“ル・ディヴォース〜パリに恋して〜” 
Le DIVORCE
2003年アメリカ/フランス映画)

監督:ジェームズ・アイヴォリー
原作:ダイアン・ジョンソン
脚本:ルース・ブラワー・ジャブヴァーラ、ジェームズ・アイヴォリー

出演:ケイト・ハドソン、ナオミ・ワッツ、ジャン=マルク・バール、レスリー・キャロン

 

コメディという触れ込みですが、あまりそうした感じは受けません。
むしろ、シリアスな恋愛ドラマという気がします。
はっきり言えることは、本ストーリィがいみじくもアメリカ文化vsフランス文化という構図になっていること。
とくに、フランス人の恋愛観とアメリカ人の恋愛観の違いが2人の姉妹の行動振りから象徴的に描き出されます。

フランス人のアンリと結婚してパリの住む姉ロクサーヌの元へ、出産間近なことから手伝いのため、妹のイザベルがパリにやって来ます。ところが、義兄のアンリは他に愛する女性ができたと家を出るところ。
娘ジェニーともうすぐ生まれる子供を抱えてロクサーヌは離婚に同意せず、なんとか寄りを戻したいと願う。一方、異母妹のイザベルは姉と違って奔放。さっそくフランス人の青年と恋仲になる一方で、アンリの叔父で著名人のエドガルと愛人関係を結びます。
そして、ロクサーヌとアンリとの間の離婚話は、ロクサーヌがアメリカの実家からもってきた絵がラトゥールの本物と判ったことから、離婚の際の財産分け問題が両家の家族まで巻き込んで加熱していきます。

アメリカ人からみて鼻持ちならない風、アンリを甘やかす母親を演じるのがかつてのミュージカル・スター、レスリー・キャロン。アメリカ人を見下げる気取り屋の老婦人にぴったりの雰囲気をかもし出しています。でも、ちょっとしたしぐさ、表情に若いときのレスリー;キャロンの面影が現れ、ファンとしては嬉しいところ。
一方、ケイド・ハドソンについては、現代的なアメリカ娘という役柄にぴったりの演技を見せていますが、コミカルな部分の少ないのがちと物足りない

結局は収まるところへ収まり、イザベルはちょっと大人の恋愛について勉強したというところで終わっています。
要は姉妹2人とも、パリ、そしてフランス男に夢見すぎた故の結果なのです。2人ともその点では、恋愛、人生の勉強をしたと言えるのでしょう。
コメディなのか、シリアス・ドラマなのか、それとも男女間の愛憎劇なのか、いずれとも決めかねる、ごった煮のストーリィという印象です。
それでも、パリの街並み、高級レストラン、お金持ちの邸宅、極めつけはエッフェル等と、パリらしい舞台が次々と登場しますので、パリの雰囲気を存分に味わえる楽しさがあります。

 2005.02.13

      


  

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