータと同じだなってまず思った。そのアップルがちょっと前に真四角な「G4」を出して「キューブ」とか言ったら、どっかのグラフィックワークステーションだかパソコンサーバーだかの会社がクレーム付けて来たくらいありがちな名前にって訳で、なるほど確かに「キューブ」以外の何者でもない形をしているけれど、ネーミングとしてはちょっと解せない。

 でもまあ、「ドルフィン」と今更言うのも陳腐なんで、「ゲームキューブ」と言って頑張ればこっちがでファクトになるから良いのかも。漢字だと「遊戯箱」? うーん、やっぱりちょっと陳腐かな。性能の方はさすがになかなかみたいだけど、そーいった部分を「何億ポリゴン」とかスペックで言わないところが面白くってナンボのゲームしか作らないよー心がけてる任天堂、登壇した”世界の”宮本茂さんが自らプレゼンターとなって行ったデモも、マリオを実に128人、それもちょっとづつ違うらしーマリオを円盤の上でバラバラに動かしてみせるデモで、円盤の縁からころげおちたマリオを上から降って来させたり、円盤のそこかしこをつまんで作った急斜面でマリオを転がしてみせたり、円盤の中央をへこませて128人のマリオを中華鍋上の炒飯よろしく”炒めて”みせたり円盤そのものをピザに変えてみせたりと、見ている人の心の「おかしみ」を誘う内容に、「だから何なんだ」ってな他者のハード性能優先デモとは違う「これならあるいは」ってな期待を、見ているファンにも見守っていたクリエーターにも感じさせてくれた。

 コントローラーの形状も宮本さんが自分で触りながら「アナログスティックは左上。もう親指は痛くなりません」とか「Rボタン、ドリームキャストとは違いますよ」とか言って説明してくれて、あの偉い人自らがってな申し訳ない気持ちにちょっとだけなったけど、同時に「だからこーゆー形になったんだ」的説得力で周囲を納得させるあたりが宮本さんの人徳とゆーか、宮本さんに説明させた任天堂の戦略の旨さでありまた正直さとも言えそー。この「正直さ」ってのが会見を聞いていて感じたことで、ド派手な割にはコンスタントに発揮させるのは困難な最高スペックを吹くことはしないし、情報家電の鎧を隠しつつゲーム機という法衣の裾からチラチラとのぞかせるよーな2枚舌は使わないし、ネットワーク時代を席巻する家庭用端末だとも言わない。「最高傑作のTVゲーム機」とゆー言葉でもって「ゲームキューブ」を推し、「究極の2次元ゲーム機」と言って「ゲームボーイアドバンス」を推す背伸びなしの態度には好感が持てる。問題はこれも任天堂によくある「発売延期」攻撃だけど、来年7月の発売と言い切った以上は遅れても年末までには出るでしょう。当初の2000年末から計画で半年しか遅れないなんて任天堂にしては脅威的、だもんね。

 専用の8センチディスクを使うのは、多分松下電器が手がけようとしている家電コンパチとの差別化を図るための手段でしょー。本体寸法を幅15センチ高さ11センチ奥行き16センチにできたのもこの小ささがあってのものだろーから、そんなところに専用ディスクを採用する意味もあるのかも。あと通常のメモリーカードに加えてアダプターを介して「SDメモリーカード」を利用できるようにした点が意外にして偉大。デジカメなんかで使われているメモリーカードは今んところ「コンパクトフラッシュ」と「スマートメディア」があって、唯一ソニー陣営だけが「メモリースティック」を使っているけれど、押されがちだった「スマートメディア」陣営も結構入って松下にサンディスクが一体となって次に送り出そーとしている「SDメモリーカード」は、既にソリッドオーディオに使われてたりするし、次世代携帯電話なんかにも採用されそーな見通し。今後発達して登場して来るさまざまなデジタル情報機器を「つなぐ」デバイスとして普及への期待がかかっている。

 そこに世界でおそらくは数千万台を売るだろー「ゲームキューブ」が加わるとあって、一気にでファクトへの道が開けたって寸法。「PS2」がメモリーカードにこだわっているのとは対照的で、「メモリースティック」を核にして情報機器を「つなぐ」動きを強めているソニー側の苛立ちも、これで高まるのかもしれない。「SDメモリーカード」がどんな使われ方をされるのかは今のところ分からないけれど、デジカメ画像をゲームへ取り込んだりネットから落とした音楽を再生したりって使い方もあるだろーし、携帯を使って情報をやりとりしてゲーム機に落とすとか、ゲームから別の機器へとデータを移すとか、純粋に大容量のデータ保存用メディアとして活用するとか、使い方はいろいろ考えられそー。追って沙汰を待とう。


