“ショコラ” ★★
CHOCOLAT
(2000年アメリカ映画)

監督:ラッセ・ハルストレム
出演:ジュリエット・ビノシュ、ジョニー・デップ、アルフレッド・モリーノ

 

既に原作を読んでいる作品。ストーリィが概ね判っている為、余裕をもって楽しんで見ることができました。
しかし、いきなり映画だけをみた人の場合は如何なものでしょう?

映画作品としてはよくまとまっていて、チョコレートの見た目の楽しさもあり、楽しめる映画だと思います。
しかし、原作を先に読んでいると、ちと物足りない。
舞台となるフランスの小さな町にヴィヴィアンヌ母娘が北風にのってやってきて、断食期間の真っ最中にチョコレート店を開店します。しかし、村長を務めるレノ伯爵は禁欲的な生活をモットーとし、住民にもそれを守らせることを当然の義務と考えている人物。したがって、この町は極めて閉塞的な気分に充ちています。そんなこの町に、ヴィヴィアンヌはチョコレートを糧に風穴を開け、村人たちの心に開放的な気分をもたらします。その意味で、ヴィヴィアンヌとレノ伯爵の対立を軸にストーリィは展開します。
しかし、実際の原作は、かなり深いものを含んでいます。村人各人にも心の葛藤があります。決してヴィヴィアンヌとレノ伯爵の対立の構図という単純なものではありません。その辺りが、映画という限られた時間の中で描ききれないのは仕方ないこと。したがって、映画のみに留まらず、是非原作も読んでみていただきたいところです。
なお、原作ではレノ伯爵は映画のみに登場する人物であり、原作には登場しません。原作でヴィヴィアンヌに対立する相手となるのは、教会の神父。また、最後の結末も異なります。私としては原作における結末の方が好きです。

※なお、私の場合、無性にチョコレートが食べたくなる、ということはありませんでした。

2001.12.29

   
 → 原作:「ショコラ」

  


   

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