佐藤 聖著作のページ


1957年東京都生、慶應義塾大学文学部卒。編集者。文芸誌「作品」と「海燕」の創刊から休刊まで編集部員として携わる。福武書店にて「新輯内田百闡S集」(全33巻)および福武文庫「内田百闖W成」(全24巻)の編集を担当。

 


        

 佐藤聖編「百鬼園先生−内田百闡S集月報集成− ★★☆


百鬼園先生

2021年01月
中央公論新社

(4800円+税)



2021/02/06



amazon.co.jp

講談社版「内田百闡S集」(全10巻)、福武書店版「新輯内田百闡S集」(全33巻)の月報と、福武文庫“内田百閨hシリーズ(全29冊)の解説を集成した一冊。

百鬼園先生こと内田百ファンだからこそ魅力的な一冊。
ただし、最初の頃は少しずつ読んでいたから良かったのですが、図書館の貸出期限が迫れば一気に読み上げるしかない、というのが苦しい処。
最初は頭のキャパシティも何とか足りていたのですが、一気に情報量が雪崩れ込んで来くると、すぐ容量超過、せっかくの情報も垂れ流しという次第。それでも少しずつ残った情報もあるみたいです。

私も後から百閭tァンになったものですから、講談社版全集、旺文社文庫は全く知らず。一方、福武書店版全集は第1巻だけ、福武文庫版も何冊か。そして
六興出版「定本阿房列車(全)を所蔵しています。
どうして「阿房列車」を知ったのかというと、宮脇俊三さんの鉄道紀行本からでしょうか。

当然ながら本書の構成は、各全集・文庫別。
講談社版全集は1971〜73年の刊行。そして福武書店版全集は1986〜89年の刊行。
僅か15年の差ですが、月報の書き手は大きく変わります。

講談社版では、百關謳カと同世代、直接知る人たちが主。したがって、基本的には内田百閧フ人物像が語られます。文章は百關謳カの作品同様古めかしい印象を受けますが、百關謳カの味わいある人物像が伝わってきて楽しくなります。

一方、福武書店版では、百關謳カの作品(小説・随筆)の読者という人たちが主体となり、前者との趣きはだいぶ異なります。
さらに福武文庫の解説となると、百關謳カの人物、その作品に対する分析、評論的な印象が強くなります。

本書を読みながら強く思うことは、百關謳カの味わい、面白さ。
これからも読み継がれていって欲しいと、強く思う次第です。

内田百闡S集(講談社)/新輯 内田百闡S集(福武書店)/福武文庫/
解説/全集収録作品一覧/内田百阯ェ年譜

    


  

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