【8月23日】 すでに7000万ドルも突っ込んでいる上に4500万ドル。合わせて1億1500万ドルは100円と計算しても115億円は日本映画(と言えるかどーかは判然としないけど)史上最大規模のバジェットになる訳で、それだけ突っ込んで本当にリクープ出来るんだろーかと心配しているところに、あろーことか映画の製作資金を証券化し売り出すなんて話があって、確かに手法としては新しいかもしれないし、そんな新しさでもって「映画の儲けをあたなにもおわけします」的なアピールが出来るかもしれないけれど、逆に見れば資本市場の資金に頼らなきゃいけないほど資金調達の道が厳しくなっている可能性もあったりするから判断が難しい。

 あるいは一般の資金を集めて、リスクを分散しなきゃいけないほど映画の出来に自信がないんだろーかと穿った見方も出来る訳で、決して手放しでは歓迎できないんだよなー、スクウェアの「ファイナルファンタジー・ザ・ムービー」に絡んだ一連の動きを。CGの出来はなるほど素晴らしいけどそれが映画として面白いかは別。「トイストーリー」が面白いのも「アイアンジャイアント」がカッコ良いのも「CGだから」じゃなくって「面白い映画」だから。シナリオが読める訳でもないし、ストーリーを教えてもらえる訳じゃなく、「とにかくリアルなCG」ってことしか手がかりがない「FF」に投資出来る人は、よっぽど坂口博信さんのクリエイティブ能力に信頼を置いているのか、スクウェアのやることに間違いなないと思ってるんだろー。証券って元本保証なの? クーポンとか乗るの? 劣後なのそれとも優先なの? そこんところをちゃんと説明してくれて、かつ投資するに値する映画だってことを証明してくれることを願おう。何よりとにかくちゃんと映画を完成させなきゃね、でないとコロンビアにがっぽり持ってかれるから。

 「デ・ジ・キャラット」の夏スペシャルは真っ当な夏休み中の子供くらいしか見られない時間帯なのに真っ当な夏休み中の子供が果たしてついていけるんだろーかってな飛ばしっぷりが「でじこ」らしくて良いですねー。真夜中のイケナイ時間帯にやってたアニメを昼間にやってしまう以上は桜井弘明総監督、毒を抜き牙を折ってくるんだろーかと思っていたら揃えたスタッフが一癖二癖なくて七癖の精鋭ぞろい。意味不明のキャラクターたちた繰り広げる素っ頓狂な展開と奇妙な間が、夏の冷房病でクラクラと来た頭をグラグラと煮立たせてくれる、いやはやなるほど「でじこ」は偉いにょ。

 新人2人に主役と準主役をあてて中堅にサブを振っただけでも不思議なのに、今回新登場の新キャラに起用したのがガンジス大月さんならなるほどの超大物声優。リナからんま(女)かレイか意外にフェイ・バレンタインあたりで来るんだろーか、とは流石に思わなかったけど果たしてどんな引き出しから声を出すのか興味津々で見ていたら、ガキで高飛車なピョコラ・アナローグ3世の声にピタリあわせてガキで高飛車でちょっとだけ間抜けな声をピタリとはめてくる、流石は才人・林原めぐみさんと感嘆の声を上げる。「お姉ちゃん」って叫びが目立たずかといって引っ込まない微妙なバランスに立ってるんだよなー。けどそんな林原さんを迎えても、一行に変わらない狡猾さ迂闊さを出している「でじこ」に強力無比なツブヤキを放つ「ぷりこ」の2人のすごいこと巧いこと。2人を出しただけでも「デ・ジ・キャラット」は世紀末に意味のあるアニメだったと讃えよう、それだじゃないけれど。

