田村道美・近藤健児・瀬戸洋一・中野光夫 共著のページ


田村道美:1948年栃木県生、東北大学大学院修了。香川大学教育学部教員、英文学専攻。著書は「野上弥生子と世界名作大観」「絶版文庫三重奏」等。

近藤健児:1962年愛知県生、名古屋市立大学大学院修了。中京大学経済学部教員、国際経済学専攻。著書は「絶版文庫交響楽」「絶版文庫三重奏」「国際労働移動の経済学」等。

瀬戸洋一:1977年岐阜県生、中央大学文学部卒。東北学院大学大学院(アジア文化史専攻)在学中。

中野光夫:1963年香川県生、香川大学教育学部卒。香川大学教育学部附属坂出中学校外国語科教員。

 


 

●「絶版文庫四重奏」● ★★




2001年9月
青弓社刊
(2000円+税)

 

2001/11/01

絶版となった文庫本の名作を、作品の周辺事も交えながら詳細に紹介した一冊です。
本書を購入して読むに至ったのは、著者の一人である瀬戸洋一氏から、幾度かディケンズの訳本について教えて頂いたことがあったからです。著者には申し訳ないのですが、そうした経緯がなかったら、おそらく本書を手に取ることはなかったでしょう。その理由は、私の場合古本屋さんで本を買うということが殆どないからです。
しかし、“絶版文庫”の世界は、私の想像を遥かに超えた奥深いものでした。本書に取上げられた絶版文庫は、近年刊行などというものに留まらず、戦前刊行の文庫まで、あたかも当然のように遡るのですから、全く圧倒されます。私のまるで知らない作家、知らない作品、それでいて今も興味をそそられるような本が、沢山紹介されています。私が知っている作品などは、ほんの数冊に過ぎません。
私が抱く関心は、かつての愛読書が絶版になってしまい残念、という程度に過ぎません。しかし、本書著者の関心の持ち方は、私などとは遥かに違うもののようです。過去の出版記録の中から、埋もれてしまった名作を掘り起こし、見つけ出す、そこにスリルと喜びを感じられているのではないかと思います。
今まで私の知ることがなかった“絶版文庫”の世界を垣間見る楽しみ、懐かしい作品の出版状況を改めて知る楽しみ、そんな楽しさが本書にはありました。

※本書中、私が既読あるいは知っていた作品は、ショー「悪魔の弟子」、コンラッド「青春」、シェイクスピア「ウィンザーの陽気な女房たち」、マッカレー「地下鉄サム」、ゲーテ「ヘルマンとドロテーア」、プーシキン「サルタン王ものがたり」他、三島由紀夫「癩王のテラス」のみでした。

 


  

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