|
1954年東京都文京区生、早稲田大学政治経済学部卒。地域雑誌「谷中・根津・千駄木」を84年10月に創刊、話題となる。98年「鷗外の坂」にて芸術選奨文部大臣新人賞、2003年「即興詩人のイタリア」にてJTB紀行文学大賞を受賞。 |
●「女三人のシベリア鉄道」● ★★ |
|
2012年03月
2009/05/05
|
「シベリア鉄道への関心がかくも長く持続したのは、学生時代にこれに乗って欧州へ行くという夢を果たせなかったことによる」と「あとがき」で森さんは記していますが、同年代の私は学生時代にシベリア鉄道に憧れることはなかった。 森さんのシベリア鉄道旅が、宮脇さんのような鉄道ファン旅に終わらなかったのは、かつてこの路線でやはりパリを目指した3人の女性作家に想いを馳せながらの旅であったこと。 森さんに同行するのは、2006年の東京〜ベラルーシ首都ミンスクまでが、大阪外国語大学大学院に留学中のアリョーナ(実家がエカテリンブルク)、2007年の東京〜大連〜ハルピン(東清鉄道)がやはり留学生の柳順江さん(実家は途中の長春)とのこと。 シベリア鉄道旅、その途中で見聞きしたロシアの様子、旅の途中知り合った人々とのこと、同行者のアリョーナ・柳さんとのやりとりに加えて、晶子・百合子・芙美子という名だたる女性作家の軌跡という内容ですからかなり散文的ですが、なかなかの力作です。 ウラジオストクへ/バイカルの畔にて/エカテリンブルクのダーチャ/「道標」のモスクワ/東清鉄道を追って/夜汽車でワルシャワ、ベルリンへ/パリ終着の三人/あとがき(旅を終えてから) |