 「ほかほかごはん」みたいなシンミリ系や「パーティー・ナイト」みたいなキラキラ系が少なく「暴れん坊がやってきた」的不条理系が多かったのは夏休みってインパクトを考えてのものなのか。3分だからもった一発芸的手法が、果たして15分×15分の長丁場に耐えられるのかが心配だったけど、細かいギャグとかおかずを見せつつ1本筋を通す王道の作りになっていて、それなりに飽きずに見ていられたのは有り難い。カワイ系からギャグ系へとモーフした「でじこ」の作画担当した人エラい。あとコロコロ顔が変わるオヤジ虫野郎の作画動画についていったスタッフも。最後を「ゲーマーズ」の爆発で絞めるあたりは「ワンダフル」シリーズと一緒だけど、幾度かの爆発も笑って許すスポンサーの本家「ゲーマーズ」は何てフトコロが広いんだにょ。最終話なんていかにも「ゲーマーズ賛」に見せかけて最後は爆発だもんなあ。そーゆースキを見せつつ理解を頂戴しようって先方に、今はまだついていけるけどやりすぎるとウザくらなるんで注意一生怪我の巧妙。冬スペシャルなんてものがあるんだとしたら、自虐的でも自愛的でもない芝居として楽しい作品を見せて欲しいものです。

 ニナモリニナモリニナモリニナ萌え燃え。「フリクリ」第3巻「マルラバ」は上から見ても途中を切ってもニナモリ・リエの大フィーチャー。1巻のジト目での登場だけですでに脳天ヤられまくってた僕だけど、強情っぱりで悪辣そーでその実寂しがりやでナオ太が気になってしょうがない性格といー、「チェリオ」(緑色したチェリオって、何?)のせいかそれともナオ太に触ったためかお腹をゴロゴロと言わせて苦しむ表情といい、お風呂で体を洗ってる後ろ姿の柔らかそーなヒップといい、短いパジャマの上着のすそとズボンの上との間からチラチラとのぞく背中とお尻の中間めいた場所といい、謎メカに飲み込まれた場面での「火星人刑事」よろしくブルマー姿の下半身だけで足技を繰り出すシーンといい、最初から最後までオール・オブ・ニナモリな展開にお兄さん心も体も萌え燃えです。超巨大ブルマー・ポスター欲しかったなあ、「ワンフェス」の会場に張り出してあった巨大な奴をカッパらって来ればよかったなー、写真には撮ったけど。

 市長でそれも悪徳っぽい父親と、離婚するのしないのと言っている母親の間でアダルトチルドレンぽく育ったためか素直になれない性格で口も悪くなってしまったらしい女の子が、ふとしたきっかけで心に思ってる男の子と良さげになって邪魔が入って混乱が起こってそれが解決して、元の木阿弥っぽく再びバトルな日々になったよーに見えて、実はちょっとだけ進んだたかもってな展開は、女の子の成長物語としては実に王道だったりするけれど、そこにメインストーリーのロボットバトルを織りまぜてみせる辺りがガイナックス、なかなか一筋縄ではいきません。ナオ太から出るはずだった謎マシンが別の場所から出てきたのは、謎マシンの正体にせまるよーな情報なんだろーか。カンチもハル子も不思議がってたし。あるいは「思い」で伝染(うつ)るものなのか。うーんやっぱり分からん。

 マミ美は前回の「カンディード」事件で癒されちゃったみたいでナオ太とあんまり絡まず残念、パンツは見せてくれるけどただのサブキャラになり下がってる。これでニナモリが今回の一見でおちついてしまったら、次からいったい誰を頼りに見ていけばいーんだろー。そりゃ確かにヒロインはハル子なだろーけど、ナースになってもメイドになっても声が声で顔が顔だけにあんまり萌え燃えしねーんだよな。ナオ太のクラス担任でベスパにひき逃げられローンの残っている車をカンチに破壊されたミヤジ・ジュンコ通称ミヤジュンの悲惨さは「G.T.O」の教頭先生に匹敵するかもしれないけれど、所詮はお騒がせキャラだろーからイジられ役として目を休めてくれるだけだろー。赤城リツコな女秘書も逃亡しちゃって後は出て来ないだろーから、残るヒミツなヒロインはやっぱりハル子のみ。ニナモリもー1度壊れてくれー。ニナモリもー1度壊してくれー。


