“あしながおじさん” ★★
Daddy Long Legs
(1955年アメリカ映画 FOX)

監督:ジーン・ネグレスコ
原作:ジーン・ウェブスター
脚本:フィービー・エフロン、ヘンリー・エフロン
主演:フレッド・アステア、レスリー・キャロン、テリー・ムーア、セルマ・リッター、フレッド・クラーク

 

今更言うまでもなく、ジーン・ウェブスターの名作「あしながおじさん」のミュージカル映画化。
昔、高校生の頃だったかTVのロードショーでこの作品を見た時、それ程面白いとは思いませんでした。今ならその理由が判ります。当時は、ウェブスターの原作を念頭において観ていたはずだから。ですからがっかりした気持ちが強かったのでしょう。
でも今は、見方がまるで違います。フレッド・アステアのことも、レスリー・キャロンのこともよく判っていて、両人ともファンですから。

原作と比較してどうかはさておき、ミュージカル映画としては十分楽しいし、本作品ならではの見処もあります。
・まず、アステアとレスリー・キャロンという組み合わせが、アステアからみて大いに異色。レスリー・キャロンがバレリーナ出身である故に、2人が組んで踊るシーンではアステアいつものタップダンスが封印されています。
それでも、大学のダンスパーティで2人が学生たちの目を奪い、また学生たちを率いて踊るシーンは圧巻。アステアとしても珍しいダンスシーンではないかと思います。
本作品、MGMではなく、FOXのミュージカル作品。その割に健闘していると評価できます。
・原作と異なり、主人公のジュディはフランスの孤児院出身と設定されています。それはフランス人であるレスリー・キャロンのイメージに合わせた設定なのでしょう。そう考えないと??と思う点です。
・それと印象に残るのは、後半、ジュディがジャーヴィスの面影を慕って空想の中で繰り広げられるダンスシーン。ジーン・ケリーとレスリー・キャロン共演の名作「巴里のアメリカ人」に共通する展開です。アイデアの盗用というより、同じレスリー・キャロンなのだからいいか、と思う次第。
・レスリー・キャロン、バレエという持ち味をもって芸能界入りした訳ですが、演技の上でも中々見応えがあり、女優としての魅力も十分です。後に英国アカデミー主演女優賞を2度受賞していますから、単なるミュージカルスターで終わった人ではありません。

※レスリー・キャロン、出演した作品はそう多くはなく、代表作としては「巴里のアメリカ人」「恋の手ほどき」、そして「あしながおじさん」の3作ですから、きちんと本作品を見直すことができたのは、嬉しいこと。
※上記3作以外に見た作品といえばミュージカルで「ガラスの靴」。最近作では「ショコラ」「ル・ディヴォース
。前者ではそれと気付きませんでしたが、後者ではしっかりレスリー・キャロンを認識しました。嬉しいこと。

2012.02.18

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