【8月22日】 たとえば「○○○○@shar−senyou.net」(シャア専用・ネット)ってアドレスが取得できたら書くメールでいちいち「坊やだから」と末尾に付けて相手を挑発してみたり、クレームが来ても「認めたくないものだな」とゆー言葉で逃げてみたりするんだろーか。「○○○○@red−comet.net」(赤い彗星・ネット)ってアドレスだったらメールを返す速度もやっぱり3倍になるんだろーか。なんてことを思わず考えてしまったサンライズのアニメ関連ネームドメイン提供サービス「ひのぼりドッとネッと!」。ほかにも「amuro−ray.net」やら「giren.net」「shar−aznable.net」ってな人名シリーズ、「zgok.net」「zaku2.net」「zeong.net」「zakrello.net」とモビルスーツにモビルアーマー絡みのドメインがよりどりみどりで、「ゼータ」からもアナハイムエレクトロニクスやら百式やらキュベレイやらが用意されていたりして、ガンダム者の心を微妙にくすぐってくれる。

 自分的には、ただでさえあちらこちらのプロバイダーからもらったドメインの使い分けに四苦八苦しているのに、新たに取得してまでってほどの魅力は感じないんだだけれど(ハマーン様もセイラさんもフォウ・ムラサメも用意されてないし)、ファンの間で同じメールドメインを持ち合うとかってな遊び方もあるし、熱烈強烈なエルピー・プルのファンたいたとしたら(いるらしい)「elpro−ple.net」(エルピー・プル・ネット)ってのもあるから取得しようって意欲も燃え上がるのかも。「chang−wufei.net」(帳五飛・ネット)ってのもあるし。「touhou−huhai.net」はないなあ。

 韓国のマンガが割とイイ線いってるってことは最近エンターブレインから出た翻訳マンガのスタイリッシュな線とスピーディーな展開を見て分かってはいたけれど、韓国のアニメとかコミックとか映画とかってな文化産業に関連したベンチャー企業がやって来て、日本にコンテンツを売り込んだり日本からの投資をお願いしたりしているイベント「第2次韓日文化産業投資説明会」をのぞい たら、技術的には日本の急増したけっか急造だったりするアニメよりもまともに見える作品が結構あったり、そのまま日本の雑誌に掲載されてても全然違和感のないマンガがネットで公開されていたりして、国家あげての取り組み具合にあるいはこのままだと遠からず追いつかれ追い抜かれてしまう可能性だって絶無とは言えないなーと感じる。

 目についたのが「AproSystem」って会社が提供している「ComicsToday」ってサイト。いわゆるデジタルコミックをネット上で提供しているサイトなんだけど、掲載されている「Buddy」って戦闘美少女コミックは線がまるでアニメ絵風。マスコットを連れて歩いていあるあたりの抑えぶりもなかなか堂に入っていて、日本語のページにアクセスするとご丁寧に前段としての「魔法少女物」の解説なんかもあって、韓国でも「戦闘美少女」をしっかりと「理解」しているってことが分かる。

 アクセスして開いたページが使用中のノートパソコンのモニターには大きすぎて全部写らなかったり、潤沢な韓国のネットインフラに合わせてあるのか日本の貧困な回線だと出てくるのが遅かったりと「韓日IT格差」に起因する障害もあるけれど、同じページが左右に開かれて片方が日本語のセリフになって片方がハングルのままとゆー「バイリンガルコミック」になっていて、発音の仕方は不明ながらも対訳の勉強になったりする当たりがありがたい。800×600のB5ノートでも開けるよーに改善願えれば、明日から毎日アクセスして日韓文化交流にいそしむんだけどなー。

 アニメの方はといえば「ガンドレス」の悪夢は日本側の事情が大だから別にして、言われているような「韓国動画」の問題をあんまり感じさせない、絵的にしっかりとした作品が流れていてちょっと驚く。いわゆる日本風のアニメ絵あり、アメリカの「ラグラッツムービー」とかDCの「ジェットセットラジオ」っぽいポップ系の絵ありと多彩で、マーケットが日本だけじゃなく米欧も相手にしてるらしーことが伺える。日本っぽさって意味では子供向けロボットアニメで良く見たよーな絵の「出動!ROBOT V」が興味深い。作ったのは「sidus(サイダス?)」って会社で主役の爺さんとペットの犬がペアになってロボットを操縦して敵と戦うストーリーだからこれもありそう。

robotv  ただしそこは何事につけても真面目な国・韓国らしく主役の金老人が人一倍の愛国者って設定で、会場のデモで見せてもらったトラックだと敵を倒した後にへんぽんとたなびく太極旗に向かって敬礼するシーンがあったりして、最近流行りのパンク右翼も鳥肌実もかなわない、マジなライティぶりを感じさせる。敵も別に宇宙人とか秘密結社って訳ではなさそーで、トラックに登場したのはショベルカーで森を伐採する開発業者っぽい悪者で、ロボットの方でもミサイルとかバルカン砲といった重火器は使わず、挑唐辛子弾やらねばねば弾やらで倒をかく乱したり動けないようにする模様。SFとゆーよりはどちらかと言えばノスタルジックな雰囲気を出した人情物に近い。

 こーゆー内容の作品で全26話を作ってしまうあたりが、「ごぞんじ月光仮面くん」ですらサタンの爪と仲良くするよーにされていて、真正面から勧善懲悪やら愛国心を強調することに臆しがちな傾向のますます強まっている日本とは正反対なところだけど、だからこそ日本ではもう見られない傾向の作品を最新の技術で作って見せてくれるって意味で、韓国アニメに関心を向けても面白いかも。でもやっぱり日本ではちょっと放映は難しそーだなあ、ギャルでもコギャルでもないただの愛国爺さんだもんなあ。

 あとアニメだと「ドリームウェーブ」って会社の作った「閻羅國」ってののデモ とかやっていたけど、OVAバブル期に作られた国産の半端なエッチ物のテイストにちょっと近いものを感じさせる内容で、見通すのになかなかな勇気と知恵を必要とする。今時身体検査の時に女の裸を見た少年がトランクスの前にテントを張るんだぜ。おならが黄色い煙なんだぜ。ちなみにこの作品、日本語の資料によると「性的の色っぽさ、そして刺激的なフォズで真善美を選ぶ『ミス閻羅国 選抜大会』が行われる審査不定を防ぐ為に審査委員席にはセンサを設置し、審査委員達の反応を感知」ってなっている。

 文法的な齟齬があってなんだか意味が良く分からないけど、どうやら美人コンテストの結果が何かがVOD的に視聴者の反応によって変化していく内容になっているらしく、そこいらあたりにだけはさすがに日本よりもIT先進国だなってことを感じさせる。韓国の人気俳優が閻魔の声をあてていたり、ミュージカル化(資料だと「ミュジカル化」)が予定されていたりと韓国国内での盛り上げ方は最大級らしーけど、今時「パンツの穴」でもあるまいし、日本じゃやっぱり受けそーもないよなあ。24日までの開催期間中に何度か会場での上映もあるみたいなんで、韓国のアニメとゲームの最先端が気になっている人は、先週今週と通ったからもう良いなんで言わずに東京ビッグサイトへゴー。入場料1000円。

 「ロフトプラスワン」は唐沢俊一さんと久美沙織さんによる「もう一度だけ新人賞の獲り方おしえます」(徳間文庫、552円)に唐沢さんが解説を書いた流れもあって実現したらしー対談で、過去にえっと去年の「ファミ通エンタメ大賞」とその前は一昨年の「日本SF大会 CAPLICON1」の創作講座への登壇で遠くから見(まみ)えた久美さんを改めて拝見、いったい何時頃の写真なのかは口が消えても聞けない文庫の折り返しのロングでさらさらなヘアーの著者近影と、「それほど」「たいして」違いのない今もお綺麗なご尊顔を最前列から拝む。しかし唐沢俊一さんってゆーとやってる仕事の関係上、とてつもなく年輩の人っぽいイメージがあるけれど、新刊の「トンデモ一行知識の逆襲」(大和書房、1400円)の奥付から調べると、久美さんと1歳しか違わないんだよなー、キャリアから言えば久美さんの方がおそらくははるかに長いし。ってことで改めて久美さんの偉大さに叩頭。

 話の方は極めて真面目にモノカキとしての意識の持ち方なんかをご両名とも話してくれて、無署名でも小さなコラムに一所懸命になれるのがライター仕事だとして、それに自分の名前が出ないのはどうにもと思っていた例えば鶴岡法斎さんのよーなタイプの人は「芸人」として名前を出す方向に行くべきといった、自分のタイプとやりたい事を勘案した上での身の処し方なんかがなかなか参考になる。ギチギチな制約を受けた原稿の依頼でもそこの枠内でいかにいろいろと試せるか、とゆーかむしろ人に言われなくても楽しんでみせるだけの意識がなければモノカキとしてはやっぱり難しいらしい。

 ネット時代に誰でもそそくさと文章を書いてはネットにアップして披露している気分に浸っているけど、しょせんは身辺雑記の独りよがりだったりするよーな文章が大半で、昨日の糸井重里さんと幻冬舎の見城徹さんとの対談で見城さんがネット嫌いの理由めいた中で言っていたよーに、マスターベーションあるいは自己満足それともナルシズムに過ぎず、それでもデンパ的に突き抜けてれば構わなかったりするけれど、大半は偏差値の山に埋もれたその他大勢だったりする訳だから、とてもじゃないが商業ベースにはのりそーもない。

 そんな状況下で、商業ベースでモノカキをやっていくには、場所柄時節柄を考えそれに合った文章を提供していく気構えを持ち、文章は自分のものではなくって読者のものなんだってことを念頭に置いておく必要があるってことを、2時間半ほどの2人だけのトークセッションで言っていたよーな気がするけれど、第2部に登場した面々の「作家とは」ってなブンガク的な話から飛んで、一気に「作家の暮らしとは」ってなある意味でリアルな方面へと話が移って、とてつもないエピソードが出席者から数多く披露されてしまった結果、ほとんど忘れてしまいました。いやホント凄かったわ、第2部は。

 それでも当初は2人で粛々と喋っていたのが、久美さんの友達でジュニア小説界では久しくトップクラスに君臨していた花井愛子さんが久美さんから呼ばれて登壇して近況なんかを話し始めた途端に、そのあまりのナマナマしさに前半の真面目な話も何もかもがすべて吹っ飛んで、作家の境遇のあまりにもあまりな状況に、報復しつつ絶倒しつつ更けていく新宿歌舞伎街の夜をしばし楽しむ。1冊で25万部を売っていた作家が最近では1万部もやっとってな状況には、「地上」が絶賛されたものの後が続かなかった島田清次郎の昔から流行作家に浮き沈みはつきものだし(「一月物語」がイマイチだったらしー平野啓一郎さんもこれに続く?)、加えて最近の出版不況のせいもあるから決して驚きはしない。

 けれども花井さんがおかれていた境遇は、週刊誌あたりが類推して「ジャニーズにはまった」「有り金全部つぎ込んだ」的言い方をしていたのが可愛く思えるくらいに聞くも涙語るも八卦なもの。聞けば花井さん、決してジャニーズにハマっていた訳ではなく、何億円もの貯金が親の名義にしていたばっかりに相続でもって突然現れた親類に持っていかれてしまったのが、ホントかどーかは知らないけれど本人曰くな金銭的苦境立たされている真相だとか。挙げ句に自己破産しよーにも弁護士に供託すべき50万円とか100万円ってなお金がなくって出来ないとゆー、まさしくドン底状態にあることが本人の口から開陳されて、あの花井愛子をしてこーなってしまう作家の世界、本の世界の恐ろしさを今更ながら知る。

 会場では来ている編集の人に向かって「100万円入るくらいの仕事下さい」と言っていて、果たして冗談なのかマジなのかは不明だけれど、マジだとしたらあれだけのヒット作を生みだし何億円も稼ぎ出した人であるにも関わらず、威張らず腰低く世間に向かっていこうとしている、その実直さに涙と拍手を贈ろう。あと唐沢さんの2000万円の稼ぎに「2000万円くらいで一人前と言って欲しくないなー」と突っ込んでいた、年に4000万円とか7000万円とか稼いだマンガ家で奥さんのソルボンヌ・K子さんの身も蓋もなさぶりにも大拍手。あの毒舌で鳴る唐沢さんをタジろがせる真正面からの一撃に、勝てる身になるために修行しよ修行しよ修行しよ修行しよ修行しよ。テキストはもとより「もう一度だけ新人賞の獲り方おしえます」の本編と唐沢さんの解説だ。


【8月21日】 雨後の筍あるいは1匹いたら300匹はのゴキブリの如く発生する食品への異物混入事件の背後に、もしかしたらさまざまな食品工場の従業員たちを横断的に組織して計画的に異物を混入させている秘密結社でもあるんじゃないかと思う日々。出勤前にかかって来た電話口の向こうから「おはよう○○くん」とダンディな声が流れて来てこ「さてきょうの君の任務だが」と続く。曰く「アンパンの中にハエを混ぜて世の中のアンパンに対する不信感をあおるのだ」。あるいは「ポテトチップの中にトカゲの干物を入れて吃驚させるのだ」。トカゲなんて町中じゃとんとみかけなくなってしまったから、指令を受けた人は血眼になって公園の生け垣の下やら隣りの家の庭の隅やらを探すのであった。

 中には「牛丼にゴライアスガエルを入れるのだ」といった国際条約的にレッドカード物の指令もあって、受けた人が困難の果てに実行したもののゴライアスガエルもウシガエルも区別のつかない日本人。「牛丼にカエルが」としか騒がれず、はるばるアフリカまで出かけて捕虫網を片手にジャングルを命がけで探索した苦労が全然報われなかったりする可能性もあるかも。洗剤にダイヤモンドを入れなさいって指令もちょっと金がかかりそー。昔は結構入ってたらしいんだけど。って話はまったくもって単なる冗談で不謹慎はすいませんと謝っておくとしても、そんな組織だった動きがあるとしか思えない昨今の相次ぐ異物混入事件の果たして真相やいかに。最近明日は何に何が入ってるんだろーかと想像するのが楽しくなって来てるんだけど、これもやっぱり不謹慎かなあ。

 「電撃大王」はかろうじて「ブギーポップデュアル」についていける以外は「あずまんが大王」くらいしか読んでも分からないのにその「あずまんが大王」が読みたくて買ってしまうのが情けないってゆーか。でも一時期の「エヴァ」目当てで「少年エース」を買ってた人なみにいそーな気がするけれど、そんな人。「コスモス荘」のマンガ見たさに「電撃アニメーションマガジン」を買ってる人よりは多分多いと思うなー。何せ3部構成なんて待遇は、普通だったら箸休め程度の4コママンガ(4コマ雑誌なら別だけど)にしては破格の扱い。先月号では表紙を飾った「イグナクロス零号駅」も今号はお休みだし、やっぱり「あずまんが大王」が引っ張るしかないのだろー、社長も応援していることだし(1巻の帯参照、2巻も近く出るみたいだけど帯はやっぱり角川さん?)。

 にしても1年経してもトラウマになるくらいにゆかり先生の運転にはすさまじいものがあったのかと、思い出せば声が奮えるちよちゃんの姿にちょっとばかり乗ってみたいってな興味もわく、でもってやってみて後悔するんだ。智は何やっても絶対に後悔しそーもないけど。今年から参加の水泳部の神楽さんは競泳用のワンピース水着で焼け残った白い部分を見せてるビキニ姿が何とも悩ましく、作者のまるで木村「女子高生とかすきだから」先生にも匹敵する拘り様を感じる。暦は変わらず立派にお姉さんしてるけど中途半端に利口で運動が出来てしっかり者だったりするから周囲のプラスにもマイナスにも突き抜けたキャラの中では何か目立たないのが眼鏡っ娘好きとしては残念至極、役回りとは言えどうにかならないものかなあ。智を牽制しての鍵探し場面での活躍はなかなかだったけど、もっともっと活躍が見たい。

 「東京ゲームショウ」で販売するグッズ類も判明、やっぱり出ますね「ちよちゃんクッション」が。あずまきよひこさんの絵で、ちゃんとお下げがとれるところがミソでしょう、取り替え様の「あたらいいの」がクリスマスシーズンに届くかは知らん。「ワンフェス」では瞬殺だったか結構早めに品切れてた榊さんフィギュアに続く今度は「ともちゃんフィギュア」は胸が8センチの8分の1ってことは1センチは榊さんより小さいのかな、立体なんで計算違ってるかもしれないけれどちよちゃんじゃないから分かりません。そんなこんなでゲームを見るより、ってゆーかセガもスクウェアも出ずコナミの山ほど出展があるブース以外は見るゲームのほとんど皆無な「ゲームショウ秋」で、グッズ漁りが客筋の中心になりそーな予感。ゲームの雑誌が変質・衰亡著しい「ゲームショウ」の位置づけをどう報じるか興味あるけど、硬派な「ゲーム批評」はまた編集長おりちゃったし、やっぱり「ゲームがすげえ」的お祭り報道になるのかなあ。


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